テレビ東京『激録・警察密着24時!!』『鬼滅の刃』の模倣品捜査密着事案に関する意見
2025年1月17日 放送局:テレビ東京
テレビ東京は2023年3月、『激録・警察密着24時!!』の中で「人気アニメ『鬼滅の刃』に便乗 悪質コピー商品の販売業者を追い詰めろ」として、販売業者が「不正競争防止法違反」で摘発された事件を取り上げたが、販売業者から放送内容が名誉を毀損する表現や虚偽の事実を警察官に演じさせたねつ造の疑いがあるとして抗議及び申し入れ書が送られた。これを受けてテレビ東京は2024年5月に不適切な内容が複数あったことを認め、謝罪するおわび放送をした。
委員会は同年7月「放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要がある」として審議入りし、テレビ東京や制作会社スタッフなどを対象にヒアリングを実施。その結果、被疑者3名が不起訴になっていたことに触れなかった、『鬼滅の刃』のキャラクターを描いた商品を発注した事実はなかった、密着ドキュメントをうたいながら捜査のほとんどが事後撮影だったことなどを確認した。こうした問題について委員会は、「モザイクなどをすれば個人特定に対する配慮は足りている」とする“モザイク信仰”が人権意識を鈍らせた。また逮捕と犯罪者を安直に結びつける構図にとらわれ、ナレーションであおり、刺激的なスーパーで犯罪捜査をエンタメ化するこの番組のステレオタイプが繰り返されたなどの4つの要因を挙げた。
以上のことから本件放送は、事実と異なる内容を報じ、視聴者の信頼を裏切り、放送倫理綱領、民放連の放送基準及びテレビ東京の放送編成基準の各項目に反しているとして、放送倫理違反があると判断した。
2025年1月17日 第46号委員会決定
目 次
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- 1 本件放送の内容
- 2 審議に至る経緯
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- 1 本件放送の発端
- 2 「出口=逮捕」から始まり、「事後取材」へと至る経緯
- 3 捜査過程の事後取材
- 4 不十分な引き継ぎ
- 5 “事実確認なき”仮編集
- 6 試写から放送に至る経緯
- 7 放送後の抗議とテレビ東京の対応
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- 1 不起訴に触れず刺激的な演出
- 2 事実でない内容の放送
- 3 “密着”をうたいながら事後撮影を放送
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- 1 強力な“モザイク信仰”
- 2 “三方良し”に潜む“当事者”の不在
- 3 ひっ迫する制作体制
- 4 繰り返された“ステレオタイプ”