第202回–2025年1月
TBSテレビ『熱狂マニアさん!』が審議入り
第202回放送倫理検証委員会は、1月10日に千代田放送会館で開催された。
9月の委員会で審議入りした毎日放送の『ゼニガメ』については、先月の委員会で意見書の原案が議論されたのを受け、今回は担当委員から意見書の修正案が提出された。他の委員から複数の質問や意見が出され、次回の委員会までに再修正案を作成することになった。
TBSテレビが2024年10月19日(土)に放送したバラエティー番組『熱狂マニアさん!』の中で、約2時間にわたりインテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集し放送した。放送後、BPOに視聴者から「番組全編で1社を取り上げ価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。委員会は、12月と1月の2回にわたり議論した結果、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
12月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。
議事の詳細
- 日時
- 2025年1月10日(金)午後4時~午後6時20分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 1. 毎日放送『ゼニガメ』について審議
2. TBSテレビ『熱狂マニアさん!』について審議
3. 12月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告
- 出席者
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小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員
1. 毎日放送『ゼニガメ』について審議
毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、翌日に番組に事実と異なる放送があったことを公表し、謝罪した。さらに2023年11月と2024年5月の放送分にも事実と異なる内容があったことが判明し、9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪した。委員会は9月に審議入りを決め、12月には担当委員が作成した意見書原案が提出された。今月の委員会では、担当委員から修正案が出され、他の委員から複数の質問や意見が出された。
次回委員会までにさらなる検討を進め、担当委員が再修正案を提出する。
2. TBSテレビ『熱狂マニアさん!』について審議
TBSテレビは、2024年10月19日(土)の19時から約2時間にわたりバラエティー番組『熱狂マニアさん!』の中で、インテリア小売業大手「ニトリ」のマニアを特集し放送した。番組は「ニトリマニアが集結!1万点からベスト3 名もなき家事が今夜消滅!」と題して、ニトリの商品を使った時短料理や収納テクニックなどを全編にわたり放送する内容だった。
放送後、BPOに視聴者から「番組全編で1社を取り上げ価格や商品名も紹介しており、番組の提供にも社名が入りCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。この視聴者意見を受けて11月の検証委員会で議論をした際に、2024年になってからニトリを3回(1月13日、6月1日、10月19日)番組で取り上げていることが判明したため、当該放送局に対してそれらの番組DVDと報告書を求め、12月6日に報告書が提出された。
TBSテレビの報告書によると、これまで当該番組は、ある特定のジャンルに関して、並外れた熱意や愛情を注いでいるマニアが、熱狂していることや好きなものを紹介する番組で、近時はコロナ禍による巣ごもり需要により、コンビニやスーパー、大手日用雑貨店への興味関心がファミリー層などで高まったことを受け、「時短料理術」や「清掃・収納術」など、人気有名企業の商品活用法に詳しいマニアを番組が発掘し、単なる商品紹介ではない、衣食住にまつわる「生活の知恵」を幅広い視聴者に届けてきたという。
委員会は、12月と1月の2回にわたり議論した結果、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。
3. 12月の視聴者・聴取者意見を報告
12月に寄せられた視聴者・聴取者の意見では、亡くなった人の報じ方について意見が多く寄せられた。俳優が自宅で亡くなっているのが見つかった件では、当日に遺族にカメラを向け心境を聞くことの何がジャーナリズムなのか疑問に思うなどの意見が、北九州市のファストフード店で中学生が刺され死亡した件では、被害者の名前や顔写真が繰り返し報道されたことが人権蹂躙ではないかなどの批判が寄せられた。この他、タレントが女性とトラブルを起こしていたことが分かったことについて意見が多く寄せられ、タレントがMCをしている番組は打ち切りにすべきだ、実態を調査して再発防止策をたててほしいなどの意見があったことを事務局から報告した。
以上