2022年10月に視聴者から寄せられた意見
国葬についての情報番組コメンテーターの発言、元首相へのデジタル献花と統一教会の関係についての報道番組の伝え方、ドラマでの残酷な"拷問"の描写などに多くの意見が寄せられました。
2022年10月にBPOに寄せられた意見は2,029件で、先月から162件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール82%、電話16%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性45%、女性17%で、世代別では40歳代27%、30歳代22%、50歳代20%、60歳以上16%、20歳代10%、10歳代1%。
視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、10月の送付件数は988件、43事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から19件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。
意見概要
番組全般にわたる意見
9月に引き続いて、元首相の国葬についての情報番組コメンテーターの発言に関して多くの意見が寄せられました。また、元首相へのデジタル献花に旧統一教会が関与しているかのような報道番組の報じ方についての疑問の声もありました。ドラマの"拷問"の描写が残酷という意見も目立ちました。
ラジオに関する意見は26件、CMについては16件でした。
青少年に関する意見
10月中に青少年委員会に寄せられた意見は123件で、前月から61件増加しました。
今月は「暴力・殺人・残虐シーン」が51件、「性的表現」が33件、それに「表現・演出」が19件と続きました。
意見抜粋
番組全般
【報道・情報】
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国葬についての情報番組コメンテーターの発言に関して。メディアは公人の失言は厳しく批判しておきながら、身内の場合は処分が甘く納得しがたい。コメンテーターも公人ではないのか。
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問題視すべきは「政治的意図がにおわないように制作者としては考える」という部分。制作者が政治的意図を持って制作することが日常的に行われているのではないのか。放送法違反ではないのか。
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このコメンテーターの歯切れ良い公平かつ平等なコメントが大好きで毎朝楽しみにしていた。間違ったコメントは残念だったが、放送での謝罪と反省コメントは立派だったと思う。
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元首相へのデジタル献花を特集した報道番組で、あたかも、旧統一教会が組織的にデジタル献花に関わっているかのような見出しテロップが出ていたが、最終的には「関係は確認できない」という内容だった。であればそもそも報じる必要がなかったのではないか。
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ソウルの群集事故で亡くなった方の出身地などの情報を報じ、さらに遺族にも取材。遺族の気持ちを考えるといたたまれない。また、放送を見てしまったことで自分までもがそうした行為に加担してしまったようで、非常に心苦しい。
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情報番組で夫婦間のモラハラ問題を特集していたが、夫によるモラハラにばかり焦点が当てられ、偏っているように感じた。妻によるモラハラや子どもの"連れ去り"があることについても伝えるなど、バランスに配慮してほしかった。
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報道番組が、地元・静岡県の台風被害のフェイク画像を作成してインターネットに投稿した人物のインタビューを放送した。出演者は「悪意のないケース」とコメント。AIを用いたフェイク画像の作り方を実演して紹介し、模倣犯への意識が低いように見受けられる。熊本地震の際にデマを拡散した人物が逮捕されたケースなどに触れることもなし。なぜこれを企画して放送したのか理解に苦しむ。
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納骨堂の経営破綻のニュースが各局で大きく扱われたことで、無関係の自分の会社に不安になった顧客らからの問合せが続いて業務に支障をきたしている。室内墓の経営・管理に関わる寺や会社は少なくない。他社がとばっちりを受けないように、また顧客らが余計な心配をしなくて済むように、今回のケースはその特異性を説明しつつ伝えるべきだったと思う。
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マイナンバーカードへの一本化に反対している人についてコメンテーターが「所得隠しとかやましいことがある人」などと決めつけていて、発言が偏っていると感じた。証明写真を撮りに行ったり暗証番号を更新したりなど、数年ごとに必要な手続きが難しい病人、高齢者、認知症の人たちのことも理解すべき。
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たまたま地元のラジオ番組で聞いた"育児特集"。リスナーから寄せられた悩みについて専門家とパーソナリティーが考え提言するという趣旨で、私も深く考えさせられる内容だった。なるべく多くのリスナーの声を聞くという姿勢もうかがわれ、地元びいきかもしれないが地域に寄り添った内容で「こころ」が温かくなった。
【バラエティー・教養】
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北関東から東北地方で広く食べられている、生の味噌を塗ったおにぎりを番組で取り上げた際に、「気持ちわるい」「食べたくない」などという否定的なインタビューやコメントが紹介され、スタジオの出演者によるフォローも不十分だったと感じた。故郷の食文化を否定されたようで悲しい気持ちになった。
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番組内のDIY企画で、崖上の家のベランダのフェンス際に収納付きのベンチを設置した。子どもがベンチに立って転落するおそれがあり、とても危険だと思った。テレビ番組ではむしろ事故を防ぐためにフェンスのそばに足がかりとなる物を置かないよう呼びかけるべきだと思う。
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大食い番組には呆れる。食べるものに困っている人がいて、子ども食堂を開いて応援している人もいる。食べ物をムダ食いしていばれる時代だと思っているのか。大食いは芸なのか。
【ドラマ】
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残虐な"拷問"シーンを放送するのであれば、注意喚起のテロップなどで事前に告知して、子どもや見たくない人への衝撃を回避すべきだ。
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私は中途失聴者。ドラマで描かれている中途失聴者のケースであれば全く歪みのない発音で普通に話せるはず。中途失聴者は明瞭な発音で話せるため「本当は聞こえているのでは」などと誤解され、サポートを得られにくい。このドラマは現実の中途失聴者の生きにくさにつながる誤解を広げている。
【その他】
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深夜アニメで銃による大量殺人のシーンをアップテンポの曲に合わせてショーのように描いていた。殺す側、殺される側ともダンスを踊っているかのように動き、大勢が血を吹き出しながら死んでいく。人の死を軽視した演出は、多くの人間が見るテレビというメディアには合わないと思う。
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CMになると急にテレビの音量が上がるので慌ててリモコンを操作する。CMが終わり番組になると音量が下がり聞きづらくなる。1時間に何度も音量を上げ下げしなければならず煩わしい。何とか改善できないだろうか。
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いまだに、「結果はCMのあとで」というような昔ながらの演出手法が使われている。こうした手法に対して若い人は「テレビはかったるい時代遅れのメディア」という印象を抱くのではないだろうか。制作者の発想が古き良き時代のままで、時代に合っていないように感じる。
青少年に関する意見
【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】
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平日夜10時から放送の男性アイドルグループのメンバーが主役のサスペンスドラマは、内容がグロテスクで子どもには見せたくない。正直、気分の悪くなるドラマだ。描写がとても見ていられない。
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このサスペンスドラマは番組冒頭から残虐なシーンが出てきて、その後も何度か残虐な拷問シーンがあり、見ていられなかった。子どもに見せられるものではないし、模倣犯が出たり、犯罪につながったりしてしまうのではないか心配だ。
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このサスペンスドラマには損壊された遺体のシーンが登場する。残忍な拷問によって惨殺された遺体の損壊部分をはっきりと表現していて、大人の私が見ても吐き気を催す描写だった。主役である男性アイドルのファンたちなど青少年が見た場合、心的外傷を受けるレベルといってもいいだろう。
【「性的表現」に関する意見】
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女性高校教師が男子生徒に言い寄るシーンがある連続ドラマで、この生徒役の俳優の実年齢が17歳であるのに濡れ場を想起させるシーンが撮影されていた。未成年者を撮影することに配慮がまったく見られない印象だ。現実と虚構の区別をつけ、現実で問題となる行為は慎むべきだと思う。
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連続ドラマで主役の少年と女性高校教師のベッドシーンがあった。そのシーン自体に問題となる描写はなかったが、少年役の俳優は未成年で、このようなシーンのある作品に起用するドラマ制作会社や放送局には放送倫理上の問題があると思う。
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深夜のアニメ番組で、モザイクがかけられているが、女性登場人物が性的にいたぶられているシーンを放送していた。深夜なら何を流してもよいというのだろうか。青少年に非常に有害な番組だ。
【「表現・演出」に関する意見】
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日曜日のバラエティー番組を子どもと楽しく見ていたら、サンタクロースの正体をバラしていた。夜中で幼い子どもが寝ている時間帯ならわかるが、クリスマスやサンタについては世界中の大人がデリケートに話しているものだ。配慮に欠けているのではないか。
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ヒーローものの特撮ドラマで、主人公たちが犯罪を起こして警察に捕まったり、独房でけんかしたりしていた。こんなひどい正義の味方は見たことがない。こんなヒーローが子どもたちに受けているのだろうか。ふざけすぎで不愉快だ。