青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第247回

第247回-2022年6月

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解についての意見交換会を開催…など

6月28日、青少年委員会が4月に公表した「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解について、加盟各社との意見交換会をオンライン併用で開催しました。
意見交換会終了後に第247回青少年委員会を開き、8人の委員全員が出席しました。
視聴者からの意見(5月後半から6月前半)では、マナー講師が番組スタッフにテーブルマナーを厳しく指導する内容のバラエティー番組や、新型コロナのワクチン接種を連想させる設定の子ども向け特撮ドラマなどに多くの視聴者意見が寄せられました。
中高生モニターの6月のテーマは「最近見たバラエティー番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見やモニターからの報告について議論しました。
次回は、7月26日(火)に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2022年6月28日(火)午後4時00分~午後7時00分
場所
千代田放送会館ホール
議題
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解についての意見交換会
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解についての意見交換会

2022年6月28日、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解をテーマに、青少年委員会とBPO加盟各社との意見交換会を開催しました。バラエティー番組の制作が多い在京・在阪の放送局およびNHKには千代田放送会館に来場いただき、全国の加盟社にはオンラインで配信しました。
委員会からは委員全員が出席し、各委員の紹介のあと、今回の『見解』の趣旨や、見解を出すに至った経緯などを榊原委員長が説明しました。
そして、事前に各局から受けた質問に委員がそれぞれの考えを述べたのに続き、会場の参加者と直接質疑応答を行い、およそ1時間半にわたって意見交換をしました。 
青少年委員会の基本的な立場や考え方についても、あらためて理解を深めてもらう機会になりました。

視聴者からの意見について

5月後半から6月前半に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
女性マナー講師がスパルタ式にテーブルマナーを番組スタッフに指導したクイズ形式のバラエティー番組の内容に対し、「弱いものに対する高圧的な態度は不快だ」といった意見が寄せられました。
委員からは「同じ文脈の中で『今度はよくできました』とほめてもいるので問題はない」との意見がありました。
子ども向けの人気特撮ヒーロードラマで新型コロナワクチン接種の危険性を揶揄したような内容に対し、「現在の(政府の)ワクチン政策に反対する考えや、ワクチンに対する恐怖を子どもに植え付ける」などの意見が寄せられました。
妻の機嫌を損ねないような気配りを語り合うトーク番組で、脳科学者の「みなさん(夫)は寄生虫」という発言に対し、「夫への侮辱・差別だ」「妻の要求は全て正しく、夫に対してのモラハラ・パワハラは笑いごととして看過されるべきと勘違いする危険性がある」などの意見が寄せられました。
歌のうまいタレントに音を外さずにカラオケを歌いきったら100万円ブレゼントという企画で、MCのお笑い芸人が挑戦者に暴言を浴びせ続ける内容に対して、「いじめを助長する」「暴言をヒートアップさせ、大変不快だ」との意見がありました。
速く走れない小学生にお笑いタレントが長期ロケで秘訣を伝授するというニセ密着番組のフィナーレで、頑張った小学生に走り寄るタレントを落とし穴に落とすドッキリの内容に対して、「人の善意を弄び過ぎ」「小学生をだます側に起用するのは不快だ」との意見が寄せられました。
委員からは、「子どもにだます役割を負わせるという点では非常に後味の悪い番組」「子役の子たちならば許容範囲ではないか」との意見が出されました。
その他は特に議論もなく「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

6月のテーマは「最近見たバラエティー番組について」で、モニターからは合わせて24番組への報告がありました。
このうちトークやクイズを中心とした番組には「自分自身を見つめ直すきっかけになっている」「人間力を高めることができる」などの感想が届きました。
「自由記述」では、ウクライナ情勢についてもっと放送してほしいという声などが寄せられています。

◆モニター報告より◆

  • 【最近見たバラエティー番組について】

    • 『人間観察バラエティモニタリング』(TBSテレビ)
      一般人をターゲットにしているため、「一般的な考え方」「一般的な行範囲」などが共感できて楽しく、家族全員が夕食を食べながら感情移入する良い機会になると思う。個性豊かなレギュラーのみなさんが、感想や意見を面白おかしく次々とテンポよく述べていく様子は見ていて飽きない。ときには考えさせられることもあり、いろいろな面で自分と重ねて考える機会になる良い番組だ。(中学2年・女子・鹿児島)

    • 『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ)
      笑えるような話から、あまり考えてこなかったけど案外深い話までさまざまなジャンルの話を聞くことができます。ドッキリ企画やクイズ番組など、企画があらかじめ用意されているバラエティー番組ももちろん面白いですが、誰が話すかを決める酒瓶ルーレットと円卓だけで笑いを起こさせるというのは、やはり芸人さんの腕だなと毎回感じています。このようなトークバラエティーは今のテレビにあまりないように感じます。この番組は「唯一無二だから見たくなる」そんな力があるのではないでしょうか?番組で気になったトークテーマは、友達や家族にも話して意見を聞くようにして2段階で楽しんでいます。 (お酒を飲まない高校生も視聴していることを伝えたい)(高校2・女子・千葉)

    • 『しゃべくり007』(日本テレビ)
      この番組ではドッキリを含むロケなどはほとんど行われず、しゃべくりメンバーのみなさんとゲストの方の純粋なトークや即興コントなどで僕たち視聴者を笑わせてくれます。痛みを伴っているかもしれない行動は、ときおり行われるジャングルパニックと呼ばれるものがありますが、あれはお互いの信頼のもとで成り立っているように思うので、視聴者としてまったく不快な気持ちにはなりません。(高校3年・男子・東京)

    • 『THE グレートアンサー』(毎日放送)
      冒頭の「テレビ画面にかじりついて必死に問題を解く必要はありません!」というセリフに衝撃を受けました。問題を解いている方々の思考法を見ているだけで、気がつくと賢くなったような気持ちになりました。どの問題も観察力や、目の前のことだけでなく周りに気配りができているかをみるもので、真のトップは勉強だけではないのだなあと思いました。次はぜひゴールデン帯で放送していただきたいです。ただのクイズ番組ではなく、人間力を高めることができるのも良いポイントだと思いました。(中学3年・女子・千葉)

    • 『キョコロヒー』(テレビ朝日)
      この番組のように出演者が毎回あまり変わらないトークバラエティーは、コーナーも含めてあまり代わり映えがないように思えるかもしれません。しかし、そのぶん毎回安定した面白さがあり、視聴者としても安心感があるなと思います。たくさんの方が出ている番組もいいのですが、この番組のようにゆるく、リラックスして見られる番組に出会えて本当にうれしく思います。(中学2年・女子・東京)

    • 『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)
      キー局や在阪局にできないような、いい意味でのB級感や手づくり感が出ていてとてもいいなと思いました。ほかの地方局が制作した番組もキー局とはまったく違う味を出しているので、もっとローカル番組を見たい!と思い、地方局間でもっと柔軟に番組を融通しあったりできたらいいのにと思いました。(高校1年・男子・愛知)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)
      お祭りに芸人さんが参加する企画では一緒にその土地の情報をPRしていて、街を知るきっかけになっていいと思いました。祭りの定義などを改めながら企画のノリなどをそのまま残していて、昔から見ていたひとも楽しめると思います。(中学1年・男子・山形)

    • 『マツコの知らない世界』(TBSテレビ)
      「自衛隊メシ」についての特集番組は何度も見たことがありますが、この番組のように陸・海・空それぞれから給養員の方をゲストに呼ぶという企画は見たことがありませんでした。3人の料理隊員の方が一堂に会することで、それぞれの特色が明確に分かり、とても面白かったです。空自の料理についてお話してくださった方が「日本一元気な、ご飯をいっぱい食べてくれる人にご飯を作りたい」という理由で給養員になったという言葉にはとても感動しました。「やりがい」をいちばん大切にして仕事を選ぶという姿勢を、将来進む道や仕事を決めるときに思い出したいです。(高校2年・女子・東京)

    • 『有吉ぃぃeeeee!』(テレビ東京)
      毎回気になったゲームを取り上げてくれ家族と楽しく見ています。「負けた人に罰ゲーム」などということがないのでいつも安心して見られます。食についても毎回紹介してくれるのでご飯を食べている時の会話がとても面白いです。(中学2年・女子・山形)

    • 『100カメ』(NHK)
      大河ドラマの制作現場に密着していた。戦いのシーンは主役の武将を見ることが多いですが、エキストラや動物の撮影と演出にもこだわっていて、ときには別撮りの映像を使うことで映像の効率とクオリティを上げていることが分かりました。作品を見るだけでは知ることができない裏方の努力が見られる部分もこの番組の醍醐味です。(高校3年・男子・千葉)

    • 『むっちゃリサーチ!関西リアルコスパ』(毎日放送)
      商品の値段だけではなくほかの要素も加えた“コスパ”から紹介しているところに独自性が出ていて面白かったです。番組内のコーナーを明確に分けていたことで情報が錯そうせず、変に間延びしている感覚がなくて見やすかったです。すでにある商品データだけを使って計算するのではなく、番組が独自に実験しているのも面白かったです。ランキングが絡む番組の多くは、順位の結果がコーナーの終盤に発表されると思いますが、それが見ていてストレスが溜まる原因になっているのではないかと考えます。もしランキングの結果をコーナーの初めのほうで発表した場合、今までのようなランキングの結果がいつ発表されるかを注意し続ける見方から、ランキングの結果を知ってリラックスしたうえで商品の詳細な情報に耳を傾けられるような見方に変わるのではないかと思います。(高校1年・男子・兵庫)

  • 【自由記述】

    • ここ2、3年の動物系バラエティー番組のほとんどがインターネットで話題になった短い動画を引用しているのが気になる。コロナウイルスの流行初期はそのような形式の番組が増えたことにも違和感を覚えなかったが、規制緩和が進むいま、このようなジャンルの番組はもとの形に戻っていく必要があると考える。動物の面白い動画や人気の動画はスマートフォン等で手軽に閲覧でき、テレビという媒体を通すメリットがないからである。テレビ局の強味を生かし、高価な資料映像の放送や一般人の立ち入りのできない場所の取材などを行なってほしい。(高校3年・女子・東京)

    • 最近あまりウクライナのことが言われなくなりましたが、今どういう状況なのかを知りたいです。(中学2年・女子・山口)

    • ロシアのウクライナ侵攻から3か月以上経っていますが、最近はこれについてのニュースが少ないように感じます。テレビで見ないと、政治関連のニュースはあまり情報が入ってこないので、定期的に報道していただきたいです。(中学2年・女子・山形)

    • 最近、情報番組等で出演者がコメントする際、批判がないようにと慎重に言葉を選び、誰でも思うようなコメントは多いです。同じような意見ばかりだと、人は同じような考えになってしまいます。このようではメディアとしての意義が失われてしまいます。より多くの意見を多くの人に知ってもらうのがメディアなのではないか、と家族と話をしました。(中学2年・男子・山形)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ロッチと子羊』(NHK Eテレ)
      面白くて30分一気に見終わりました。登場した哲学者の著書や解説書などの紹介があると、興味を持った人がより学びやすくなるのではと思います。(高校1年・男子・滋賀)

    • 『激レア動物タイムズ』(テレビ東京)
      このような動物を扱う番組はいろいろあると思うが、空港探知犬など社会において動物が重要な役割をはたしていると気づかされた。こうした番組は、動物の殺処分などへの意識を啓発するという意味でも価値があると思う。(高校3年・男子・東京)

◆委員のコメント◆

  • 【バラエティー番組の感想について】

    • トーク番組での話題について地方在住の観点から感想があった。テレビは依然、とくに青少年にとって世界とつながる重要な窓口になっていて、自分の住んでいる地域の価値について考え直す契機にもなっているのだなと思った。

    • 人気が高まっているeスポーツやゲーム番組の青少年の見方がうかがえた。一時期は地上波から消えたゲーム番組だが、ネットのゲーム実況動画との差別化を図りながら、いまのテレビバラエティーらしい仕上がりになっているという印象を受けた。

    • ランキングの結果を初めのほうで発表してもいいのではという意見があった。「ランキングはCMの後で」という考えで固まっている制作者が“そうかもね”と思うような、そもそも的な感想だった。

    • 「世界の果てまでイッテQ!」についての感想は、番組の新しい模索が若い視聴者に受け入れられているのだなと思えるコメントだった。祭り企画を立て直した番組制作者の皆さんに、個人的には敬意を表したいと思う。

  • 【自由記述について】

    • 海外の衝撃映像を紹介する番組について、家族の中でも好みが分かれるという感想があった。とても鋭い分析で、動画投稿サイトにあるものをテレビにも求めるのか、それともネットにはないものをテレビに求めるかの違いなのかと思う。

    • ネットで話題になった動画を引用する手法に対し、それでいいのかという意見があった一方、いま流行っているいわゆるバズりものの特集を評価する声もあり、とても対照的な受け止めだと思った。

今後の予定について

地方局との意見交換会について、次回以降に対象地域と日程を具体的に詰めていくことになりました。

以上

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