視聴者からのご意見

2022年5月に視聴者から寄せられた意見

2022年5月に視聴者から寄せられた意見

バラエティー番組での「妻の脳内では夫は寄生虫みたいな感じ」という出演者の発言、「鬼講師」のスパルタぶりを強調した演出などに多くの意見が寄せられました。

2022年5月にBPOに寄せられた意見は2,255件で、先月と比較して607件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール83%、電話16%、郵便・FAX1%。
男女別は男性45%、女性15%で、世代別では40歳代26%、30歳代23%、50歳代21%、20歳代15%、60歳以上9%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、5月の送付件数は1,152件、50事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から35件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

バラエティー番組出演者の「妻の脳内では夫は寄生虫みたいな感じ」という発言、芸能人の急死の報じ方、バラエティー番組での「鬼講師」のスパルタぶりを強調した演出などに多くの意見が寄せられました。
ラジオに関する意見は39件、CMについては28件でした。

青少年に関する意見

5月中に青少年委員会に寄せられた意見は119件で、前月から34件減少しました。
今月は「表現・演出」が25件、「いじめ・虐待」が23件、「マナー・服装」が19件、「非科学的な事柄」が16件、「報道・情報」が11件でした。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 誤送金問題の報道について。容疑者が小学校の卒業文集に書いた内容を報道していることは理解に苦しむ。小学生時代に書いたことと今を結びつけ、金への執着は「昔からの性根」と言わんばかり。人権問題ではないか。

  • 誤送金に新人職員が関わっていたと報じられていたが、新たな報道では、この職員は銀行に書類を持っていくよう指示されただけで、ミスの根幹部分には関わっていないという。この職員へのネットでの攻撃はすさまじく、個人名および写真が公開されている。報道がこのような状況を作ったといえる。

  • 誤送金によって一人の青年を犯罪者にし、その一生を激変させてしまったことについて町はどう考えているのか、どう責任を取っていくのかを取材すべきではないだろうか。

  • 急死した芸能人の自宅前から中継。方法や発見場所を具体的に説明。「自殺報道ガイドライン」にことごとく反している。

  • 芸能人急死の報道後、彼と年齢の近い知人が自殺念慮を口にするようになった。相談窓口の案内さえすれば免罪されるかのように報道しているが、報道の繰り返しが新たな自殺者を生むことを、報道機関として自覚してもらいたい。

  • 時々「いのちの電話」などを利用しているが、有名人の急死報道で紹介されるたびにつながりにくくなる。中には必要がないのにかけてみる人もいると聞く。必要な人が利用できるよう紹介を1回おきに減らすなど検討してほしい。

【番組全般・その他】

  • あるラジオ情報番組のコメンテーターは特定の国会議員が大嫌いのようだ。その議員の「脱マスク」発言を取り上げたニュースについて「彼に必要なのはマスクより猿ぐつわ。後ろ手に縛りあげてボコボコにしたい」「ふざけるな、このバカたれが」などと発言。個人的な悪感情をラジオという公の場でむき出しにするのは不適切。

  • ニュースを解説するバラエティー番組で中国と日本のアニメーターの「平均月収」について「中国52万円、日本19万円」と伝えたことに対して、Twitterで中国人のアニメーターらが「うそだ」と指摘、給与明細の画像が公開されたりしている。「中国52万円」は「ごく一部の人」の給料であって、全体の平均は日本と同じレベルかそれ以下だという。誤った情報を放送すべきでない。

  • 高校サッカー部の暴行問題で学校関係者を生出演させてその一方的な意見を放送し、問題が限定的であるかのような印象を与えた。後日、その学校関係者の番組での発言にうその内容があったと指摘されている。公平な取材に基づく放送が行われたとはいえない。

  • 「マナー講師」が相手を叱りつける、明らかにパワハラと思われる行為を面白おかしくナレーションを付けて放送した局に不快感を覚えた。局のモラルを問う。

  • スパルタマナー講師が相手を面罵(めんば)する演出。これが放送されたということはこの内容を放送局が容認したということ。放送局の時代遅れな体質、偏見、おごりを感じた。講師個人ではなく、この演出を笑いとして制作した放送局にがく然とした。子どもたちも見る人気の番組だからこそ視聴率だけを求めるのではなく、もっと真摯(しんし)に価値ある番組作りをしてほしかった。視聴者に寄り添う温かい気持ちを感じない番組だった。

  • バラエティー番組で「認知科学評論家」の出演者が「妻の脳内では『家庭』は『自分の領域』。そのルールが適用されるので世間のルールは通用しない。(夫である)皆さんは寄生虫みたいな感じ」と発言した。男女を入れ替えて「夫から見て妻は寄生虫みたいなもの」という内容であれば放送できるわけがない。ということは適切な内容ではない。笑えればいいというものではない。

  • 「妻の地雷を踏まない方法スペシャル」で夫を「寄生虫」呼ばわり。出演した男性タレントたちが披露したエピソードは男女が逆ならモラハラ、DVと非難されるようなものばかりだった。

  • お笑い芸人がラジオの生放送で、最近自身が健康診断代わりに受けたという「検査」について「脳に傷ができているそうなので砂糖玉を舌下において癒(いや)す」「特殊なもので単なる砂糖玉ではない」「検査含めて4万円」などと詳細に説明していた。法に抵触する医療行為を推奨するような内容だ。「砂糖玉」などいわゆる「ホメオパシー医療」について日本学術会議は「治療効果は科学的に明確に否定されている」との会長談話を出している。公共の電波でこうした情報を提供するのは不適切ではないか。

  • 父親が「柔道の指導」として17歳の娘にヴィーガン(完全菜食主義)を勧め、高校入学以降、肉、魚、卵、乳製品を一切とらせていないという。柔道の成績が上がったことをヴィーガンの効果として語っていたが、青少年の場合は身体への悪影響が非常に大きい。間違った知識がテレビで流布され、それを見た知識のない親が子どもに与える苦痛を考えると看過できない。

  • 私は内科医。番組で「オフィスで次々に人が倒れた。原因はある人の皮膚から出た有毒ガス。パトム/PATMという症状」というケースを、実際に起こりうることとして描いていた。医学的にはPATMという疾患は認められていないし、次々と人が倒れるような濃度の有毒ガスが人の皮膚から出るはずがない。

  • いわゆる「おバカタレント」の誤答・珍答を嘲笑する番組は見ていて不快。学習障害などの人に対する配慮・理解が失われると思う。

  • 人気俳優に密着取材した番組で彼の喫煙シーンが何度も放送され、喫煙に対するポジティブなメッセージになっていると感じた。

  • ワイドショーで「『新人は30分前出社』という自社のルールに疑問」という視聴者の投稿を取り上げ、出演者が「自分なら従う」「従わない」などの意見を述べ合って終わった。人間関係や恋愛の問題ならこれでもいいかもしれないが、この問題は賃金、労働時間など法令にも関係する。専門家を交えてトークするなどすべきで、素人の雑談で終わらせるのは不適切ではないか。

  • 寿司を毎日食べるという評論家が、ある大手回転寿司チェーンのメニューをランキングしたという内容だったが、紹介した6品中、3品が「明日発売」。不適切だと思った。

  • コンプライアンスが厳しくなってやりにくい、という出演者や制作者の発信がある。確かに規制の行き過ぎを感じることもあるが、出演者・制作者が視聴者との価値観のズレに気付いていないから、という場合もあるのではないか。実際に新しい価値感でネタを作って結果も出している若い芸人たちがいる。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 夫婦関係にまつわるトーク番組で、脳科学者の「みなさん(夫)は寄生虫」発言があった。番組全体を通して、妻の要求は全て正しく、夫に対してのモラハラ・パワハラは笑いごととして看過されるべきという内容。社会経験が少ない母親などが影響され、自分のワガママを許さない夫に責任があるとして、児童虐待、ネグレクトを正当化する材料にもなり、罪のない児童の虐待死につながる可能性も考えられる。公共のテレビで放送する危険性を考慮すべき。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • あるゲーム番組で、連勝中の特定の出演者が負けるように仕向けることを“キャンペーン”と称し、「負けろ」「空気を読め」等の貼り紙を貼るなどしていた。実力で良い成績を残した人を妬み、いじめてもいいという印象を与えており憂慮する。

【「非科学的な事柄」に関する意見】

  • 特撮ヒーロー番組で、政府特務機関(味方組織)が、敵組織の戦略的人類退化政策から国を守るため、「体内の“悪魔”を取り除く」スタンプの押印を義務化するという描写があった。その見せ方が、最近の新型コロナウイルスのワクチン接種と酷似している。政府特務機関はヒーローと悪魔を戦わせ、国民たちに不安の危機感を煽り、そのスタンプ押印希望者を増やすマッチポンプをしていた。接種への皮肉もしくは警鐘を鳴らしているのだろうが、陰謀論者による反ワクチン描写のようにも思えるので、これを朝の子供達が見る時間帯に放送されていて心配になった。

【「マナー・服装」に関する意見】

  • 女性マナー講師が番組ADにスパルタ式にテーブルマナーを指導していたが、言葉遣いも悪く見ていて気分が悪かった。相手を追い込み威圧する高圧的な態度は許せない。子どもも見ている時間帯で、教育上よくない。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 芸能人の訃報について。直接的な言葉を使った報道に耳を疑い、ひどくショックを受けた。WHOの自殺報道ガイドラインを認識しているのか。厚労省が注意喚起したのは明らかに特定の番組に向けてだ。翌日に反省の言葉もなく、続報を流す姿勢にも大きな疑問が残る。子ども達も多く見ている時間、視聴者への影響をよく考えるべきだ。