テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』視聴者質問の作り上げに関する意見の通知・公表
上記委員会決定の通知は、3月9日午後3時20分から、千代田放送会館7階の会館会議室で行われた。委員会から小町谷育子委員長、岸本葉子委員長代行、高田昌幸委員長代行、大村委員の4人が出席し、テレビ朝日からは常務取締役(報道局担当)ら4人が出席した。
まず、小町谷委員長から委員会決定について、視聴者質問の作り上げが行われた本件放送は、事実に基づいて報道されてない点と、意見の出所が明らかにされてない点とで、民放連の放送基準に抵触していると判断したことを伝えた。そして意見書に沿って、①“完璧な番組”への自縄自縛、②働かなかった「複数の目」、③権限の集中がもたらした歪み、④局が果たせなかった責任、⑤機能しなかった通報窓口、の5つの問題点について説明した。
続いて高田委員長代行は、大きなポイントとして「権限が番組のトップに過度に集中していた」ことを挙げ、「いかに有能な人物でも、権限の過度な集中は時に独善を生み、自分にとって都合の良い事実を求めていくことがある。今後は権限の集中を是正してもらいたい」とコメントした。また岸本委員長代行は、「制作を業務委託した生放送の番組で管理・把握が難しいと思うが、もっと局の関われる点があったのではないか」「現場の人間の様々なパーソナリティを包含する組織を作り、視聴者の期待に応える番組作りをしてほしい」と述べた。最後に大村委員から、「通報制度は、体制を整備することと運用を実効的に行うことが必要で、研修などを通じてものが言いやすい雰囲気づくりが必要と考える」とコメントした。
これに対してテレビ朝日は、「今回の問題は番組の信頼を毀損する許されないことと受け止めており、視聴者、関係者の方々に深くお詫びする」「今回の決定を真摯に受け止め、今後の番組制作にしっかりと生かしたい」と述べた。
引き続き、午後4時から千代田放送会館7階の会館会議室からオンライン形式による記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には54社100人が参加した。
はじめに小町谷委員長が意見書の概略を説明し、「質問者の属性の書き換えと質問の作り上げを前提にすると、事実に基づいて放送していない点と意見を取り扱う時の出所が明らかにされていない点で、民放連の放送基準に抵触していると考え、委員会は放送倫理違反があると判断した」と述べた。また、判断の過程で委員会が問題とした5点について解説し、番組に投稿を続けた視聴者との間の信頼を裏切ったという点で重い事案だと述べた。
続いて高田委員長代行は、「報道においてダブルチェックのプロセスが入り込む仕組みになっていなかったことが大きなポイントである」「ものが言えない雰囲気の中では、有能さが独善を生む」と指摘した。岸本委員長代行は、「視聴者の質問はそのままで扱わないと放送倫理違反になる、という判断ではない」「すべての放送人に意見書を良く読んでもらい、どこに誤りがあったのかなどを自分事として理解してほしい」と述べた。大村委員は、「コロナ禍においてもコミュニケーションを円滑にはかり、相談しやすい環境や制作体制を整える工夫が求められる」とコメントした。
記者からは、「審議入りの際の議事概要には、世論誘導にもつながりかねない深刻な事案とあったが、結果はどうだったのか」という質問があり、これに対して小町谷委員長は、「ヒアリングを通してそのような事実は認められなかった」と答えた。その他の質問は、事実関係の確認に関するものがほとんどだった。
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