放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第168回

第168回–2022年2月

NHK BS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』審議入り

第168回放送倫理検証委員会は2月10日にオンライン会議形式で開催された。
番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問として放送し、11月の委員会で審議入りしたテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について、担当委員から意見書の修正案が提出された。意見交換の結果、大筋で了承が得られたため、3月にも当該放送局へ通知して公表することになった。
字幕の内容に誤りがあったNHK BS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』について、当該局から提出された番組DVDや調査報告書等を踏まえて協議を行った。その結果、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
民放局のバラエティー番組に同じ政党の幹部3人が出演し、政治的な課題などについて見解を語ったことについて、当該局から提出された番組DVDを視聴した上で意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2022年2月10日(木)午後5時~午後7時15分
場所
オンライン会議形式
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. テレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について審議
3月にも委員会決定を通知・公表へ

テレビ朝日は、情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』の2021年3月から10月にかけて放送した視聴者からの質問に答えるパートにおいて、番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていたとして、10月21日、番組と番組のウェブサイトで公表し謝罪した。11月の委員会で、視聴者の質問や意見を番組が作ることは世論の誘導にもつながりかねず、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会では、前回までの議論と追加で実施した調査を踏まえ担当委員から示された意見書の修正案について意見が交わされた。その結果、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、3月にも当該放送局へ通知して公表することになった。

2. NHK BS1『河瀨直美が見つめた東京五輪』について審議

NHKは2021年12月26日に放送したBS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』後編の字幕の一部に不確かな内容があったとして、2022年1月9日、番組と局のホームページで公表し謝罪した。
番組は、東京五輪の公式記録映画監督である河瀨直美さんと映画製作チームに密着取材したもの。男性を取材した場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕を付けて伝えた。
放送後、視聴者から字幕の内容が事実であるかの問い合わせが相次ぎ、NHKが男性に確認したところ、実際に五輪反対デモに参加していた事実を確認できず、字幕の内容が不確かだったことがわかったという。
1月の委員会では、NHKから提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論を行い、深刻な事案である可能性があるとして討議入りを決めた。その上で当該局に対し事実関係について質問を行うとともに、改めて詳細な報告書の提出を求め、議論を継続することにした。
今回の委員会では、委員会からの質問に対する回答書、NHKが設置した「BS1スペシャル」報道に関する調査チームがとりまとめた調査報告書が提出され、それらを踏まえて議論を行った。同報告書では、字幕の内容は誤りであったとされている。議論の結果、取材、編集、考査、調査の各段階で問題があるのではないかといった厳しい意見が相次ぎ、放送倫理違反の疑いがあることから、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該番組の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

3. 同じ政党の幹部がそろって出演した民放局バラエティー番組について意見交換

元日に放送された民放局のバラエティー番組に同じ政党の幹部3人が出演し、政治的な課題などについて見解を語ったことについて、視聴者から政治的中立を問題視する意見がBPOに寄せられていたことから、委員会は番組を視聴した上で意見交換を行った。
当該局からは社内に調査チームを立ち上げて制作過程の調査を行っているとの報告があったため、委員会はその結果を待って議論を行うことにした。

4. 1月に寄せられた視聴者意見を議論

1月にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、民放局のバラエティー番組で放送された、コンビニエンスストアの食品を料理人が評価する企画や、民放局の報道番組で元総理大臣のツイートを批判したコメンテーターの発言に対する批判的意見等に関して事務局から概要が報告されたが、さらに踏み込んだ検証が必要であるとの意見はなかった。

以上