視聴者からのご意見

2021年5月に視聴者から寄せられた意見

2021年5月に視聴者から寄せられた意見

ワクチン接種の本格化に伴って「注射針を刺す映像が不快」という意見が再び増えた。取材・制作時、放送時の感染対策に対する疑問の声が依然多い。

2021年5月にBPOに寄せられた意見は1,164件で、先月と比較して184件減少した。
5月は全期間が緊急事態宣言下にあり、電話による受け付けを中止した。
意見のアクセス方法の割合は、メール98%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性49%、女性18%で、世代別では40歳代27%、30歳代24%、50歳代22%、60歳以上13%、20歳代12%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。5月の通知数は565件【53局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般への意見の中から24件を抜粋し、全会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

ワクチン接種の本格化に伴って「注射針を刺す映像が不快」という意見が再び増えた。取材・制作時、放送時の感染対策に対する疑問の声が依然多い。複数の社で、SDGsへの取り組みのアピールといわゆる「大食い」企画が近接・並存。このことへの批判の声も寄せられた。
ラジオに関する意見は37件、CMについては26件あった。

青少年に関する意見

5月中に青少年委員会に寄せられた意見は73件で、前月から1件減少した。
今月は「表現・演出」20件、「危険行為」が9件、「低俗、モラルに反する」が8件、「犯罪の助長」が7件、「編成」と「性的表現」が5件、と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • ニュース、ワイドショーでは街頭などで本人の承諾なく撮影した人物を、顔をぼかして放送しているが、服装、持ち物、体型など知人が見れば個人を特定するに十分な特徴が公開されている。これではその人物のプライバシーに対して十分な配慮がなされているとは思えない。特に、「〇〇警察」と呼ばれる風潮をまん延させたと思われる取材方法には大きな問題があるように思う。個人が特定されるリスクを冒してまで、その行動を一方的に評価して悪いと決めつけ放送する必要があるのかどうか、放送業界全体で検討してほしい。

  • 神社のさい銭泥棒を通報した勇気ある女性を紹介していたが、報道はこの女性の安全への配慮を欠いていた。実名、顔出し、自宅の場所が特定可能な映像などには恐怖しか感じない。たとえ本人が承諾したとしても報道のプロが通報者の安全を守る観点に立ち、内容に工夫をこらさなければならないのではないか。

【番組全般・その他】

  • 「地球を笑顔にするWEEK」と銘打ち局をあげてSDGsの大キャンペーン。「フードロスをなくそう」ということもいわれていた。にもかかわらずキャンペーンが終わったすぐ翌日、手のひらを返すように大食い番組を放送している。視聴者を欺く行為である。

  • ニュースでは帰省を我慢しろ、外出を控えろと散々訴えているくせに、19時からはグルメやロケ番組。これでは緊急事態宣言などといってもなんの説得力もない。私は病院勤務をしているが、ただただ不快だ。頑張って働いているのがバカみたいだ。

  • 訪問介護のコント。効果音を使ってサービスが一つ一つ細かく課金されるというイメージが作られ、見ていて非常に気分の悪くなるものだった。私自身、介護の仕事に携わっている。コントは、毎日コロナウイルスの心配やさまざまな心労のある仕事に対するリスペクトのない内容だ。介護の仕事をお金儲けの手段として演じておられたのが悲しい。このようなコントを面白いと感じる感性が許せないと思う。表現の自由だと言われればそうなのかもしれないが、見ていて不快に思う気持ちが抑えられなかった。

  • 私はダイエットがきっかけで摂食障害(過食症)を患っている。好きなバラエティー番組で投稿者たちの間違ったダイエット法や大食いを面白おかしく取り上げる回があり、放送が摂食障害の人を増やしてしまうのではないかと懸念している。摂食障害は一度かかるとドツボにはまってしまい、なかなか治らない病気だ。放送するなら過剰な表現をせず、注意書き等をしていただきたい。

  • ACジャパンの「1日1億個のおむすびが捨てられる」というCMのすぐあとの週1レギュラー番組。大盛り料理を食べることを競う企画で、毎週必ず料理が残るのをみて子供たちがなにを思うか。TV業界は面白ければよいのか。情けない。

  • ワクチンのニュースで毎回のように注射を打っている映像を流しているが、注射恐怖症の者からすると苦痛でしかない。肌に注射針を刺す場面をアップで流す必要はないはず。ニュースは「嫌なら見なければいい」で済む番組ではない。

  • 法に触れない範囲でテレビ局の好きなように番組を作って表現やメッセージを伝えてほしい。たとえそれが低俗、過激、お色気満載であっても、それはテレビという非現実的な空間で起こる表現の自由である。見た視聴者がやり過ぎであると思うならば各々で考えて学べるだろう。それがテレビの魅力ではないかと思う。昔のように元気なテレビになってほしい。それは自分がテレビのおかげで色々ことを教えてもらえたからだ。

  • ニュース全般に、容疑者が連行される時の映像をあまりにも多用し過ぎているように感じる。殺人や重大事件なら逮捕映像の公開も仕方ないが、軽い犯罪の者までが屈辱的な姿をテレビで公開されてしまうのは倫理的にどうなのか。軽い犯罪の者は名前だけの公開とした方が良いのではないか。

  • バラエティー番組でコンビニに芸人が現れ、客にネタを披露するサプライズ。「表情が見たい」と番組側が客の二人組にマスクを外させ、何ら感染防止策なし。感染防止を訴えるテレビ局が公共の電波でいったい何がしたいのか。

  • 「ランキング」を掲げるコーナーで、特定一社の商品を比べてランクをつけている。批判は一切せず、若手お笑い芸人たちが「すっごーい」とはやし立てるだけ。他社製品を含めての順位づけなら消費者にとってメリットもあるが、これでは広告と変わらない。まるで特定一社へのゴマすりランキングだ。こんなものを公共の電波に乗せていいのか。

  • ドラマで、離婚を望む人物が子を連れて家を出て、その行動について弁護士から「子と同居していたほうが離婚協議において親権取得で有利」とアドバイスされ安堵するというシーンがあった。これは昨今問題になっている「子の連れ去り」そのものではないか。ドラマはあくまでフィクションだが、問題視されている不法行為を肯定するような描写が視聴者に良い影響を与えるとは思えない。

  • 殺人事件の容疑者が親と同居する自宅の外から中継し、その外観を映していた。周囲の景観にモザイクもかけておらずプライバシーへの配慮がまったくない。そもそも現段階では容疑者であり、冤罪や無罪判決の可能性もある。放送局は何の権限があって容疑者の自宅を映し、それを全国に放送したのか。その必然性や合理的な理由が全く見当たらない。野次馬根性、あるいは視聴者の下品な興味関心への迎合といったような無責任な態度で容疑者の家族をさらし者にしてよいはずがない。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • クイズ番組で、パチンコ・パチスロの演出に似た映像を流していて、射幸心を煽る内容だった。賭け事は禁止されてはいないが、地上波では青年や子ども達が見て悪影響が出ないか心配だ。

【「危険行為」に関する意見】

  • 数年で大変身を遂げた一般人を取材する企画で、過激なダイエットをした人が好意的に取り上げられていた。炭水化物を抜いたという人がいて、番組を見た中高生が真似をしないか心配だ。

【「低俗、モラルに反する」との意見】

  • 子ども向けアニメ番組で、ウンチネタが多い。しかもウンチが口に当たりそうなシーンがとても不愉快。教育上悪い。

【「犯罪を助長する」に関する意見】

  • 深夜のアニメ番組で、家出中の女子高生をたまたま見つけたサラリーマンが自宅へ住ませるという内容で、家出少女に事情があり性的関係にならずにいればギリギリ犯罪にならないかのような表現がされている。人の温もりや優しさ、少女が家出にいたる背景、家出のリスクなどを描く作品である事は理解するが、どれだけ親切心からの行為でそれで救われる人がいようとどんな事情があろうと犯罪としてハッキリさせていない。良い話でまとめているのは犯罪教唆に当たる行為であり是正が必要だと感じた。

【「編成」に関する意見】

  • 過去の名作の再放送で、ジェンダー教育が遅れている日本において、主に女性が男性に性暴力を受けるシーンが娯楽として扱われている。女の性を男の欲望のために消費したいが故の不要なエンターテイメント、セクハラやレイプシーンなど不快そのものだ。もし表現の自由として放送するのであれば深夜にする、22時以前はカットするなどの何かしらの配慮をしてほしい。

【「性的表現」に関する意見】

  • 人形劇で、勃起した男性器のような像が使用された。前回は扇子を持っていたので、明確な意図があって変更されているように思う。幼児番組でこのような内容を放送することが信じられない。児童虐待ではないか。