フジテレビ 『超逆境クイズバトル!!99人の壁』
解答権のないエキストラ補充に関する意見
2021年1月18日 放送局:フジテレビ
フジテレビは、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」として、2020年4月3日、番組ホームページ上で事実関係を公表するとともに謝罪した。
委員会は、当該放送局から提供された報告書と番組の映像をもとに討議した結果、「意欲的な番組であるが、もともと無理があったのではないか」「同局の番組に対して委員会が2014年4月に出した意見書(委員会決定第20号)において指摘した背景や問題点との類似がうかがわれる。なぜ教訓が生かされなかったのか、再発防止策が生かされていたのか解明する必要がある」などの意見が委員から出され、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りし、議論を重ねてきた。
委員会は、本件番組が解答権のないエキストラを出場させていたことは、番組が標ぼうしている「1人対99人」というコンセプトを信頼した多くの視聴者との約束を裏切るものであり、また、NHKと日本民間放送連盟が1996年に定めた「放送倫理基本綱領」の「放送人は、放送に対する視聴者・国民の信頼を得るために、何者にも侵されない自主的・自律的な姿勢を堅持し、取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる」との規定に照らし、制作過程の重要な部分を制作者たちが十分に共有していなかった点において、その過程が適正に保たれていなかったと言うべきであるとして、本件番組には放送倫理違反があったと判断した。
2021年1月18日 第39号委員会決定
目 次
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- 1 企画コンペでの優勝から特番へ
- 2 解答権のないエキストラ補充の始まり
- 3 レギュラー化で制作体制が破綻
- 4 補充の常態化と情報の非共有
- 5 時を要したルール変更
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- 1 「類のない」企画への固執
- 2 全社的な期待の重圧
- 3 実質的なリーダーの不在
- 4 有効に機能しなかった人員配置
2021年1月18日 決定の通知と公表
政府の緊急事態宣言発出を踏まえ、通知は、1月18日午後1時30分に電子メールで行われ、公表は、午後2時30分にBPOのウェブサイトに委員会決定の全文を掲載し、記者会見の開催は見合わせた。
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2021年5月14日【委員会決定に対するフジテレビの対応と取り組み】
委員会決定 第39号に対して、フジテレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2021年5月10日付で提出され、委員会はこれを了承した。
フジテレビの対応
目 次
- 1.委員会決定の報道について
- 2.委員会決定の社内周知について
- 3.制作センターの取り組み
- 4.BPO委員を招き研修会を実施
- 5.番組審議会への報告
- 6.再発防止の取り組み
- 7.総括