放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第154回

第154回–2020年11月

データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビのニュース番組を審議

第154回放送倫理検証委員会は11月13日に開催された。
委員会が8月4日に通知・公表したTBSテレビ『クレイジージャーニー』「爬虫類ハンター」企画に関する意見について、当該放送局から具体的な改善策を含む取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
秋田放送または山口放送がそれぞれ制作放送した弁護士法人1社提供のローカル単発番組に関する討議を踏まえ、委員長談話「番組内容が広告放送と誤解される問題について」を10月30日にBPOのウェブサイトで公表したことについて報告があった。
出場者の人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させて欠員補填したとして審議入りした、フジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、担当委員から意見書の再修正案が示され意見交換を行った。
データの一部が架空入力された世論調査結果を基にした放送が合計18回にわたり行われたとして審議入りしたフジテレビのニュース番組について、担当委員から意見書の原案が示され、意見交換を行った。

1. TBSテレビ『クレイジージャーニー』「爬虫類ハンター」企画に関する意見への対応報告を了承

8月4日に通知・公表したTBSテレビ『クレイジージャーニー』「爬虫類ハンター」企画に関する意見(委員会決定 第37号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の社内周知を行った上で、バラエティ部門の全プロデューサーを対象に書面によるアンケートを行い、それを読み込むことで互いの現状認識や危機感を共有したこと、レギュラーのバラエティ番組ごとに「演出講座」を開いて「許される演出」「許されない演出」とは何かについて意見交換を行い、それぞれの番組が許容できるラインはどこまでかを改めて確認し共有したこと、また、再発防止への取り組みとして、各バラエティ番組に新たにチーフプロデューサー制を導入し、複眼でのチェックを行うようにしたことなどが記されている。
担当委員からは、「『演出講座』は効果的で、良い素材として当該番組担当者以外にも考えてもらい、率直な意見が出ている」ことなどが報告された。委員からは、「アンケート内容は詳細で役に立つと思う。危険の芽は、どこの放送局でも共通しているので、この報告書で今回のような問題が解消していくことを期待したい」「最近のバラエティ番組に関する意見書を通じて、構造的問題が共通していることが窺われるので、当該局に限らず、改めて何らかの形で放送界全体に見解を示すよう検討することが望ましい」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
TBSテレビの対応報告書は、こちら。

2.「番組内容が広告放送と誤解される問題について」と題する委員長談話について報告

10月の第153回委員会において、秋田放送が制作放送した30分のローカル単発番組『そこが知りたい!過払い金Q&A』及び山口放送が制作放送し、秋田放送が山口放送から購入して放送した30分のローカル単発番組『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!PART2』について、放送倫理違反の疑いがあるのではないかとの指摘はできるものの、討議にて終了し、審議入りしないとの結論に至ったことを議事概要に掲載した。
また、番組内容が広告放送と誤解される問題に関し、10月30日に委員長談話としてBPOウェブサイトに公表した。
今回の委員会では、神田委員長から報告がなされ、事務局からは秋田放送と山口放送の議事概要掲載後の対応などが説明された。

3. 解答権のないエキストラで欠員補填していたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について審議

フジテレビは4月3日、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」と、番組ホームページ上で公表した。
5月の委員会において、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会には、前回の委員会で議論された意見書の修正案を踏まえて担当委員が作成した再修正案が提出され、それに基づいて意見交換を行った。次回は再度修正案が示される予定である。

4. データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議

フジテレビは、6月19日、昨年5月から今年5月まで14回にわたり合同で行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送を取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。
フジテレビの報告書によれば、調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの約12.9%に当たる1886サンプルについて、実際には電話をしていないのにもかかわらず、架電済のサンプルの属性と回答内容の一部を変えた架空データを作成したとしている。フジテレビは架空のデータを含む誤った世論調査結果を放送していた。
8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたこと、当該局が架空データの作成が行われた調査会社への再委託の経緯自体を把握していなかったなどのチェック体制の不備等を踏まえ、上記の合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会では、報告書と、9月末から10月初旬にかけて当該局の関係者に対して実施したヒアリングに基づき担当委員が作成した意見書の原案が示され、意見交換を行った。次回は修正案が提出される予定である。

以上