放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第285回

第285回 – 2020年10月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」審理開始…など

議事の詳細

日時
2020年10月20日(火)午後4時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」事案、審理

今事案の対象となったのは、札幌テレビが2019年4月26日の『どさんこワイド179』内のニュースで、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」に基づいて一時金の申請を行った男性に関する報道で、男性が自宅で申請書類に記入をし、北海道庁で申請手続きをする様子等の場面を放送した。この放送に対して取材された男性が、記者が申請のための請求書を取り寄せ、必要な書類の準備を指示するなど、「一時金申請を希望していなかったのに、記者が申請するよう働きかけた」と主張して、放送内容の訂正と謝罪を求めて申立書を提出した。これに対して札幌テレビは、記者との信頼関係があったからこそ可能となった取材であり、「検証の結果、報道の内容は公正で、取材手続きも適正である」と反論している。
今委員会では、担当委員から決定文の修正案が示され、前回委員会で指摘のあった取材する側と取材される側の関係について更に議論が交わされた。そのうえで委員会は決定を了承し、次回委員会までに通知公表を行うことになった。
今事案は、第276回委員会で審理入りを決め審理を進めてきたが、新型コロナウイルス対策によって審理に遅延があった。

2.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019 - 2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、社内調査によって「人権侵害は認められない」と反論している。委員会は、第284回委員会で、運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして審理入りの要件を満たしていると判断し、審理を始めることを決めた。今委員会では、これまでに双方から提出されている書面を基に、論点の整理を始め、それに伴い審理を進めるうえで必要な資料の提出を当該局に求めることを決めた。今後、所定の書面がすべて整ったあと、委員会で論点を絞り込む予定。

3. その他

  • 委員会決定第74号「大縄跳び禁止報道に対する申立て」に関して、10月14日に行った通知公表について報告があった。

  • 申立て状況について事務局から報告があり、委員の間で意見が交わされた。

以上