放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第284回

第284回 – 2020年9月

「大縄跳び禁止報道に対する申立て」委員会決定を通知・公表へ

議事の詳細

日時
2020年9月15日(火)午後3時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」事案、審理

今事案の対象となったのは、札幌テレビが2019年4月26日の『どさんこワイド179』内のニュースで、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金支給等に関する法律」に基づいて一時金の申請を行った男性に関する報道で、男性が自宅で申請書類に記入をし、北海道庁で申請手続きをする様子等の場面を放送した。この放送に対して取材された男性が、記者が申請のための請求書を取り寄せ、必要な書類の準備を指示するなど、「一時金申請を希望していなかったのに、記者が申請するよう働きかけた」と主張して、放送内容の訂正と謝罪を求めて申立書を提出した。これに対して札幌テレビは、記者との信頼関係があったからこそ可能となった取材であり、「検証の結果、報道の内容は公正で、取材手続きも適正である」と反論している。
前委員会でのヒアリングを受けて、今委員会では担当委員から決定文の原案が示された。委員の間で意見交換が行なわれ、大きな方向性についての異論はなかったが、取材する側と取材される側の関係についてどう表現するかなどの意見が交わされた。これを受けて、次回委員会までに担当委員の間でさらに検討を加えることになった。

2.「大縄跳び禁止報道に対する申立て」事案、審理

フジテレビは2019年8月30日の『とくダネ!』で、都内の公園で大縄跳びが禁止された話題を放送した。放送は、近所の進学塾の生徒たちが大縄跳びをしながら声を出して歴史を覚えていることに、周辺住民から苦情が出て、行政が規制したことを紹介したもので、周辺住民のインタビューが流された。
そのインタビューに答えた女性が、突然マイクを向けられ一度も見たことがないのに誘導尋問され、勝手に放送に使われたとして、フジテレビに対して「捏造に対する謝罪と意見の撤回」を求めて申立書を提出した。これに対してフジテレビは、インタビュー内容を加工せずそのまま放送しており、「捏造には該当しない」などと反論している。
委員会では、担当委員から決定文の修正案が示され、委員の間で意見交換を行った。その結果、決定内容について大筋で合意され、細かな文言の修正について委員長一任とし、次回委員会までに通知公表を行うことが決まった。

3. 審理要請案件「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」審理入り決定

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019 - 2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘は番組内の「過剰な演出」がきっかけで、SNS上に批判が殺到し「自らの命を絶った」と訴え、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、社内調査を基に「人権侵害は認められない」と反論している。委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理入りの要件を満たしていると判断し、審理を始めることを決めた。(詳細;委員会トピックス9月15日参照)

4. その他

  • 今年度これまでの新規申立て状況を事務局から報告した。

以上