データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議入り
放送倫理検証委員会は8月7日、データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について、審議入りすることを決めた。
フジテレビと産経新聞は、6月19日、2019年5月から今年5月までの14回にわたり合同で行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送及び記事をすべて取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。
フジテレビの報告書によれば、調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの約17%に当たる約2,500サンプルについて、実際には電話をしていないにもかかわらず、架電済サンプルの属性と回答内容の一部を変えて架空データを作成しデータを作成していたとしている。
7月の委員会では、「社会の意見分布を知る一番の手掛かりは世論調査だ。不正な世論調査結果に基づいて18回ものニュースが放送されたことは、その時々の世論に影響を及ぼした可能性を否定できない」「世論調査は国民にとって重要な判断材料であり、不正の有無についてチェックされることなく放送されていたことは深刻な問題だ」「放送、新聞が行うすべての世論調査の信頼性を揺るがす由々しき事態だ」などの厳しい意見が相次ぎ、「民放連放送基準『(32)ニュースは事実に基づいて報道し公正でなければならない』に抵触する疑いがあるのではないか」との意見も出された。
委員会は、フジテレビに報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、局からの再発防止策についての追加報告を待ち、併せて管理体制、納品されたデータのチェック方法などについてさらに報告を求める必要があるとして、討議を継続。フジテレビから追加報告書が提出されたため、その報告書について意見交換した結果、放送倫理違反の疑いがあり、報道内容からして放送倫理違反の程度は軽いとは言えないとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。