放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会  決定の通知と公表の記者会見

2020年6月30日

琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、6月30日午後2時30分から、千代田放送会館7階の会館会議室で行われた。委員会からは神田安積委員長、鈴木嘉一委員長代行、西土彰一郎委員の3人が出席し、琉球朝日放送と北日本放送からは7人が出席した。
委員会決定について神田委員長はまず、両局の番組についていずれも放送倫理違反があったと判断したと述べた。琉球朝日放送の番組は、民放連の「留意事項」に盛り込まれた「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」に照らして総合的に判断すれば、視聴者に広告放送であると誤解を招くような内容・演出になっていたと認められるので、放送倫理違反があったと判断したと説明した。また、北日本放送の番組は、民放連放送基準の「(92)広告放送はコマーシャルによって、広告放送であることを明らかにしなければならない」や、民放連の「留意事項」に盛り込まれた「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」に照らして総合的に判断すれば、視聴者に広告放送であると誤解を招くような内容・演出になっていたと認められるので、放送倫理違反があったと判断したと説明した。
続いて鈴木委員長代行は「当該局による自主的・自律的な事後対応とその成果を期待している。正直、厳しい表現の下りもあるが、『自主・自律』を促すための苦言だと受け取っていただければありがたい」とコメントした。また西土委員は、番組と広告の境目を常に意識して番組を制作してほしい。そうした実践の積み重ねにより、自分のものにした留意事項、各局の実践的なルールこそが重要であると考えるとコメントした。
これに対して琉球朝日放送は、「放送倫理違反があったと判断されたことを何よりも重く受け止めている。今回の意見を踏まえて今後の番組作りに生かしていきたい」と述べた。北日本放送は、「委員会決定を本当に深く受け止めている。これからは考査体制を強化して、本当に視聴者から信頼される番組作りを、改めてどんな番組が信頼されるのかということを全社員で考えて、真摯に取り組んでいきたい」と述べた。
続いて、午後3時30分から千代田放送会館2階の大ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には50社67人が出席した。
はじめに神田委員長が、琉球朝日放送の番組は、番組の中身や表示の問題点から、視聴者が広告放送であるとの疑いや誤解を抱くのは無理もない。民放連の「留意事項」に照らして総合的に判断すれば、視聴者に広告放送であると誤解を招くような内容・演出になっていたと認められるという判断をした。北日本放送の番組は、北日本放送が自ら「中途半端なPR色」を認めるように、特に番組の後半部分は視聴者が広告放送であるとの疑いや誤解を抱くのは無理もない。民放連放送基準の92や民放連の「留意事項」に盛り込まれた特に留意すべき事項に照らして総合的に判断すれば、この番組も視聴者に広告放送であると誤解を招くような内容・演出になっていたと認められるという判断をしたと述べ、意見書の構成に沿ってその概要を説明した。
続いて鈴木委員長代行は「広告をめぐる意見書は2件目だ。意見書は通常、当該局に向けてものを言うものだが、今回は『民放連や民放各局の自主的・自律的な精神と姿勢で検討されるよう望みたい』と民放連を名指しして対応を促している。我々のメッセージがそこに込められていることを読みとっていただけるとありがたい」と述べた。また西土委員は、営業、編成、様々な職責の方がコミュニケーションをとって実践していく中でルールが具体的に決まってくるものだと思う。そういう観点から意見書を執筆したと述べた。

記者会見での主な質疑応答は以下のとおりである。

Q: 意見書には放送法第12条が出てこない。民放連放送基準で言及できるので、12条を持ち出すまでもないということか。
A: 当委員会は放送倫理に照らして倫理違反があるのかを判断する機関であることを踏まえ、放送倫理違反に関する判断をすることをもって必要十分であると考えている。(神田委員長)
   
Q: 琉球朝日放送の番組がセブンの提供でないことは、いつ分かったのか。また、番組は局の自主制作か。
A: 1月のヒアリング時に分かった。ビックリした。番組は琉球朝日放送の自主制作だ。
(鈴木委員長代行)
   
Q: セブン出店で沖縄ではお祭り騒ぎになったことは1つの情報であり、ニュースだと思う。PR色と情報性は表裏一体だと思うが。
A: 民放連の「留意事項」において、番組で特定の商品・サービスを取り扱うことは、視聴者に対して具体的で有益な情報提供となることが指摘されている。当委員会においても、その意義を損なうことのないよう十分に意識して議論、判断をしている。同時に、番組で取り上げた情報が広告放送であるとの誤解や疑念を持たれることは、民放の信頼やメディア価値の根幹にも関わることとなるとの指摘もされているところであり、その「境目」の判断については、「留意事項」に書かれているとおり、3つの視点はあくまで例示であり、総合的に判断する必要があると考えている。ご質問の点については、本件においてその点だけを踏まえて判断したものではなく、番組全体について総合的に判断したものであるが、その判断に関しては詳細な記載は控えている。詳細に記載するときは、個別事案を離れて基準であるかのような誤解を与え、かえってその意義を損なう可能性があると考えている。民放連放送基準審議会においても、「演出や構成などには大いに工夫の余地があるのではないでしょうか」と呼びかけている。私たちも各局に「大いに工夫の余地がある」ことを狭めることがないようにしたいと考えており、意見書にも記載したとおり、各局に自主的・自律的に検討していただきたい。(神田委員長)
   
Q: 広告会社の方がプロデューサーとして表示されていたことについて、委員会はどんな議論をしたのか。
A: その部分は倫理違反の判断とは直接関係ないが、表示は正確であってほしい。(鈴木委員長代行)

以上