第149回–2020年6月
生き物を捕獲する企画で事前に動物を用意していたTBSテレビ『クレイジージャーニー』を審議
第149回放送倫理検証委員会は6月12日にオンライン会議システムを使用して開催された。
バラエティー番組の生き物を捕獲する企画で事前に動物を用意する不適切な演出を行ったとして審議中のTBSテレビのバラエティー番組『クレイジージャーニー』について、担当委員から意見書の修正案が提出された。意見交換の結果、大筋で了解が得られたため、7月にも当該放送局への通知と公表を行うことになった。
スーパーマーケットで偶然出会ったように放送した買い物客が取材ディレクターの知人という不適切な演出をしたとして審議中のテレビ朝日のニュース番組「スーパーJチャンネル」について、担当委員から意見書の再修正案が提出され、意見交換が行われた。
出場者の人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させ、前回審議入りしたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、当該放送局の関係者に対して実施する予定のヒアリングの準備状況が報告された。
秋田放送又は山口放送がそれぞれ制作した弁護士法人一社提供のローカル単発番組を購入して放送した複数の局から提出された報告書を踏まえて引き続き討議を行ったが、当該他の局とは別に、同じ法人が提供する番組を複数の局が制作・放送し又は番組を購入して放送していることがわかったため、それらの放送局からも順次報告を求めることとし、討議を継続することとした。
議事の詳細
- 日時
- 2020年6月12日(金)午後2時~午後5時40分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)を中心にオンライン会議システムを使用して開催
- 議題
- 1. バラエティー番組の生き物を捕獲する企画で事前に動物を用意していたTBSテレビ『クレイジージャーニー』について審議
2. スーパーマーケットで偶然出会ったように放送した買い物客が取材ディレクターの知人だったテレビ朝日の報道番組『スーパーJチャンネル』について審議
3. 解答権のないエキストラで欠員補填していたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について審議
4. 番組が視聴者に広告放送と誤解される疑いのある内容だった①秋田放送が制作放送した『そこが知りたい!過払い金Q&A』、②山口放送が制作放送した『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!』③山口放送が制作放送し、また秋田放送が放送した『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!PART2』について討議 - 出席者
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神田委員長、鈴木委員長代行、升味委員長代行、大石委員、岸本委員、高田委員、長嶋委員、中野委員、西土委員、巻委員
1. バラエティー番組の生き物を捕獲する企画で事前に動物を用意していたTBSテレビ『クレイジージャーニー』について審議
TBSテレビは2019年8月14日に放送したバラエティー番組『クレイジージャーニー』で、海外に生息する珍しい動物を捕獲する企画を放送した際、番組スタッフが事前に準備した動物を、あたかもその場で発見して捕獲したかのように見せる不適切な演出を行ったと発表した。
11月の委員会で、民放連放送基準に抵触している疑いがあり、制作過程を検証してこの内容が放送されるに至った経緯を解明する必要があるとして審議入りした。
この日の委員会では、担当委員から示された意見書の修正案について意見交換が行われ、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、7月にも当該放送局へ通知して公表することになった。
2. スーパーマーケットで偶然出会ったように放送した買い物客が取材ディレクターの知人だった『スーパーJチャンネル』について審議
テレビ朝日は2019年3月15日、ニュース番組「スーパーJチャンネル」で、スーパーの買い物客に密着する企画を放送したが、この企画に登場した主要な客4人が取材ディレクターの知人だったとして、記者会見を開き謝罪した。
11月の委員会で、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯を詳しく検証する必要があるとして審議入りした。
今回の委員会では、担当委員から意見書のさらなる修正案が示されて意見交換が行われたが、次回も引き続き審議することになった。
3. 解答権のないエキストラで欠員補填していたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』を審議
フジテレビは4月3日、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」として、番組ホームページ上で事実関係を公表するとともに謝罪した。
前回の委員会において、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めたが、今回の委員会では当該放送局の関係者に対して実施する予定のヒアリングの準備状況が報告された。
4. 視聴者に広告放送と誤解される疑いのある内容だった秋田放送と山口放送のローカル単発番組を討議
秋田放送は2019年10月26日に『そこが知りたい!過払い金Q&A』と題した30分のローカル単発番組を制作放送した。その内容は、ある弁護士法人が扱った過払い金などの借金問題の事例に法人の代表がクイズやQ&Aの形式で解説を加えるものであり、番組内において法人の料金体系の説明や県内で開催される無料法律相談の告知もされている。なお、提供は同法人であり、法律相談会の告知CMも放送されている。この番組を見た視聴者から「CMの延長のような番組作りは許されるのか」という意見がBPOに寄せられ、併せて「山口県で放送されたものと同じ内容の番組も1週間前に流している」との指摘もなされた。秋田放送は同年10月19日には、山口放送が制作した『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!PART2』を番組販売で購入し放送していた。
山口放送は、『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!』を2018年6月2日などに、また、『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!PART2』を2019年5月25日などに制作放送していた。
委員会は5月、両局から提出された報告書を基に討議し、いずれの番組も、取り上げている特定法人の事業の紹介が広告放送であると誤解されかねない内容になっており、放送倫理違反の疑いがあるのではないかといった意見が多く出されたが、上記番組のうち他の複数の放送局に番組販売され放送されている番組があることがわかったため、それらの放送局からも報告書の提出を求めることとして、討議を継続していた。
今回の委員会では、上記の番組のいずれかを購入して放送した他の放送局から提出された報告書も踏まえて引き続き討議したが、当該他の局とは別に、同じ法人が提供する番組を複数の局が制作・放送し又は番組を購入して放送していることがわかったため、それらの放送局からも順次報告を求めることとし、討議を継続することとした。
以上