放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会  決定の通知と公表の記者会見

2020年3月31日

NHK国際放送『Inside Lens』「レンタル家族」企画に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、3月31日午後1時30分から、千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。委員会からは神田安積委員長、升味佐江子委員長代行の2人が出席し、NHKからは国際放送局長ら2人が出席した。
委員会決定について神田委員長は、「NHKと日本民間放送連盟が1996年に定めた放送倫理基本綱領、また、NHKの『放送ガイドライン』に照らした適正な考査を行わなかったことを含め、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断した」と述べた。続いて升味委員長代行が、「NEP(NHKエンタープライズ)による試写はプロデューサー1人だけ。できれば、NHK本体としても考査の役割を果たすために最終的に番組内容を検討する機会を意識してもつことが、今後、このようなつまずきにつながらない方法かと思う」とコメントした。これに対してNHKは、「再発防止はもとより、国際放送はこれからも放送法、放送番組基準、NHKの『放送ガイドライン』にきちんと従っていく形で、ますます視聴者のみなさまに資するチャンネルとして力を入れていきたい。今回のことを糧にして、これからも頑張っていきたい」と述べた。
続いて、午後2時30分から都市センターホテル会議室で記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には19社30人が出席した。
はじめに神田委員長が、「自主制作か外部への委託制作か、持ち込み番組かを問わず、放送局は全ての番組について放送責任を負い、その内容は放送倫理にかなったものでなければならない。NHKが適正な考査を行わなかったことを含め、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断した」と述べ、意見書の構成に沿って説明を加えた。続いて升味委員長代行が、「テレビ局についての信頼は、事実が正しいことが大前提だ。事実の正しさを確認することは、地味で単純な作業だと思うが、それが大切である。それから、試写や考査で疑問が生じた時には、中途でうやむやにせず、結末まで原因を追究する必要性を再確認する機会にしていただければありがたい」と述べた。

記者会見での主な質疑応答は以下のとおりである。

Q: 「事実確認の基本的作業なし、誤認の連続」とのこと。ディレクター、カメラマン、音声マンの3人とも本当に誤認だったのか。つまり、どこかで気付いていたのではないかという議論、3委員の間であったのか。
A: カメラマン、音声マンは日本人ではない。不信は感じなかったと言っている。ディレクターは、その場で全く疑問を感じなかったと答えている。1点あるとすれば、「彼女をレンタルする20代男性」の取材している場面。彼女をレンタルする動機が、女性と話すのが苦手だからという割に、非常にこなれた感じで最初から彼女に接していることについて、「あれっ」と思ったことはあったようだ。しかし、自ら納得してしまったところがある。若い人はこんなものなのかということと、前に同じ女性をレンタルしたことがあったので、2度目ならこういうものなのかなと納得してしまった。ディレクターの説明によると、1つずつ多少の疑問はあったけれども、自分の中で納得してしまっているうちに終わってしまったようだ。(升味委員長代行)
   
Q: 音声マンとカメラマンが日本人ではないとことだが、日本語はよく理解できないような方だったのか。
A: 完ぺきではないと思うが、外国から呼んだわけではないようだ。日本にいるスタッフ。(升味委員長代行)
   
Q: この審議が行われている途中で、NHKの朝の番組でシューズレンタルの話があった。事後のブリーフィングで、その件は取り上げないということだったので、今日の意見書の中に取り上げているのかなと注目していた。記載すべきだという議論はなかったのか。
A: NHKの『おはよう日本』についての質問かと思う。『おはよう日本』については、審議に至らずという結論となった。ただし、討議に付し、その中での委員の議論状況は委員会のHPで開示した。委員会の問題意識を必要十分に開示したということを踏まえて、本意見書に重ねて指摘することは結論として控えた。(神田委員長)

以上