放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第147回

第147回–2020年3月

北海道放送『今日ドキッ!』について審議 4月に委員会決定を通知・公表へ

第147回放送倫理検証委員会は3月13日に開催された。
委員会が昨年12月10日に通知・公表した読売テレビの『かんさい情報ネットten.』「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」に関する意見について、当該放送局から委員会に対し、再発防止に向けての取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、意見書で指摘した課題に対し適切な対応が行われているとして、了承し公表することにした。
参議院比例代表選挙に立候補を予定していた特定の候補者を公示前日に紹介する内容を放送し審議中の北海道放送のローカル情報番組『今日ドキッ!』について、担当委員から意見書の再々修正案が提出された。意見交換の結果、大筋で了解が得られたため、4月に当該放送局への通知と公表の記者会見を行うことになった。
スーパーの買い物客に密着する企画で登場した人物が取材ディレクターの知人という不適切な演出を行ったとして審議中のテレビ朝日のニュース番組「スーパーJチャンネル」について、担当委員から意見書の修正案が提出され、意見交換が行われた。
海外に生息する珍しい動物を捕獲する企画で不適切な演出を行ったとして審議中のTBSテレビのバラエティー番組『クレイジージャーニー』について、担当委員から意見書の再修正案が提出され、意見交換が行われた。
番組で取り上げている特定企業の紹介が広告放送であると誤解されかねない内容になっているのではないか、民放連の放送基準等に照らして検証が必要だとして審議中の琉球朝日放送と北日本放送の2つのローカル単発番組について、担当委員から意見書の原案が示された。

1. 読売テレビ『かんさい情報ネットten.』「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」に関する意見への対応報告を了承

昨年12月10日に通知・公表した、読売テレビのローカルニュース番組『かんさい情報ネットten.』「迷ってナンボ!大阪・夜の十三」に関する意見(委員会決定第31号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。報告書には、再発防止に向けて「人権研修会」を新設したことやBPO委員を招いて実施した勉強会の様子、その後の全社的な意識の変化についてなどが詳細に記されている。委員からは「番組のコンテンツ力やテレビのブランド価値を高める『攻めのコンプライアンス』ができればと思うというアンケートの感想に、前向きな姿勢であるとの印象を受けた」「良い番組づくりにはお金と人が必要だなどとする勉強会での社長の決意表明に感銘を受けた」「再発防止を図る取り組みや今後の改革に期待する」といった感想が述べられ、意見書で指摘した課題に対し適切な対応が行われているとして、当該報告を了承し公表することにした。(委員会決定など2019年度 参照)

2. 参議院比例代表選挙に立候補を予定していた特定の政治家に取材し、公示前日に放送した北海道放送のローカル情報番組『今日ドキッ!』について審議、4月に通知・公表へ

北海道放送は参議院選挙公示前日の2019年7月3日、夕方のローカル情報番組『今日ドキッ!』で、比例代表に立候補を予定していた特定の政治家に密着取材した様子を放送した。委員会は9月、比例代表制度では自分の住む都道府県に関わりなく立候補者や政党・政治団体に投票できるにもかかわらず、本来の選挙区の区切りとは異なった報道を行うことで有権者の投票行動をゆがめたのではないか、また特定候補者だけを取り上げ他の比例代表候補者や政党を報道しなかったことは選挙の公平・公正性を害しており放送倫理違反となる可能性があるとして、放送に至った経緯等を検証するために審議入りし、議論を重ねてきた。今回の委員会では、担当委員から示された意見書の再々修正案について意見交換が行われ、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、4月に当該放送局へ通知して公表の記者会見を行うことになった。

3. スーパーの買い物客密着企画で不適切な演出を行った『スーパーJチャンネル』について審議

テレビ朝日は2019年3月15日、ニュース番組「スーパーJチャンネル」で、スーパーの買い物客に密着する企画を放送したが、この企画に登場した主要な客4人が取材ディレクターの知人だったとして、記者会見を開き謝罪した。11月の委員会で、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯を詳しく検証する必要があるとして審議入りした。今回の委員会では、担当委員から意見書の修正案が示され、意見交換が行われた。

4. 海外に生息する珍しい動物を捕獲する番組企画で不適切な演出を行ったTBSテレビ『クレイジージャーニー』について審議

TBSテレビは2019年8月14日に放送したバラエティー番組『クレイジージャーニー』で、海外に生息する珍しい動物を捕獲する企画を放送した際、番組スタッフが事前に準備した動物を、あたかもその場で発見して捕獲したかのように見せる不適切な演出を行ったと発表した。11月の委員会で、民放連放送基準に抵触している疑いがあり、制作過程を検証してこの内容が放送されるに至った経緯を解明する必要があるとして審議入りした。今回の委員会では、担当委員から意見書の再修正案が提出され、意見交換が行われた。

5. 放送か広告か曖昧だと指摘された琉球朝日放送と北日本放送のローカル単発番組について審議

琉球朝日放送が2019年9月21日に放送した『島に“セブン-イレブン”がやってきた~沖縄進出の軌跡と挑戦~』と、北日本放送が同年10月13日に放送した『人生100年時代を楽しもう! 自分に合った資産形成を考える』という2つのローカル単発番組について、民放連放送基準の広告の取り扱い規定(第92、第93)や2017年に民放連が出した「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」などに照らすと、それぞれの番組で取り上げている事業の紹介が広告放送であると誤解されかねない内容になっており、放送倫理違反の疑いが大きいのではないかとして、昨年12月の委員会で審議入りした。この日の委員会では、意見書の原案が示された。次回委員会には、意見書の修正案が提出される予定である。

以上