放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第279回

第279回 – 2020年3月

「訴訟報道に関する元市議からの申立て」を審理
委員会決定を4月に通知・公表へ…など

議事の詳細

日時
2020年3月17日(火)午後4時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、松田委員、水野委員

1.「オウム事件死刑執行特番に対する申立て」事案の審理

フジテレビは、2018年7月6日、オウム真理の松本智津夫元死刑囚らの死刑執行について特別番組で報じた。これに対し松本元死刑囚の三女である松本麗華氏が、死刑執行をショーのように扱っており、父親の死が利用されて名誉感情を傷つけられたなどと申し立てた。
フジテレビは、生放送の制約の中で複数の執行情報等を分かりやすく伝えたもので、人権侵害には当たらないなどと反論している。
今委員会では、担当委員から決定文の草案が提出されて意見交換を行った。これらの意見を踏まえて修正案を作成し、次回委員会で引き続き検討することとした。

2.「訴訟報道に関する元市議からの申立て」事案の審理

本事案は、テレビ埼玉が19年4月11日の『NEWS545』で放送した損害賠償訴訟のニュースを巡り元市議が申し立てたもの。元市議は、自分が起こした裁判なのに自分がセクハラで訴えられたかのような「ニュースのタイトル」と、「議員辞職が第三者委員会のセクハラ認定のあとであるかのような表現」によって名誉が傷つけられた。また「次の市議会議員選挙に立候補予定」と伝えたことは選挙妨害であると主張した。これに対しテレビ埼玉は、放送では「元市議が被害を訴えた職員を相手取った裁判」と正確に表現しており、全体をみれば誤解を招くような内容ではなく、名誉毀損や選挙妨害には当たらず、放送倫理上問題となるものではないと反論している。テレビ埼玉は、申立人との交渉のなかで「言葉の順番が違うことだけを見れば、誤解を招きかねない懸念が残る」ことは事実として、同日夜のニュースで言葉を修正した放送を行い、また市議会選挙直後の4月22日の『NEWS545』でお詫びと訂正を行った。
今委員会では、前回審理を受けて修正された決定文案を委員長が説明し、続けて文全体の詳細な確認が行われた。同時に委員の意見交換も行われ、若干の修正を加えたうえで、決定内容は委員会で承認され、4月に通知・公表することになった。

3.「一時金申請に関する取材・報道に関する申立て」事案の審理

札幌テレビは、2019年4月26日の『どさんこワイド179』内のニュースで、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金支給等に関する法律」に基づいて一時金の申請を行った男性について報道した。番組では、男性が家で申請書類を記入し、北海道庁での申請手続きをする様子などを放送した。この放送に対して取材の対象となった男性が、記者が申請のための請求書を取り寄せ、必要な書類の準備を指示したうえ、「申請に行きましょう」などと説明し、「一時金申請を希望していなかった申立人に対して、申請するよう働きかけた」と主張して、放送内容の訂正と謝罪を求めて申立書を提出した。
これに対して札幌テレビは、記者との信頼関係があったからこそ取材が可能となったものであり、「検証の結果、報道の内容は公正で、取材手続きも適正である」と反論している。
今委員会では、ヒアリング開催に向けて手続きを進める方針が確認され、起草担当委員が論点と質問項目の検討に入ることになった。ただ、実施時期については、新型コロナウイルスの感染拡大という状況を見極めながら決めることとなった。

4.「大縄跳び禁止報道に対する申立て」事案の審理

必要な書面を待っている状態のため実質的な審理は行われなかった。
フジテレビは2019年8月30日の『とくダネ!』で、都内の公園で大縄跳びが禁止された話題を放送した。放送は、近所の進学塾の生徒たちが大縄跳びをしながら声を出して歴史を覚えていることに、周辺住民から苦情が出て、行政が規制を始めたことを紹介したもので、番組では、周辺住民のインタビューが流された。
この放送でインタビューに答えた女性から、突然マイクを向けられ質問された、一度も目撃したことがなく理解に苦しむ内容なのに、誘導尋問され、勝手に放送に使われたとして、フジテレビに対して「捏造に対する謝罪と意見の撤回」を求めて申立書を提出した。
これに対してフジテレビは、インタビュー内容を加工せずそのまま放送しており「捏造には該当しない」などと反論している。

5. その他

  • 運営規則改正について報告
    改正が理事会で承認されたことを受け、改正内容の送付による会員社への通知、ウェブサイト掲載による告知を経て、4月1日から施行することが報告された。

  • 新型コロナウイルスに関連した報告
    新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、事務局の対応や委員会運営上の留意点等、事務局より説明があった。

以上