第275回 – 2019年11月
「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」事案の審理…など
議事の詳細
- 日時
- 2019年11月19日(火)午後4時~9時
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 1. 「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」事案の審理
2. 「訴訟報道に関する元市議からの申立て」事案の審理
3. 「オウム事件死刑執行特番に対する申立て」事案の審理
4. その他 - 出席者
- 奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員
1.「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」事案の審理
テレビ東京は2018年5月16日午後のニュース番組『ゆうがたサテライト』で、「教祖を失う可能性に揺らぐ教団の実態」としてオウム真理教の後継団体であるアレフを特集した。アレフ札幌道場前での申立人と取材記者とのやり取りを紹介した際、申立人の顔にボカシをかけたが、音声の一部は加工されないまま放送された。
アレフ会員である申立人は、肖像権とプライバシーの侵害を訴え、テレビ東京に対し謝罪と映像の消去などを求めて、BPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対しテレビ東京は、「アレフは団体規制法に基づく観察処分の対象であり、報道には公益性がある」と主張。プライバシー保護については「必要かつ十分な配慮を行った」とした上で、音声の一部が加工されないまま放送された点について「編集作業上のミスで反省している。放送後速やかに社内ルールを見直し、再発防止に努めている」としている。
今委員会では、起草担当の委員から提出された委員会決定の草案について審理を行った。はじめに、起草担当委員が決定案の構成等について説明し、申立人が訴えるプライバシー権、肖像権の侵害に関する評価、取材・編集方法に放送倫理上の問題があったか等、意見が交わされた。今回の議論を基に決定文の修正を行い、次回委員会で引き続き審理することになった。
2.「訴訟報道に関する元市議からの申立て」事案の審理
テレビ埼玉は、2019年4月11日の『News545』の中で損害賠償訴訟のニュースを放送した。この放送に対して元市議から申立てがあった。元市議は、放送の中で「自分が起こした裁判であるのに、自分がセクハラで訴えられたかのようなニュースのタイトル」と、「議員辞職が第三者委員会のセクハラ認定のあとであるかのような表現」によって名誉が傷つけられたと申し立てた。また「次の市議会議員選挙に立候補予定」と伝えたことは選挙妨害であると主張している。
これに対しテレビ埼玉は、ニュースの中では「元市議が被害を訴えた職員を相手取った裁判」と正確に表現しており、全体をみれば誤解を招くような内容ではなく、名誉毀損や選挙妨害には当たらず、放送倫理上問題もないと反論している。またテレビ埼玉は、申立人との交渉のなかで「言葉の順番が違うことだけを見れば、誤解を招きかねない懸念が残る」ことを認め、当該放送日の夜のニュースで言葉を修正した放送を行ったほか、市議会選挙直後の4月22日の『News545』の中でお詫びと訂正を行っている。
今委員会では論点整理が行われ、また、申立人、被申立人に対するヒアリングにおいて、それぞれに尋ねる質問項目を決めた。ヒアリングは、次回12月の委員会で行う予定。
3.「オウム事件死刑執行特番に対する申立て」事案の審理
フジテレビが去年7月、オウム真理教の松本智津夫死刑囚らの死刑執行を報じた特別番組について、松本元死刑囚の三女である松本麗華氏が、死刑執行をショーのように扱い、父親の死が利用されたことで遺族としての名誉感情を傷つけられたなどと申し立てた。
フジテレビは、速報情報を扱う生放送の時間的、技術的制約の中で、複数の死刑囚の執行情報を分かりやすく伝えたもので、その方法には必要性、相当性があり、申立人の権利を侵害していないなどと反論している。委員会は、前回、審理入りを決めた。
今委員会では、書面が出そろっていないことから、論点として検討すべきポイントや今後の議論の進め方について意見交換を行った。
4. その他
- 申立てについて事務局より報告し、意見が交わされた。
- 委員会運営について意見交換を行った。
- 次回委員会は12月17日に開かれる。
以上