放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第143回

第143回–2019年11月

読売テレビ『かんさい情報ネットten.』委員会決定を通知・公表へ

第143回放送倫理検証委員会は11月8日に開催された。
出演者の不適切な差別的発言を放送し審議中の関西テレビの『胸いっぱいサミット!』について、担当委員から意見書の修正案が示された。次回委員会には意見書の再修正案が提出される予定である。
街頭取材で、取材協力者の性別を執拗に確認する内容を放送し審議中の読売テレビのローカルニュース『かんさい情報ネットten.』について、担当委員から意見書の再修正案が示された。意見交換の結果、大筋で合意が得られたため、12月上旬に当該放送局への通知と公表の記者会見を行うこととなった。
参議院比例代表選挙に立候補を予定していた特定の候補者を公示前日に紹介する内容を放送し審議中の北海道放送の『今日ドキッ!』について、当該放送局の番組関係者に対して行われたヒアリングの概要が担当委員から報告され、意見書の骨子案が示され、意見交換を行った。次回委員会には、意見書の原案が示される予定である。
仮の家族や恋人などをレンタルするサービスを描いた番組で、利用客が会社関係者でないことの確認が適切に行われなかったことなどについて検証する必要があるとして審議中のNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』について、担当委員から意見書の骨子案が示され、意見交換を行った。
少年野球のピッチャーの投球などスポーツ映像の早回し加工が行われ審議中のTBSテレビの『消えた天才』について、当該放送局の番組関係者に対して行われたヒアリングの概要が担当委員から報告され、意見書の骨子案が示され、意見交換を行った。
海外に生息する珍しい動物を捕獲する番組を放送した際、事前に準備した動物をその場で発見し捕獲したように見せる演出を行ったTBSテレビの『クレイジージャーニー』について、当該放送局から追加の報告書が提出され討議した結果、番組内容が民放連放送基準に抵触している疑いがあるとして審議入りすることを決めた。
スーパーマーケットの買い物客に密着する企画で、ディレクターの知人を客として登場させた内容を放送したテレビ朝日の報道番組「スーパーJチャンネル」について、当該局から提出された同録DVDや報告書などを基に討議した。その結果、番組内容が放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯を解明する必要があるとして審議入りすることを決めた。

1. 出演者の不適切な差別的発言を放送した関西テレビ『胸いっぱいサミット!』について審議

関西テレビが4月6日と5月18日に放送した情報バラエティー番組『胸いっぱいサミット!』の中で、コメンテーターとして出演した作家が、韓国人の気質について「手首切るブスみたいなもんなんですよ」と発言した。この発言について、当該放送局は、4月の放送前に制作や考査の責任者らが検討し、「国の外交姿勢を擬人化したもので、民族・人種への言及ではない」と判断して放送したとしていたが、6月になって、視聴者への配慮が足りず心情を傷つける可能性のある表現で、そのまま放送した判断は誤りだったと謝罪した。
委員会は7月、人種や性別などによって取り扱いを差別しないなどとしている民放連の放送基準に照らし、収録番組であるにもかかわらず適切な編集が行われずに放送されたうえ、放送後にお詫びに至った経緯について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
この日の委員会では、担当委員から意見書の修正案が示され、それを基に意見交換した。次回委員会には、意見書の再修正案が示される予定である。

2. 人権にかかわる不適切な取材と内容を放送した読売テレビの『かんさい情報ネットten.』の審議 12月上旬、通知公表へ

読売テレビは、5月10日夕方のローカルニュース『かんさい情報ネットten.』のコーナー企画の中で、取材協力者に対して性別を執拗に確認する内容を放送した。ロケのVTR終了後、スタジオで見ていたレギュラー出演の男性コメンテーターから厳しい叱責があったが、特に他の出演者からの反応はなく当該コーナーの放送は終わった。6月の委員会において、当該放送局の事後の自主・自律の迅速な対応は評価できるものの、なぜこの内容が放送されるに至ったかの経緯等を解明する必要があるとして審議入りした。
今回は、前回の意見書の原案に対する議論を受けて担当委員から示された再修正案の内容について意見交換が行われ、大筋で了解が得られたため、表現などについて一部手直しの上、12月上旬に当該放送局へ通知して公表の記者会見を行うこととなった。

3. 参議院比例代表選挙に立候補を予定していた特定の政治家に取材し、公示前日に放送した北海道放送のローカルワイド番組『今日ドキッ!』について審議

北海道放送が参議院選挙公示前日の7月3日、夕方のローカルワイド番組『今日ドキッ!』で、比例代表に立候補を予定していた特定の政治家に密着取材した様子を放送した。9月の委員会において、その他の比例代表の候補者や政党にはまったく言及しておらず、参議院比例代表選挙には制度上北海道という区切りを入れる余地がないので、北海道関係者だけを取り上げて放送することは、道内の有権者を当該候補者に誘導する効果を否定できないことからすれば、本番組の内容は他の候補者との間で公平・公正性を害し、放送倫理違反となる可能性があり、放送に至った経緯等について検証する必要があるとして審議入りした。
今回の委員会では、担当委員から、当該放送局の番組関係者に対して行われたヒアリングの概要が報告され、意見書の骨子案が示され、これを基に意見交換を行った。次回の委員会には、意見書の原案が示される予定である。

4. "レンタル家族"サービスの利用客として登場した人物がサービスを提供する会社のスタッフだったNHK国際放送『Inside Lens』について審議

2018年11月に放送されたNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』で、家族や恋人などのレンタルサービスを描いた企画「HAPPIER THAN REAL」について、NHKは5月29日、利用客として出演した男性ら3人がサービスを提供する会社のスタッフだったと発表した。番組の制作担当者は利用客の属性や依頼の経緯などを再三にわたり確認しようとしたが、見抜くことができず、結果的に事実と異なる内容を放送することになったという。
委員会は9月、利用客が会社関係者でないことの確認が適切に行われなかったことなどについて、制作担当者から直接話を聞くなど、放送に至るまでの経緯を検証する必要があるとして審議入りを決めた。
この日の委員会では、担当委員から、意見書の骨子案が示され、これを基に意見交換を行った。次回委員会には、意見書の原案が示される予定である。

5. 少年野球のピッチャーの投球などスポーツの映像を早回し加工したTBSテレビのドキュメントバラエティー番組『消えた天才』について審議

TBSテレビのドキュメントバラエティー番組『消えた天才』について、当該放送局から委員会に対し、8月11日の放送で、リトルリーグ全国大会で全打者三振の完全試合を達成した投手の試合映像を早回しして球速が速く見えるよう加工を行い、別の放送回でも、卓球とフィギュアスケート、サッカーの3件の映像について早回し加工を行っていたことが社内調査で判明したと報告があった。
9月の委員会で、スポーツ番組の根幹である実際の試合映像を加工したことは放送倫理上問題がある可能性があり、番組制作の経緯やどのようにチェックが行われたのかなどを検証する必要があるとして審議入りが決まった。
今回の委員会では、担当委員から、番組関係者に対して行ったヒアリングの概要が報告され、意見書の骨子案が示され、これを基に意見交換を行った。次回の委員会には意見書の原案が提出される予定である。

6. 生き物捕獲バラエティー番組で動物を事前に用意していたTBSテレビの『クレイジージャーニー』審議入り

TBSテレビは、2019年8月14日に放送したバラエティー番組『クレイジージャーニー』で、海外に生息する珍しい動物を捕獲する企画を放送した際、制作スタッフが事前に準備した動物を、あたかもその場で発見して捕獲したかのように見せる不適切な演出を行っていたと発表した。
当該放送局の報告書によれば、専門家が「爬虫類ハンター」としてメキシコを訪れ、珍しい爬虫類を発見・捕獲するという企画で、放送後、外部からの指摘を受け社内調査したところ、紹介した動物6種類のうち4種類が、事前に現地の協力者に依頼して捕獲し、生息地付近に放すなどしたものを使って撮影していたことがわかったという。また過去10回の「爬虫類ハンター」企画を調べた結果、計7回、11種類の生物が、事前に用意されたものであることがわかったという。
委員会は10月、当該放送局から提出された同録DVDや報告書を基に討議し、委員からは「民放連放送基準『(32)ニュースは事実に基づいて報道し公正でなければならない』に抵触する疑いがある」「事実を伝えていないという点で視聴者との約束に反している」など放送倫理違反の疑いがあるとの意見が出されたが、当該放送局によるメキシコなど現地協力者への調査が継続中であることから、討議を継続していた。
今回、当該放送局から調査結果をまとめた追加報告書が新たに提出され、これらを基に委員会で討議した結果、民放連放送基準に抵触している疑いがあることを踏まえ審議入りを決めた。

7. スーパーで偶然出会ったように放送した買い物客4人が取材ディレクターの知人だったテレビ朝日の『スーパーJチャンネル』審議入り

テレビ朝日は今年3月15日、報道番組「スーパーJチャンネル」で、スーパーマーケットの買い物客に密着する企画を放送したが、この企画に登場した主要な客4人が、取材ディレクターの知人だったとして、記者会見を開き謝罪した。
当該放送局から提出された報告書によると、当該企画は、業務用の食品などを扱うスーパーを紹介し、個人で利用する客の事情など生活の様子を描くもので、当該放送局の関連会社に派遣されたディレクターが単独でロケ取材を行っていたという。企画の主要なエピソードの中心人物である4人はこのディレクターの知人で、事前にロケのスケジュールなどを伝えていた。
委員会では、当該放送局から提出された同録DVDや報告書を基に討議として意見交換が行われ、委員からは「利害関係者を番組企画に登場させるなど、過失ではなく故意に行われた事案である可能性が大きく、放送倫理違反の疑いがある」などの意見が出され、放送に至った経緯を詳しく検証する必要があるとして、審議入りを決めた。

以上