視聴者からのご意見

2019年10月に視聴者から寄せられた意見

2019年10月に視聴者から寄せられた意見

東日本を中心に大きな被害をもたらした台風19号に関する報道への意見や、神戸市の小学校における教師間のいじめ問題を取りげた番組への意見など。

2019年10月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,350件で、先月と比較して10件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール73%、電話25%、FAX 1%、郵便 1%。
男女別は男性69%、女性30%、不明1%で、世代別では40歳代28%、30歳代24%、50歳代21%、60歳以上13%、20歳代12%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。10月の通知数は延べ724件【62局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、24件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

東日本を中心に大きな被害をもたらした台風19号に関する報道への意見が多く寄せられた。また、兵庫県神戸市の小学校における教師間のいじめ問題を取り上げた番組への意見も多く寄せられた。
ラジオに関する意見は47件、CMについては25件あった。

青少年に関する意見

10月中に青少年委員会に寄せられた意見は89件で、前月から18件減少した。
今月は「報道・情報」が33件、「表現・演出」が19件、「いじめ・虐待」が8件、「暴力・殺人・残虐」が7件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 台風19号関連のニュースが一日中流れていたが、取り上げられているのはほとんど首都圏ばかり。宮城県に住んでいるが、地元の情報は、画面の端に小さなテロップで流れるのみ。首都圏と、それ以外の地域の扱いの格差を感じてならない。台風が通過するまで安全に過ごすための情報が欲しいのだが、地元のテレビ局が県内の台風情報を流し始めたのは夜遅くなってから。その時点では風雨ともに最強レベルに達していた。首都圏の被害が大きかったことは理解できるが、ある程度時間が経過したなら、次に被害を受けそうな地域に焦点をしぼって、情報を提供してくれればと思った。

  • 千曲川の近くに住んでいる。長野県には民放が4局あるが、前日の夜は、普段通りバラエティー番組などを放送していた。一夜明けて、朝から台風情報を伝えていた局もあったが、首都圏の多摩川の様子が中心で、千曲川の水位についてはほとんど報じられなかった。テレビでやらないのであまり心配していなかったが、気になったので行政機関に電話で確認したところ、千曲川が氾濫しそうだと聞き、避難を始めた。せっかく県内に放送局があるのだから、災害時くらいはもっと地元に密着した情報を流すべきで、地方局の役割を果たしてほしかった。

【番組全般・その他】

  • 朝の番組で、台風19号におけるホームレス受け入れについて、東京23区に対し、「自主避難所の利用についての質問項目」と称し、アンケートを実施していた。台風による甚大な被害が出ている中、家屋を失い、避難を余儀なくされている人たちが大勢いる。職員がその対応に追われていることは分かりきっているはずなのに、なぜ、現場の人手をアンケートのために割くようなことをするのか。避難所で活動している職員の負担になっていることに気づいた方がいい。台風が通過してまだ日が浅い状況で、このような取材方法は控えるべきだと思う。

  • 朝の番組で、川崎市武蔵小杉の高層マンションを取り上げていた。台風により、停電や断水、トイレが使えないなどの被害が出ているのは、その中のごく一部の建物であるのに、"武蔵小杉のタワマン"という乱暴なくくりで語られるため、ここの高層マンションすべてが被害を受けた印象を与えている。建物の評判が悪くなれば資産価値が下がり、被害が軽微ですんだ大半の住民は、経済的損失という、必要のない損害を被ることになる。停電や断水をした建物もあるのは事実なので、それを伝えるのは仕方ないが、「被害が出ているのはその一部である」ことを明らかにして放送してもらいたい。

  • 防衛大臣の発言に対する報道は、あまりにもひどい。前後の脈絡からして失言でもないし、報道側の悪質な意図が読みとれる。千葉県に住んでいるが、大臣のツイートは、災害時に一番分かりやすく的確なものだった。このような報道に対して、大臣が謝罪せざるを得ない状況になったことは異常であると同時に、これを報じた番組は、報道の信憑性を大きく損なうことになったのではないかと思う。

  • 大阪のメロディーを特集した歌番組は、司会者も出演者も楽曲も文句なく、久しぶりに楽しい番組を見ることができた。台風被害のニュースなど、気持ちが沈みがちな昨今、心が洗われる思いがした。次回の放送を楽しみにしている。

  • 朝の番組で、"小物整理術"というコーナーがあったが、とても参考になりためになった。これからもがんばってほしい。

  • 神戸市の教師間いじめ問題が、連日くり返し報道されている。小学校の中で起きたことは犯罪であり、決して許されるものではない。しかし、いつの間にかその扱いが面白半分な内容になっている。同じ映像をくり返し流し、視聴者の興味をあおっているようにしか見えない。テレビ局のこのような姿勢が、この学校に通う子ども達の心をどのように傷つけ、学校、教師に対する不信感を必要以上に強めているかということを、よく考えてほしい。

  • 神戸市の教師間いじめ問題について。そもそも、いじめという表現を使うことに重大な問題がある。学校内での集団暴行や罵倒、恐喝などは明確な犯罪行為であり、被害者教師も訴訟の意思を示している。この状況をいじめという柔らかい表現に貶めることは、犯罪の矮小化に放送局各社が関与しているのと変わらない。児童や学生などの間で起きていた数々の事件も、いじめという名目で適当に濁されてきたが、成人間の問題でこのように扱うことが、未成年者に与える影響も懸念したい。犯罪が社会に矮小化されることが、成人の社会ですら発生するという、絶望的な認識を与えてしまいかねない。報道の役割は、社会問題の存在を明らかにし、問題意識を共有し、社会の意識を変えていく点にあるのではないか。犯罪を矮小化する手助けをメディアが率先して行うという、目を覆うような報道体制が改められることを望んでやまない。

青少年に関する意見

【「報道・情報」に関する意見】

  • ノーベル賞受賞者の報道で、他国の受賞者・研究についてほとんど報道されない。日本人受賞者についても研究内容よりプライベートについての報道が多い。日本人に限らずノーベル賞を受賞した研究内容を分かりやすく報道すべきではないか。将来を担う子どもたちに学問の素晴らしさ、楽しさを伝える良い機会なのだから。

  • 教師によるいじめの動画を放送しないでほしい。小学生が家にいてチャンネルを変える、テレビを消す対応をしている。ニュース内容だけでも衝撃的だったが、動画まで流されるようになり当該小学校の生徒、保護者の心情を考えるといたたまれない。

【「要望・提言」】

  • 東京オリンピックマラソン開催地変更の報道で、選手ファーストであるべきとしきりに言っているが、それだけでなくオリンピック精神も伝えるべきでないか。開催場所は問題でなく、メダルを取ることが目的でもなく、スポーツを通じて世界平和を目指すのが本来のオリンピック精神だということを子どもたちにも伝えてほしい。