放送倫理検証委員会

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2019年9月13日

TBSテレビ『消えた天才』審議入り

放送倫理検証委員会は9月13日の第141回委員会で、TBSテレビの『消えた天才』について、審議入りすることを決めた。
対象となったのは、TBSテレビが8月11日に放送した番組『消えた天才』2時間半スペシャル内「リトルリーグ全国大会で全打者三振の完全試合を達成した当時12歳の少年」の企画で、少年の試合映像を放送した際、映像を早回しすることで実際の投球よりも球速が速く見える加工を行っていた。
加工が行われたのは、放送した投球シーン全31球のうち7球で、投手がボールをリリースした瞬間からキャッチャーミットに収まるまでの約0.5秒間について、映像のスピードを実際よりも20パーセントから50パーセント程度速くしていた。
TBSテレビは、「アスリートの凄さを実際の映像で表現するという番組の根幹をなす部分を加工することは、番組としては絶対にあってはならない手法だと考えております」として9月5日、ホームページで「 取材に協力してくださったご本人及び関係者の方々、そして番組をご覧いただいた視聴者の皆様に深くお詫びいたします」と謝罪した。そのうえで、今回の事案を重く受け止め、調査が完了するまで「消えた天才」の放送を休止すると発表した。
また過去の放送で、同様の加工が行われていなかったかどうか調査を行った結果、8月11日放送分の他に3件あったことが確認されたとして、ホームページで内容を公表した。
委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、TBSテレビに対して報告書と同録DVDの提出を求めたうえで討議し、審議入りを決めた。
神田安積委員長は、「TBSテレビからお詫びも出ているし、映像を早回し加工して複数回、放送したという報告を受けている。そういった点が放送倫理違反にあたる可能性があるということで、審議入りした」とコメントしている。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。