青少年委員会

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2019年度 中高生モニター会議

2019年度「中高生モニター会議」

◆概要◆

8月3日、テレビ東京の協力のもと、今年度の「中高生モニター会議」を開催しました。中高生モニターにとってモニター会議は自分たちの意見を委員や放送局に直接伝える機会であり、また、放送局内を見学したり放送に関する討論をしたりすることでメディアリテラシーを涵養する場になっています。夏休みに開かれるようになって今年で3年目となりますが、任期半ばで委員と顔を合わせ、交流を深めることによって、その後、いっそう意義を感じながらモニター活動を行ってもらえればと考えます。

会議には、全国から中高生モニター26人が集まりました。テレビ東京からは『Youは何しに日本へ?』の村上徹夫チーフプロデューサー、牧佑馬ディレクター、清沢大地ディレクター、竹中哲カメラマン、通訳の斎藤美緒さんにディスカッションにご参加いただきました。また、オブザーバーとして前田琢総合編成局次長、ADの菱田将太さんと坂井勇貴さん、視聴者センターの原祐美子さんが加わってくださいました。BPOからは榊原洋一青少年委員会委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、吉永みち子委員が出席しました。

午前11時、テレビ東京に集合しオリエンテーションを終えたモニターと委員ら参加者は、テレビ東京社屋内のスタジオを見学しました。まずは第4副調整室。競馬中継準備前のこの部屋で、音声スタッフの説明を聞き、放送卓に座って効果音を出す体験をさせてもらいました。次に訪れたのは、若者向けバラエティ番組『青春高校3年C組』のイベントリハーサル中の第4スタジオ。そして最後に、『ワールドビジネスサテライト』など生放送のニュース番組に使われている第3スタジオを見学。モニターたちは興味津々といった様子でした。

その後昼食をすませ、会議室に戻って『Youは何しに日本へ?』をテーマにディスカッションを行いました。今回、進行は緑川由香副委員長が担当しました。まず、村上チーフプロデューサーから、『Youは何しに日本へ?』で大事にしているのは、番組名の通り、日本に来た外国人を空港で捕まえてインタビューし密着する「一点突破」であると教えていただきました。放送開始から7年間で、およそ20万人にインタビューしたこと、インタビューして実際に放送できるのは100人に1人であることなど、モニターも委員も熱心に耳を傾けていました。そして、実際に現場で取材にあたっている牧ディレクター、清沢ディレクター、竹中カメラマン、通訳の斎藤さんも議論に加わり、取材は1チーム3人(ディレクター、カメラマン、通訳)で動くこと、月曜日から金曜日まで毎日3チームが成田空港に張り付くことなどの取材・撮影にまつわる手法や撮影後の制作の流れを裏話を交えながらお聞かせいただきました。

モニターからは『Youは何しに日本へ?』について、「外国人に声をかける時に基準はあるか」や「取材現場を過酷だと感じたことはあるか」などの質問が出るとともに、「番組を見ることで日本のよさを再認識できた」などの感想の声が上がりました。

後半は、『2025年にヒットするテレビ番組はこれだ!』をテーマに、モニターと委員が4班に分かれて話し合うグループワークでした。モニターたちはそれぞれ、テクノロジーがますます進化してテレビを取り巻く環境が大きく変化しているであろう6年後の2025年にどんな番組がヒットしそうかというテーマで、事前に企画を考えてきました。どれも若者ならではのオリジナリティーにあふれる内容で、議論は白熱しました。議論の後は各グループで「ぜひ見てみたい」という企画を発表し合いました。

☆1班は2つの企画について発表しました。まずは、中学1年生が考えた『あの時の企画をもう一度』という過去に人気だった企画をSNSなどを駆使しながらリメイクする企画について、「前に進むだけでなく昔のものを懐かしむという気持ちを大事にして、過去のものと先進的なものを融合させることができれば楽しくなるのではないか」と話しました。もう一つは『展開は視聴者が決めるRPG型ドラマ』。高校1年生が書いたドラマの企画で、ゲームのように視聴者が未来の展開を選択できるという内容です。「与えられたストーリーを楽しむのではなく、視聴者が自分の見てみたい形に作れるのが面白い」という意見が出ました。

☆2班からは『あなたのスゴ技見せてください!』について。中学3年生が考えた、世界中の人たちがスゴ技を披露しあうという企画について、「一般の人が自分の特技をイキイキと見せられるし、テクノロジーの進化によって新しい特技が増えているかもしれない。面白くなる」という発表がありました。

☆3班からは『私たち、素人だけど番組つくりました。』という高校1年生の企画について。番組制作経験ゼロの素人が1時間番組を作るという内容で、「プロではなく素人の自分たちが番組を作るという視点が面白い」という意見でした。

☆4班は、『大発見カルチャーショック!』という高校2年生が考えた、国籍や文化の異なる人たちが対談したりプレゼンし合ったりするという企画と、『昭和から令和まで!あなたはどの時代の人?? 』というこちらも高校2年生の、昭和・平成・令和の違いを比べるクイズ番組の2つについて、「世代間や国籍の違いによって生じるギャップを埋めるという視点は大事。世代間のギャップを埋めることで家族のつながりが深まるのではないか」とまとめました。

そのほか、AI関連の企画にも関心が寄せられ、「人間とAIの向き合い方がわからないからこそ番組でやる価値がある」などの意見が出されました。その後、モニターたちの26本の企画について、村上チーフプロデューサー、牧ディレクター、清沢ディレクターそれぞれが2本ずつ選び、講評を行いました。

★村上チーフプロデューサー

  • 中学2年生が考えた『現役デスク"と"考える今のニュース』という、各放送局の現役デスクがニュースについてネット上で会話し、1週間の出来事を解説するという内容の企画について。「偏った情報が錯綜する中、メディア同士が会話することやメディアが一般の人たちとキャッチボールすることがさらに必要になってくると思う」。
  • 中学2年生の『#○○、なんかしたってよ。』という人々が挑戦する姿と視聴者のつぶやきを紹介するという視聴者参加型の企画について。「いろんな人がいろんな可能性を追求することで世の中が豊かになっていく。そういう視点から、面白そうな番組になりそう」。

★牧ディレクター

  • 中学3年生が考えた『行けるとこ、行っちゃいませんか?』という、街の人の手持ちのお金で行ける一番遠い場所に行くというコンセプトの番組について、「"素人×ガチ感"があり、テレビ東京っぽい。個人的に好きな企画」。
  • 高校3年生の『あいロボ』という、人間とロボットの男女が共同生活をする恋愛リアリティーショーについて、「切り口が斬新。こういう発想が番組作りには必要と思う」。

★清沢ディレクター

  • 1班も取り上げた『展開は視聴者が決めるRPG型ドラマ』について、「技術が進化すればこのような斬新なドラマを作ることができる。すごく未来的な企画」。
  • 中学3年生が考えた『サーチ リサーチ』という、ネット検索の予測変換で出た言葉について調べる探求型バラエティーについて、「着眼点が面白い。掘り下げれば秘められたドラマが待っているのではないか」。

その後も議論は尽きず、モニターからは今のテレビ番組に対する不満や評価の声が上がりました。「マンネリ化している」「斬新さが足りない」「どの局も出演者が同じような人たちで偏りを感じる」など率直で厳しい意見が出た一方で、深夜近くに放送している番組について「中高生である自分たちの感覚に合う、面白い番組がある」という感想がありました。

会議の最後、榊原 委員長は以下のようなに締めくくりました。

≪委員長まとめ≫

今、『2025年にヒットするテレビ番組はこれだ!』ということから、皆さんの自由な意見が出ました。例えば「最近のテレビでは規制が厳しくなった」とか「ドラマがおもしろくない」とか、未来を担う皆さんの意見というのは、多分、テレビ局にとっても重要だと思う。私が感じたことは、確かに規制が厳しくなったと皆さんが感じるのは、一方にSNSとかYouTubeとかがあるので、それと比較すると確かにそう感じるのではないかなと思います。それを受けてテレビを作る方はどうしたらいいのかということになる。BPOはもしかしたら規制をしている側だと誤解されているかもしれませんが、そうではないんです。一般の方から来る「こういうのはやり過ぎだ」というクレームに対して、ではどうしたらいいかということを検討し、テレビ局で番組を作っている方と話し合って「こうした方がいいんじゃないか」と提案をする。確かに最近非常に規制が強くなっているという感じがあるが、その規制がどんどん強くなってもっと息苦しくなってしまわないように、話し合いによって、作る側が自由につくれるような環境を整えるのが、BPOの役割だということをお話しておきたいと思います。
本日の議論では非常に面白いお話がありました。これからもモニターの皆さん、ぜひいろいろなご意見を聞かせてください。それから、今日の『Youは何しに日本へ?』の裏話も面白かった。皆さん、本当にありがとうございました。

以上