2025年12月26日
年末年始のBPOの業務について
BPOでは、2025年度年末年始の業務対応を次のとおりといたします。
- 業務は、年内は12月26日(金)まで、新年は1月5日(月)からです。
- 電話でのご意見は、12月26日(金)~1月5日(月)録音により受け付けます。
投稿フォーム・ファクス等の受信は行いますが、対応は1月5日(月)の業務再開後となります。 - 放送人権委員会のお問い合わせ電話は、年内は12月26日(金)まで、新年は1月5日(月)からです。


2025年12月26日
BPOでは、2025年度年末年始の業務対応を次のとおりといたします。
第346回 – 2025年12月
申立ての対象となったのは、福岡放送が2025年4月13日と20日に放送したバラエティー番組『ナンデモ特命係 発見らくちゃく!』の「命の危機…ゴミ屋敷大掃除!」で、視聴者からの依頼を受けて、高齢の親族が住む民家の大がかりな清掃を行い、その模様を放送した。
これに対し、当該民家の住人が、番組は臭いや不衛生な状態が過度に強調される形で顔出し・実名・モザイク処理なしで放送され、尊厳が著しく損なわれ人権を侵害されたと申し立てた。さらに、番組の収録過程において、住人にとって重要な物品がなくなったと主張している。
また、他の親族2名は、番組内で幼少期の写真が承諾なく使用されたり、プライベートな事実が本人の同意なく放送されたことなども権利侵害にあたると訴えている。
放送局は一部配慮が足りなかったことなどを認め謝罪したが、これら3名の申立人は納得せず、双方の交渉が不調に終わったため、9月の委員会で審理入りするか否かを検討した結果、審理入りすることを決めた。
今回の委員会では、起草委員作成の論点と申立人・被申立人双方への質問項目案について議論し、次回委員会でヒアリングを行うことを決定した。
以上
第213回–2025年12月
第213回放送倫理検証委員会は、12月12日に千代田放送会館で開催された。
11月28日に静岡・山梨地区の放送局を対象に開催した意見交換会の様子と事後アンケートの集計結果などが報告された。
11月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。
来年の2月27日に「BPO事例研究会」を開催することが決まり、対象事案の担当委員に準備をするよう伝えられた。
小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、小柳委員、水谷委員、毛利委員、米倉委員
放送倫理検証委員会は、2025年11月28日に静岡・山梨両県のテレビ・ラジオ局を対象に静岡市で意見交換会を実施し、9局24人が参加した。委員からは「生で現場のみなさんのお話を聞いたのが新鮮であり、考えさせられたことも多かった」などの感想が報告され、事務局から事後アンケートの集計結果などが説明された。意見交換会の詳細はこちら。
11月に視聴者・聴取者から寄せられた意見では、複数の情報番組において出演者の言動に関して不適切と批判するものが多数あった。20代のタレントが“一発ギャグ”と称し、高齢者に暴力を振るうような動作をともなって替え歌を歌ったことを批判する意見が数多く寄せられた。また国会での高市総理に対する野党議員の質問に絡んで、番組司会者らが「いま政権をたたくのは相手の思うつぼ」「いま高市総理を批判する言動をするのは日本人ではないのではないかという気すらする」などと語ったことについて、「報道を委縮させ、健全な民主主義を阻害する」「戦時中にあった『非国民』という言葉を思い出させる」などと批判する意見が多数あった。
2025年度下期の第22回「BPO事例研究会」は、2026年2月27日(金)に千代田放送会館で開催することになった。今回対象となる事案は委員会決定第47~49号で、それらの担当委員は準備を進めることなどを確認した。
以上
2025年10月14日
BPOでは初の試みとなる、3つの委員会合同の意見交換会を10月14日に東京で開催、会場・リモート合わせて約370人が参加した。「ソーシャルメディア時代の新選挙報道」と「放送現場からの人権意識改革」をテーマに放送局やBPO委員による報告や提言をもとに活発な意見交換が行われた。詳細はこちら。
放送界が直面する課題について議論を深めることを目的に、放送倫理検証委員会・放送人権委員会・青少年委員会の3つの委員会の合同意見交換会を10月14日に千代田放送会館で開催した。テーマは「ソーシャルメディア時代の新選挙報道」と「放送現場からの人権意識改革」の2つで、会場・リモート合わせて約370人が参加し、放送局からの報告とBPO委員による提言をもとに、3委員会の委員長と会場の放送局からの参加者等の間で活発な意見交換が行われた。BPOでは毎年、各委員会が全国各地で意見交換会を行っているが、3委員会が合同で意見交換会を開くのは今回が初めて。
【大日向雅美理事長あいさつ】
BPOの3委員会合同意見交換会の開会にあたりましてひと言ご挨拶申し上げます。BPOの3つの委員会、放送倫理検証委員会、放送人権委員会、青少年委員会はそれぞれが個別に加盟社のみなさまと毎年意見交換会を行っておりますが、今年は新しい試みといたしまして、3つの委員会が合同で加盟社のみなさまと放送界共通の課題について意見交換を行うことといたしました。本日の合同意見交換会は2部構成で行います。第1部は「ソーシャルメディア時代の新選挙報道」をテーマに今年夏の参議院選挙の報道を振り返り今後の選挙報道のあり方、放送の役割・課題について意見交換を行います。第2部では「放送現場からの人権意識改革」をテーマに放送現場での人権尊重について議論します。3委員会合同意見交換会が放送界にとって有意義な場となりますことを願います。
第1部では「ソーシャルメディア時代の新選挙報道」をテーマに、放送現場からの基調報告、委員による提言、そして質疑応答へと議論が展開された。冒頭、TBSテレビ報道局政治部の岩田夏弥部長が先の参議院選挙での「質と量の選挙報道改革」について報告。続いてNHK報道局選挙プロジェクトの坂本直樹副部長からは、ネット上の誤情報対策として、事前に検証・解説記事を発信する「プレバンキング」などが報告された。放送倫理検証委員会の水谷瑛嗣郎委員は、ネット空間に広がる「アテンションエコノミー」との距離の取り方がメディアの経営的課題であると提言。青少年委員会の池田雅子委員は、記者への誹謗中傷対策として「組織的支援と業界横断の取り組み」の重要性を強調した。これらの報告・提言を受け、参加者からは具体的な事例を踏まえた多様な質問が寄せられ、活発な議論が行われた。
<基調報告1:質と量の選挙報道改革 TBSテレビ 政治部長 岩田夏弥氏>
私は1998年に入社し、小渕政権以降の政治を取材してきました。印象深かったのは2つ。1つは2015年の安保法制の国会審議。官邸キャップとして、毎日委員会を見てニュースを書き、濃密な時間を過ごしました。もう1つは2020年の米大統領選。ワシントン支局長として、トランプ氏が選挙の正当性を否定し、翌年には議会乱入事件が起きるという、「本当にここが民主主義の最先端の国なのか」と疑う場面を目の当たりにして、本当に驚きでした。そうした中で、政治とメディアの関係とか、選挙と民主主義とかを常々考えながら仕事をしてきました。今回の参議院選挙は、全国の放送局が「あるべき選挙報道とは何か」を考え、従来とは違う放送や取り組みをされたと理解しています。TBSとしての事例を紹介しますが、他局の皆さんの取り組みもぜひ共有していただければと思います。
▼過去の選挙報道の反省点
私たちが反省したのは、昨年の都知事選と兵庫県知事選。都知事選では、報道が小池百合子氏と蓮舫氏の構図に偏り、結果的に石丸伸二氏や安野貴博氏の躍進を十分に伝えられなかった。兵庫県知事選では、告示後に報道量が激減し、SNS上の真偽不明な情報が拡散。放送局としての役割を果たせたか、深く考えさせられました。そうした中、SNSで起きている「言説」を無視するのではなく、対話していく必要性があるのではと考えました。そこで、BPOが2017年に発表した「2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見」が非常に参考になりました。選挙報道に求められるのは量的公平性ではなく質的公平性、つまり、候補者の政策や資質を偏りなく伝え、明確な論拠に基づく評論をすることだと。8年前のものですが、衝撃というか感銘を受けました。意見書の最後には、憲法が保障する表現の自由、番組編集の自由を活かし、量と質の両面で豊かな選挙報道をとあり、質的公平性を担保するには量も必要だと痛感しました。限られた情報だけでなく、多様な視点を伝えることで、質的公平性が実現する。だからこそ、告示後も報道量を確保することが大切だと考えました。
▼事前報道の量の充実
TBSでは、事前報道の充実に力を入れました。報道番組だけでなく情報番組とも連携し、「選挙の日その前に」という企画で、投票日前日まで選挙を扱いました。特番は組めませんでしたが、投票1週間前の『Nスタ』では、ほぼ全編を選挙特集に。さらに、各党幹部へのインタビューを地上波では一部放送し、YouTubeや『NEWS DIG』(TBS系JNN28局のニュースサイト)ではノーカットで配信しました。私自身も見て驚いたのですが、30分じっくり話を聞くと、ニュースでは見えない表情や人柄が伝わってきて、政治家への理解が深まりました。どの党の幹部も魅力的で、それぞれの立場で政治を担っていることがよくわかりました。今回の参院選を振り返ると、各局が事前報道に力を入れ、BPOの理念にある「視聴者との信頼関係」「自律的取り組み」を実践したと思います。業界にとって分岐点だったのではないでしょうか。今後の衆院選・参院選にも引き継がれ、さらに進化していくはずです。
▼自由と権利を守るため、不断の努力を
最後に少しだけ憲法の話を。私は第12条が好きです。「自由と権利は、国民の不断の努力によって保持されなければならない」。つまり、自由や権利は当たり前にあるものではなく、日々の努力で守るもの。選挙報道に取り組むことも、その不断の努力の一つだと思います。謙虚に、誇りを持って、民主主義の発展に貢献していきたいと思っています。
<基調報告2:ネット空間に信頼できる情報を ~2025参院選での取り組み~ NHK 報道局選挙プロジェクト副部長 坂本直樹氏>
私たちの部署は国政から地方選まで選挙報道のレギュレーションづくりや管理を担い、政治部だけでなく全社的に関わる選挙報道のハブのような役割を果たしています。私は1994年入局で東京と地方を行き来しながら、2005年の郵政解散以降の国政選挙に多く関わってきました。ここ数年、選挙報道は大きく変化しています。ネットやSNSの影響が拡大し、私たちも報じ方を見直す必要があると感じ、改革に取り組み始めました。今日は参院選でのネットを中心とした新たな取り組みをご紹介します。
▼第一声のノーカット配信とテキスト化
まず重視したのは、事前報道の「質と量」の充実です。これは兵庫県知事選の反省やBPOの「量的公平から質的公平へ」という考え方を踏まえたものです。ネットの特性を活かし、政党や候補者の訴えをできるだけ余さず伝えることを目指しました。具体的には、候補者の「第一声」街頭演説をノーカット動画と全文テキストで掲載。話し方や表情も含め、有権者が自分で判断できるようにしました。演説の長さに関係なく全体を伝えることで公平性を担保し、テキストマイニングや構成分析も併せて掲載しました。さらに、全候補者と政党にアンケートを実施し、政策への考えを可視化。党派別の集計も紹介し、第一声と合わせて候補者情報を多角的に伝えました。選挙の争点についても、物価高やコメ価格高騰、防衛力強化、憲法改正、皇位継承など17のテーマを選び、ファクトに基づいた解説記事や動画を掲載しました。SNS選挙の実態にも注目し、政党や候補者の活用状況、フィルターバブルの影響、注意点などを分析。発信側と受け手側、両方の視点から課題を伝えるよう努めました。
▼プレバンキングによる誤情報対策
ネット上の誤情報対策としては「プレバンキング」に取り組みました。拡散が予想されるテーマについて、事前にファクトベースの記事を出してある意味“免疫”をつけてもらう狙いです。例えば外国人の生活保護やこども家庭庁の予算などを取り上げました。加えて「選挙の前に確かめて」と題し、ネット情報と向き合う5つのポイントを専門家が解説する記事や動画も公開しました。選挙期間中には、外国人に関する真偽不明な情報が多く出回りました。例えば「留学生が非常に優遇されている」「外国人の国民保険未納」「外国人の生活保護は憲法違反」といった主張について、検証する記事を掲載しました。後半には埼玉県川口市のクルド人問題や治安悪化、不法残留、不起訴率の話題も増えたため、それらも検証し、支援団体の声も紹介しました。また、毎回出てくる「不正選挙」説、「期日前投票の用紙が書き換えられる」といった話にも対応し、検証記事を出しました。ファクトチェックは記事だけでなく、第一声の全文テキストにも注釈や参考リンクを付けて対応。例えば「選択的夫婦別姓」については、事前に用意した解説記事に誘導する形で、正確な理解を促しました。こうした事前準備が、実際の選挙期間中に大いに役立ちました。
▼透明性の高い報道を
最後に、ネット空間で正しい情報を届けることの難しさについて。NHKの世論調査では、投票で重視するテーマは物価高や社会保障でしたが、ネット上では外国人問題が終盤にかけて急上昇。ネットの声と実際の世論の乖離をどう扱うかは、今後の大きな課題です。ファクトチェックで誤りを指摘すればするほど、発信側の養分、ガソリンになってしまう。だからこそ根拠を明確に示し、「わかっていること」と「わからないこと」を区別した透明性の高い報道が、これからますます求められると感じています。
<委員提言1:デジタルメディア環境における放送局とニュースの役割 放送倫理検証委員会 水谷瑛嗣郎委員(慶應義塾大学准教授)>
私は憲法が専門で報道の自由や表現の自由を中心に研究してまいりました。日本でもソーシャルメディアにおけるコンテンツの影響は無視できない大きな力を持ち、プラットフォームを管理している事業者の影響力も非常に重要な論点です。情報流通プラットフォーム対処法ができましたが、その前提となった違法有害、誹謗中傷の対策のワーキンググループや、最近のデジタル広告のワーキンググループでも議論をさせていただいています。
▼報道機関とプラットフォームの機能の違い
表現の自由と、報道や放送の自由は、判例を見ると違いがあります。表現の自由は、個人の発信あるいは知る自由、いろんな情報を摂取する自由と憲法上認められています。報道の自由は国民の知る権利に奉仕するという機能を核にして、一種の手段として位置付けられてきたと思います。
放送にせよ新聞にせよ、今はもう媒体としての優位性が残念ながらなく、ソーシャルメディア事業者がその流通を担っています。ソーシャルメディア事業者は「情報環境形成力」を持っています。ソーシャルメディアのフィードの形をデザインし、フィードに何が上がってくるかを決めるアルゴリズムにおいてどんな要素を優先するかのデザインもしています。アメリカの法学者のケイト・クロニックは、プラットフォーム事業者は「ニューガバナー」、国家に匹敵するような情報環境の管理をしていると指摘しています。では日本の最高裁はどうみてきたか。グーグルやツイッター(現X)に関して、最高裁の判例があります。グーグルはインターネット上の情報流通の基盤だと指摘し、ツイッターは、利用者に対して情報発信の場やツイートの中から必要な情報を入手する手段を提供していると指摘しています。ただ、これら最高裁判決には、報道の自由のために議論されてきた国民の知る権利に奉仕するという言葉がありません。検索エンジンで情報を調べる人は多いわけですから、グーグルも国民の知る権利に奉仕していると考えるのが自然ですが、判例の中には出て来ない。報道機関とプラットフォームは憲法上、違う機能を担っているのだと思います。
▼「アテンションエコノミー」がもたらす情報環境の変化
ソーシャルメディアを運営しているプラットフォームには「アテンションエコノミー」と呼ばれる経済原理があります。経済学者のマシュー・ハインドマンが指摘したもので、デジタル社会での生き残りは「粘着性」、くり返しサイトを見続けたりクリックしたりする性質に左右されるというものです。アテンション=注目という資源は希少です。睡眠を取ったりご飯を食べたりという時間を割いていくと自由にできる時間というのは多くない。それをデジタル社会は取り合っています。注目を引くことで広告収入を得てプラットフォームは成り立っています。
注目は外部からの刺激に弱いということも指摘されています。「アテンションエコノミー」の世界では、残念ながら、コンテンツの中身の正確性とか社会的価値とか、情報源が確かなものかという点は重視されません。いかにページビュー(PV)を稼ぐか、クリック率を上げるか、インプレッション数を上げるかが重要になっていきます。中身が偽情報であろうと、刺激を与えてPVを稼げるならばそれでいいと考える人たちが出てきます。受け取るほうが真偽をちゃんと確認し、騙された場合の責任はあなたが負ってくださいという世界観が加速していると指摘されています。そうしたプラットフォームの機能と、国民の知る権利に奉仕する報道機関の機能には距離があると思っております。
▼信頼される報道の条件とこれからの仕組みづくり
報道もアテンションを手段としなければならない部分もあります。クリックを誘うために大げさなタイトルを付ける「釣りタイトル」が問題になったのも「アテンションエコノミー」的な問題で、報道機関も注意してやっていかなきゃいけない。しっかりしたニュースや報道とは何かを政府が決めることになると、恐ろしいことになる。報道機関が自律的かつ大学なども含めたマルチステークホルダーで決めていくことが、今後、必要になるかもしれません。プロとしてのジャーナリズム倫理をどうやって客観的に評価するか非常に難しい。そこで最近、注目している仕組みをご紹介します。国境なき記者団(RSF)が取り組んでいる「ジャーナリズム・トラスト・イニシアティブ」です。一種の認証の仕組みになっていて、18個の評価項目に関してメディア事業者が自己評価し、それを第三者機関が認証するものです。放送局のアカウンタビリティ、訂正放送の仕組みといった説明責任を果たすことが挙げられています。こういう仕組みを参考にしながら、指標作りに取り組んでいただくことが重要なのではないかと思います。
最後に、現場の編集部門だけではなく、経営層も含めて放送局一体となって、「アテンションエコノミー」との距離の取り方を議論すること、情報番組やワイドショーといった報道番組以外のものもアテンションを重視して、事実を過度に軽視するようなものになってないか、自制的に制作プロセスを再確認していただくことが必要と思います。
<委員提言2:局員等への誹謗中傷対策 青少年委員会 池田雅子委員(弁護士)>
▼ネット攻撃の現実と報道の使命
報道や番組制作に関わる人たちへの誹謗中傷や人権侵害が頻発しているとして、民放連が今年7月に声明を出しました。不当な攻撃を受けた場合は法的措置を含めて組織的に対応すること、個人の尊厳を守るためにあらゆる手段を講じることが明記されています。NHKも放送ガイドライン等で同様の原則を掲げ、新聞協会も6月に声明を出しました。メディア全体が「局員を守る」という姿勢を打ち出しています。
取材の現場で理不尽な言葉を浴びた経験は皆さんもあると思います。「記者なんだから耐えろ」と言われたこともあるかもしれません。報道で人の名誉やプライバシーを傷つけることもあるから自分たちも我慢しなければならないと思ったこともあるかもしれません。でも、ネットやSNSでの攻撃は「点」ではなく「面」で押し寄せています。受けるダメージは従来の経験では測れないほど大きい。組織として局員の尊厳を守ることは当然であり、人権尊重、安全配慮の観点からも欠かせません。
ここで強調したいのは「報道の使命」です。ネットで誹謗中傷を受けて拡散されるのを見れば、誰だって気持ちは弱ります。特にヘイト問題や従軍慰安婦問題を取り上げたときの反応はすさまじい。そうなると「もう取材はやめよう」となりかねない。他社が攻撃されているのを見て「うちは報道しないでおこう」となることもあるかもしれない。でも、事実が報道されなくなれば、不利益をこうむるのは市民です。正確な情報が届かなくなるからです。ネットには偽情報や誤情報があふれています。市民が民主主義の主体として自治を行うためには、正しい情報が不可欠です。誤った情報に基づいて投票すれば民主主義の基盤が崩れます。だからこそ、メディアは質、量ともに豊かな情報を適時に届ける役割を担っている。厳しい事実確認が求められるのは当然ですが萎縮してはいけない。情報を届ける人を守ることが、市民の自由と自治を守ることにつながるのです。
▼法的対応の可能性、限界
ネット上の誹謗中傷にどう対応するか、弁護士の視点から説明します。まずはプラットフォーム事業者に対して削除を求める方法です。メールやフォームででき、弁護士に頼まなくても可能です。削除理由は映像が使われているなら「著作権侵害」とするのが良いでしょう。名誉毀損やプライバシー侵害が本筋ですが、実際に取り組まれた局の方から「著作権侵害を理由にしたほうが即効性が高い」と聞きました。効果はありますが、再び映像がアップされたり、いたちごっこになったりすることも多いです。
次に裁判所での手続きについて。削除の仮処分命令申立てや訴訟提起があります。仮処分なら訴訟に比べ時間を短縮できますが、それでも証拠集めや違法性の判断は厳しく、負担は大きい。即効性ではやはりサイト管理者への削除請求が優先されます。投稿者が誰なのかわからないときには、投稿者を特定するための発信者情報開示請求を行う必要があります。法改正で新しい手続きが導入され、東京地裁のサイトにはフォーマットも公開されています。ただ、ログの保存期間が短い、スマホのスクショではURLが出ないなど注意点も多い。IPアドレスからたどってもマンションやネットカフェまでしかたどり着けない場合などには、アカウント情報の開示請求も検討すべきです。投稿者を特定できれば損害賠償請求が可能になり、場合によっては脅迫罪などの刑事告訴も考えられます。ただし警察が動くかは別問題です。
▼組織的支援と業界横断の取り組み
法的手続きは時間がかかり、面で押し寄せる攻撃に一件一件対応するのは限界があります。そこで、局や会社としての備えが重要です。まずはサポート体制を作ること。現場を孤立させてはいけません。炎上しても「あなたが悪いのではない」と会社が言ってくれることがどれほど心強いか、当事者の声を聞いて実感しました。事前に支えるチームを作り、複数人で早期に対応する必要があります。OBやOGの協力も考えられるでしょう。メンタルケアも欠かせませんし、法務部や著作権部門との連携も必要です。予算も確保してほしい。
次に弁護士との協力関係。必要なときに相談できる関係を日頃から築いておくことが大切です。誹謗中傷への対応は各社が試行錯誤していますが、放送業界全体で共有し合うことが必要です。新聞や雑誌も同じ課題を抱えています。業界横断で立ち向かうことが社会へのメッセージになり、ネットリテラシーの向上にもつながります。アメリカにはメディアを支える弁護士団体がありますが、日本にはまだありません。弁護士と協働できる仕組みが求められています。これも今後の課題です。
局員を守ることは市民の自由と自治を守ることと表裏一体です。情報を裏取りして公共に広く発信し、その発信に対して責任をもつコストのかかる活動は“オールドメディア”しか担えない。私たち市民が支えなければ、この活動は縮小し、やがて停止してしまう。報道は時間も労力もお金もかかります。でも、マスメディアだからこそできる取材がある。質的にも量的にも豊かな情報を社会に伝え続けてほしい。心からそう願っています。
<質疑と意見交換>
▼選挙報道の質と量について
○九州朝日放送
今年の参院選、期日前投票者が25%に達しました。つまり、選挙報道をすべて見終わらないうちに投票した人が4分の1以上いたわけです。岩田さん、坂本さん、社内でそういうことを意識した議論はありましたか?また、委員の先生方は、期日前投票を踏まえた報道の工夫についてどうお考えですか?
○TBSテレビ 岩田氏
期日前投票の視点は確かに新しいですね。日頃から政治報道を厚くしておくことが大事だと思っています。選挙が終わっても政治ニュースは続いていて、社会全体の関心も途切れていない。だから、日々の政治の動きを丁寧に伝えることが、結局は一番の責任の果たし方かなと思っています。
○NHK 坂本氏
私たちも日ごろの政治ニュースの出し方が重要だと思っています。参院選では、立候補予定者を公示前から特設サイトで紹介し毎日更新しました。さらにSNS選挙をテーマに大規模調査をして、公示前に放送しました。候補者アンケートも公示翌日には掲載開始して、期日前投票の人にも参考になるようにしました。
○放送倫理検証委員会 水谷委員
選挙期間だけでなく普段から政治報道を充実させるのは必須です。加えて、SNSの仕組みや現実の争点を定期的に調査して提示することも大事。ソーシャルメディアの特徴を理解したうえで、選挙前から情報を流しておく必要があると思います。
▼公平性と「感情」への向き合い方
○毎日放送
兵庫県知事選では『テレビに騙された』など厳しい声を受けました。参院選では事前報道に力を入れ、自分たちが変わる姿を収めようとドキュメンタリーも作りました。ただ、質的公平性の答えは見つからず、組織全体に浸透させる難しさも痛感しました。今年2月のBPO人権委員会の意見交換会では、委員から『感情的な公平性みたいなものもお考えになったらどうか』という指摘も受けました。視聴者の感情的欲求にどう応えるべきか、委員の方はどうお考えですか?
○水谷委員
これは本当に悩ましいですね。「アテンションエコノミー」では怒りや悲しみなど負の感情が注目を集めると言われています。でも、国民の知る権利は“知りたいことを満たす自由”ではなく、民主制に必要な情報を提供することに奉仕するものだと思います。だから感情に直接応えるよりも、声を上げられていない世代や地域に取材を広げることが必要ではないでしょうか。SNSのトレンドが必ずしも世論ではないので、争点になりにくいところにも手当していくことも質的公平性の観点からも今後、必要なのではないかと思います。
○放送倫理検証委員会 小町谷育子委員長
基調報告で2017年の委員会決定に触れていただきありがとうございます。実は最初の選挙報道に関する決定は参院選の比例代表制をめぐるものでした。その後、放送局から『報道がしにくくなった』という声もあり、初代理事長の清水英夫先生からも批判が出ました。私自身、起案者として舌足らずだったかなと感じています。ただ、当時から量的公平性を厳密に見ることはしていませんでした。例えば、BS11の事案では、1カ月分約50時間を見て全体でバランスが取れているなら問題なしと判断しました。
今回の参議院選挙でも、ネット上では外国人問題が大きく見えるけれど、若い世代の関心はむしろ経済や氷河期世代の支援だったと思います。ファクトチェックをしても事実を信じない人には響かない。事実そのものがどうでもいいとされてしまう時代に報道はどう向き合うかが問われています。既存メディアは裏付けを重視し、事実を大切にする姿勢を示し続けることが信頼につながると思います。是非、工夫を凝らして頑張って報道していただきたい。
○日本テレビ
弊社では候補者を呼んで長時間の討論番組をネット配信しました。一定の効果はあったと思いますが、ネット空間ではポピュリズムの空気が強まり、私たちが“エリート”“人民の敵”という構図で見られてしまう。市民の自由や自治のために熱意を持って報道しているつもりでも思いが伝わらない。皆さんはどう見ていますか?
○水谷委員
アメリカでも同じ問題が起きています。ニューヨークタイムズやCNNがエリート扱い、人民の敵だと言われる。そこで重要なのは、なぜマスメディアの報道が必要なのかを説明すること。報道の効用やベネフィットを社会に伝える努力です。だからこそ、指標を作って可視化する試みが大事だと思います。
▼信頼・誹謗中傷への対応
○青少年委員会 吉永みち子委員長
若い世代はSNSを主体的に選んで使うので、ニュースは“流れてくるもの”と捉えられがち。メディアの信頼度も世代が下がるほどネットとは拮抗してしまう。偏向報道と批判されたり、誹謗中傷にさらされたりしたときに局員やフリーの人をどう守るか。信頼や人材確保にも関わる大きな課題だと思います。
○朝日放送テレビ
兵庫県知事選の取材で記者が誹謗中傷にさらされました。記者の年代によって反応が違い、40代はネットに上がることで自分たちのニュースが無視されていないと確認する。30代はネットにさらされるので質問はやめておこう。20代は質問するが叩かれて怖がってしまう。局としてどう対応すべきかご意見を伺いたいです。
○青少年委員会 池田委員
具体的な状況によりますが、人身攻撃に及ぶ場合は対応が必要です。局の法務や弁護士と知恵を絞り、ケースごとに判断するしかない。各局が試行錯誤しているので、業界全体で悩みを共有し、取り組みを高め合うことが大事だと思います。
○放送人権委員会 廣田智子委員長
誹謗中傷対策は喫緊の課題ですが、一方でネット上での匿名言論は表現の自由に非常に重要で、誹謗中傷との線引きは難しい。この点からも業界横断的な窓口を作り、基準を公表して判断する仕組みをつくることは考える価値があるのでないか。弁護士や研究者を含むチームで対応すれば、局ごとの負担も減り、説得力も増す。事例を公表すればネット上の言説の倫理向上に役立つ。放送業界として、伝えることの倫理、作法みたいなものを伝えていく必要はあるのではないでしょうか。
第2部では「放送現場からの人権意識改革」をテーマに、3つの異なる視点から議論を深めた。フジテレビ・コンプライアンス推進局の吉田優子局長が「人権・コンプライアンスのいま」と題してフジテレビの「再生・改革」と人権尊重への取り組みについて基調報告を行った。続いてBPO放送人権委員会委員で俳優の斉藤とも子氏が「出演者からみた放送現場のあり方」について、BPO青少年委員会副委員長で立命館大学教授の飯田豊氏が「若者の人権意識と放送現場のあり方」について、それぞれ委員提言を行った。
<基調報告3:人権・コンプライアンスのいま ~フジテレビの「再生・改革」と人権尊重への取り組み~フジテレビ コンプライアンス推進局長 吉田優子氏>
一連の事案で視聴者をはじめ多くのみなさま方にご迷惑をおかけしていることを深くお詫びいたします。フジテレビは信頼回復への道半ばではありますが、「人権・コンプライアンスのいま」と題して報告します。
▼社員などステークホルダーとの「対話」からスタート
2025年1月17日、取材カメラを入れない「クローズド会見」など対応の失敗で多くのスポンサーが撤退し、10時間以上に及ぶ記者会見でも事態の収拾は不可能でした。2月6日、清水社長を本部長とする「再生・改革」プロジェクトを設置し、総務部長だった私は、本部長や副本部長の補佐役としてプロジェクトに関わりました。調査を第三者委員会に委嘱する以上、「社員へのヒアリングは調査妨害にあたる」とされ、唯一可能だったのが、「人権デュー・ディリジェンス」上の基本的行程であるステークホルダーとの「対話」でした。2月後半から3月後半の1カ月間に、全ての局・室の20代から50代の社員、および社外関係者110名以上と40回近く対話を重ねました。対話にとって最も大切なのは、「心理的安全性」を保つことで、メンバーが話しやすいように、「同年代にすること、同じ部署同士にしない」といったルールを決めました。社員たちが何を思って、過去をどう振り返っているのか、何よりこれから会社をどうして行きたいかという点について話し合いを重ね、私はほぼ全ての対話に同席しました。対話にリスク対応専門の外部弁護士が同席したことで「話した内容を会社が隠ぺいすることなく、改革に活かされる」という安心感が生まれたと思います。集まった社員やさまざまなステークホルダーの声から具体的な課題を把握して対策に落とし込み、「フジテレビにおける人権リスクマップ」(3月公表)を作りました。
▼行動計画を発表し進捗状況を公表
3月31日、第三者委員会の調査報告書が出た日に、社として把握した問題点と施策をまとめて「フジテレビの再生・改革に向けた行動計画」を発表しました。「ビジネスと人権」の専門家が入って作った国際的な基準の計画で、国際的基準の重要性は後に痛感します。フジテレビは4月に総務省の行政指導を受けて月次の報告を始めました。7月に総務省への報告は終了したものの、親会社のフジ・メディア・ホールディングスとともに、毎月、「再生・改革」の進捗情報をホームページ上に掲載しています。4月には、再生・改革に向けて、人権ファーストの徹底、危機リスクを減らす仕組みを導入しました。ガバナンス改革・組織改革では、編成、バラエティ部門の解体・再編であるとか、アナウンス室を独立させるといった方針、そして「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却にわたるまで、8つの強化策を掲げました。
▼コンプライアンス体制の再構築と全社員対話
コンプライアンス体制として社内と社外の相談窓口は存在していましたが、一連の事案で問われたのは心理的安全性を確保すること、より広く門戸を開く点、そして国際的な基準を踏まえて改善が必要だという点です。国連のビジネスと人権の指導原則を踏まえて外部相談窓口を整備しました。指導原則の実行基準とは、正当性・予測可能性など何をしたらどこに行くか流れがわかることです。例えば20日以内に方針を伝えることなどをホームページに公開しています。人権ファーストを徹底する取り組みの1つとして、研修の中で一番反響が大きかったのが、5月から6月にかけて全社員を対象としたグループ対話です。シニアスタッフ含めて、1,200人以上が参加しました。海外駐在員、地方の支社勤務、そして、出向中の社員、全員が参加できるように深夜、早朝の枠も構えて、23回にわたって研修を実施しました。「フジテレビの何が間違っていたのか、何を変えなければいけなかったのか。そして、今何が変わったと感じるのか」。一方で「変えてはいけないことは何なのか」、グループごとに話し合いました。「事案発生以降、社員同士で話し合うことがなかった。思いを吐露することもできなかった」と話す社員もいました。「長年見過ごしてきてしまった」など過去を顧みる声がある一方、若手からは「受けとめきれない」という声も挙がりました。全社対話は一過性ではなく定期的に開催すべきとの声が多く寄せられています。少し時間を置いて改めて実施できればと考えています。5月に実施したコンプライアンスアンケートは、過去に遡ったハラスメントの有無、過去に言えなかったけれども今こそ言いたいという思いを大切にしながら、まずは弁護士がヒアリングを実施し、その後、コンプライアンス推進局の担当者に引き継ぎながら、改めて1つ1つの事案に向き合っています。今、起きていることについてはコミュニケーションミスによる小さな衝突であっても、よりよい形に現場が進めるようにお手伝いをしています。
▼様々な改革を展開
編成の下にあったアナウンス室は、7月からコーポレート本部に属してアナウンス局になりました。制作経験が豊富な社員複数名を配置しマネジメント部が発足しました。若手アナウンサーへの教育や育成、キャリアプランをともに考える体制が生まれています。若手アナウンサーたちに聞くと「相談の幅が広がった」、「より安心して臨める」といった声があります。サステナビリティ行動規範を9月に策定しました。ビジネスパートナーにも理解と取り組みの推進をお願いしています。制作現場などにおける自主的な取り組みでは、ドラマのクランクイン時にリスペクトトレーニングを原則化しています。その都度、一緒に働くメンバーが違うので、みなさん新鮮な気持ちで取り組んでいるようです。意識改革につなげるため、人権·ジェンダーに関する専門家の講義を9月に集中的に実施しました。信頼を取り戻すための取り組みにおいては国際基準を踏まえているかどうかを常に問われます。広告主をはじめとする多くの企業のコンプライアンス部門とかサステナ部門と対話の機会を設けています。グローバル企業は、国連の基準に基づいて苦情から救済までの体制をとっていて、対話のたびにその大切さを痛感します。報告ルートの複線化も大事にしています。リスクを特定し評価するチームが社長室・リスク管理部として設けられ、われわれコンプライアンス推進局・コンプライアンス推進部が一体となって、局長から上がる情報とコンプライアンスオフィサー(ライン部長)からの情報の複線化を形作っています。今後も、コンプライアンス違反が確認された場合は社として厳正な処分を行います。
▼誹謗中傷対策も
先ほど選挙報道の話にもありましたが、心理的安全性を高める観点から「ソーシャルメディア上の憶測に基づいた誹謗中傷」への対策をとても重要視しています。7月に対策チームを全社横断的に組織し、ネット上のパトロールや、誹謗中傷の投稿をめぐってプロバイダへの著作権法に基づく削除要請などにあたり、何かあれば相談を受ける体制です。こちらからの声かけも大事だと思っています。誹謗中傷対策についての経験・知見は系列局からもご依頼があれば研修などで連携しています。
▼コンプライアンスのPDCAを回す
7月の組織改編で再生改革プロジェクト本部は発展的に解消し、その役割を新たに生まれたサステナビリティ経営推進室が担っています。人権尊重の徹底を全社に浸透させる目的と、人的資本経営を戦略的に考えるために、サステナビリティ経営委員会を毎月1回、開催しています。足もとのリスク、相談事、過去から今に向き合う私たちコンプライアンス推進局と、現在から未来を考えるサステナビリティ経営推進室は、連携を取りながら動いていくことが非常に大事だと思っています。今後はコンプライアンスアンケートや日々の相談で把握した「どういう形でコミュニケーションミスが起きやすいのか」など具体的なリスクを分析し、人権デュー・ディリジェンスの中で把握したテーマを研修や対策に反映し、効果を検証し改善するというPDCAサイクルを本格的に始めようとしています。フジテレビは、「ビジネスと人権」という課題がいかに企業にとって大事か身をもって体験し、会社、方針、そして仕組みをこの半年間で一気に変え、制作現場もコーポレート部門の意識も変わってきています。ただし、急激な変化で戸惑う社員がいることも事実です。フジテレビの社員、スタッフ1人1人に「会社が変わったな」と感じてもらえるようにすることが大切だと思っています。私たちとしては、現場の皆さんが自信とやりがいを持って取材や制作活動に集中できるようにサポートしていきたいと思っています
<委員提言3:出演者からみた放送現場のあり方 放送人権委員会 斉藤とも子委員(俳優)>
SNSでいつでもどこでも誰でも自由に発信ができるなかで、正確さとか裏付けを求められつつそこに対抗するという過重な負担の中で放送局のみなさんが頑張っておられることに頭が下がります。今はテレビドラマとか情報番組に出ているわけではなく、舞台などの活動が中心ですが、もう一度、原点に戻って、一緒に考えていただけたらなと思います。
▼放送されることの影響
私が一番テレビに出ていたのは1980年代から2000年くらいまでで今とは状況が違いますが、テレビで放映されたことの影響が降りかかってくるということは共通していると思います。私はもともと人見知りで人前に出ることが苦手で、学芸会もその他大勢じゃないとできないような人間でした。小学6年生のときに母が病気で亡くなりました。当時、同じような状況のドラマが放映されていて、それを見て、私も頑張ろうと思わせてくれたのがテレビでした。架空の出来事が架空ではなくて本当に1人の生きている人間を支えてくれました。つらいことがある人にちょっとでも灯りをともせるようなことができたらと、役者になりたいと思ったのがきっかけで、中学3年生で運よくデビューしました。優等生の役と私的な事情が相まって、家のことを助けているとかご飯の用意をしていることが記事に書かれたことがありました。好意で書いてくださっているのだけれども、本当の自分とすごく乖離があって苦しかったです。影響は家族にも及びます。私の妹はいじめを受けて転校するなど大変苦しい目に遭いました。放送で顔を知られることは、平穏な生活が脅かされることにつながります。
▼委員をしていて思うこと
BPOの委員としていろいろな方の聞き取りをすることがあります。放送人権委員会は放送で人権を侵害されたという申し出に基づいて動く委員会ですが、番組を事前に見て申立てをしている方に抱くイメージと、実際にお会いしたときにギャップがあります。放送されたものを見ると本当にとんでもない人だと思ってしまう。実際にその方の話を聞くと、報道されたことで仕事をなくし人生が終わったようになってしまった。自分だけではなくて家族も生きていくのが大変になっているという声を聞きます。それから、ドキュメンタリーで取材を受けたり、新聞のインタビューを受けたりした方がよく言われるのが、こういうふうに言ってほしいって感じることがあるということ。自分の一番言いたかったことは使われないで、当てはまるコメントだけを拾い上げて大きく放送されたとよく聞きます。そう思われている方がいるということは、みなさんわかっていらっしゃると思いますがお話ししたいと思います。
▼人間をどう捉えるか
放送するときに人間をどう捉えるかということだと思います。百の悪人も百の善人もいないと思うのです。でも、やっぱりマイナスだったらそこを膨らませるように報道されてしまう。例えば、兵庫県知事の話がありましたが、SNSの情報があれほど拡散したことも、もしかしたら人間性を批判するような、ちょっと面白おかしく、そういう報道があまりに過ぎていたときに、見ている人たちが「本当にここまでなのかな」と思い、SNSでそうではないものが書かれていたときにそっちに行ってしまうっていうこともあると思います。私がそういう報道に疑問を持った最初がロス疑惑の三浦和義さんのことです。あと、和歌山のカレー事件。それから、オウム真理教の事件。疑いを持たれたときから、どの局もそのニュースをやっていました。いかにその人が悪いかということが強調されるものばかりで、1人の人間をここまで徹底的に責めてしまうという恐ろしさを感じたことがあります。あの事件の犯人はこの人じゃなくて私だったかもしれない、そういうことが感じられるような報道の仕方もあっていいのではないか。オウム真理教のとき、私は自分もあり得たかもって思ったのです。1つのことに集中してしまうとか、社会に対して不安があって、このままでこの世の中うまく行くのだろうかと思ったときに、何か引きつけられるようなことを言った人について行ってしまう可能性ってあるのかもしれない。
▼みんなで一緒に考えていく
一番大事なのは、「放送が誰のために、何のためにあるのか」ということだと思います。おそらく入社時にはテレビを見る人たちを楽しませたいとか幸せにしたいとか、ちょっとでもこの社会をよくしたいと思っていた方がほとんどだと思います。今、私が思うのは、これだけ変化していく時代の中でテレビに求められるものは、必ずしも完璧でなくてもいいのではないか。人間って弱いところは誰でも持っていて、放送局のみなさんもこのSNS時代の中で自分たちはどう報道していいのか、もがいている。だからそれもさらけ出すぐらいでもいい。視聴者にもそれを届けて一緒に考えませんか。みんなで一緒に考えていく、そういうテレビがあってもいいと思います。本当にみなさん、この大変な中でよく頑張ってくださっていると思います。私はほとんどネットとかSNSを見ない人間なので、テレビと新聞が私にとってはとても大切なツールです。これからも楽しみにしています。どうか頑張ってください。
<委員提言4:若者の人権意識と放送現場のあり方 青少年委員会 飯田豊副委員長(立命館大学教授)>
私はメディア技術に関する歴史研究、あるいはメディアリテラシー教育に関わる研究などに取り組んでいます。青少年委員会には、視聴者意見に基づく議論に加えて、独特の取り組みがあります。その1つが「中高生モニター制度」で、全国から公募で選ばれた中高生のモニター30名と1年を通じて交流しています。モニターのみなさんに、毎月視聴した番組への意見などを記入したレポートを送ってもらい、それを基に委員会で議論したあとは、各委員が分担してモニター1人1人にお手紙を書いています。
▼中高生モニターにみる若者の人権意識
「テレビ離れ」、「メディア不信」と言われるなか、わざわざBPOのモニターに申し込んでくれるわけですから、決して今の若者の意識や価値観を代表しているわけではありません。放送に対して特別の思い入れがあり、問題意識を抱いているみなさんです。モニターの意見を通じて、若い人たちがテレビをどういうふうに面白がっているのか、テレビとインターネットをどのように使い分けて、放送に何を期待しているのかを理解しようと努めています。人権に関する中高生からの声を紹介します。毎月のリポートを読んで強く感じるのが、出演者に対して共感性の高いコメントが非常に目立つことです。例えば、「『確実に“優しい”人』、『確実に“ノリだと分かる悪口”を言える人』は安心してみていられる。そういう人をもっと増やしてほしい。また、芸能人とはいえ、人としての気持ちもあるし限界もあるから、笑いの対象として見るだけではなく、ひとりの人間だと考えてほしい」。共感性の高さはZ世代の特徴と言われますけど、このような記述が非常に目立ちます。青少年委員会は2022年に「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティーに関する見解」を発表しました。この「痛みを伴う笑い」をめぐってもさまざま意見が寄せられています。「けがをした人もいるので、まずは出演者を気遣うことが大切」、「バラエティー番組の討論中に誰かが話そうとすると仕掛け人がそれをさえぎって話し始めるというドッキリのようなものを見かけた。正直、体を張ったりするものよりも嫌な気分になった」など。逆に、「近年いじめなどの問題が深刻になって、バラエティー番組などのコメントが非常につまらない」という声も寄せられていて、この辺りは意見が二極化しています。ジェンダーやダイバーシティに対する関心の高さもコメントからうかがうことができます。「出演者の名前を紹介するテロップについて、ジェンダーレスなこの時代に男性は青、女性はピンクというように色を分けるのはどうか」、『紅白』はどうなのといったコメントは非常に多く寄せられています。逆に、「SDGsを意識することはいいことだと思いますが、何もかもSDGsに関連させていてはTVやラジオが面白くありません」という意見もあります。青少年委員会では、2024年度から2026年度、3年かけて取り組んでいる調査研究の中で、中高生のメディア利用と、人権·ジェンダー·ダイバーシティなどの価値観との関係性について、深掘りできればと考えています。
▼若い世代のテレビ報道への意識
注目すべき先行研究として、東京経済大学の山下玲子教授が2016年に行った「放送法の知識とテレビ報道の公平性に関する意識の性別・年代差について」という論文があります(『コミュニケーション科学』49号、2019年)。この論文によれば、報道における人権配慮に関する意識の性別・年代差について、若年層――具体的には当時15歳から19歳の回答者――に、年長世代とは異なる傾向が見られます。まず、「テレビの報道は、女性差別的な印象を受ける」という設問に対しては、男女とも15歳から19歳が「強くそう思う」と回答している割合が、ほかの世代よりも大きい点が目につきます。ただ、男性15歳から19歳では「まったくそう思わない」という回答の割合も有意に大きいことが示されています。その背景は今後追究していきたいと思っております。「テレビの報道は、性的マイノリティ(性同一性障害・ゲイ・レズビアン等)に対して配慮が足りない」という設問に対しては、女性15歳から19歳が「強くそう思う」という回答をしている割合が大きい一方、男性15歳から19歳は「まったくそう思わない」という回答の割合が顕著に大きいことがわかります。まとめますと、15歳から19歳の回答のみに注目した場合、放送の人権配慮に対する評価が顕著に二極化していることがわかります。いずれにしても、年長世代と比べて人権に対する感受性が強いことを示唆しています。上の世代が「過去との比較」で今の放送を差別的でないと捉えるのに対して、若年層は学校における人権教育やSDGs教育などを踏まえた「現在の感覚」で、差別や配慮不足を敏感に捉えている可能性があるのではないかと思います。
▼人権意識の高まりが放送の強みに
若者の人権意識の高まりを踏まえれば、表現と規制の兼ね合いで試行錯誤してきた放送の歴史は、放送が今後、メディアとしての信頼を維持し、関心や共感を拡大していくための強みにもなると考えます。先ほどご紹介したのは2016年の調査なので、当時15歳から19歳の若者は今20代半ばの局員と同世代にあたります。人権に対する感受性が強い若手局員のみなさんが、これからの視聴者と制作現場の橋渡し役になり得るということを、最後に期待を込めて申し上げたいと思います。
<質疑と意見交換>
▼若い世代が働きやすい職場
○司会
9月22日深夜(フジテレビ·ローカル)『当事者たち。~フジテレビ入社4年目の記録~』というドキュメンタリー番組が放送された。入社4年目のディレクターが1月の謝罪会見から会社の内側でカメラを回し同年代の社員から役員まで取材して苦悩と葛藤を描いたセルフドキュメンタリーだが、視聴した感想は。
○青少年委員会 飯田副委員長
フジテレビ社員の世代間格差が焦点の1つだったと思います。番組ディレクターと同世代である入社4~5年目の社員は、年長世代とは受けてきた教育や人権意識が変わってきていることの一端が、浮き彫りになっていました。フジテレビの吉田さんからは、一連の取り組みの中で、社内での対話を推進しているというご報告がありました。あのドキュメンタリーは認識ギャップを埋め、話し合いのきっかけをつくるという点で非常に意義深い作品だと思います。それ自体で課題解決を目指すというより、あくまで問題提起型の作品です。この番組について語ることで、次の議論に進んでいけると感じます。
○放送人権委員会 斉藤委員
若いディレクターが番組の制作について相談したときに、プロデューサーが「その番組を放送することで、出演した社員が批判の対象になって、その人の人生が狂うようになったときに責任を取れるのか」と彼女に言っています。若いディレクターももがき、でも伝えなくてはいけないことがあると感じたから、あの番組を作ったのだと思います。私自身はそのもがいている姿に共感します。
○朝日放送テレビ
非常に衝撃でした。見ていて苦しくなる。若い人たちに見てほしいと思うものの、取材姿勢という意味ではお勧めする手法ではないと思いました。ただ、テレビ局内で起きたことを、局員自身で撮影し放送するのは意義があったと思います。
○フジテレビ・コンプライアンス推進局 吉田局長
この番組にはさまざまな声をいただきました。非常に厳しい声もあった一方で、当時の若い社員たちが感じていたことがリアルに描かれてもいます。担当したディレクターはあの時期、あの瞬間の映像を多くの現場で撮り続けてきました。自身も顔を出した上で、周囲の説得もしながら覚悟を持って放送したことが、何事にも代えがたい。また、その若い制作者のマインドを会社が潰すことなく放送につなげたこと、当社はまだ危機感が伴う状況ですが、こういう中でも放送できたことはとても価値があると思います。この番組の放送にあたっては、社員が顔出しで番組に出てきますので、放送前にコンプライアンス推進局の誹謗中傷対策チームと放送現場の責任者がどう伝えるのが望ましいのかを話し合い放送しました。前もって準備をすることはとても有益だと思っています。
○青少年委員会 吉永委員長
若い人が自分の意思で声を集めて、何が起きているのかを実感しようとしている。組織が変われるかもしれないという希望を番組から感じました。同時に、言葉として印象に残ったのは、中堅の女性社員が「自分も加害者ではなかったか」、「セクハラされるのはそいつのせい」これはすごくわかる感じがします。私も男性ばかりで女性がいないとき「やっぱり女はな」と言われると「そう言われるような女性も悪いよな」とそう思いがちです。ルールはあってもマインドが変わらなければ、ルールはどんどん細かくなって行かざるを得ない。「これやるとハラスメントになっちゃうんじゃないか」という意識から控えるとなれば、本当の人権意識から発されていることではない気がする。「ルールがあるから気をつけなきゃ」という意識。だから、本当の意味で人権を大事にするというマインドは青少年の時代に人権問題を子どもたちと考えられる環境を作っていけるのかということだと思います。人権と表現の自由は相反するところがあって難しい部分もあります。じっくりと考えていく時期に来ているのかなとも併せて思いました。
▼ルールと創造性の両立
○テレビ朝日
今回1部と2部の議論で共通部分がありました。選挙報道で、公平・公正、質的公平性・量的公平性を考えるあまり自縄自縛に陥ることがあるでないかとの問題提起。われわれが何を基準に報じなかったか、あるいはどういう理由でこの報道をしたかということを視聴者にも説明していく必要があるのではとの提言がありました。今までは、人権とかコンプライアンスの取り組みに関しても、なるべく同業他社にも知らせないような状況がありました。問題が発生したときに、それぞれの会社が、プライバシーへの配慮は必要ですけれども、どういう事案にどういう基準で判断したのか、あるいは、伝えられない部分についてどのような議論があり、どのような苦しい判断をしたのかということも含めて、手の内を見せていくことが今の報道、また放送の信頼の回復につながるのではと感じました。そのうえでフジテレビの吉田さんに質問です。平時に研修をしても、スタッフ・記者が多忙で出席率が上がらないのですが、どうすれば自分事として心に響くのでしょうか。
○フジテレビ・コンプライアンス推進局 吉田局長
コンプライアンス研修は相当回数を重ねています。みなさんに複数回やっていただくことは本当に悩みどころです。解決策のひとつは、トップがメッセージを発信すること。先に社長の清水が100パーセント達成すると対外的に発信しました。そのうえで社内で研修・視聴の有無が確認できるシステムを利用し、見てない人に声かけするといったことを地道にやるしかないと思います。ただし、研修疲れは、どうしても起きるので、絶対に全員見てほしいという100%達成を求める研修と、より知見を深めるために知識を広げる講義型の研修など、研修にも種類があっていいと思っています。
○放送人権委員会 廣田委員長
放送局における「ビジネスと人権」の問題は、他の企業と異なる特殊性があります。放送は人権と抵触する要素を持っていて、報道は名誉やプライバシーとの抵触があります。そのため、人権擁護の意味、放送の存在意義をきちんと考えないと、肝心の伝えることに萎縮や躊躇が出てしまう可能性は否定できないと思います。放送局において「ビジネスと人権」を考えるときは、視聴者、社会に対して何をすべきか、何をしなければならないのかを考えてほしいと思います。
もう1つが広告です。フジテレビの問題でCMが中止になりました。私は広告の仕事をしていたこともあり衝撃でした。「ビジネスと人権」において、スポンサー企業は局と取引関係にある以上、局での人権の問題についても責任を負っています。しかし、それが即座のCM中止でよかったのか。国連の指導原則において、取引関係の中止は最終手段とされます。その判断に至る前に、救済是正を促すための影響力の行使が必要とされています。こうした点は、他の報道機関が問題提起をしてもよかった。また、スポンサーの影響力行使といっても、番組内容への介入はしてはならない。放送局・新聞社などに対する「ビジネスと人権」は非常に特殊性があることを、スポンサーにも社会にも理解してもらう必要があります。関連して、自分の考えと違うであるとか、自分が支持する人を批判する番組に対して、「一番効くのは、スポンサーに抗議してCMをやめろということだ」と言って、連絡先を掲示して煽るネット上の言説があります。誹謗中傷対策だけでなく、「キャンセル・カルチャー」にもどう対応するのか。放送局という特殊な業態における「ビジネスと人権」をみんなで考えていきたいです。
○放送倫理検証委員会 小町谷委員長
かつては報道対象者の人権が問題提起されていました。今、出てきているのは番組出演者、あるいは社内や委託会社の制作者の人たちに対する人権です。報道対象者については、例えば犯人視報道であったり過剰な報道があったりして、三浦和義さんの悪性強調みたいなのが報道された。そういう点はいろんな経験を積まれてよくなってきているという印象を受けています。大きな刑事事件は社会の関心事でもあり報道するのは重要です。注意しなければいけないのは悪性を強調しないことかなと思います。番組出演者については時代によって笑いの世界のイジリ方が変わっているので、かつての感覚で作っていいのか日々考えなければいけないと感じます。制作者間の関係はパワーハラスメント・セクシャルハラスメントが特に重要になると思います。無意識に自分では気がつかない人権侵害「アンコンシャス・バイアス」もあります。自分をその人の立場に置き換えるだけで視点が変わって考えることができます。人権・コンプライアンスと創造性、あるいはジャーナリズム性は、私は両立すると思っています。
<3委員長あいさつ>
○青少年委員会 吉永委員長
先ほどのお話でも触れられましたが、いろいろな問題が起きたときに1社が単独で対応するということがこれから先はなかなか難しい。問題が起きたときに1社で抱え込むのではなく各社がそれぞれに培った知恵とか工夫とかを共有して放送というものを守っていかなければならない。そういう時代に入りつつあるのではないかと思います。きょうは多くの局の方と、新聞社の方も取材でいらしている。テレビ・ラジオ・新聞は既存メディアとしてひとくくりにされてなかなか認めてもらえない時代になってきていますが、これから先の連帯に向けてひとつの機会を提供できたならばよかったと思っています。
○放送人権委員会 廣田委員長
放送局の方が系列の枠を超えて問題意識を共有して話し合うということはなかなかないことではないかと思います。私も大変勉強になりました。本当に大変な変革期、分岐点にあると思いますが、放送が伝える確かな事実·情報は、あらゆる人権の根源となる自由と民主主義を支えています。エンターテインメントは生きることを支えています。どんなときでも、ご自分たちの使命、存在意義に自信を持って取り組んでいただきたいと思います。人権委員会はみなさんが関係を持ちたくないと思っているところだと思いますが心から応援しています。
○放送倫理検証委員会 小町谷委員長
いろいろな問題点を共有でき議論ができて幸せでした。政治報道についてひと言だけ申し上げます。今年は新選挙報道とか選挙報道元年とか言われています。それは喜ばしいことでこのまま続けていただきたいと思います。政権の枠組みはこれから決まりますが放送局·放送界として質的な公平性が重要だということをそのまま維持していただきたい。国民にとって政治報道の重要度はここ数十年で最も高くなっているかもしれません。これまで以上に豊かな報道をされることを希望しております。
【事後アンケートから】
意見交換会終了後、参加者にアンケートへの協力をお願いし、37人からご回答いただいた。その一部を紹介する。
以上
BPO・放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、2026年度「中高生モニター」を下記の要領で募集します。モニターには、毎月1回、様々なジャンル(ニュース報道・ドラマ・バラエティーなど)の番組をテーマに、率直な意見や感想を送ってもらいます。報告は、青少年委員会の議論の参考となり、各放送局にも送られます。また例年夏休みなどに実施する「中高生モニター会議」では、放送局見学や、モニターと委員との意見交換会などを行います。モニターの任期は1年です。
【任期】 2026年4月~2027年3月
【応募条件】
(1) 上記の任期中、中学1年生から、高校3年生までであること
(2) 保護者の同意を得ていること
(3) テレビやラジオに関心があり、月1回放送に関する意見を報告できること
※上記に加えて、青少年委員会が実施するアンケート調査等に協力していただく場合があります
【募集人員】 30人程度
①郵送での応募
専用の応募用紙に氏名・住所・年齢・学校名・電話番号・メールアドレス(ある方)・「モニター応募の理由」など必要事項をお書きいただき、必ず保護者が署名および押印を行ったうえで、以下の宛先までご郵送ください。
応募用紙(PDF形式)は、ここをクリックしてプリントアウトしてください。
②ウェブサイトからの応募
応募用のページから、①と同様の必要事項を記入し応募してください。その際も必ず保護者の同意を得てからお申し込みください。なお、応募用のページに不具合が発生した場合は郵送でご応募ください。
※いただいた個人情報は、モニター申込みに関する受付確認やモニター運営業務のために利用いたします。ご本人の同意なく目的外で利用したり、第三者に開示したりすることはありません。
【応募締切】 2026年1月23日(金) ※当日消印有効
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館7階
BPO・青少年委員会 中高生モニター係
【採用決定】
採否については、2026年3月下旬までにご連絡します。
【報告への謝礼】
月々のリポート提出者には、毎月図書カード1000円分をお送りします。
【報告の公表】
毎月送っていただくモニター報告は、BPO会員の各放送局に送られるとともに、BPOウェブサイト等に概要を公表します。
以上
放送倫理・番組向上機構[BPO]の放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、青少年の育成に資する放送の在り方について、一般視聴者から寄せられる意見などをもとに話し合いをしています。しかし、一般視聴者から寄せられる意見を年代別に分類すると、青少年からの意見が大変少ないのが現状です。そこで、青少年のテレビ・ラジオに関する考え方や、番組に対する意見を知り、より良い番組作りにつなげるため、2006年4月「中高生モニター制度」を設けました。
毎年、全国の中高生30人前後をモニターに選出し、月に一度、様々なジャンル(ニュース報道・ドラマ・バラエティーなど)の番組について、率直な意見や感想を報告してもらっています。中高生モニターのみなさんの「声」は、概要をBPOウェブサイト等に掲載するほか放送局にも送付し、制作現場に伝えられ、番組作りの参考にしています。
※募集についてご不明な点がある方は、BPOに電話でお問い合わせください。なお、お問い合わせの際は「2026年度中高生モニター応募の件です」とお話いただくとスムーズです。
(03-5212-7333/受付時間は平日10~12時・13時~17時/留守番電話対応になることがあります/12月26日~1月4日は休止)
第284回-2025年11月27日
2025年11月27日、第284回青少年委員会を沖縄県那覇市のNHK沖縄放送局内会議室で開催し、吉永みち子委員長をはじめ7人の委員全員が出席しました。
議事では、10月後半から11月前半まで1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
11月の中高生モニター報告のテーマは「今の自分が『心の底から笑える(楽しめる)』と思う番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。
10月後半から11月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
幼児向け教育番組の挿入歌について視聴者から「歌詞やアニメーションで、アフリカという大陸を一括りにしたうえ、腰みのだけの男児を中心に半裸を含む人々が動物と踊っていた。(国の)開発が進んでいないことを想起させる差別的な内容だ」との意見がありました。
担当の委員は「アメリカ先住民についても、鮮やかな衣装を身にまとい鳥の羽を頭につけてという典型的な描き方がされることがある。(歌のアニメでは)開発が進んでいないという、差別的とまでは言えなくても、ステレオタイプの描き方の傾向は感じられる。上半身裸で未開というイメージを与え得るこの男児の映像をアフリカの人たちが見たらどう感じるのだろうかと思う」と説明しました。
ある委員は「歌詞で『アフリカには』とひと言でまとめているのは文化に対する粗さというか、ずさんさを感じる。私が番組担当者なら『考え直そう』という内容だ。グローバルとか多様性が主張されるのであれば、それに合わせて幼児番組もそうなっていくべきだろう」と指摘しました。
一方、ほかの委員からは「さまざまな文化や民族があることを考えれば、『こうした映像をテレビに出してはいけない』とするのは、むしろ視野を狭めるし多様性を淘汰することになると感じた」との見方も示されました。
さらに別の委員も「この歌詞の解釈に対して委員会として論評するのは踏み込みすぎという印象だ」と述べました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。
11月のテーマは「今の自分が『心の底から笑える(楽しめる)』と思う番組について」で、25人から合わせて18番組の報告がありました。視聴方法はリアルタイム視聴が10人、アプリ(TVer、NHK ONEなど)やオンデマンドを利用したタイムフリー視聴が6人、録画・録音が8人、回答なしが1人でした。
複数のモニターが取り上げた番組は『火曜ドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」』(TBSテレビ)、『世界の果てまでイッテQ!』『月曜から夜ふかし』(いずれも日本テレビ)、『アメトーーク!』(テレビ朝日)、『新しいカギ』(フジテレビ)の5つです。
「自由記述」にはテーマに関する意見のほか、特定の番組や放送局への要望・意見が複数寄せられました。
「青少年へのおすすめ番組」では『沼にハマってきいてみた「生放送 ハマってHAPPY!あのハマったさんどうなった?SP!」』(NHK Eテレ)と『人生が変わる1分間の深イイ話2025秋SP』(日本テレビ)にそれぞれ5人から、『~地球を笑顔にするTV~噛みしめTIME,』(TBSテレビ)に4人から、『野原ひろし 昼飯の流儀』(BS朝日)に2人から感想が届いています。
【今の自分が『心の底から笑える(楽しめる)』と思う番組について】
『NHKのど自慢』(NHK総合)
ザッピングしていると番組を放送していて、しばらく見ていると思いがけず声を出して笑いました。すごく地味な人が歌いながらはじける姿に、笑いを通り越して感動すら覚えます。見た目とのギャップがすごい。歌を唄って感謝が伝わるのか、私には理解することは難しいですが、感極まって泣いている出演者や家族の姿を見て、もらい泣きする場面が何度かありました。「こんな家族を築きたい」と素直に思いました。(中学3年・男子・北海道)
『夜ドラ「ひらやすみ」』(NHK総合)
母に面白いよと勧められて視聴しました。思わずクスっと笑ってしまうようなほっこりとした笑いがあるドラマです。一番のお気に入りシーンは、ヒロト(岡山天音)の親友ヒデキ(吉村界人)に子どもができた時に、ヒデキが「もう今のように会うことはできなくなるかもしれない」と告げたあと、ヒロトが「元気な赤ちゃんが産まれるといいなあ」とワクワクしながら帰宅するシーンです。相手の幸せを願うことでいっぱいになるのはいちばん素敵な考え方だと思います。これから生きていくうえでのヒントがたくさん詰まっているように感じ、笑えるだけでなく学びにもなるドラマでした。(高校2年・女子・東京)
『LIFE!「マーベラスSP」』(NHK総合)
お笑い番組はフリートーク多めだと疲れてしまい、当たりはずれが多い印象で、最近は視聴する機会が少なくなりました。この番組は新作を含め過去の人気のコントも見ることができるので、視聴者の目線に立った番組作りをしていると感じます。今回は天海祐希さんが出演するので一層楽しみにしていました。どのような役もこなせる俳優さんですが、コントでもドラマを見ているような本気度で、こちらも入り込んで見てしまいました。(中学1年・女子・東京)
『ニノなのに』(TBSテレビ)
「スマホなしで目的地に行けるのか?」という企画に興味を持ちました。最も印象に残ったのは最終的にZ世代が勝利したことです。「地図は読めるはず」という昭和代表のプライドと、「スマホがないと無理だ」と戸惑うZ世代のギャップが笑えました。(高校1年・男子・神奈川県)
『ハマダ歌謡祭★オオカミ少年』(TBSテレビ)
浜田雅功さんとゲストの会話がおもしろいです。歌っている人以外の出演者も一緒に歌ったり手拍子や合いの手を入れたりして盛り上がっている姿は見ていて心から楽しめます。曲名が出た時に「この曲は歌える」「この曲は知らない」と家族で盛り上がりながら楽しめて良いと思います。(高校3年・女子・徳島)
『ひらめけ!うんぴょこちゃんねる「のん子★はま子アイドルデビュー曲!お披露目SP」』(TBSテレビ)
男性アイドルグループのWEST.が好きで、そのうちの2人が女装して小学生の姿になり、全力でデビュー曲を披露しているところがとても可愛くて面白かったです。また「うんぴょこアプデ委員会」の企画でもメンバー7人が全力でゲームに挑戦していて、今回の「フェイスチャーゲーム」は顔の表情だけで仲間にお題を伝えるもので、周りの笑い声につられて笑ってしまいました。(高校2年・女子・埼玉)
『Golden SixTONES』(日本テレビ)
もともとSixTONESをよく知りませんでしたが、たまたまテレビをつけたタイミングで放送していた初回があまりに面白かったので、そこから毎週視聴しています。日曜の夜はいつも番組を見ながら母と爆笑しています。視聴者も一緒にゲームできるのがとっても楽しいです。SixTONESはみんなノリが良くておもしろく、その発言に対してスタッフのツッコミのように真面目風なテロップが表示されるのもさらに笑いを誘います。(中学2年・女子・東京)
『笑点』(日本テレビ)
今の時代は目立って面白い企画があまりなく、「パクり」ではなくオリジナルを出してほしいと感じている。この番組に興味を持ったのは祖父母の影響で、落語家たちの個性が際立っており、ものまねする人、毒舌な人、天然な人など多岐にわたるキャラがあって見ごたえがある。おじいちゃんたちの話を聞いているようでとてもほっこりするし、日本の伝統文化を落語家の得意分野「大喜利」として世に発信していく番組も面白いなと思う。(中学3年・女子・山梨)
『timelesz ファミリア』(日本テレビ)
新旧メンバー関係なく盛り上がっている様子は、一緒に声を出して笑えておもしろいです。足の引っ張り合い方も、メンバーの良いところを引き出しいる感じの声かけで応援したくなります。番組が30分と短いためスピード感がありテンポも良く、アットホームで雰囲気が良いです。(高校3年・女子・長崎)
『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日)
野木亜紀子さんの脚本だったので視聴し始めました。設定が突拍子もなく変で、“人助け”の内容もすごく小さなことですがそこが面白く、家族と一緒に笑いながら見ています。また所々に謎めいた発言があって、家族で考察するのも楽しいです。ハラハラするシーンもありますが同時にユーモアもあって、ドキドキ・ハラハラが苦手な弟も一緒に見ることができています。このようにうまくバランスを整えることを他の番組でもぜひやってほしいです。(中学2年・男子・群馬)
『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)
「記憶忍者隊 マッサマン」の企画が好きでいつも視聴しています。聞いたことのない単語を、独特のゴロ合わせで覚えようとするところが面白いです。ヒーローでありながら初戦で負けてしまう展開が“やらせ”のない感じでいいなと思います。(中学1年・男子・大分)
『土曜プレミアム・全国ハモネプ大リーグ2025~アカペラ日本一決定戦~』(フジテレビ)
母が毎回視聴していて自分も一緒に見るうちにファンになったので、今回も視聴した。惜しくも優勝を逃した「The Boogie City」の「Thriller」のパフォーマンスが一番印象に残っている。人間の声だけで生み出される美しいハーモニーと、バンドさながらの迫力あるサウンド、そして出場者の情熱がすごく伝わってくる所に毎回とても感動する。(中学2年・男子・東京)
『酒のつまみになる話』(フジテレビ)
毎週欠かさず視聴していて心の底から笑える大好きな番組です。自然と疲れが取れていくようで日々の楽しみになっています。トークテーマについて出演者のみなさんが自由に深めていく様子を一緒に楽しめるのが魅力で、「自分ならどう答えるかな」と考えるのもこの番組ならではの面白さです。番組がなくなってしまうのはとても寂しいです。(高校3年・女子・広島)
【自由記述】
<今月のテーマに関する意見>
<特定の番組に関する意見>
『NHKスペシャル「臨界世界-ON THE EDGE-走線者 亡命か送還か』(NHK総合)を視聴しました。中国共産党に狙われた人々が南米からアメリカに徒歩で入国し、亡命裁判を受けるドキュメンタリーでした。こんなことが現実に起こっていると知ることができて良かったです。このような番組に出会って新たなことを知ることができるのはテレビの良いところだと思うので、このようなドキュメンタリーをもっと放送してほしいです。(中学2年・男子・群馬)
県外の大学へ進学した姉は、当時『ラヴィット!』(TBSテレビ)に支えられていました。『ラヴィット』は一人暮らしを応援する番組なのだなと思います。私も姉のおすすめのラッピーに会ってみたいので、長崎へ遊びに来てほしいです。(高校3年・女子・長崎)
日本テレビの『良いこと悪いこと』とその後に続く『with MUSIC』のつなぎがおもしろく、リアルタイムならではの楽しさがあることを改めて感じました。(高校3年・女子・広島)
『DAN!DAN!EBiDAN!』(テレビ東京)のイベントグッズを提案する企画で、グッズに値段をつけるまではいいですがそれを買うであろうファンが見ている番組なのに「もっと取れる」「もっといける」など荒稼ぎを思わせるような発言はいかがなものかと思いました。(高校1年・女子・熊本)
短い時間ですが、最近ラジオを聴く機会があります。『ONE MORNING』(エムエム東京)のユージさんと吉田明世さんのやり取りにクスっと笑ったり、映像を見なくてもイメージできるCMはすごいと感心したりしています。(中学1年・女子・東京)
『ベストヒット歌謡祭2025』(読売テレビ)で、楽しみにしていたグループの音と口の動きがずれていて「口パクなのかな?」と思いました。テレビで見ているファンも残念だったと思います。(中学2年・女子・千葉)
『さらば青春の光の青春ジャック』(テレビ愛媛)が私の学校に撮影にきました。親が毎週欠かさず見ていて、まさか我が校に来るとは思っておらず驚きました。私のクラスでインタビューしたので、もしかしたらテレビに映るかもしれません!愛媛の高校生だけにフォーカスする番組があるのはとても嬉しいです。学生も飽きずに見られるし、他校との違いを見比べることもできて面白いです。(高校1年・女子・愛媛)
<放送局への要望や意見>
日本シリーズとワールドシリーズが同じ時期にありましたが、スポーツニュースではドジャーズが出場したワールドシリーズばかり放送されていました。日本シリーズの結果や選手たちの活躍をもっと放送してほしかったし、日本で活躍している日本人選手にもっと注目してほしいです。(中学1年・男子・大分)
私はトーク系の番組が大好きですが、高校生になってからすごく役に立っています。遊ぶといえばひたすら“おしゃべり”ですが、テレビを見過ぎているおかげで異常にテンポのよいおしゃべりをしています。オーディションなどで選ばれた高校生がひたすらおしゃべりする番組を制作してほしいです。(高校2年・女子・東京)
新しい政治番組についての提案。現在SNSで切り抜きが多くある「インフルエンサーがテレビ出演する」「影響力のある若い人がガツンと言う」「理解しにくい部分がとても分かりやすく説明されている」「討論する」要素を中心に政治番組をつくれば、SNSから番組を知って視聴する人が増えると思う。(高校1年・女子・岡山)
それぞれの都道府県でしか放送していない番組を北から順に全国に向けて一週間に1度くらい放送すれば、その魅力を発信できると思う。(中学1年・男子・福島)
「地球を笑顔にする広場2025秋」のイベントで、東京・赤坂のTBS放送センター見学ツアーに参加しました。テレビ局内を見学できるイベントはかなり少ないですが、テレビ制作の裏側を知って番組をより身近に感じることができるので、もっと増やしてほしいです。(中学3年・男子・東京)
番組内での炎上発言が最近多いように感じるが、炎上は防げないのだろうか。生放送でなければ修正はきくはずだし、テレビ局側もNG言動などを原稿のように用意していればよかったのではないか。裏方とタレント双方で話し合い、「誰でも楽しめる」をモットーとした番組作りをすることを望んでいる。(中学3年・女子・山梨)
<その他>
ニュースで高市早苗総理大臣の所信表明演説を聞いていて、野次が大きすぎて何を言っているのか分かりませんでした。字幕があって何とか内容を理解しましたが、どうして最後まで黙って話を聞けないのかと、国会議員たちを情けなく思いました。(中学3年・男子・大分)
日本テレビの菅谷大介アナウンサー死去のニュースについて。先日視聴した『シューイチ』(日本テレビ)では岩田絵里奈アナウンサーがこのニュースを伝える際に涙ぐんでいて、『ZIP!』(日本テレビ)でも水卜麻美アナウンサーも涙していたそうです。アナウンサーたちが実際に泣いているところを見て、改めて人の温かみを感じました。最近はAIがテレビ業界にも進出してきていますが、やっぱり人間がやっているのだと思うと少し安心します。(中学2年・女子・東京)
ここ数年でメディアに対するネット上の声の存在意義が分からなくなったと感じる。たとえばメディアが政治について何か取り上げると、ネットでは何かとメディアを敵扱いし、何がどんな理由で印象操作なのか偏向なのかも示さずに、無責任にメディア批判をしていておかしいと思う。(高校3年・男子・福島)
【青少年へのおすすめ番組】
私のように数回だけしか視聴したことのない人でも楽しめるような回だった。生放送で出演者とリアルタイムで共有できるところも注目ポイントだと思う。ハマったさんや芸能人からメッセージが届いてすごくほっこりする番組だと思った。新しい沼も知ることができてとても楽しかった。(高校2年・女子・埼玉)
『人生が変わる1分間の深イイ話2025秋SP』(日本テレビ)
いつも見ていた『深イイ話』が久しぶりに復活すると知って視聴しました。特に「アンパンマン」の裏側に密着するというテーマに惹かれました。作品に関わった人たちの想いや姿勢を知って、思いやりの心を届けるための信念が込められていることが分かりました。(高校1年・男子・神奈川県)
『あぐり王国北海道NEXT』(北海道放送)
北海道のごぼうは十勝産が多く、清里産はマイナーです。そんな清里町とマイナー野菜のごぼうにスポットを当てたことに番組のこだわりを感じました。収穫体験を通して農業と食を考える、奥の深い教養番組だと思います。さっそくスーパーに走りましたが、十勝産のごぼうしか売っていませんでした。(中学3年・男子・北海道)
『第104回全国高校サッカー選手権大会群馬県大会 決勝』(群馬テレビ)
サッカーが好きなので視聴してみました。実況が聞きやすく楽しく見ることができました。優勝のテロップの色が芝に少し似ていて見づらかったことが少し残念でした。(中学2年・男子・群馬)
『野原ひろし 昼飯の流儀』(BS朝日)
CGの奇抜なダンスやシュールで愉快なオープニング・エンディング映像がネットの動画投稿サイトで話題になっていて番組を知った。基本アニメーションだが、メインとなる料理だけは実写映像が用いられているのが視覚的に新鮮で面白い。1つのエピソードが短く手軽に視聴でき、深夜放送ではあるものの子どもから大人までの多くの人に親しまれる番組だと思う。(高校2年・女子・神奈川)
『第一芸人文芸部』(BSよしもと)
最近ゆっくり読書ができずにいた私にとって、実際に読破したような気分になる番組で終始楽しく視聴した。BKB(バイク川崎バイク)さんや銀シャリの鰻和弘さんが、普段どんな本をどんな時に読むのかを聞くことができて嬉しかった。紹介も簡潔で分かりやすい。最後に「どの本を読んでみたいか」投票の結果発表があったが、誰がどのタイミングで投票したのか知らないまま見ていて、エンディングでいきなり結果が出てきて少し驚いた。(高校1年・女子・秋田)
『交通安全ココワンTube♪』(愛媛朝日テレビ)
今回初めて視聴し、2分少しなので気軽に見ることができました。「伊予の早曲がり」の特集で、右折車が直進車を待たずに進むことを指すそうですが、この状況になったことが何度もあります。普段の通学は自転車ですが、歩行者・自転車側も十分に安全を確保したいと思いました。(高校1年・女子・愛媛)
【今の自分が『心の底から笑える(楽しめる)』と思う番組について】
今回、数人のモニター報告に共通点を感じた。『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)についての報告に「“やらせ”のない感じでいい」とあったが、どうも若者は「誇張しすぎている」「わざとらしい」ところが気になるようだ。また『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)の報告にも「事実っぽいことを伝えていた」とあり、『LIFE!「マーベラスSP」』(NHK総合)の報告にも出演者の「本気度」を評価している部分があった。出演者の反応にわざとらしさを感じると白けてしまうことはあるが、中高生は敏感に反応するのだろう。
『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日)について中学2年生から「家族で考察できるのも楽しい」「ドキドキ・ハラハラが苦手な弟も一緒に見ることができる」と報告があったが、家族で視聴できるこういった番組はこれから必要だと思う。先日、小学校・中学校・高校の先生との意見交換の場で「いま子どもたちに興味を持たせないと、テレビを視聴する世代がいなくなってしまう。テレビでしか見られないような、信頼できて安心できるコンテンツが必要だ」という話があった。家族で一緒に考えながら視聴すると、子どもが将来テレビを見続ける可能性が高くなるだろう。「やらせ感のない、安心して信頼できる番組」がポイントなのだと思う。
今月のテーマは中高生がテレビをどう見ているのかがよくわかるテーマだった。「やらせがないからいい」「事実っぽく見える」という報告には「テレビはやらせなのか」「テレビは事実を伝えていないのか」という根源的な疑問がさりげなく出てきていて面白い。また「普段は笑いを求めてテレビを見ていない」という報告もあったが、「では何を求めてテレビを見ているのだろう」「求めるものがないからテレビを見なくなったのか」という問いが頭に浮かぶ。テレビに対する中高生のクールな面も見えつつ、撮影隊が学校に来ると「映るかもしれない!」という期待も残っていたりと、テレビに対する微妙な中高生の位置取りが見え隠れして非常に面白かった。
【自由記述について】
『さらば青春の光の青春ジャック』(テレビ愛媛)について高校1年生の報告に「親が毎週欠かさず見ている」とあったが、このフォーマット自体が親世代に刺さるのだろう。ホームページには「青春バラエティー」と紹介しており、おそらく『学校へ行こう!』(TBSテレビ・1997年~)や『新しいカギ』(フジテレビ)とも通じるところがあるのだろう。親から子へ継承されているところにも意義があると思う。
高校3年生のモニターから「日本テレビの『良いこと悪いこと』とその後に続く『with MUSIC』のつなぎがおもしろかった」と報告があった。調べてみたところ、ドラマのストーリーが次の音楽番組にそのままつながる仕掛けになっていて、こういったところを若い世代がしっかりと見て評価していることがよく分かった。
次回は2025年12月23日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。
以上
クマによる死傷事故や駆除のニュースに対して多くの意見が寄せられました。
2025年11月にBPOに寄せられた意見の総数は、3,321件で、先月から115件増加しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 90.9% 電話 8.1% 郵便・FAX 0.9%
男女別は、男性 37.7% 女性 39.0% 無回答 23.3%で、世代別では10代 3.8% 20代 18.2% 30代 20.2% 40代 19.7% 50代 15.6% 60代 8.6% 70歳以上 2.6%
視聴者意見のうち個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。11月の個別送付先は23局で意見数は1,767件でした。放送全般に対する意見は170件でその中から12件を選び会員社すべてに送りました。
連日続くクマの出没と死傷事故などの被害、捕獲、駆除の報道に対して多くの意見が寄せられました。ラジオに関する意見は48件、CMについては7件でした。
2025年11月中に青少年委員会に寄せられた意見は76件で、前月から51件減少しました。
今月は「要望・提言」が29件と最も多く、次いで「表現・演出」の27件、「報道・情報」の15件などが続きました。
クマの出没する地域に住んでいるが今近くに現れるかもしれないと思いながらも、クマ駆除のニュースを繰り返し放送されると心理的に参る。子どもたちはどんな思いで報道を見ているだろうかと胸が痛む。
クマ駆除のニュースが連日続く。被害拡大を防ぐために出没した場所や駆除した結果を報道するのは大切だが、猟銃の発砲音を含め生々しい映像を繰り返し使われると違和感を覚える。
朝の情報番組でゲストのタレントが「今はもう動かないおじいさんにトドメ」と替え歌を歌った。高齢の人やその家族をはじめ多くの視聴者に不快感を与えるだろうということを想像できないのだろうか。
若手タレントの不適切な替え歌について、台本通りだったとしたら番組の責任は大きいし、生放送ゆえのアドリブだったとしても事前の打ち合わせを入念に行っていれば防げたのではないかと思った。
情報番組で台湾有事に関する首相の答弁に対する批判を紹介する中で、コメンテーターの落語家が「あなたがた日本人じゃないの?という気すらする」と発言した。発言は切り取られてネットなどで騒ぎとなった。番組での発言は真意がしっかりと伝わるように言葉を尽くすべきだと思う。
性犯罪の報道においては手口の詳細な描写はできるだけ控えるよう配慮を求めたい。性被害にあった人の心的負担や年少者への影響を考えていただきたいと思う。
殺人事件の被害者について生前の暮らしや交友関係などを根掘り葉掘り報道するのはいかがなものだろうか。亡くなった人のプライバシーについて報道機関はもっと配慮すべきだと思う。
無作為番号抽出の電話アンケート。特殊詐欺など防止の観点から見知らぬ番号には出ないようにと呼びかけているのだから、テレビ局が世論調査に使用するのは矛盾していないか。
芸能人をレギュラー出演者に起用するニュース・情報番組が多すぎると感じている。芸能人のコメントが本当に必要なのかどうか番組を作る人に改めて考えていただきたい。
日本の放送局はどこも同じ話題ばかりを取り上げる。二刀流メジャーリーガーの報道一色だと思っていたら今度はクマのニュースばかりだ。各社が個性、オリジナリティーを発揮してほしい。
平成時代のニュース番組では迫力やインパクトを重視して恐怖や不気味さを煽るようなBGMが多用されていた。しかし令和の今視聴者が求めるのは優しさ、柔らかさを感じる映像とBGMではないかと思う。
クイズ番組が好きだが今は芸能人によるクイズ番組ばかりだ。一般人が参加するクイズ番組を作っていただきたい。
出演者に対する誹謗中傷に対しては毅然とした対応で臨むとする放送局が現れた。視聴者聴取者にとっても安心できるメッセージだと思う。他の放送局にもこうしたアクションが広がることを期待したい。
子ども向け特撮ドラマに出演する19歳の女性俳優が飲酒していたことがわかって降板したが、周囲の共演者や番組スタッフがきちんと注意を払っていたのか。彼女だけの責任問題で終わらせないでほしい。
平日朝の情報・報道番組で、ゲストの男性アイドルが「一発芸」を求められ、童謡の替え歌で「いまはもう動かない おじいさんにとどめ!」と歌いながらカメラに殴りかかる演技をした。子どもからお年寄りまでが見ている番組で披露するのは非常に不適切だ。
バラエティー番組冒頭のコーナーで、外国に群生するランの花びら1枚をアップで見せたが、その形状が裸の男性が性器を露出した様に似ているとして、出演者らが大騒ぎして男性性器の俗称を連呼していた。子どもも視聴する時間帯だが、まったく配慮が見られず不快な思いをした。
幼児向け教育番組の挿入歌。歌詞やアニメーションで、アフリカという大陸を一括りにしたうえ、腰みのだけの男児を中心に、半裸を含む人たちや動物が踊っていた。国の開発が進んでいないことを想起させる差別的な内容だった。
クマの駆除についての報道で、被害状況や注意喚起を放送するのは理解できるが、銃声やクマを駆除する映像を流すのはいかがなものか。命の大切さを教えるべき子どもたちの目にどう映るかを考えていただきたい。
テレビニュースの報道で最近、「男女の関係」や「ラブホテル」という表現を聞く。子どもも視聴する時間帯のニュースで性に関する表現が使われると家庭内で不要の混乱を招きかねない。時間帯への配慮や、適切な言い換えを検討してほしい。