2025年度「中高生モニター会議」
◆概要◆
2025年7月24日に東京渋谷のNHKで中高生モニター会議が開催されました。中高生モニター会議は中高生モニターが実際に放送局を訪れ、通常は見られない局内の見学や、番組制作者との触れ合い、委員との意見交換会など、多くの経験ができるとともにメディアリテラシーを涵養(かんよう)する貴重な場です。今後もテレビのファンとして、さらには将来のテレビ視聴者の柱となってもらえればと、青少年委員会では中高生モニター会議を毎年開催しています。
今回は今年度の中高生モニター17名と、BPOからは大日向雅美理事長と青少年委員会の吉永みち子委員長、飯田豊副委員長、池田雅子委員、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員の7人の委員全員が参加しました。
オリエンテーションのあと、モニターと委員ら参加者は4班に分かれ、NHKの局内を見学しました。『あさイチ』のスタジオ見学では、実際に出演者が座る予定のスタジオセットの椅子にモニターたちも腰掛ける体験をし、大晦日の『NHK紅白歌合戦』の会場でもあるNHKホールの見学では、その大きさと迫力に圧倒されていました。また、たくさんのモニター機器が並ぶニュースセンターの見学では、ニューススタジオの案内・説明をしてくれたのは副島萌生アナウンサー(以下、副島アナ)と森下絵理香アナウンサーで、日頃ニュース番組で見慣れた顔の二人ということもあり、中高生モニターたちの喜びもひとしおでした。 この日の昼食は局内の食堂でいただいたことも、なかなか体験できない貴重なものとなりました。
戦後80年にあたる今回は『被爆体験を伝えるVR』をテーマに中高生モニターと番組制作者との交流の場が持たれました。NHKの横井秀信チーフプロデューサー(以下、横井CP)、大海寛嗣チーフディレクター(以下、大海CD)、ニューススタジオを案内してくれた副島アナにご参加いただき、中学生のときに広島で被爆した兒玉光雄さんの被爆経験をもとに作成されたバーチャルリアルティーの映像の制作についての詳細と苦労話を聞いたのち、モニターたちが実際にVRゴーグルを覗いてこのコンテンツの視聴体験をし、質疑応答が行われました。
会議の後半は中高生モニターと青少年委員会委員との意見交換が行われました。それぞれの自己紹介のあと、まずは「戦争に関する報道・番組について考えること」「こんなテーマを扱ってほしい」「こういう番組は視聴したくない」などをテーマに、そのあとは「今のテレビ・ラジオ業界についてどう感じていますか?」「今後の放送業界について、こうあってほしい」「こうしてほしい」などをテーマに、活発な意見交換をしました。
第1部 『被爆体験を伝えるVR』制作者との意見交換会
① 番組制作の説明とVR視聴体験
○横井CP NHKでプロデューサーという仕事をしています、横井です。今日はVRを見ていただきますが、どうしてVR制作に至ったのかも含めて番組制作についてお話して、皆さんからの質問にお答えしたいと思います。この仕事に関心を持ってもらったり、視聴者の立場で放送をどうしていくかを考えていただいたりすることは、我々にとっても大事なことなので、いろいろな意見を遠慮なく聞かせてください。
【横井CP 自己紹介】
簡単に自己紹介をします。私はもう25年ぐらいこの仕事をしています。1999年にディレクターとして広島放送局に赴任し、原爆で被爆された方の番組などを制作していました。2005年に東京に来たあとは、当時はチェルノブイリ原発事故から20年たっていたのでその番組を制作するなど、割と社会的な番組を制作するようになりました。当時問題になっていた「ワーキングプア」、当時の時給は1,000円以下だったのでどんなにたくさん働いてもなかなか豊かになれない、そんな問題を取り上げました。2017年に大阪放送局に行ってからはプロデューサーとして、インパール作戦という戦争の番組や在日コリアンの番組、部落問題、今はトクリュウと呼ばれるオレオレ詐欺をやっている人たちに関する番組なども制作しました。2020年に東京に戻ってからは戦争関連の番組ばかり制作しています。
ディレクターとプロデューサーで何が違うのかというと、ディレクターは日々取材に行ったり撮影をしたり、現場に行っている人たちです。プロデューサーは番組の大方針を決めたり方向性を一緒に考えたり、番組制作の最後に「こうしたほうがもっと伝わるんじゃないか」とナレーション原稿を一緒に考えたり、割とチェックしたり確認したりする仕事です。私は2014年からプロデューサーの仕事をしています。
【番組に出演した兒玉光雄(こだまみつお)さんとの出会い】
この仕事の一番の魅力は、なかなか普段会えない人や、本当に素敵な人に出会えることです。広島にいた2005年にVRに出演している兒玉光雄さんに出会ったのは、私にとってすごく大きな出会いでした。兒玉さんは1932年生まれで5年前に亡くなってしまいましたが、孫ほど歳が離れた私と、一緒に食事したりお酒を飲んだりという付き合いがありました。NHKに入局して広島や長崎、沖縄に赴任すると、やはり原爆や戦争が大きなテーマになります。私が赴任したときは「最初に被爆者のお話を聞きに行きなさい」と上司からアドバイスを受けました。とにかく被爆者をきちんと取材をすることが最初の仕事であり、最も大事な仕事となるわけです。
兒玉さんは中学校1年生、12歳の時に広島の中学校で被爆しました。爆心地から850メートルでした。原爆は「爆風」「熱線」「放射線」によって体に3つの大きなダメージを与えますが、校舎外で熱線を浴びた同級生は大やけどを負い、爆風で校舎が倒れ、兒玉さん御自身も4,600ミリシーベルトというとてつもない放射線を浴びました。現在は一般の方は年間1ミリシーベルトが限度だとされていますが、その4,600倍の放射線を一気に浴びたわけですね。307人いた同級生のうち288人を失いました。逃げるときには「助けてくれ」と知らない女性に足をつかまれたが、どうしようもなくて振り払ってしまったと。体にもものすごいダメージがあったわけですけども、生き残った罪悪感だとか多くの負傷者を見た心の傷も、ずっと抱えて生きてこられたわけです。けれども兒玉さんは60歳ぐらいまでは被爆についてほとんど語らずに生きてきました。やっぱりそういうことを考えたくない、考えると自分の心がおかしくなってしまうので考えずに生きて、とにかく仕事を頑張ろう、次の未来を明るくしよう、と必死に頑張ってこられました。でも60歳の頃に運命が変わることが起きてしまいます。
先ほど「兒玉さんは4,600ミリシーベルトの放射線を浴びた」と言いましたが、がんが体中にできるようになるんです。兒玉さんは実に22回、がんの手術をしています。昔は60歳が定年だったので、やっと第二の人生だと思っていたらすぐに直腸がんになって、直腸がんが良くなったと思ったら胃がんになって、7年たって甲状腺がんになって、85歳で腎臓がんになって、最期は腎臓がんで亡くなりました。がんがどこかにできて移ってしまうことを“転移”と言いますが、兒玉さんのがんは転移ではなく、それぞれの場所でがんが発症していました。体中に放射線を浴びていたので、いろいろな臓器の細胞が傷ついてしまったんですね。
私は兒玉さんが70歳を過ぎたときに出会ったんですけども、兒玉さんはくよくよしたり、つらいと言ったりすることが一切ない人でした。一緒にお酒を飲もう、ワインを飲もう、おいしいチーズがある、そういうことばかり。とにかくエネルギーにあふれている方で、どうしたらこうなるんだろうと思ったんです。それが、私の人生にとってとても大きな出会いでした。
「兒玉さんの同級生307人のうち288人が亡くなった」と言いましたが、生き残った19人も早い方は高校生のときに亡くなっているし、1人は大学生のとき、1人は30代で、3人は40代で亡くなっていて、とにかくどんどん亡くなっていました。兒玉さんは自分だけが取り残されているという思いがあって、やはり同級生のことや原爆のことを伝えていかなきゃいけないと、私の取材にもすごく積極的に応じてくださったんです。それで制作したのが『被爆者 命の記録』という20年前の番組です。私自身がさらに取材をして書籍にしましたが、実はこれには悲しい経緯があって、2017年に兒玉さんに腎臓がんが見つかって私のところに電話があり「もうあと2年しか生きられないと言われたんだけれどどうしようか」と言われて、「それなら何か形に残るものを一緒にやりましょう」ということで2019年の秋に本を出すことができました。兒玉さんはその翌年に亡くなりました。
こういう方と出会って時間を共有し、いろんなことを学んだりできるというのは、この仕事の素晴らしい一面じゃないかなと思っています。
【VRの制作について】
基本的に私たちは戦争体験者の方に話を聞いて、取材をして、撮影させてもらって番組にしてきましたが、戦争体験者はどんどん亡くなってしまっているわけですよね。だから、番組の作り方を変えていかなければならない。そういった問題意識を持っていたところ「VRで戦争を伝えることができないか」という話が2023年1月に私のところにきました。しかし私は正直に言って「勘弁してほしいな」と思いました。というのも取材や考証が大変過ぎるというか、360度すべての世界を作るのはどうやるのかと。
ここからは他の番組のプロセスと一緒ですが、とにかく兒玉さんの体験がどうだったのかもう一度調べました。当時の中学校はどうだったか、中学生は何をやっていたのか、教室はどんなところだったのか、制服はどうだったか、持ち物はどうだったか、当時のプールはどういうものだったのか…ありとあらゆることを調査しました。これは面白くもあり苦痛でもあるのですが、とにかくいろいろな写真や証言を集めて立体的にしていく。それから被爆の被害はどういうものだったのか、いま一度調べるわけです。医師や、爆風の研究をしている研究者、火災の研究者、建物の研究者とかに話を聞いて調べていきます。
この取材を少し詳しく言うと、本当にただ調べる、フィールドワークみたいなものです。例えば、原爆の影響を調べるためにアメリカが原爆投下2週間前に撮影した広島の航空写真から当時の街のことを調べたり、広島一中で被爆した19人のうちの十数人が残している記録を調べて、教室で被爆前に誰がどこにいてどんな話をしていたのか全部確認していったりしました。また、美術を学ぶ高校生に兒玉さんが自分の体験を絵にしてもらったときの指示書からも、当時の様子を洗い出していきました。
そしてこの取材結果を脚本家が脚本にしてくれました。番組は一つの“ストーリー”になっていないとなかなか心に響かないのですが、今回の場合は脚本家に書いてもらいました。この“ストーリー”は“うそ”ということではなくて、ノンフィクション、事実を基にしたストーリーを作っていただくということです。それをどう映像で表現していくのかというと、「この場合は3Dカメラを使いましょう」「CGを使いましょう」「痛々しいやけどのシーンがあるので特殊メイクも必要かな」と考えていきます。去年のちょうど今頃ロケをして、撮影したものを基にどうプレゼンテーションしていくか構成して、音響を作っていって、皆さんの目の前にあるヘッドマウントディスプレーに実装して、最終的に見ることができる形になりました。
【VRの視聴】
2年かけて制作したのが、皆さんに見ていただくVRです。もちろん悲惨なものを見せたいと制作したわけではなく、苦手だという人は頑張って見る必要はありません。ただ私の思いとしては、もう亡くなってしまった兒玉さんのことを少しでも多くの人に知ってもらいたい。19分くらいありますが、ご覧ください。
② モニターからの質問
-
Q.(中学3年・男子・大分) 取材しても詳細が分からないとか、いまいち曖昧だったときは、番組の制作はどうしているのですか。
-
A.(横井CP) 実際は分からないことはたくさんあるので、勇気を持って「伝えない」ということになります。分かっている事実を伝えるのが基本なので、一生懸命取材は尽くすんですけども、分からないところはしっかりと「ここまでしか分かりませんでした」と言うことがとても大事だと思っています。歯がゆい思いをすることもありますけども、伝えないことも大事だと思っています。
-
Q.(高校1年・女子・愛知) 被爆者にインタビューするときに、気をつけていたことはありますか。
-
A.(横井CP) とても大事な質問だなと思います。被爆者の取材のときに限らず「知った気にならない」ということがとても大事だと思っています。いろいろ取材していると、いつの間にか知っているような気持ちになってしまって、大事なことを聞けないということがあります。きちっとゼロから語ってもらうというか、その人が本当に伝えたいことを聞き出す。だから質問はものすごく丁寧に、ロケの間は眠れなくなってしまうぐらい考えます。質問項目を考えて、こういう答えがあったら次はこれを聞こうとか、すごく気をつけて考えます。あらゆる取材で、人や社会はすごく多様で深くて多面性があるから、自分が見ているものは、その人のごく一部だと思うんです。だから自分自身をいさめて謙虚になって、きちっとお話を聞くことが一番大事で、また難しいことかなと思います。
-
Q.(高校2年・女子・神奈川) 取材する上で一番大変だったこと、苦労したのはどういう話題ですか。
-
A.(横井CP) 26歳ぐらいのとき、韓国の被爆者の方が取材している途中で亡くなってしまいました。それを記録しなければいけないのがとてもつらくて、この仕事って何なんだろうとか、もう辞めたいなとか思いました。それは押しつぶされそうな体験で、ずっと一番つらい思い出になっています。ですが、その韓国の被爆者の奥様がとても感謝してくださって、取材が終わった後も韓国にいらっしゃいと言ってくれて、それですぐ「明日から頑張ろう」と思えたわけではないのですが、少しずつ、自分のやってきたことにも何らかの意味があるのかもしれないなと思えて。そうしたら25年ぐらい続いちゃったという感じです。
-
Q.(高校3年・男子・福島) 戦争特番に限らず、教育とか福祉とか、見る人が少ないけれど必要な番組を日々制作していると思います。でも見てもらったり聞いてもらってなんぼじゃないですか。番組制作で心がけていることはありますか。
-
A.(横井CP) そのとおりで本当に胃が痛いです。戦争の番組って視聴率的には本当に厳しいです。僕が大学生だった頃は身近な映像メディアはほぼテレビしかなかったので見られていましたが、今はいろいろな選択肢が増えたなかで視聴されなくなっている面もあります。人が亡くなるシーンでは「もう見たくない」となることもあるので、そこは本当に工夫しなければいけないところだと思います。もう一つ、NHKの役割は “記録” です。今インターネットで「証言アーカイブス」を公開していて、そこには無数の戦争体験者のインタビューがそのまま収められていますけども、ほぼ全員亡くなっていてもう二度と撮れません。それをきちんと記録する務めもあると思っています。私はいろんな番組があっていいと思っていて、ドラマやアニメのように見てもらうことを大事にする番組もあれば、記録番組もあるし、その中間もあると思います。そういう番組を多様に放送していけたらいいなと思っています。
<NHKアナウンサーへの質問>
-
○NHK担当者 本日ニューススタジオの案内をした副島萌生アナウンサーにも、質問があればどうぞ。
-
Q.(中学3年・男子・大分) テレビに出演するときは全国の人が見ているから緊張すると思いますが、緊張はどうやってほぐしていますか。
-
A.(副島アナ) やはりアナウンサーも緊張します。「緊張しないように」と思うと余計緊張するので、「私はいま緊張しているな」と受け入れているうちに、少しずつその空気に慣れていく…という感覚が近いです。
-
Q.(中学2年・女子・東京) アナウンサーはニュースや台本を事前にチェックして覚えるのですか。
-
A.(副島アナ) 『NHKニュース7』の放送前には、パソコン上にある原稿をチェックはしますが、実際に原稿が紙でスタジオに入ってくるときには変わっていたり、増えていたり、初めて見る原稿もあります。『ニュース7』では基本的に原稿を覚えて話すことはなく、今日のスタジオ見学で紹介したプロンプター(アナウンサーをカメラ目線で撮影するために、カメラレンズの前に設置したガラス板に文字を表示させる装置のこと)に映っている原稿を読みます。一方で、例えば中継でアナウンサーが特産品を紹介するときのコメントなどは、自分で覚えて話していることがほとんどです。
-
A.(横井CP) 『ニュース7』は、アナウンサーの手元に原稿が届く放送ぎりぎりまで制作をしているケースが多いです。
-
A.(副島アナ) アナウンサーは2人いますが、1人が読んでいるときにもう片方が次の原稿読んで、読んだらまた次の原稿、と。事前に1本も読まないでスタジオに入ったこともあります。
-
Q.(中学2年・女子・千葉) アナウンサーの仕事でやりがいを感じるときはどんなときですか。
-
A.(副島アナ) ディレクターも同じだと思いますが、世界が広がるなと思うときです。私は青森出身ですが、九州の大分県に赴任して、その後名古屋に行ってと、それまで全く縁もゆかりもないところに行って「日本にはこういう文化があるんだ」と知りました。またスポーツキャスターを5年ぐらい担当してスポーツをすごく好きになりました。自分が知らなかった世界に触れたときに、自分の人生が豊かになっているなと感じることがあって、それを見てくださる人にも共有できたらいいなというところが、またやりがいになっています。
-
Q.(中学3年・男子・東京) NHKは記者もアナウンサーも地方局に何回か転勤するイメージがあります。転勤が多い仕事をプラスに受け止める人もいればマイナスに受け止める人もいますが、NHKにどういった心構えで入局したのかを知りたいです。
-
A.(NHK記者) 仕事を通じてその地域を詳しく知ることが結構あって、出身地よりも赴任した土地のほうがより深く入れて面白いなと感じます。東京で大きな仕事をしたいという気持ちもありますが、地方の現場でより深く仕事したいという思いがありました。
-
A.(副島アナ) そこまでの心構えはなかったかもしれないというのが正直なところですね。でも地方局に赴任して感じるのは今の話にあった通りです。私は青森県弘前市出身で弘前市のことは知っているけど、青森県全体については深くは知らない。でも赴任先の大分県は全市町村へ行ったことがあって、おそらく青森のことよりも深く知っています。全国各地の情報を伝えるなかで、大分だったり東海地方だったり、少しでも馴染みがある場所のニュースはキャスターとして感想を伝える際など親近感を持って伝えられる部分もあります。全国のニュースを届ける上でも重要だと思っています。
-
○NHK担当者 制作者との交流はこれで終了です。
第2部 BPO青少年委員と中学生モニターとの意見交換会
【テーマ1】「戦争に関する報道・番組について考えること」
-
○飯田副委員長 ここからはモニターの皆さんと我々委員との意見交換会です。最初のテーマ「戦争に関する報道·番組について考えること」に関して、皆さんが考えていることをお聞かせください。
-
○(高校1年·女子·愛媛) 戦後80年たって今の日本には戦争はないけれど、一歩世界に出たらまだ戦争を続けている国があるから、日本だけでなく世界でお互いに多様性を認めた上で「戦争をしても何も得るものはないし、失うものの方が大きい」としっかり理解するのが大事だと思います。私の母方の曾祖父は戦争を経験していますが、30代の前半に亡くなった過去があるので、なおさら戦争はよくないという気持ちが強いです。戦争をしても得るものがないことを全世界が共通して理解しておかないと、戦争はなくならないと思います。
-
○(高校3年·女子·広島) 私は広島の高校に通っていますが、出身は兵庫県です。
-
○飯田副委員長 広島の高校に通うようになって、雰囲気の違いなどは感じますか。
-
○(高校3年·女子·広島) 小学校とか中学校のときに原爆資料館に行った子が多かったり、価値観が少し違ったりするなと感じます。
-
○飯田副委員長 山縣先生は広島県出身ですね。
-
○山縣委員 私の父親は被爆者です。私は被爆二世で高校生の頃まではずっと健康診断を受けていましたが、他人事というか、もう戦争は終わっているという感じでしたから、被爆二世だという実感はあまりなかったです。広島でも「戦争に関する生々しいものを映像で見たくないから文字だけにしてよ」派と、「やっぱり見るべきだ」派の人が存在します。私は「見るべきだ」派で、自分でも様々な資料を見てきたし話を聞いたりしたけれども、ただ見るだけでもやはり伝わらない。世界で戦争が起こっていることに一生懸命関心を持ってみようとするけれども、安全なところに自分の居場所を置きながら感じている。若い人たちがそれをどう思っているのか、どこまで戦争が起きていることを実感できているかに、すごく興味がありますね。
【グロテスクな映像表現について】
-
○飯田副委員長 夏になると終戦番組や戦争関連番組が増えてくるわけですが、若い皆さんがそれをどう受け止め、どう思っているのかをぜひお聞きしたいです。事前アンケートには「悲惨なシーン、グロテスクなシーンはあまり見たくない」と書いた方がすごく多かったです。少し踏み込んだ回答をしていた方にお話をしてもらいましょう。最初の方は「学校で戦争特集の映像を見た。悲惨なシーンがあったが、戦争の実態を知り後世に伝えることが大切だと思うから、悲惨なシーンも取り上げるべきだと思う。また、いろいろな国の視点で戦争をひもとく番組があったら見たいと思う」と書いていましたね。
-
○(中学2年·男子·東京) 映像を見てどう感じるかは人によって違うから、昔起こったことの重大さを知って、今を生きるほうがいいと思いました。
-
○(中学2年·女子·東京) 若い人はグロテスクなシーンを見た経験があまりないと思うので、そういうシーンを見ると「やっぱり戦争の映像は見たくない」と感じて、どんどん戦争から目を背けるきっかけにもなってしまうと思います。グロテスクなシーンを避けた上で、戦争はこういうものだとしっかり伝えていくのがいいと思いました。
-
○佐々木委員 悲惨なシーンの一つに「身体分離(全身がバラバラになるなど)」があります。私はゲームソフトのレーティング基準に関する会議にも関わっていて、そういったシーンは青少年には絶対見せてはいけないという話をしますが、戦争のシーンでは出てきますよね。ただ大人と子どもとでは考えが違って、大人には「実際に起こったことなのだから知るべきだ」という考えもありますが、子どもたちの中に「そういうシーンは見たくない」という意見もあって当然です。私たちは本能的に死にたくないので、そういった恐ろしいものや怖いものを本能的に避けようとする心理があるし、正常な反応だと思います。
-
○池田委員 例えばNHKの『映像の世紀シリーズ』には、人が亡くなったシーンが出てきますよね。どう思いますか。
-
○(中学2年·男子·群馬) 特別見たいわけではないですが、『映像の世紀シリーズ』は、モノクロの映像だとちょうどバランスが取れていると思います。
-
○佐々木委員 ではアニメとか漫画のような表現のほうが良い人はどのくらいいますか。
- —-挙手—-
-
○佐々木委員 なるほど半数以下ですね。生映像も見るべきだと思っておられる人の方が多いですね。
-
○飯田副委員長 「モノクロ映像だからちょうどいい」というのは新鮮な意見ですね。モノクロだと戦争の悲惨さが伝わらないという理由で、AIでカラー映像化するプロジェクトがあったりもしますが、モノクロのほうがいいという考え方もあるのですね。
-
○吉永委員長 アニメ映画『鬼滅の刃』にも、首が飛んだり、血が飛び散ったりする悲惨なシーンは幾らでもありますが、あまり皆さん拒否感がなく、小さい子どもまでもが映画を見に行きますよね。やはりアニメは「作りものだから」と受け入れていて、戦争は「実際に起きたことだから見るのは嫌だ」という心理なのでしょう。カラーとモノクロではインパクトは大分違いますが、モノクロ映像でも戦争の悲惨さは十分に伝わるということなんですね。
-
○佐々木委員 私は「始まる前にボタンを押しておくと、残虐なシーンは白黒になる(またはアニメーションになる)」など、将来的にそういうテクノロジーが可能になるとよいなと思います。
-
○飯田副委員長 大人の話を聞いていて、中高生の皆さんから何かご意見はありますか。
-
○(中学3年·男子·東京) 例えば『映像の世紀バタフライエフェクト』には戦争の残虐なシーンが本当に多いじゃないですか。それは必要だとは思いますが、いやだと感じる人がそのシーンのせいで番組を見ないのならば、きちんと伝えられていないとも思います。YouTubeと同じように、何分飛ばしたらこのシーンに飛ぶ、というのをテレビでもやればよいと思いました。
-
○飯田副委員長 たくさんの人に見てもらえる番組にするのか、それとも制作の意図を追求するのか、そのバランスは制作者の方も悩まれているのだろうと思いますね。
【有名人の番組出演について】
-
○佐々木委員 皆さんの毎月のモニター報告を読んでいると「有名人が出演する番組を視聴する」という感想が多くあります。例えば戦争映画に横浜流星さんとかが出演するとしたら、そういう効果をどう思いますか。
-
○(高校2年·女子·神奈川) 『国宝』という映画を横浜流星さん目当てで見に行く人が今周りにすごく多いです。どんなストーリーだったのか感想を聞くとだいたい「横浜流星さんがかっこよくて…」から始まるのですが、逆にいえば伝統芸能がテーマの映画を見る気のなかった人たちも呼び寄せたのだなと感じました。そういう観点では、戦争番組に有名人を出して、「これまで見たことはなかったけれど勉強になった」と思う人が増えるのもいいやり方なのかなと思います。
【テーマ2】「今のテレビやラジオについて、どう感じていますか」
- ○飯田副委員長 それでは意見交換の2つ目のテーマです。事前アンケートではコンプライアンスなどに関する意見が多く、例えば「失敗した芸能人にもう一度出演のチャンスを与えてほしい」と書いた人もいました。
【“過去に悪いことをした人”の出演について】
-
○(中学2年·男子·東京) 現在出演しなくなった人の昔の番組を見て、演技力がすごくてとても人気だったのだと思うと、もったいないなと思って。もう一度出演したら改心するかもしれないので、チャンスを与えてほしいです。
-
○髙橋委員 同感です。一度悪いことをすると社会に復帰できないとなると、更生のチャンスがなくなってまた悪いところにつながるという悪い連鎖になってしまうので、社会復帰のチャンスはあるほうがよいと私も思います。一方で、かつて悪いことをした人が地上波の番組に出演するとネット上ですごくバッシングされて、それが世の中一般の意見のように見えることもあります。多くの人の意見なのか、ごく一部の意見なのか、その見極めと向き合いが難しいなと感じます。
【ネットやSNSとの関わりについて】
-
○(高校1年·女子·秋田) ニュース番組の中で、ネットやSNSに上がっているコメントを「世間の声」として紹介することがよくありますが、「ネットの声=世間の声」ではないと思います。「世間の声」は街に出て街の人に質問して得られるものだと思うし、ネットの声を信用し過ぎているなと思います。
-
(中学1年·女子·東京) 友達と最近「出演者や番組内容がどれも似ている」と話しているときに、地上波の話は出なくてYouTubeの話ばかりでついていけなくて困っています。
-
○(高校2年·女子·神奈川) ネットでバズっている動画をほぼそのまま切り抜いて紹介し、その動画を見る芸能人の反応を楽しむような番組が結構あります。それってテレビの役割を完全に放棄しているというか、そもそも海外の動画の許可をどう取っているのかよく分からないし、YouTubeやインスタを見れば誰でも見られる動画を拾ってくるだけでいいのだろうかと思います。
-
○BPO事務局 海外の“おもしろ映像集”などは、YouTubeなどから勝手に取ってきているのではなくて、テレビ局の担当者が海外の市場に行って権利を買っています。また海外まで行かなくても、日本の制作会社などが権利を買ってきて日本の放送局に売るというビジネスもあります。例えばデーブ·スペクターさんの会社ではそういうのをいっぱい扱っています。デーブ·スペクターさんの会社から権利を買って放送している場合もたくさんあります。
-
○飯田副委員長 「テレビ局がやらなくてもよいのでは」と皆さんは思っているかもしれませんね。逆に日本で作られたテレビ番組が、別の会社を介して海外で視聴されることもあります。
【政治関連の番組ついて】
-
○(高校1年·女子·岡山) 私が知っている政治番組は若い人や有名人が出演するイメージがなくて、専門家や評論家が多く出演しています。政治関連の番組にYouTuberやインフルエンサーやアイドルが出演すれば、もう少し若い人の関心が得られるし、意見も聞けると思います。
-
○吉永委員長 政治の番組でも経済の番組でも、いちいち辞書を引かないと言葉の意味が分からないことはありますよね。専門家が作れば作るほど「みんな知っていて当然だよね」というレベルが高くなってしまって、私たちがそのレベルにたどり着けないということが起きていると思います。そこは番組の制作者も気をつけたほうがよいのかな。入り口のところで基礎知識をきちんと知ると興味を持てると思うので、入り口をいろんな形で広げていって、その先に行けるような仕組みが欲しいですね。
【番組表について】
-
○(高校1年·女子·熊本) 小さい頃は新聞のテレビ欄を一番に見て、そこから見たい番組に印をつけて一日楽しみにしていましたが、最近新聞の購読をやめてからはどんな番組があるのかを知らなくなって、テレビ視聴時間も減ってしまいました。私の家に限ったことかもしれませんが、新聞の購読はテレビの視聴時間に直結していると思います。
-
○飯田副委員長 これは「テレビ離れ」の本質ではないかと、僕も実は前から同じことを思っています。テレビ画面でも番組表(EPG)が見られますが、一覧性がないから新聞のテレビ欄と比べると見落としも多くなるし、(ウェブの)検索で網羅できるかというとそれも難しいですよね。紙の新聞のインターフェースに代わるものはないなと感じています。
【テレビ局が薦める「青少年へのおすすめ番組」について】
- ○BPO事務局 「青少年へのおすすめ番組」は毎月各放送局が自局の番組の中から選んでいるもので、BPOのウェブサイトに載せて紹介しています。「青少年へのおすすめ番組」の仕組み自体はBPOが発足する前からあって、1990年代後半、テレビの残虐なシーンが子どもたちに悪い影響を与えているのではないかという批判がすごく高まった時期に、若い人たちに見てもらいたい番組を放送局から主体的に情報提供していこうと決めてできた仕組みです。
モニター報告はすべて番組を制作した放送局に送っていて、皆さんの指摘や感想を受け取った制作現場はとても喜んでいます。特に地方の放送局では、若い世代に特化したモニター制度を運用しているところは少ないようなので、地元の放送や配信サイトで視聴した地方局制作番組の感想は、とても喜ばれています。
モニターからの質問
-
○(中学3年·男子·東京) テレビのニュースやワイドショーに関して、SNSでよく「その情報は正しいのか」と疑う声をみます。情報の信憑性はどうやって確保しているのでしょうか。
-
○BPO事務局 去年までNHKで報道の仕事をしていて、今年の春、民放とNHKに入社したばかりの新人に研修をしましたが、そこでお話した4つのことを紹介します。1つ目は、放送局には誰に対しても責任を負っていて、何か問われたときにはその根拠を答えなければいけないという責任をもって放送を出しています。2つ目は、放送局は事実を伝えるということです。真実と事実というのは違って、「自分はこう思う」という真実は人の数だけありますが、放送局は一つの事実を多角的に伝える。事実以外のことを伝えてはいけません。3つ目は、放送局は誠実でないといけません。取材相手に嘘を言って話を聞き出してはいけませんし、取材相手が本当に言いたいことを曲げてインタビューを編集してはいけません。4つ目は、放送局は議論をして番組を作る場だということです。放送局にはいろいろなタイプの人がいますが、大切なのは独りよがりにならないこと、つまりみんなで議論することです。この4つは放送局の特徴であって、関わる人すべてが大切にしなければいけないことです。
-
○(中学2年·男子·東京) 人工知能の生成AIが成長することで、モデルや俳優の仕事も変わり、テレビの在り方も変わると思いますが、そういった事態にはどう対応していくのですか。
-
○飯田副委員長 難しい質問ですね。AIはたくさん物事をインプットして一番それらしい答えを出すので、人に分かりやすく説明する文章づくりやニュース原稿を読むことなどはAIにやってもらってもいいと思います。ただ先ほどの話にあった、誠実な姿勢で取材先から事実を受け取って、それを多角的に議論して、責任を持って視聴者に届けるという部分は、AIにはできないですよね。なぜかというとAIは考えないから。AIは自分の話したことが事実かどうかは考えないし、教えてくれた人に対して誠実に対応しようとも思わないし、議論もしない。日常業務をAIでやれる部分は大きいかもしれないので、その分、放送局の人は新しいものを生み出す仕事ができるようになりますよね。
-
○BPO事務局 人を「美しい」と思う基準って、例えば顔のパーツが線対称に近いとか体のバランスが“黄金比”に近いとか、分かりやすいものがあります。だから見た目に美しいモデルや俳優は、生成AIで簡単につくれると思います。ただ先日、弁護士である池田委員とお話していたときに「弁護士の仕事においても、法律的に正確なことや事実に基づいたことを即座に答えるのはきっとAIのほうが優秀だが、この弁護士の人に話を聞いてほしいという人の気持ちは絶対になくならないと思う」と言われてハッとしました。生成AIでつくられたモデルや俳優に私たちが憧れるかというと、必ずしもそうではないのではないか。生身の人間って人間くさかったりちょっと抜けていたりするけれど、それでもなんだか美しかったり、かっこよかったり、味があったり…。モデルや俳優や放送局も、美しいものだけを追い求める世界ではないから、これからも変わらない仕事はあるとも思います。
-
○池田委員 法律相談でもテレビのコメンテーターでも、生成AIはきっと正しい知識に基づいて完璧な発言をするようにはなると思います。吉永委員長もテレビ番組のコメンテーターとして毎週出演していますが、吉永委員長が出演するから見たくなる、吉永委員長が話す内容だから聞きたくなるのだなと、改めて思いました。
吉永委員長のまとめ
- ○吉永委員長 今日は、朝10時から午後4時までという大変長い時間となりました。今日は日本で一番大きなNHKの現場を見せていただきましたが、放送業界ではこんなにもたくさんの人が事実を伝えたいと頑張っている現状を、皆さんにも分かっていただけたと思います。今は新聞やテレビなどの既存メディアに逆風が吹いていて「もう既存メディアは信用できない」という声もあります。では何を信用しているかというと、事実の確認も自由で言いたいことが言える、“一人放送局”ともいえるYouTubeのほうが膨大な情報が耳に入ってくるから未来がある、といった考えが出てきているのでしょう。これから生成AIが進歩するとますます便利になって、頭を使わなくて済んでしまうかもしれませんが、人間が唯一AIに勝てること、それは「考えること」だと思います。いろいろな情報が皆さんの目にも耳にも洪水のように入ってくると思いますが、そこで少し立ち止まって、「これは一体何を伝えようとしているのか」「この背景に何があるのか」と、ぜひ自分の頭で考えてほしいです。もう一つは、やっぱり周りの人としゃべってほしいな。戦争の報道を見て「何でこんなことになっているのだろう」と友達と話す、これもAI同士ではできないことです。AIにできないことを、ぜひ意識的に心がけていってほしいと思います。そして、皆さんとは中高生モニターに参加していただいて御縁ができました。テレビ業界はこんなに頑張っている人がたくさんいて、事実に則った情報を視聴者に提供したいと思っているのだということを、ぜひ他の人にもお伝えいただければなと思います。今日は本当に、お疲れさまでした。
事後アンケートより
Q1 NHKの放送局見学はいかがでしたか
- (中学2年・女子・千葉) 『ニュース7』でアナウンサーが立つスタジオの背景が緑色だったのがとても衝撃的でした!また『あさイチ』のスタジオの机はリサイクル材料で作られていてすごいなと思いました。鈴木奈穂子アナウンサーがいつも座っている椅子に座ることができて嬉しかったです。
- (中学3年・男子・東京) いつもニュースの裏側がどうなっているのか気になっていたので、報道フロアの見学は興奮の連続でした。普段見ているニュース番組が、今いるスタジオから放送されていることに驚きました。実際の生放送も見せてもらい、アナウンサーの技術にも感激しました。
- (高校3年・男子・福島) これから生きていくなかで訪れることのない場所の一つだと思うので、とても貴重な時間となり感謝の気持ちしかありません。中でもニュースセンターの見学では「ここから“世論の材料”が世の中に放送されるのか」と思うとワクワクしました。
Q2 『被爆体験を伝えるVR』制作スタッフとの意見交換会はいかがでしたか
- (中学1年・男子・大分) 戦争を知らない世代が増えるなか、このような取り組みはとても良いことだと思った。特にVRを見たときは当時にタイムスリップしたような気持ちになり、改めて戦争は良くないと思った。このような取り組みをどんどん増やしてほしい。
- (高校1年・女子・秋田) 制作スタッフの方々が取材時に心がけていることや、苦労・プレッシャー・辛いこと等を赤裸々に話してくださり、貴重な体験となった。話していただいた内容を忘れないようにしなければならないと感じている。
- (高校2年・女子・神奈川) この番組に限らず『NHKスペシャル』の制作スタッフとして、「多様な背景を持つ人に取材をする過程では辛く苦しかったこともあるけれど、自分がただ生きていく上では到底出会うことができなかったであろう、素敵で心打たれるような人と関わることができるのが魅力だ」とおっしゃっていたのが心に残りました。
Q3 青少年委員との意見交換会はいかがでしたか。
- (中学3年・男子・大分) 自分の意見とは異なり、考え方が鋭いと思った。戦争関連の番組については「アニメにすれば視聴する人が増えるのでは」という意見は自分では思いつかなかった。
- (高校3年・女子・広島) 印象的だったのは「グロテスクな表現」についての議論です。私は苦手なのであまり放送してほしくない立場でしたが、多くの参加者は積極的に放送してほしいと考えていて驚きました。またAIの話題では「美しいものを追い求めるわけではない」という意見が印象に残りました。私には好きな芸能人がいますが、もしその人が完璧すぎたらかえって応援しなくなってしまうかもしれないと感じました。「テレビは“完璧なモノ”ではなく“事実”を放送するものだ」という意見もなるほどと思いました。
- (高校1年・女子・岡山) 全国のモニターと意見交換ができてよかったです。ただ今回は、モニターが意見を述べてそれに対して青少年委員の方が回答する形だったので、モニター同士のほうが緊張せず話しやすいかもしれないと思いました。また意見交換の時間が少なかった気がしました。
Q4 モニター会議に参加しての印象に残ったこと、発見したことなどの感想やご意見・ご要望など自由に聞かせてください
- (中学1年・女子・東京) 同世代とテレビについて話したり意見を交換したりする機会が普段はないため、とても新鮮で貴重な体験でした。アナウンサーはトイレの回数を減らすためにスポーツドリンクを飲むようにしていたという発言を聞いて、プロフェッショナルだと思いました。
- (高校1年・女子・熊本) 特に印象に残ったのは質疑応答で他のモニターが積極的に発言していたことです。どの質問も自分なりの視点があってとても刺激を受けました。また委員会の方々からはテレビに関する様々な専門的な話を聞くことができ、普段とは違った角度からテレビの在り方を考える貴重な機会となりました。
- (高校1年・女子・愛媛) スタジオ見学ではプロデューサーやアナウンサー、カメラマンなど大勢の人が待機していて、それぞれが働く様子を見て放送業界で働くことへの憧れが強くなりました。楽しく勉強になる会議を開いていただき、本当にありがとうございました。
- (中学2年・女子・東京) 私は将来アナウンサーを目指していますが、そのことを委員の皆さんが把握してくださり、アナウンサーの方ともお話できたことが一番嬉しかったです。また放送局で働く人に対しての自分の勝手な思い込みが全く違うものになりました。放送局は「事実を国民に伝えている」ことを改めて感じたし、働いている人は常に忙しくて真面目なことばかり考えていると思っていましたが想像よりもずっと優しくてたくさん話してくれ、親と先生以外の大人と久しぶりに話して人間の温かみを感じました。学生たちは普段は目にしないテレビ局の中をドラマでしか見ることができません。職業ドラマでは主人公は熱心な努力家ですが、偉い人は大抵あまりいい人ではありません。実際はこんなに素敵な方々なのにもったいないと思いました。
以上

