第343回

第343回 – 2025年9月

「視聴者依頼番組における民家清掃に関する申立て」審理入り…など

議事の詳細

日時
2025年9月16日(火)午後4時~午後7時
場所
千代田放送会館BPO第1会議室
議題
出席者
廣田委員長、鈴木委員長代行、野村委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、松尾委員、松田委員

1. 審理要請案件「視聴者依頼番組における民家清掃に関する申立て」

申立ての対象となったのは、福岡放送が2025年4月13日と20日に放送したバラエティー番組『ナンデモ特命係 発見らくちゃく!』の「命の危機…ゴミ屋敷大掃除!」で、視聴者からの依頼を受けて、高齢の親族が住む民家の大がかりな清掃を行い、その模様を放送した。
これに対し、当該民家の住人が、番組は臭いや不衛生な状態が過度に強調される形で顔出し・実名・モザイク処理なしで放送され、尊厳が著しく損なわれ人権を侵害されたと申し立てた。さらに、番組の収録過程において、住人にとって重要な物品がなくなったと主張している。
また、他の親族2名は、番組内で幼少期の写真が承諾なく使用されたり、プライベートな事実が本人の同意なく放送されたことなども権利侵害にあたると訴えている。
放送局は、一部配慮が足りなかったことなどを認め謝罪したが、これら3名の申立人は納得せず、双方の交渉が不調に終わったため、今回の委員会で審理入りするか否かを検討した結果、委員会は、運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

2. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明し議論した。

3. その他

事務局から3委員会合同意見交換会の開催内容について説明した。

以上

第210回

第210回–2025年9月

日本テレビ『月曜から夜ふかし』委員会決定を通知・公表へ

第210回放送倫理検証委員会は、9月12日に千代田放送会館で開催された。
4月の委員会で審議入りした日本テレビの『月曜から夜ふかし』について、担当委員から再度示された意見書の修正案について意見交換した結果、合意が得られたため、今後当該放送局へ通知して公表することになった。
8月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2025年9月12日(金)午後4時~午後5時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、小柳委員、水谷委員、毛利委員、米倉委員

1. 日本テレビ『月曜から夜ふかし』について審議

日本テレビは、2025年3月24日に放送したバラエティー番組『月曜から夜ふかし』の街頭インタビューのコーナーで中国出身の女性の声を紹介したが、放送後この女性から実際に話した内容とは違うという指摘を受けた。
委員会は当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した結果、問題となっているインタビューは女性が話した内容とは全く異なる文脈へと意図的に編集され、他国の文化に対する尊重を著しく欠いていた疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について放送倫理上の問題がなかったかどうかを詳しく検証する必要があるとして4月の委員会で審議入りを決め、5月と6月の委員会で担当委員が当該放送局の関係者に行ったヒアリングの結果を基に議論し、7月の委員会では担当委員から提出された意見書の原案について議論、8月の委員会では担当委員から示された意見書の修正案について議論した。
今回の委員会においては、担当委員から再度示された意見書の修正案について意見交換した結果、合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、当該放送局へ通知して公表することになった。

2. 8月の視聴者・聴取者意見を報告

8月に視聴者・聴取者から寄せられた意見では、甲子園出場校が途中で出場辞退した問題を扱った複数の番組について、さも、SNSが原因のように報道しており、本質とずれているとの批判が寄せられた。また、大学柔道部員の大麻不法所持の問題について、容疑の段階で20歳の若者の顔を出し、実名で報道するのはいかがなものかとの批判が集中したことなどが事務局から報告された。

3. その他

毎日放送の報道情報番組『よんチャンTV』内のコーナー「発掘!憤マン」において、今年6月の放送で、奈良公園内のドングリの木の伐採とシカの食料不足との関係性について、専門家や奈良県の担当者のコメントを交えて報じたことに関し、9月になって奈良県知事らより「申立書」と書かれた文書が放送倫理検証委員会に届いた。
放送倫理検証委員会は申立て制度を取っておらず、あくまで放送番組を検討する端緒のひとつと捉え、番組を視聴し議論した。ウェブサイトの見出しが本編と合っていないのではないかという指摘が委員から出されたものの、本編自体については問題点を指摘する意見はなく、委員会は放送倫理上問題の疑いがあるとして討議入りするまでの事案ではないと判断した。なお、委員会は討議、審議・審理入りしないことを決めた番組は、原則として議事概要に放送局名、番組名を公表していないが、放送局自身がすでにこの件を報道していることから、議事概要に番組名等を記載することとした。

以上

2025年9月16日

「視聴者依頼番組における民家清掃に関する申立て」審理入り決定

 BPO放送人権委員会は、9月16日の第343回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

 申立ての対象となったのは、福岡放送が2025年4月13日と20日に放送したバラエティー番組『ナンデモ特命係 発見らくちゃく!』の「命の危機…ゴミ屋敷大掃除!」で、視聴者からの依頼を受けて、高齢の親族が住む民家の大がかりな清掃を行い、その模様を放送した。
 これに対し、当該民家の住人が、番組は臭いや不衛生な状態が過度に強調される形で顔出し・実名・モザイク処理なしで放送され、尊厳が著しく損なわれ人権を侵害されたと申し立てた。
さらに、番組の収録過程において、住人にとって重要な物品がなくなったと主張している。
 また、他の親族2名は、番組内で幼少期の写真が承諾なく使用されたり、プライベートな事実が本人の同意なく放送されたことなども権利侵害にあたると訴えている。
 放送局は、一部配慮が足りなかったことなどを認め謝罪したが、これら3名の申立人は納得せず、双方の交渉が不調に終わったため、今回の委員会で審理入りするか否かを検討した結果、委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2025年8月に視聴者から寄せられた意見

2025年8月に視聴者から寄せられた意見

大学生の大麻事件や甲子園出場校の途中辞退の報道に対して多くの意見が寄せられました。

2025年8月にBPOに寄せられた意見の総数は、1,829件で、先月から1,503件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 84.4% 電話 14.6% 郵便・FAX 1.0%
男女別は、男性51.1% 女性 26.7% 無回答 22.1%で、世代別では10代 1.0% 20代 8.6% 30代 19.8% 40代 22.1% 50代 17.4% 60代 11.7% 70歳以上 4.0%
視聴者意見のうち個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。8月の個別送付先は36局で意見数は481件でした。放送全般に対する意見は164件でその中から13件を選び会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

大学生の大麻事件や甲子園出場校の途中辞退をめぐる報道に多くの意見が寄せられました。ラジオに関する意見は48件、CMについては45件でした。

青少年に関する意見

2025年8月中に青少年委員会に寄せられた意見は111件で、前月から47件増加しました。
今月は「報道・情報」が43件と最も多く、次いで「要望・提言」の33件、「表現・演出」の23件などが続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 大学生による大麻事件。違法行為ではあるが自宅からの連行や移送される姿を待ち構えて撮影し報道する必要が本当にあったのだろうか。デジタルタトゥーの恐れが叫ばれる時代に1度2度ではなく複数のニュース番組・情報番組で繰り返し顔出し映像が放送されている。大学生の社会復帰という観点での議論はあったのだろうか。

  • 大学生の大麻事件について、薬物依存には治療が有効だという観点からの報道があってもよかったのではないか。ニュースの中で治療の必要性を訴えたり依存症の相談窓口を紹介したりしてもよかったと思う。

  • 甲子園出場校が途中で出場辞退した問題。当該校に向けた誹謗中傷がSNS上にあふれていることを批判する報道が多かった。誹謗中傷は許しがたいことだからそれは当然だと思うが、一方で発端となった野球部内での暴力問題を追及する報道が少なかったことに違和感を覚えた。

  • 甲子園出場校の途中辞退問題。もし報道にあるように暴力問題があったとしたら暴力を受けた被害者側の生徒はどのような思いで当該校の試合結果などの報道を聞いたのだろうか。この件に限らずテレビはいじめや暴力をなくしていこうというアピールをしてもらいたいと思う。

  • ネット上での誹謗中傷とメディアはよく口にするが、メディアの一部報道には誹謗中傷になっているのではないかと感じるものもある。報道が誹謗中傷とならないようなガイドラインを作ってはどうだろうか。

  • 猛暑の報道でエアコンを適切に使いましょうと呼びかけているがエアコンが無い家の人への呼びかけも行ってほしい。たとえば図書館など空調が効いている場所へ誘導するなど工夫をしてほしいと思う。また炎天下で働かなければならない人に向けてどのようにしたら熱中症を予防できるかなどの呼びかけを行ってほしいと思う。

  • 大雨のニュースで、読み上げている情報は現在のものなのに背景には半日前、1日前、あるいは何年も前の激しかった時の映像を使うことがよくある。今の情報を伝えるときには今の映像を使ってほしい。

  • 各社の世論調査に思うことがある。今の時代自宅で電話に出るのはリタイアした高齢者くらいではないか。若い現役世代は不在だろうし携帯電話でも知らない番号には出ないのではないか。調査に応じた人の年代別人数などのデータをもっと詳しく開示して調査結果が信頼できることを裏付けるべきだ。また特殊詐欺が横行する時代なのだから電話を使う調査手法についても考える時期ではないか。

  • 凶悪事件や詐欺被害の報道の中でSNSの弊害が強調されることが多い。SNS上で炎上という言葉もよく聞く。しかしSNSには誰もが思ったことを自由に発言できるというメリットもある。負の側面ばかりを報じるのではなくてより良い活用法を提案するような報道を期待したい。

  • 事件のニュースでナレーターが声色を作って容疑者を演じるのはやめてほしいと思う。また、まだ確定していないことをあたかも容疑者が認めたかのように断定調に伝えることも考え直してほしい。テレビは信頼して見ることができる媒体だから。

  • 未成年や未成年を想起させる人物の性的描写を禁止してほしい。子どもを性の対象とするかのような描写はそうした行為が許されるのだという誤ったイメージを青少年を含めた視聴者に植えつける可能性があると思う。

  • 最近AIの進化や能力が話題になることが多いが安全性、信頼性についての議論が進まないまま見切り発車しているような印象を受ける。ゲーム感覚でAIを利用することへの注意喚起やリテラシー向上のサポートをテレビに期待したい。

  • 民放各社が運営するニュースサイトは広告収入によって支えられているように見えるが独立性を守るという観点から新聞のように一部購読料のようなものを徴収することを考えてもよいのではないか。

  • 来年のWBCはテレビ放送では見られないという報道を見た。東京での試合すら見られないという。本当ならば大変残念だ。3月までに何とかテレビで放送できるようにしていただけないだろうか。

  • 10代、20代に番組の企画を募集するコンテストのようなものを開いたらいいと思う。YouTuberやインフルエンサー以外に放送作家も夢のある職業として認識されるようになるといいと思うし、若い人の感覚を取り込むことでテレビが新しくなると思う。

  • 同じ時間帯に同じようなニュース番組を放送しているが視聴者にとってメリットがあることだろうか。番組内での報道内容も各社ほとんど同じだ。せめて報道内容にバリエーションを持たせてほしいと思う。

青少年に関する意見

【「報道・情報」に関する意見】

  • 大学柔道部の男子部員2人が大麻所持などの容疑で逮捕されたニュースで、20歳部員を実名・顔出しで報じた。この容疑者には可塑性が十分ある。逮捕の映像はネット上で拡散されていて、この若者の将来にわたって人生の足かせになるだろう。こうした報道には違和感がある。

  • 子ども向けニュース解説番組。日本が戦争を始めた原因について「中国の資源や市場を独占したかったから」と説明した。戦争の原因には多面的な要因が存在するのに、このような単純化した説明を判断力が未熟な子どもに対して行うのは、偏った歴史認識を刷り込むことになりかねないだろう。

【「要望・提言」】

  • 今年は戦後80年で、テレビで戦争や原爆の特集などを見る機会が多い。子どもにとって戦争や原爆の資料や映像を見るのはとても残酷なことだ。しかし、大人たちや学校が同じことを繰り返さないことの大切さを教えたり説明したりしないと、若い世代には伝わらないと思う。

  • バラエティー番組をめぐって「子どもが真似する」などの視聴者意見が多い。しかし規制だらけではさらにつまらない番組が増えるのは確実だ。むしろ多少不適切な表現があっても、それを保護者が一緒に見て「こういうのはよくないよね」と子どもとのコミュニケーションを図ることのほうが大切だと思う。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、流れるプールに背の低い後輩芸人を入れ、背の高い先輩芸人が説教中に高い波が押し寄せる企画があった。後輩は水を飲まされ溺れそうになっているように見えた。これは危険行為であり、いじめの構図にしか見えなかった。とても笑えるものではない。

【「推奨番組」に関する意見】

  • 戦後80年の特集で、広島県のある島での毒ガス製造と貯蔵について扱い、実際に中国の戦地で使用され被害を出したことに触れた。取材を受けた関係者が「戦争は加害と被害の両面を知ることが大切」と話したのが印象に残った。テレビを通して、学校の教科書に載らないこうした歴史を知れば、「戦争をしてはならない」との思いにつながると思った。