第157回 放送倫理検証委員会

第157回–2021年2月

フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見と、「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見の通知・公表について意見交換

第157回放送倫理検証委員会は2月12日に開催された。
委員会が1月18日に通知・公表したフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見の通知・公表について、委員長と担当委員から詳細が報告された。
委員会が2月10日に通知・公表したフジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見の通知・公表について、出席した委員長と担当委員から当日の様子が報告された。

議事の詳細

日時
2021年2月12日(金)午後3時~午後6時
場所
オンライン
議題
出席者

神田委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、大石委員、高田委員、長嶋委員、中野委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見の通知・公表について報告

フジテレビが2018年10月20日から2019年10月26日にかけて放送したクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、委員会は、解答権のないエキストラを出場させていたことは、番組が標ぼうしている「1人対99人」というコンセプトを信頼した多くの視聴者との約束を裏切るものであり、また、NHKと日本民間放送連盟が定めた「放送倫理基本綱領」の「放送人は、放送に対する視聴者・国民の信頼を得るために、何者にも侵されない自主的・自律的な姿勢を堅持し、取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる」との規定に照らし、制作過程の重要な部分を制作者たちが十分に共有していなかった点において、その過程が適正に保たれていなかったと言うべきであるとして、放送倫理違反があったと判断した。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言発出を踏まえ、1月18日、当該局への通知は電子メールで行い、公表は委員会決定をBPOのウェブサイトに掲載する形で行い、記者会見の開催は見合わせた。広報を窓口に質問を受け付けたところ、当日数件の確認の連絡が寄せられた。
この日の委員会では、委員会決定を伝えた当該局のニュースを視聴し、委員長と担当委員が通知・公表の経緯について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

2. フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見の通知・公表について報告

フジテレビは、2019年5月から2020年5月まで14回にわたり行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」の一部に架空データが含まれていたとして、2019年5月13日から2020年6月1日にかけて18本のニュース番組で報じた一連の世論調査結果に関する放送を取り消した。世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、架空データが含まれた世論調査結果を1年余りにわたって報じたもので、委員会は、市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めないとして、本件放送には重大な放送倫理違反があったと判断した。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言発出を踏まえ、2月10日、当該局に対する通知および公表の記者会見をオンライン会議システムを使用して行った。
この日の委員会では、委員会決定を伝えた当該局のニュースを視聴し、委員長と担当委員が会見での質疑応答などについて報告した。
通知と公表の概要は、こちら

以上

2021年2月10日

フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が発出されていることから、2021年2月10日午後1時30分からオンライン会議システムで行われた。委員会から神田安積委員長、高田昌幸委員、巻美矢紀委員の3人が出席し、フジテレビからは5人が出席した。
まず神田委員長から、委員会決定について、「架空データが含まれた一連の世論調査報道」には重大な放送倫理違反があったと判断したことを通知した。その理由として、架空データが含まれた世論調査の結果を正しい世論調査として放送し、事実に反する情報を視聴者に伝えた点を挙げた上で、当該局は架空データ作成に関与しておらず、本件放送において意図的な作為もなかったものの、世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、架空データが含まれた世論調査のニュースを1年余りにわたって合計18本放送し、市民の信頼を大きく裏切り、また、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない、と指摘した。
続いて高田委員は、民主主義の根幹である世論調査の信頼性に大きな影響を与えたことに言及した上で、「委託先の調査会社が全面的に信用できると考え、立ち会いで防げたかもしれないのに立ち会わなかった」といった、過去の審議事案と同様の思い込みや判断ミスが認められるとし、「ニュース番組で報じる以上、世論調査もジャーナリストの取材活動の一環であるとの認識があれば、委託先の作業であっても、より目配りがきいて今回の事態を防止できた可能性がある」と述べた。巻委員からは、「民主主義における世論調査の重要性を強く認識している以上、委託先に任せたままにせず、何らかの対応を取るべきだった。再発防止策をつくり、世論調査を開始しているが、二度とこうした事態を招かないようジャーナリストとしての目線を欠かさないでいただきたい」との意見が示された。最後に神田委員長から「結論として重大な倫理違反と評価しており、再発することがないように自主的、自律的な努力を続けていただきたい。」と要望が伝えられた。
これに対してフジテレビは、「本日の決定をきわめて重く受け止めている。ご意見を真摯に受け止め、今後の世論調査の報道に生かしていきたい」「世論調査は先月再開したが、不正防止策を徹底していくことで、視聴者の信頼回復に努めていきたい」と述べた。

続いて、午後2時30分から同じくオンライン会議システムによる記者会見を行い、委員会決定を公表した。記者会見には42のアカウントから参加があった。
はじめに神田委員長が「本件放送は、フジテレビが、架空データが含まれた世論調査の結果を正しい世論調査として放送し、事実に反する情報を視聴者に伝えたものであり、放送倫理基本綱領、民放連放送基準の前文、さらには、放送基準の第32条に反しているものと評価される。フジテレビは、架空データ作成に関与しておらず、また意図的な作為もなかったが、世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、意見書の別表に記載したテーマに関し、架空データが含まれた世論調査報道を1年余りにわたり、合計18回放送したものであり、市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない。これらの点を踏まえ本件放送には重大な放送倫理違反があったと判断した」と述べ、意見書の構成に沿って概要を説明した。
続いて高田委員は「専門の業者に調査そのものを任せたとは言え、世論調査に関する作業はすべて取材活動の一環であり、集めた材料が正しいかどうか、記者として仔細に検討し、裏付けを取り確認に確認を重ねるという、ジャーナリストとしての初歩の行いを貫徹することができていれば、また違った結果になったと思う」と審議を振り返った。
巻委員は「ヒアリングを通じ、当該局の皆さんが民主主義における世論調査の重要性を認識していることがわかったが、そうであれば、委託先の調査会社に任せたままにせず、ジャーナリストとして適切な対応を取るべきだったのではないか」と述べた。

記者会見での主な質疑応答は以下のとおりである。

Q: この調査は産経新聞社と合同だが、主体はフジテレビだったという認識か。
A: BPOは放送のみを対象としている。新聞社は検証の対象にしておらず、フジテレビのみを対象として調査をした。(高田委員)
   
Q: 本件において、委員会は委託先、再委託先をヒアリングの対象としていないが、不正に実効的な役割を果たしていた再委託先、ないしは委託先にヒアリングしなかったのはなぜか?
A: フジテレビが委託先、再委託先にヒアリングを実施しており、フジテレビに対する委員会の調査で委託先、再委託先のシステムの実態について必要な情報が得られた。フジテレビに対するヒアリングの内容に特段の疑義があれば委託先、再委託先にヒアリングを求めることもあり得たが、今回の事案では、フジテレビからの聞き取りで事実認定が可能と判断した。(神田委員長)
   
Q: 他の新聞やテレビ各社に比べフジテレビのチェック体制はどうだったと評価しているか?
A: 委託先への立ち会いに入るか、入らないかなどは、他メディアと比べての判断ではない。今回はヒアリングでも、当のフジテレビ自身に、委託先を訪問していれば防ぐことができたかもしれないとの認識があり、我々もヒアリングを重ねる中、訪問していれば、防ぐことが出来た可能性があった、という判断をしている。他局と比べての判断ではない。(高田委員)
   
Q: フジテレビは取り消した放送18本の世論調査の結果と、それを修正した結果を、現在に至るまで公表していない。不正の内容を公表するべきと考えるが、委員会では明らかになっていない状態をどう考えるか?
A: 訂正をどのように行うかは、それぞれの当事者が自主的に判断することだと思う。取り消した場合はこのような内容で放送しなさいと言うことは、もとよりBPOの役割ではない。(高田委員)
放送の取り消しの方法には、各局の自主的・自律的な判断がある。取り消した放送の内容を紹介・周知することもひとつの考え方であり、それを明らかにしないということも、その是非は別として、当該局の判断だと考える。そこで、どのような内容の放送の取り消しだったのかということを事実として別表に客観的に記載するにとどめ、当該局のかかる自主的・自律的な判断については委員会が評価を控え、意見書の読み手がそれをどう評価するかに委ねることとした。(神田委員長)
   
Q: 重大な放送倫理違反があったという結論だが、重大がついた理由は?
A: 報道番組における重要な情報である世論調査であることを前提とし、フジテレビがその世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにしていたこと、その時々に世論形成に大きな影響を与える重要なテーマに関して架空データが含まれた世論調査報道を1年余りにわたり合計18本放送したということを踏まえ、市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことを総合的に考慮し、委員会で議論の結果、重大な放送倫理違反があったとの判断に至った。(神田委員長)
   
Q: 1人に任せきりだったということだが、政治部長や、報道局長、あるいは解説委員室もあると思うが、一緒に作業をしていなかったということか?
A: トピック的にその時々の政治情勢、社会情勢に関する質問をつくる場合、報道局内で声をかけ質問を集め検討はしていた。ただ、委託先の世論調査会社から(調査の)答えが返ってくると、そのデータは共有するが、分析・解析、ニュース原稿の作成といったプロセスは担当者に任されていた。政治部長や報道局長は、職制上は当然関わっているが、事実上任されていた。(高田委員)

以上

第289回放送と人権等権利に関する委員会

第289回 – 2021年2月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」事案の審理…など

議事の詳細

日時
2021年2月16日(火)午後3時~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」事案の審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、番組において「女性を暴力的に描いていない」などと主張するとともに、社内調査の結果を示して、「人権侵害は認められない」と反論している。
委員会は、前回委員会の審理をもとに修正した決定文の修正案が起草委員から示され議論を行った。その結果、リアリティ番組の特性、番組における演出、放送とSNSにおける誹謗中傷の関係などの論点については、概ね意見がまとまった。インターネットでの配信後の経緯において放送を行ったことや同意書兼誓約書の存在などを人権侵害や放送倫理上の問題としてどのように判断するかという論点については、委員会全体の結論には至らなかった。次回委員会で最終決定に向けて審理を尽くすことを確認した。

2. その他

今後の委員会の予定について、事務局より報告があった。

なお、感染症拡大防止の緊急事態宣言延長にともない、今委員会も全委員とオンラインで結んで開催された。

以上

第40号

フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見

2021年2月10日 放送局:フジテレビ

フジテレビは、2020年6月19日、2019年5月から2020年5月まで14回にわたり行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったと発表した。フジテレビが調査を委託した会社が再委託した調査会社で、実際には電話をしていないにもかかわらず「電話をした」として架空の調査データが入力されていたと明らかにした。フジテレビは世論調査を休止し、2019年5月19日から2020年6月1日にかけて18のニュース番組で伝えた世論調査結果とそれに関連する放送を取り消した。
2020年8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたことや、調査を委託した会社が不正の行われた調査会社へ再委託した経緯自体をフジテレビが把握していなかったなどのチェック体制の不備を踏まえ、合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決め、議論を続けてきた。
日本民間放送連盟(民放連)とNHKが1996年に定めた放送倫理基本綱領は「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」と定め、また、民放連の放送基準の冒頭では「世論を尊び」「正確で迅速な報道」の重視を求めている。さらに放送基準の第32条は報道の責任として「事実に基づいて報道し、公正でなければならない」と規定する。
委員会は、本件放送は世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、架空データが含まれた世論調査結果を1年余りにわたり報じたもので、市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めないとして、本件放送には重大な放送倫理違反があったと判断した。

2021年2月10日 第40号委員会決定

全文はこちら(PDF)pdf

目 次

2021年2月10日 決定の通知と公表

コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が発出されていることから、当該局に対する通知は2021年2月10日午後1時30分からオンライン会議システムで行われた。また公表の記者会見は午後2時30分から同じくオンライン会議システムで行われ、委員長、担当委員が決定の説明及び質疑応答を行った。記者会見には42のアカウントから参加があった。
詳細はこちら。

2021年6月11日【委員会決定に対するフジテレビの対応と取り組み】

委員会決定 第40号に対して、フジテレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2021年6月1日付で提出され、委員会はこれを了承した。

フジテレビの対応

全文pdf

目 次

  • 1.経緯、委員会決定時の報道と社内部局への周知
  • 2.再発防止策の策定・公表と世論調査再開
  • 3.委員会決定を受けての取り組み
  • 4.終わりに

第230回 放送と青少年に関する委員会

第230回-2021年1月

視聴者からの意見について…など

2021年1月26日、第230回青少年委員会をオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、1件の番組について継続「討論」しました。
深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクを自称するお笑い芸人が、幼いアイドルを応援している、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話したことに対して、「GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」などの意見が寄せられた件について、前回委員会に続いて「討論」を継続しました。その結果、この件については「審議」には進まず、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって「討論」を終了することになりました。
1月の中高生モニターのリポートのテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。26人から報告がありました。
大みそか恒例の音楽番組について、「飽きなかった理由は、コロナ禍で、無観客で行われたため、無観客だからこそできる、別スタジオで歌ったり、CGを使ったりしていて、歌と歌の間隔が短かったように感じたからだと思う。(中略)幅広い世代のアーティストが出場していて、若者からお年寄りまで、楽しむことができたのではないかと思う。(中略)問題点としては、“合戦”とする必要があるのか疑問に思った。(中略)昔から続いているからだと思うが、基本的には紅組は女性アーティスト、白組は男性アーティストと決まっており、なぜ男女で分けるのか、今の時代ではおかしいと感じる人も多くいると思った」、4年前に放送された連続ラブコメディー・ドラマのスペシャル版について、「時代背景がタイムリーで新型コロナに振り回された世界がよく描かれていると思いました。新型コロナによって(初めて)緊急事態宣言が出された頃の緊張感を思い出し、今の私のウイルスに対する危機感のゆるみを感じました。あくまでドラマの中の世界ですが、まるで実話のように物語がリアリティーをもって進んでいくので、より世界観を身近に感じました。また、女性の産休・育休制度の取りづらさや男性の育休制度の取り方に対する疑問、同性婚に対する理解についてもドラマ内で触れられており、社会に対する改善点も改めて再認識できました」、21世紀に世界で起こった「巨大な転換点」に注目した報道番組について、「時事問題を主に扱う報道番組とは異なり、放送6時間を使って米中対立の“はざま”に立つ日本がどのような対応をしたのかを深く探り、時がたったからこそ発見された新たな取材やキーパーソンによる証言を基に21世紀の歴史を紐解き、WEBメディアや新聞でさえ情報の複雑性や時間の都合上報道できない事件に触れられているため、テレビの存在意義が際立った番組となっていた。(中略)この1年間の報道番組やバラエティー番組も含めて最も“面白い”番組であったなと思います」などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は2月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年1月26日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
オンラインで開催
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、12月前半から1月前半までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
芸人の不倫謝罪記者会見の模様を伝える情報番組について、「記者の質問がひどく、公開のいじめで言葉の暴力のようだった。それを各局が朝から晩まで垂れ流しているが、子どもも見ている」「記者会見は未成年の私が見ても記者によるいじめにしか見えなかった」「集団リンチが放送されているようだ。大人がやっているのだから子ども同士でやるようになる」といった意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「緩い質問をしたら忖度し過ぎだとか、タレントの側に肩を持っているとか言われてしまう。従来やってきたワイドショーのやり方としては、ある程度突っ込んで、そこから本音を引き出すというのがスタイルだったのではないか」といった意見が出されました。

ネット上にあふれる「デマ」や「フェイク情報」とどう向き合えばよいのか、その具体的な方法を専門家と考える番組について、「SNSで実際に被害を受けた人の経験をもとに漫画で解説していて、専門家の話も的確だった。若者にも分かりやすかった」「勉強になった。SNSをよく使う若者に見せたい番組だ」
といった意見が寄せられました。
これに対して委員からは「子どもが見るかどうかわからないが、ある意味時宜にかなった番組だと思う」「青少年委員会の調査研究のテーマであるメディア・リテラシーの向上につながる番組だと思う」といった意見が出されました。

学校内に常駐する警察官が、学内の悪と対決するというドラマについて「中学生に手錠を掛けたり、ピストルを突き付けるなどやり過ぎだ」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは「学校に警察官が警棒と拳銃を持って常駐し、法を犯した子どもを速攻警察に突き出すという設定は、学校と警察があまりにも近い関係に見え、ドラマとはいえ不気味な感じがする」といった意見が出されました。

これらの件に関しては、これ以上話し合う必要はない、となりました。

次に、前回委員会を受けて、1件の番組について継続「討論」しました。
深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクでロリコンを自称するお笑い芸人が、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話をしたことに対して、「GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」「芸人の発言が犯罪を肯定的に扱っていた印象を受けた」などの意見が寄せられた件に関して、継続「討論」しました。当該局からは参考資料として追加の報告メモも出されました。
委員からは、
「報告メモを読むとGPSと性犯罪の結びつきを認識できなかった人、認識したけどスルーしてしまった人がいる。再発防止の勉強会を開催したそうなのでそれを活かしてほしい」
「報告メモには芸人の発言に違和感を持ったスタッフがいたという。誰かが違和感を持ったのならば表に出して話し合う、そんな体制を築いてほしい」
「芸人さんは発言を“盛る”ので本当かどうなのか分からないことを局側がすべてチェックするのは手間がかかるし、これは犯罪を助長させる発言ではないのでカットしにくかったのだろう。ネットでも問題になり、テレビ局にも随分とクレームがあったと思うので、一旦そこで考えて、これからの番組の在り方について考えられた一つのきっかけとしては、よかったのではないか」
「アイドルオタクやロリコンが悪いわけではないので、チェックの過程でうっかりスルーしてしまったのだろう。今回は制作者の中でも心の緩みがあったということなので、今後作る側としてもきちんと認識してもらえるようになればいいと思う」
「局側に問題点を知らせたことで、事実を知らなかった人は知るし、チェックの際、違和感を持っていた人は、違和感を放っておかないでおこうと思ってくれたことはよかったのではないか」
など、問題意識を持つことの重要性と今回の委員会の討論を今後の体制作りに生かしてほしいとの意見が出されました。
この件については、「審議」には進まず、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって、「討論」を終了することとなりました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした1月のテーマは、「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で26人から報告がありました。
「年末年始に見たスペシャル番組について」では、全部で13番組について取り上げられていました。複数のモニターが挙げたのは4番組で、『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)に8人が、『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!「絶対に笑ってはいけない大貧民Go Toラスベガス24時」』(日本テレビ)に4人が、『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に3人が、『芸能人格付けチェック!2021お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)に2人が感想を寄せています。
「自由記述」では、多くのモニターが、コロナ禍で放送に何を求めるかについて記述しています。いつ収束するか分からず不安な状況だからこそ、笑顔になれる番組や元気をもらえる番組が必要だという意見が複数寄せられました。コロナ報道については、「報道の仕方を、感染を身近に感じられるよう工夫すれば感染者数を減らせると思う」「新型コロナウイルスはどういうウイルスなのか、どういう対策が必要か、いま一度周知してほしい」という要望もありました。また、「スタジオ番組はリモート収録に戻した方が良い」という声も寄せられました。ほかには、年末年始の番組編成について、「ニュース・報道番組が少ない。もっと増やしてほしい」という意見がありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『世界は教科書でできている』(NHK総合)を6人が、『サザエさん』(フジテレビ)を4人が、『1億3000万人のSHOWチャンネル 開局2時間SP』(日本テレビ)を3人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【年末年始に見たスペシャル番組について】

    • いくつかの番組に関して、「新型コロナへの感染対策がなされておらず、心配になった」や反対に、「対策がされていて安心した」という意見が寄せられていた。マスクやフェイスシールドの着用の有無、出演者同士の距離など、対策が万全かどうかを、子どもたちがかなり厳しくチェックしていることが伺えた。

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)あるモニターが、「選択的夫婦別姓、妊娠・出産、男性の育休など、かなり多くの社会問題の話ばかりしていて、普通なら難しくてつまらないものになりそうだが、演出によって面白く、気軽に見られたところがすごい」と記述していた。この意見はぜひ、制作者に教えたい。

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)従来の、NHKホールだけを使って生放送するというスタイルだと、どうしても間を持たせるための工夫が必要で、それが一部の視聴者から「興ざめだ」と思われていたのが、今回は、3つのスタジオを使って、すでに撮影してある素材も取り入れながら音楽を聞かせる、というスタイルだったため、若い視聴者からとても好意的に受け入れられていた。『紅白歌合戦』が今後どういう作りになっていくか分からないが、今回のモニターの反応は今後の参考になると思った。

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)テレビ放送と同時間帯でYouTube生配信を行っていて、モニターの中には、この番組を、テレビを見ながら同時並行でYouTubeでも視聴したという人がいた。視聴の在り方として大変興味深かった。

    • 「下ネタがひどすぎてチャンネルを変えてしまった」というモニターがいた。笑いをとる場面で下ネタを使った場合、若い視聴者の中には、それが嫌でチャンネルを変えてしまう人もいるということを、制作者にフィードバックした方が良いと思った。

  • 【自由記述】

    • 年末年始に、特番的なものばかりではなく、普段のニュース番組もきちんと放送してほしいという意見が少なくなかった。若者もニュースを見るという習慣がついていると感じた。例年だったら、このような意見は来なかったかもしれないが、今年はコロナで「年末年始はニュース番組が少ない」ということが気になったようだ。

    • 過去に放送されたドラマの全話再放送については賛否両論あるが、あるモニターから「やる気がないようにも見える」という意見が寄せられていた。今後の放送を模索していくうえで、1つの意見として放送局に伝えたいと思う。

◆モニターからの報告◆

  • 【年末年始に見たスペシャル番組について】

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)コロナについても描かれていて、とても身近に感じることができた。(登場人物の)みくりちゃんと平匡さんがコロナに立ち向かっていて、「頑張っているのは私だけじゃないんだな」と孤独感が紛れた。(宮城・中学1年・女子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)SP決定という発表から楽しみにしていた作品だったので、期待が大きかったが、その期待を裏切らない内容だった。放送局を超えて織り込まれたパロディ(妄想)や、主人公だけでなく登場人物のキャラクターの嫌味のない個性が光るほんわかとしたやり取り、深刻な内容なのにクスっと笑える場面があり、見ていて苦しくないドラマだった。誰もがストレスを抱える今、どう乗り越えるかを考えること、発信すること、協力し合うことで乗り越えられるという希望を与えてくれる結末で、自粛の年末年始にふさわしいスペシャル番組だったと思う。「お受験」や「仕事や社会の変化」など、まだまだネタはありそうなので、続きが楽しみなドラマになった。(群馬・中学3年・男子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)こんなに社会問題の話ばかりしていて、難しくてつまらなくなりそうなものですが、演出によって面白くドラマとして気軽に見られるところがスゴイと思います。局の垣根を越えてパロディをやっていてこだわりを感じるし、間やネタが自然で面白いと私は思います。みくりの衣装も毎回チェックするくらいにかわいいです。(千葉・高校1年・女子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)近頃、ジェンダーについて考える機会が多かった。学校の授業でも扱うようなメジャーな問題だ。また、家で違和感を抱くことも多くなった。私が雑に物を扱うと、母に「女子なんだから恥ずかしいよ〜」と言われた。らしくあることを求める社会で、性別役割を覆すことは難しい。そんな中で、当たり前に育休を取ったりするのがかっこよかった。これが当たり前の社会になったらいいと思う。(東京・高校1年・女子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)時代背景がタイムリーで新型コロナに振り回された世界がよく描かれていると思いました。新型コロナによって(初めて)緊急事態宣言が出されたころの緊張感を思い出し、今の私のウイルスに対する危機感の緩みを感じました。あくまでドラマの中の世界ですが、まるで実話のように物語がリアリティーをもって進んでいくので、より世界観を身近に感じました。また、女性の産休・育休制度の取りづらさや男性の育休制度の取り方に対する疑問、同性婚に対する理解についてもドラマ内で触れられており、社会に対する改善点も改めて再認識できました。(東京・高校2年・女子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)内容を、特に社会問題を盛り込みすぎた感は否めず、単純にコメディとしてこの作品を楽しみたかった人からすると、少し内容に不満足だったのかなとも思った。(千葉・高校2年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!』(日本テレビ)特に印象に残ったのは、松平健さんが持ち歌の「マツケンサンバⅡ」を披露してくれたのですが、その替え歌が前半は笑いネタの歌詞だったのですが、後半では「こんな世の中でも歌おう みんなで 生きてさえいれば 未来は来る」「ガンバ 日本ガンバ み・ん・な・で・ガンバ 日本!」という歌詞で歌ったところです。今のコロナ禍を踏まえた応援歌のように思え、感動してなんだか泣きそうになりました。笑いばかりでなく、その笑いを通して、視聴者に勇気を与えてくれるこの番組は、やはり偉大だなと感じました。こんな状況下で、番組制作してくださったスタッフやタレントの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。(長崎・中学1年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!』(日本テレビ)今年は新型コロナウイルス感染防止の観点からどのような番組構成になるんだろうと思っていましたが、例年と変わらない面白い番組になっていて、こんな状況下でも面白い番組が作れるのはすごいと思いました。特に私は番組序盤に登場した井上芳雄さんと神田沙也加さんのオープニングミュージカルが好きでした。ミュージカルで感染対策を表現しており序盤からとても明るい番組になっているのがいいと思いました。ただ、番組全体でマスクやフェイスシールド、マウスシールドを着用していなかったり、距離をとっているようには見られなかったりと、多くのゲストが登場しているのに、一般的な感染対策をしていないのが残念に見えました。出演者も多いと思うので感染対策をせめてしっかりとしていた方が視聴者にとっても出演者にとってもいいのではないかなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!』(日本テレビ)豪華な俳優が気合の入った演技で笑いをとろうとするところは面白かった。ただ、今回は笑いをとろうとするネタの場面で下ネタを使ってくるところが多く、あまりにひどい場面もあったのでチャンネルを変えたこともあった。(東京・高校1年・男子)

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)今年は飽きずに見られた。飽きなかった理由は、コロナ禍で、無観客で行われたため、無観客だからこそできる、別スタジオで歌ったり、CGを使ったりして、歌と歌との間隔が短かったように感じたからだと思う。また、知っている歌が増えたこともあり、ずっと見ていても飽きなかった。幅広い世代のアーティストが出場していて、若者からお年寄りまで、楽しむことができたのではないかと思う。さらに、連続テレビ小説「エール」の特別企画もあり、僕は「エール」を見ていたので、ドラマの出演者や劇中の歌が出てきて、とても楽しむことができた。問題点としては、「紅白歌合戦」と名前がついているが、“合戦”とする必要があるのか疑問に思った。確かに、歌を競い合った方が盛り上がるとは思うが、近年、勝敗があまり関係なくなってきているように感じ、“合戦”ではなく“歌番組”にしても良いのではないかと感じる。また、昔から続いているからだと思うが、基本的に紅組は女性アーティスト、白組は男性アーティストと決まっており、なぜ男女で分けるのか、今の時代ではおかしいと感じる人も多からずいるのではないかと思った。(長野・中学2年・男子)

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)毎年見ていて、とても楽しみにしている番組です。テレビでしかできないリモコンを使って視聴者が参加できるものやCGを使った演出があって、いつもより楽しく見られました。コロナで大変だけどみんなで頑張っていこうというようなメッセージが込められた演出はとてもいいと思いました。暗くなりがちな世の中を元気づけてくれる番組をたくさん見たいです。(岡山・中学2年・女子)

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)毎年見ていますが、いつもは親戚で集まっている中で見ていたので番組を流している程度でした。しかし、今年はコロナ禍で家族だけなのでしっかり見ることができました。流行ったアーティストがたくさん出演するので見応えのある番組だったと思います。コロナ禍で出演者を分散させていることで、演出上良い相乗効果もあるのでは、と思いました。いつもは観客やゲストがいて、会場のお客さんも含めた演出をしていたような気がしますが、今年は無観客のためか、そういった演出もなくシンプルな印象でした。個人的にガヤガヤする寸劇のようなものは当たり外れがあると思うので今回の方が見やすくていいと思いました。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『芸能人格付けチェック!2021お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)新型コロナウイルスの影響があった中、いつもと変わらない面白さがあり、工夫が素晴らしいなと思いました。例えば、部屋に入る前に出演者全員が毎回消毒をしたり、部屋の中で1人1人椅子が仕切られていたりと、感染症対策が万全に行われていたため、安心して見ることができたと思います。また、番組内でGACKTさんがおっしゃっていたことの中でとても共感したものがありました。どちらの演奏がプロでどちらの演奏が高校生の演奏か、を当てる吹奏楽の格付けチェックの際、「もし、高校生の演奏をプロの演奏だと聞き間違えて選んだとしても、高校生たちに夢を与えられるなんて、なんと良い番組なんだ」ということです。コロナでコンクールがなくなってしまった高校生にとって、希望を持てるきっかけとなったはずです。同じ高校生として見ていて私も嬉しく感じました。(東京・高校1年・女子)

    • 『ゆく年くる年』(NHK総合)『紅白歌合戦』のお祭りムードから、「ついに今年が終わるんだ!」という気持ちになり、不思議な気分になります。大みそかの楽しい番組も良いですが、このような静かな番組も素敵でした。(愛知・中学2年・女子)

    • 『報道の日2020激動の21世紀~米中、そして日本』(TBSテレビ)時事問題を主に扱う報道番組とは異なり、放送6時間を使って米中対立の“はざま”に立つ日本がどのような対応をしたのかを深く探り、時がたったからこそ発見された新たな取材やキーパーソンによる証言をもとに21世紀の歴史をひも解き、WEBメディアや新聞でさえ情報の複雑性や時間の都合上報道できない事件に触れられているため、テレビの存在意義が際立った番組となっていた。非常にためになりました。この1年間の報道番組やバラエティー番組も含めて最も“面白い”番組であったなと思います。(高知・高校3年・男子)

    • 『RIZIN.26』(フジテレビ)毎年この番組を見ています。全然知らない(格闘技の)選手がたくさんいたのですが、みなさんとても強くてカッコ良かったです。1人1人が全力で戦っていて、「自分もこれからいろいろと大変なことがあると思うけど、この人たちみたいに諦めず、全力でやり切れるようなカッコ良い人になりたい」そう思うことができました。ですが、コロナがひどい中、生で見たいと試合場にいる人が多すぎると思います。いくらソーシャルディスタンスをとっていたとしても危険だと思うので、見に来る人をもっと少なくする、もしくはなくした方が良いと思いました。(岐阜・中学・2年・女子)

  • 【自由記述】

    • 『佐藤健&千鳥ノブよ! この謎を解いてみろ!〜天才謎解き集団からの挑戦状〜』(TBSテレビ)リアル脱出ゲームの面白さと謎解き以外の要素のミックスがとても面白かった。特に最後の問題は、テレビ会社ぐらいの規模がないとできないギミック(仕掛け)を使っており、リアル脱出ゲームとテレビのミックスを楽しむことができた。(千葉県・中学1年・男子)

    • わが家は、お笑い番組と歌番組を家族で見る時間が多かった。みんなで大笑いしたり歌ったりすることができて良かった。年代を問わず笑顔になる番組が今は必要だと思った。(群馬・中学3年・男子)

    • コロナが拡大することによって、もしかしたら、この環境の変化が新たな文化を生み出すきっかけにもなるのかもと思いました。特に、テレビという全国民が多く触れる世界においては、いち早く、さまざまな変化に対応していかなければならないから大変だろうなと思いますが、視聴者に大きな影響を与えることのできるテレビだからこそ、これからも進化し続けて、私たち視聴者を楽しませてほしいです。(長崎・中学1年・女子)

    • ドラマで、コロナウイルスが広まる前後と収束した後の生活の経過を描いていたことで、ストーリーがより身近に感じられました。過去のドラマを見ていて、登場する家電製品や携帯電話を懐かしく思うことが多いので、コロナ対策の生活様式も昔の映像の中だけのものになる日が早く来てほしいです。(宮城・高校3年・女子)

    • 最近コロナウイルスが流行する世の中(あるいは広まった後)の舞台のドラマが多いような気がします。人々の生活環境が大きく変わり、今まで当たり前だったことがそうではない状態になってしまった大きな出来事なので、それを題材にしてドラマを作ることは悪いことではないと思いますが、コロナの問題は今も動いている最中で、状況が日々変わっています。今年に入ってからは再度緊急事態宣言が出る状態になっているのに、基本的にフィクションのテレビドラマで、このことを多く取り入れるのはあまりいい気がしません。(熊本・高校2年・男子)

    • 2度目の緊急事態宣言が出て、政府がテレワークを勧めているので、テレビ番組もリモート収録などを復活すべきだと思いました。(宮城・中学1年・女子)

    • テレビは、距離をとっているとはいえ、ゲストを迎えて放送しています。全国で多くの感染者が確認されている今、昨年の発令時のように、完全リモート、最少人数での放送に切り替えたり、ロケを控えたりすることはできないのでしょうか。(東京・高校1年・男子)

    • コロナ禍以前と同様にドラマの撮影が行われ、次々と新作ドラマが制作されているが、普通に接触したりする場面もあると思うので、感染対策をしきれないのではないだろうか。(千葉・高校2年・女子)

    • テレビでコロナ感染者数についてよくやっています。ですが、それだけだとよく分からないので、何人検査して、何人陽性だったかを放送してほしいです。(岐阜・中学2年・女子)

    • 新型コロナウイルス感染者の情報は毎日公開されていますが、新型コロナウイルスがどんなものなのか、感染するとどんなことが起きてしまうのか、どのような対策をすれば効果が出るのかを放送してほしいと思いました。テレビやラジオのようなマスメディアにしかできないような情報を公表してくれた方がより新型コロナウイルスに対する危機感を抱く人が増えるのではないかなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • ニュース番組で新型コロナ感染者数を見て、とても増えているなと感じるのですが、それでも自分に100パーセント関係のあることとして受け止められずにいました。ですが、地元密着型の番組で市区町村別の感染者数を見た時、「私の住んでいる市もこんなにも感染している人がいるのか」と驚き、それからより一層感染対策に気合を入れるようになりました。やはり、メディアが与える影響は大きいので、コロナの報道の仕方を工夫すれば1人1人が危機感を持てるような世の中になると思います。(愛知・高校1年・女子)

    • 年末にもっとニュースを放送してほしいと思います。特に、30日や31日になると朝の8時あたりでは、どの局もニュースはやっていませんでした(短いニュースは除く)。バラエティー番組も非日常な感じで楽しいですが、どこかの局はいつも通り、普段通りの編成にしてほしいです。(愛知・中学2年・女子)

    • 年末年始にニュース番組が一気になくなってしまうことで、最新の世の中の動向が分かりづらくなったと思いました。今年は特にコロナによって、普段に比べてより一層そのことを感じました。特番ばかりでなく、ニュース番組の放送があっても良いのではないかと思います。(東京・高校1年・女子)

    • 年末年始、毎日のようにテレビをつければどこかしらのチャンネルでドラマの再放送をしていて、テレビ欄を見れば早朝から夕方までそれだけなんてものもよく見た。このコロナ禍で制作時間が少なかったり、できることが限られていたりするのかもしれないけれど、“下手に番組を作るよりも売れたドラマを再放送した方が、視聴率が取れるから流している”というように見えてしまったし、実際私の周りの人も「確かに面白いけど、やる気ないのかな?」と思ったと言っている人が何人もいた。(東京・高校1年・女子)

    • 年末年始はNetflixのCMをよく見た気がします。今まで正月はテレビ一択だと思っていましたが、それもだんだん変わっていくのかなとも思いました。(千葉・高校1年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)教科書に書いてあったこと(学んだこと)が日常でこんなに使えると思いませんでした。学んだことを思い出すことができて、学校でちゃんと勉強しようと改めて思いました。(山形・中学1年・女子)

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)教科書で習う知識を日常のどんな場面で使うのか、クイズを通して学べる番組です。「こういう場面で使うのか」とためになることもあったのですが、日常で使うには無理があるのではないか、教科書で習った知識を使うよりも普段使う方法の方が簡単で使いやすいな、と思う場面が多々ありました。まるで、「教科書ってすごいでしょ」と教科書を持ち上げているかのように感じました。(愛知・高校1年・女子)

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)クイズが出題されるので、家族で議論しながら見られるのが面白い。また、さまざまな家族とテレビ電話がつながり、いろいろな家族がいることに気付かされる。(東京・高校1年・女子)

    • 『サザエさん』(フジテレビ)ほのぼのとしていて、「今のピリピリした状況下でも家族というものはこうであってほしいのではないかな」と見ていて思いました。今はさまざまなアニメがありますが、サザエさんのような国民的アニメがこれからも多くの人の記憶に残るといいなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『サザエさん』(フジテレビ)ワカメちゃんのように小さいころに夢がころころ変わるのは私にも身に覚えがあって、あるあるだなぁと思いました。最後にワカメちゃんが自分を肯定できるようになるオチはなんだか心にしみました。しかし、みんな素直すぎて、実際の小学生とちょっと違う気がします。教育的観点からかもしれませんが、もう少しキャラクターの個性や面白さがあってもいいのではないかと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 『1億3000万人のSHOWチャンネル 開局2時間SP』(日本テレビ)番組名が気になり、公式サイトで概要を閲覧すると、「企画は皆さんが考えてください。」と書かれていて、疑問とともに大きな興味が出たので視聴することにしました。見てみると、女優の北川景子さんがこれまでできなかった二重跳びを成功させられるようにする企画や、櫻井翔さんが「バク転を成功させたい」という企画など、これまでの番組では見られなかった、自分が落ち度だと思っているものを練習してできるようにする企画や、野口聡一宇宙飛行士に協力してもらった「逆さゴマは宇宙で回すとどうなるのか」「宇宙で食レポをしたらどうなるのか」という企画では、逆さゴマは宇宙では逆さにならないことや、しょうゆはお菓子のグミのように浮かんでいるのを箸で食べることなどが分かり、家族で楽しみながら学べるいい番組だと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『1億3000万人のSHOWチャンネル 開局2時間SP』(日本テレビ)この番組は全国民参加型のバラエティー番組で、みんなの「知りたい」や「やってみたい」をかなえる番組となっています。このような類の番組は他にも数多くありますが、「1000年後の地球はどうなっているのか」など一見企画として難しそうなことにも挑戦し、最後は笑いに走るようなことをせず、知識として役に立つ情報を提供してくれているため、他番組とはひと味違うなと感じました。ただ、視聴者参加型と言いながらも結局はタレントや芸人さんの企画が多用され、番組が掲げている趣旨とかけ離れているのではとも思いました。(高知・高校3年・男子)

    • 『新春スペシャル 藤井聡太18才』(東海テレビ放送)子どものころのことや対戦の休憩中にどんなことをしているのか、知る機会があまりなかったので、ワクワクして、新鮮な気持ちになれました。本当に素晴らしい成績を残されていますが、藤井さんも普通の高校生だと思えました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『池上彰の鶴瓶に伝えたい!!~2021年こそ良い年になるための偉人伝~』(BSテレビ東京)北里柴三郎が今から100年以上前に予防医療を提案していたこと、そしてその内容が現在のコロナ対策と全く同じであったことに驚いた。その他にも、昔を生きた偉人たちが今の生活の基本となるべき生き方、今の苦境を乗り越えるためのヒントとなる生き方をしていたことに驚いた。(東京・中学3年・女子)

    • 『ディスカバリー傑作選 メガ輸送プロジェクト』(BS11)普段の生活では絶対に見ることのできない輸送現場の裏側なので興味深かったです。大量の高級車を傷つけないように配置したり固定の仕方を工夫したり、商品のキャタピラが痛まないようにマットを敷いたりと、機械化やITが進歩しているといえども、まだまだ人の手や細かい配慮は必要なんだなと感じました。大量の車両や積み荷の映像は迫力があり、それを見ているだけでも楽しめました。(沖縄・中学3年・男子)

調査研究について

  • 担当の中橋雄委員より、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、各放送局を対象としたアンケート調査案が提出され、検討しました。

以上

2021年1月に視聴者から寄せられた意見

2021年1月に視聴者から寄せられた意見

新型コロナの感染拡大で、昨年4月に続いて2度目の緊急事態宣言が出されたが、それを報じた番組への意見が多く寄せられた。また、テレビ出演者のマスク着用に関する意見も多く寄せられた。

2021年1月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,797件で、先月と比較して399件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール98%、電話0%、郵便1%、FAX1%(※電話は今月休止)。
男女別は男性49%、女性24%で、世代別では40歳代28%、30歳代24%、50歳代21%、20歳代14%、60歳以上11%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。1月の通知数は延べ1,146件【54局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、25件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

新型コロナの感染拡大で、昨年4月に続いて2度目の緊急事態宣言が出されたが、それを報じた番組への意見が多く寄せられた。また、テレビ出演者のマスク着用に関する意見も多く寄せられた。ラジオに関する意見は70件、CMについては15件あった。

青少年に関する意見

1月中に青少年委員会に寄せられた意見は139件で、前月から51件増加した。
今月は「表現・演出」が45件、「低俗、モラル」が39件、「その他」が13件、「差別・偏見」が11件、「いじめ・虐待」が6件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • テレビでは、感染防止策として、手洗い、うがい、マスクの着用を連呼しているが、伝えているアナウンサーやタレントが、誰もマスクをしていない。これは、マスク着用は報道に関係しない人達のみが必要で、報道する側は必要ないとの見解からなのか。声高に叫んでいる人間がマスクをせず、いかにも物知り顔で発言するのはいかがなものかと思う。

  • コロナ禍におけるアナウンサーやコメンテーターの発言は、全体的に政府の責任を追及する傾向にあるが、見るのが辛くなってきた。政府の頼りなさや見通しの甘さは確かにあるが、今、この災難の中で、マスコミがこぞってマイナス思考の情報や個人的意見を流していている場合だろうか。どの番組を見ても右向け右。マスコミには日本全国に声を届けることができる力、大勢に影響を及ぼす力がある。もっとウイルス感染について学び、その怖さを根気強く伝え、「人が動かなければ感染は収束に向かう」「ウイルスは人を介して感染する」「ウイルス単独では飛び回らない」など、基本的なことなどを前向きに発信して、国民の意識をリードすることが可能である。今こそマスコミの力を発揮すべき時。政府の批判はコロナ収束の後でもできる。

  • 新型コロナ関連の報道について、日本医師会会長の会見を多くの番組で報じているが、総理大臣の会見並みの扱いは、行き過ぎと感じる。医師会は一業界団体に過ぎないのに、公的機関であるかのような扱いは、視聴者に誤解を与えている。また、各メディアが同じ人物を繰り返し登場させることで、医師会の宣伝放送のようになっている。放送における諸団体については、その出自や成り立ち、構成員の選出方法、資金源など、利益構造を明らかにして視聴者に誤解のないよう配慮するべきである。

【番組全般・その他】

  • 年始の特番を見た。収録時期がいつなのか不明ではあるが、コロナ対策が不十分であった。ハイタッチやハグといった密着行為、審査発表までの控室という密閉空間では、座席の距離がなく、密接していた。さらに、大声で話しているのにフェイスシールドすらしていない。陽性者がたくさん出ているのに、ソーシャルディスタンスを取らないのはいかがなものか。もっと感染症対策を取ることができたのではないかと感じた。

  • 人気タレントの扱いについて。土曜日の番組は気軽な散歩企画なのに、かなり前から事前予約が必要な超高級店で食事をすることが多い。夏休みの特番ではハワイでの豪遊三昧、冬休みの特番でも沖縄での豪遊と、いずれも番組で高額なお金を使い、ただ彼に贅沢をさせ、大騒ぎしているだけだ。番組としてこれで良いのかという印象がある。人気のあるタレントを接待、忖度するだけになっている。特定の人に毎回贅沢や豪遊をさせるのではなく、また、私物化のようなお金の使い方をするのではなく、公共的でバランスの良い番組制作を願いたい。

  • コロナ感染拡大防止の指針として、マスク着用があるのに、テレビでは全然マスクをしていない。「感染対策をしてください」という人が、やってないのでは説得力がない。ロケでは、感染対策に何の効果もないマウスシールドを多用している。アクリル板も体裁だけのように見える。最近はさらに緩んでいる番組が多くなったようで、見ていて腹が立つ。これでは視聴者に、「こんな感染対策でいい」と誤解されても仕方ないと思う。

  • フェイスシールド、マウスシールドは、飛沫拡散防止効果がほとんどないと言われているのに、ロケ番組での多用が目に余る。感染防止策の徹底が叫ばれている今、影響力のあるテレビ放送が、不織布マスクをせずに喋る行為を垂れ流す事は、ニュース番組で協力を呼び掛け、不適切な行動を批判するのと矛盾している。まず、メディアが自ら範を垂れるべきではないか。また、前回の緊急事態宣言時に比べ、リモート出演が少なく感じる。政府の対策が緩いと批判するなら、メディアが率先して前回並みの自粛行動を取り、国民に訴えたら良いのではないか。

  • 楽観主義の人は、悲観主義の人より10年長生きするという統計がある。コロナ感染者の数字も、楽観的に伝えたらどうなのだろう。例えば、「今日も何とか医療破綻を回避できました」「感染者は○○人台で収まっています」「重症者の多くは順調に回復しています」「皆さんのご協力のおかげです」などとしてはどうか。呼吸が楽になりそうな気がしないか。

  • コロナ報道は、なぜ偏った内容や国への批判しかしないのか。コメンテーターも素人で、誰でもテレビや新聞を読んでいれば発言しそうなことをとくとくと語る。内容によっては素人目線で、スタジオで語るのも良い場合もあるが、人の生死や国の政策に関わることは、かえって無用の混乱と不安をもたらす。しかも司会者やコメンテーターが言っていることがどんどん変わっても、誰も指摘しないことを良いことに言いたい放題。専門家も番組に合った人を選別しているのだろうと思える。映像はネットで拾い、街頭インタビューもやる意味がない内容を単純に言わせている。その結果、発言や撮影を切り取られて放送された、やらせではないかという疑惑が常につきまとう。VTRも使い回しているのではないかと思えるようなものを無神経に流す。今の時代、映像の捏造もインタビュー受ける人の発言も作り替えるのは簡単。それを承知で調べることも手を抜いて放送して、間違っても簡単にアナウンサーが訂正して終わる。国会議員も人間なら原稿を読むのも人間。議員もテレビ局も人に影響を与えることで言えば、心して報道番組を制作してもらいたい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 学校に常駐する警察官を主人公にしたドラマを見て驚いた。非行や犯罪は許されないが、生徒を投げ飛ばす、手錠を掛けるなどやり過ぎではないか。目標に向かって勉強や部活に取り組む学園ドラマならいいのだが。

  • 謎の感染症が蔓延し、感染した屍が人間を襲うという設定のドラマで、屍の描写が生々しく青少年には健全と言えず悪影響だ。またコロナウイルスが蔓延する中、感染症で屍になるというテーマは人々を不安に陥れるのではないか。

【「低俗、モラル反する」との意見】

  • 夕方の時間帯に車内で家族とラジオを聴いていたら下ネタの多い番組をやっていた。夜中なら問題ないだろうが、この時間帯に流すのはいかがなものか。小学生の子どもがいてヒヤヒヤしてしまった。時間帯を変えるなどしてほしい。

  • 演芸番組に若い女優がゲストとして出ていた。ネタのやり取りの中で、落語家が女優に“胸を見せて”など冗談の枠を超えたセクハラをしていた。女優は冷静に対応していたが、気持ちよく笑えるものではなかった。

【「喫煙・飲酒」に関する意見】

  • バラエティー番組で、高級ワインと安価なワインを当てるゲームをやっていた。解答者の一人は未成年だったため、ワインの匂いを嗅がせてどちらか決めさせていた。法律違反をしてはいないが、未成年にお酒の匂いだけでも勧める行為はいかがなものか。