視聴者意見について 26

question
新聞や週刊誌の内容について言いたいことがあるのですが、受け付けてもらえますか?
answer
放送に関する新聞などの記事であれば、ご意見としてお聞きします。ただし、それは放送の内容をよりよいものにしていくというBPOの目的に沿っている場合です。新聞などでの取り上げ方についての意見はBPOの取扱い事項には含まれません。その新聞や雑誌の発行元に伝えてください。

視聴者意見について 25

question
CMについて、意見を受け付けていますか?
answer
原則としてCMの内容そのものについては、BPOで取り扱うことはしていません。しかし、CMの放送時間帯など、放送の中での取り扱いについては、その影響などを検討して、委員会で取扱う対象になることがあります。CMに関しての意見、苦情はJARO(日本広告審査機構)で受け付けています。

視聴者意見について 23

question
視聴者の意見収集はどのように行っているの?
寄せられた視聴者の意見はどうしているの?
answer
視聴者意見・苦情の取扱いについては、「視聴者からの意見は、放送局にどのように伝わるのですか?」で説明しました。そのほかにも、新聞、週刊誌等の報道、当事者からの直接の訴え、放送局からの連絡等で情報を集めています。その後の取扱いは、事務局が委員会での審議、審理が必要と考えるもの、放送局に連絡すべきものなどの区分けをして対応します。意見をもとに放送局と連絡を取り合うこともあります。

視聴者意見について 22

question
インターネットの動画サイトにあげられた放送番組の権利侵害についても扱っているのですか?
answer
最近、普及の著しいインターネットについて、放送局が放送した番組の内容をインターネットで配信したケースを放送人権委員会が審理したことがあります(平成20年12月3日決定「広島県知事選裏金疑惑報道」)。インターネットの問題については、BPOの目的や規則に照らして、審議や審理などの対象となるのか個別のケースごとに委員会が判断することになると思われます。

視聴者意見について 21

question
視聴者の意見を受けて、委員会が審議や審理を行うか否かの基準はありますか?
answer
放送人権委員会は「申立て」の制度をとっていますので、審理に入る際の基準を決めていますが、その他の委員会ではあくまでも、委員会がニュースや番組の内容、問題点を総合的に判断して決めることになります。

視聴者意見について 20

question
視聴者からの苦情や批判が多い番組については、委員会で取り上げるのですか?
answer
視聴者からの苦情や批判の数と委員会での検討は、必ずしも一致しません。数が多いことは、それだけ多くの人が不満に思っていることでしょう。ですから、委員会で取り上げる機会は多くなると思われますが、1件の苦情であっても、内容を検討して、深刻な問題をはらんでいる可能性が高いと判断すれば、委員会が検証を始めることになります。

視聴者意見について 19

question
それぞれの委員会の議事録について、全文が掲載されないのはなぜですか?
answer
できるだけ公開をしたいと考えています。しかし委員会では、たとえば、人権を傷つけられたという訴えの内容を詳しく検討することもあります。また、委員会のこれからの検討の方針や方向を議論することもあります。これらの内容をすべて明らかにすると、申立人に迷惑をかけることや、委員会活動が円滑に進まなくことも考えられます。そこで、現在は要約をして公開することとし、全文の公開はしていません。

視聴者意見について 18

question
BPOに伝えた意見について、返信や回答をもらえないのはなぜですか?
answer
BPOに寄せられた意見は、BPOの委員会の検証のきっかけとして使うことがあります。取扱いの結果は、決定として公表されることもありますが、委員会の審議や審理の主な内容は、HPでもご覧いただけます。また、主な視聴者意見もHPで紹介し、特定の放送局に関わる意見は、その放送局に伝えています。いただいた意見はこのような取扱いを原則として、ひとつひとつのご意見にはお答えしていません。

視聴者意見について 17

question
放送中の番組について寄せられた意見を、どうしてすぐに放送局に伝えないのですか?
answer
各放送局には、自分の局で放送した番組について、視聴者から意見を受け付ける窓口があります。その局ならば、今どんな番組を放送しているかがすぐにわかります。ただちに対応しなければならない意見については、まず、その放送局で対応をしていただくという方針をとっています。

視聴者意見について 16

question
視聴者からの意見は、放送局にどのように伝わるのですか?
answer
BPOでは、電話、メール、ファックス、手紙等での視聴者の意見・苦情を受け付けています。担当者が、整理、分析して、各委員会の事務局に毎日伝えるほか、放送局には、その放送局に関するものや放送局に一般的に参考になると思われる意見を毎週1回送っています。

BPOの委員会について 15

question
放送局が、委員会の決定に従わない場合はどうするのですか?
answer
委員会の勧告や見解を仕事にどう反映させるかは、放送局の自主性に委ねることになります。BPOはもともとNHKと民放が合意してつくったものですから、委員会の判断は十分尊重され守られるものと考えています。

BPOの委員会について 13

question
「勧告」「見解」の違いは?
answer
勧告は放送倫理検証委員会と放送人権委員会が出すことができます。「勧告」は検証の結果、委員会が強く放送局に改善を促すもの、「見解」は、勧告までにはいたらないが、委員会が何らかの考え方をしめしたものといえます。これらのほかに、内容、伝える相手などにより、委員会は、単独または合同で「提言」や「意見」などを出すことがあります。

BPOの委員会について 12

question
「審議」と「審理」の違いは何ですか?
answer
放送倫理検証委員会の場合は、「それぞれの委員会ではどんなことを議論しているのですか?」で説明しましたが、「審議」と「審理」の区別があります。「審議」と「審理」では、検証の結果の取りまとめ方が異なります。審議の場合は「意見」を出すことができますし、「審理」の場合は放送局に「勧告」やそれより緩やかな「見解」を通知します。「審理」では、放送局に再発防止を求める場合があります。
そのほかの委員会では、本格的な検証を行う場合を、放送人権委員会では「審理」、また青少年委員会では「審議」と、それぞれ呼んでいます。

BPOの委員会について 10

question
委員会によって、「申立て制」の有無があるのはなぜですか?
また申立てをしたいのですが、どのような手続きをとればよいですか?
answer
放送人権委員会は、原則として、放送により個人が傷つけられたという苦情の救済を目的としています。そこで、訴えの内容を明確にするため、「申立て」制度をとっています。放送により迷惑を受けたという人には、まず番組を放送した放送局と話し合いをしてもらいます。それをしても納得できない場合に、放送人権委員会に審理の申立てができることになります。取り扱い基準には、その他の規定もありますので、詳しい手続きについては、人権侵害等の申立てについてを参考にしていただいたうえでBPOに相談してください。
そのほかの委員会では、取扱う問題はその委員会自身が決めることになっています。

BPOの委員会について 09

question
それぞれの委員会ではどんなことを議論しているのですか?
answer
3つの委員会があります。放送倫理検証委員会は、放送倫理を高め、番組の質の向上のために取材・制作のあり方や番組内容について審議します。虚偽の疑いのある番組で、視聴者に著しい誤解を与えた疑いがある場合には、審理をします。放送人権委員会は、原則として、視聴者の苦情に基づいて、名誉、信用、プライバシー・肖像権の侵害や放送倫理違反に関して審理します。放送と青少年に関する委員会は、放送された番組での青少年に関わる問題点を、視聴者意見や自主的判断に基づいて審議します。結果は、勧告、見解、意見、提言などさまざまな形で公表します。

BPOについて 08

question
BPOの権限を強化して、放送局への指導をもっと積極的に行うべきではないか?
answer
表現、報道の自由は、それぞれの放送局がもっています。BPOは、検証の結果である判断を明らかにすることで、放送局に自覚を促す、つまり助言をするのが役割であると考えています。各放送局がBPOの判断をもとに検討して、自主的な判断により、よりよい放送に結び付けていくことを期待しています。BPOの決定が放送局に受入れられるように、放送局にはていねいに説明し、十分な意見交換をするよう努めています。これらの意見のやりとりは原則として公表します。

BPOについて 06

question
BPOには放送界に関係した人が多く、放送局寄りの判断が多くなるのでは?
answer
BPOの主な活動は、委員会の自由な議論を経てまとめる勧告や見解を明らかにすることです。理事や事務局にOBなど放送局に関係する人が就いていますが、公表される見解などは、放送界と関係のない委員で構成される独立した委員会が決定するものでけっして放送局よりということはありません。

BPOについて 05

question
BPOの委員会の委員は、どのような基準で誰が決めているのですか?
またどのような方が委員を務めているのですか?
answer
BPOの運営に責任をもっている理事会が、まず評議員を選びます。評議員は、放送局の役職員以外の人から選びます。評議員7名以内でつくられる評議員会が、委員会の委員を選びます。委員も同じく、放送局の役職員以外から選ばれます。委員は、このような手続きで放送界から独立した人々が選ばれます。委員は、弁護士、学者、評論家、映画監督、小説家など幅広い分野から選ばれています。

BPOについて 04

question
BPOと各放送局との関係はどうなっているの?
answer
放送局とは、協力関係を原則としています。放送局には、局を代表する責任者として登録代表者、日常的な連絡の担当者として連絡責任者を決めていただき、情報や意見の交換をしています。勧告や見解が出た際は、放送局に送りますし、毎月1回委員会の議論などを伝えています。また、BPOに寄せられた視聴者意見や苦情を月2回送っています。

BPOについて 01

question
BPOはどんな組織ですか?
また何をしているところですか?
answer
放送の表現の自由を守りつつ視聴者の基本的人権を傷つけることがないよう、NHKと民間放送が2003年につくった第三者機関です。3つの委員会が、独立して放送倫理や人権の問題を検証し、放送局への勧告や見解や意見などを公表します。必要な経費は、NHKと民放連・民放連加盟各社が負担しています。

休会

休会 – 2011年8月

中高生モニターについて

8月の委員会は例年通り休会したが、中高生モニターについて持ち回りで審議した。8月に寄せられた視聴者意見については9月委員会で審議する。

中高生モニターについて

8月のモニター報告のテーマは、「大震災関連」「原発事故関連」の特集番組、もしくは「大震災・原発事故」を扱った通常の報道番組の中から番組を見て、何を感じたか、何を考えさせられたか、自分ならどう行動するかなどの感想を書いてもらい、26人から報告が届いた。

いちばん報告の多かった番組は、フジテレビ系列の『金曜プレステージ わ・す・れ・な・い~東日本大震災155日の記録~』で7人からリポートが届いた。

  • 「津波の映像はよく目にしましたが、ここまでまとめられた映像は見たことがなく驚きました。たくさんの地点からの映像を時系列ごとに放送していて、三陸海岸がどのように津波に襲われたのかがよく分かりました。東北地方に住む自分は、震災発生当初停電によりテレビを見ることができなかったので、地震発生時の情報カメラの映像はあまり見たことがありませんでした。また、津波で家族を失った方、危機一髪で津波から助かった方のドキュメンタリーは心に響くものがありました。改めて日本に震災が多いこと、そしてその震災から立ち上がってきたこと、『日本は負けない』ということが感じ取られました。」(中学3年・男子)
  • 「驚いたのは宮古市の津波は最初20センチだったのが、その数分後に10メートルの堤防を超える大きさになったことです。誰がそんなことが起こると想像したでしょうか?頑丈な堤防が一瞬で壊れてしまう自然の恐ろしさをまざまざと見せられました。1台のカメラがとらえた一人から『津波はまったく静かで音がしなかった』と言っていたのが不思議でした。それは堤防があったからだと言っています。堤防は津波を遅らせたり、抑えたりすることができるけど、逆に言うと、いつ津波が襲ってくるのかが分からないので堤防も良し悪しなんだと思う。私は津波にあったことがないし見たこともないが、この映像を後世まで伝えて、恐ろしさを伝えていかなければならない。それが私たちの使命なのではと感じた。」(中学1年・女子)
  • 「いろいろな場所のカメラが撮影した津波の映像を順番に流して、とても分かりやすかったです。一般の人が撮影した映像もあり、とても近くに津波が来ていることが分かりました。また、堤防は避難する時間を稼いでくれるが、堤防の下からは波の高さが見えないため、逃げ遅れる可能性もある、ということが分かりました。津波は跳ね返り、あちこちから戻ってきた津波が重なって、より高さを増すことにも驚きました。それをCGで説明していたことはとても分かりやすかったです。時々、こういう番組があるといいと思います。未来に語り継いでいくには映像が一番良いのだな、と思いました。」(中学2年・男子)
  • 「次々に流れる津波・地震の映像を見ると、心がえぐられているような感覚になりました。そして私が知らなかったこともたくさんありました。その中で、日本人の冷静さやマナーの良さを知ることができました。電車の全線復旧までわずか49日というのは過去最速の記録だそうで、それを聴き、すごく嬉しく感じました。日本人は強いと思います。日本人として誇りに思います。」(中学3年・女子)
  • 「千年に1度といわれるぐらい稀な大地震が東日本を襲い、それに続いて起きた大津波で、現在わかっているだけで、死者・行方不明者2万人以上、まさに未曾有という言葉で表現される大惨事。放送中、宮古市職員が思わず、言い放った『終わった、すべてが終わった』というように、まさに『この世の終わり』に匹敵するほどの大きなものでした。当時設置されていた19台のカメラが見た大地震・大津波の全容を通して多くのことを学ぶために放送されたものだと思いました。また、今回の災害を通して『人は人の記憶を生かすことができる。それがどんなつらいことであっても…』の言葉にあるように、大惨事を通してこの経験を次に生かすのが残されたものの使命であるということも痛感しました。」(高校2年・女子)
  • 「映し出されている人々が発する言葉がところどころ胸にささり、2時間という長い番組でしたが飽きることなく見ることができ、充実した内容だったと思います。具体的にどんな言葉が胸にささったかというと、視聴者が撮った津波の映像の後ろに入っている被災者の方々の叫び声です。『死にたくない』『もう終わった』『(津波を)止めてくれ』という言葉はそれだけで考えさせられるものがありますが、その声が震えていたり、本当に諦めの気持ちが伝わってきたりして、今までテレビで見て知っていた以上に被災者の方たちの心の傷を知らされました。始まってしばらくして、『生々しい津波の映像を流すのでストレスを感じる人は見ないで下さい』という注意が流れ、私はこんな思いをしてまで伝えるべきことなのかなと少し疑問に思いました。また、津波について科学的に分析・検証できていてその完成度は高かったですが、具体的な津波に対する対策法は述べられておらず、すこしもの足りなかったです。」(高校1年・女子)

次に4人から報告が寄せられたのは、NHK『BS世界のドキュメンタリー シリーズチェルノブイリ事故25年 永遠のチェルノブイリ 被ばくの森はいま』である。

  • 「チェルノブイリの原発事故で、周りの環境が崩れ、今も立ち入り禁止ということは知っていたが、ここまでひどいものとは知らなかった。放射線は雲となって流れて行き、世界各国へと散らばっていった。原発周辺は森となり、動物がかなり増えていた。しかし、どの動物も被ばくしていて、体内にセシウムがあったり、奇形だったりしていた。これが人間に起こったと思うと、ゾッとする。20年以上たった今でも、放射線障害を訴える子どもがいることにはびっくり。放射線が恐ろしいものだと再び認識した。」   (中学1年・男子)
  • 「この番組を見た印象は『怖い…』ということです。原発事故から25年たった現在のチェルノブイリは、かつて人間が生活していた場所には見えない自然の地へと変わっていました。人間が居なくなった静かなその場所は動物たちにとっては”楽園”となりましたが、皮肉なことに世界中の研究者たちにとっては放射能が生物に及ぼす影響を研究するのに絶好の場所にもなりました。その映像がなんともいえない…悲しい世界に見えました。私はこの番組を見て”原発の是非”について考えさせられました。チェルノブイリに住んでいた人々は25年たった今も、元いた場所に帰れていません。そして福島原発から30キロ圏内の人々もまた、5ヶ月たった今もまだ戻れるメドはたっていません。長い間住んできた場所を急に離れなくてはならなくなり、友だちとも離ればなれ…福島の人々のことを思うと胸が痛みます。かといって危険なので仕方はありませんが、チェルノブイリの森のようにならないように政府には少しでも早く福島の人々が元の生活に戻ることができるようにしっかりとしてもらいたいと思いました。」  (中学3年・女子)
  • 「福島原発事故と同じ史上最悪の事故である、このチェルノブイリ原発事故の現在の状況や長年にわたる調査結果を見ることによって、動植物に与える影響、人体に及ぼす影響について理解を深めることができたと感じています。元々自然界に存在しない放射性物質セシウム137とストロンチウム90はカリウムやカルシウムと科学的性質が似ていることから、植物が誤ってそれらの放射性物質を自らとりこんでしまうというのです。内部被ばくした植物でも人が食して良い部分などは分かっているようですが、野生動物には分かるはずもありません。その影響は植物を食べる草食動物、肉食動物など、食物連鎖の繋がりで人間にも影響を与えていくことになると思われます。人間が作り出したものは、周り巡って、私たち自身にも影響を与える結果になる事例の一つだと思います。今後、農業のことなどチェルノブイリから多くのことが学べると思います。それを利用して、これからの放射線との付き合い方も見えてきやすくなるのではないかと思っています。」(高校2年・女子)

3人から報告の寄せられた番組は、日本テレビ系列の『NNNドキュメント 天国のママへ~届け、いのちの鼓動~』(ミヤギテレビ制作)である。

  • 「この番組の主人公は石巻市に住む8歳という年齢で母親を津波で亡くした少女です。少女の母親は仕事が忙しかったため、2人はなかなか一緒に居られなかったそうですが、週に2回、母子で一緒に太鼓の教室に通っていました。その太鼓教室こそが、2人を繋ぐものでした。本当はお母さんと一緒に出る予定だった年に1回のお祭りの日の晴れ舞台。当日の舞台には、”お母さん”の分まで懸命に太鼓をたたく少女の姿がありました。母という大事な存在をなくしたにもかかわらず、懸命に生きる少女に、私は勇気をもらいました。」(中学1年・女子)
  • 「母一人、祖母一人の家に育った女の子が母を亡くしたということは、想像できないくらい辛くて、幼い女の子にとっては一人ではどうしようもできない不安でいっぱいだと思います。そんな女の子を周りが支えてあげる、学校でも特別扱いせず前と同じように接することで、徐々に自分も頑張ろうという気持ちが生まれたのだと感じました。だから、幼い子どもが家族を亡くしても、『かわいそうに』とか『頑張ってね』などの言葉はあまりよくないと思います。そのような言葉だと”孤独”を感じてしまうような気がするからです。”被災者”にはさまざまなケースがあります。もっと個別的にこういう生活を送っている人もいるし、また違った生活を送っている人もいるのだと報道した方が、真実を伝えられるのだと思いました。」(高校1年・女子)

日本テレビ系列の『24時間テレビ』で取り上げられた震災報道について報告が2人から寄せられた。

  • 「私は真矢みきさんが取材した『ガレキの中の小さな花屋さん』を見ました。地震が起きた後、どこのお店より早く店を再開した花屋さんに来る人は、ほとんどが津波で亡くなった人への花を買いに来る人でした。取材の様子を見て『よく悲しんでいる人に取材できるな。酷いな』とそのとき私は思いました。そこまでして取材しなくてもいいのでは?と思う一方で、この大災害を忘れかけていた自分がいることに気づきました。大震災のその日から悲しくて苦しくて、涙も流せないほど傷ついている人がいるという現実から、私は逃げていました…。しかしこの放送を見て、消えることのない悲しみにくれている人々がいるのだと痛感しました。そして、この事実を永遠に覚えておかなければいけないのだと分りました。」(高校1年・女子)

テレビ朝日系列の『報道ステーション』の特集コーナーについても2人から報告が寄せられた。

  • 「この番組では、最近の建物について注目していました。地震が起きると細かくS字形に揺れる構造にしたり、建物の地価に大きなバネのようなものを仕込んで地面が揺れてもバネが揺れを吸収したりして、被害を減らそうという工夫されていました。先日、学校で『原発は本当に必要か』という討論会をしました。最近、テレビで福島原発の大変な状況ばかりを見ているので、『要らない』『原発以外のもっと安全な方法で電気を作り出せるのではないか』という意見が多い中で、『今回の大地震が起きたからそう考えるけれど、もしあの地震がなかったら原発はあってもいいのではないかと自分たちは思っていたはず…』という意見が出され、今まで自分は『原発は要らない』としか思わなかったけれど、改めて考えさせられる意見でした。」(中学1年・女子)

NHK『ゆうどきネットワーク』の特集コーナーへの意見も寄せられた。

  • 「福島原発事故で暮らしを奪われた福島県相馬市の2つの家族を取り上げていました。最初の家族は夫婦と子ども3人が群馬県片品村に避難している一家である。3月から狭い避難所で暮らしていた一家に、『8月末にこの避難所を閉鎖する』という通知が…。家が放射能で危険だから、我慢して窮屈な避難所暮らしをしていた人に対する扱いがひどすぎる。『この国は正気か?』と思いました。もう1つの家族は、親子2人で運送業をしていた家族です。津波によって得意先も流されてしまい、運送業が続かなくなっていました。国から仕事を紹介されたりするのかと思いましたが、現実は甘くないみたいです。結局、娘さんがパートを掛け持ちしてお父さんを食べさせていくことになりました。お父さんも仕事をしたがっていましたが、年齢的に無理なのです。この番組を見て、『国』というものの無力さをとても感じました。」(中学3年・男子)

そのほか、NHKの『追跡! A to Z スペシャル 福島第一原発作業員に何が?』、『ETV特集 アメリカから見た福島原発事故』、テレビ東京の『ガイアの夜明け』の特集コーナーについての報告が寄せられたほか、3人から震災報道全般についてのリポートが寄せられた。

【委員の主な所感】

  • 今月の報告には、モニターの皆さんの「自分は何ができるか」という真摯な問いにあふれていました。今回の大災害を、テレビで報じられた「一過性の出来事」にとどめず、自分の問題として受け止め、自分にできることを具体的に模索しており、痛みを共にしようとする姿勢に、優しさを感じました。
  • 全体的にやや感想文レベルに止まっているリポートが目立っていました。日常生活から紡ぎだされる問題意識、被災地や原発事故で避難生活を余儀なくされた住民への想像力、「森を見てから木を見る」眼、具体的で分かりやすい根拠から導き出される自分なりの結論・感情などがリポートの中に表現されているかがポイントだと考えます。
  • ドラマやバラエティーですと見る側に「作りもの」という意識が強く働き、モニター報告も番組に対する批評や評価が前面に出やすいのですが、今回のようなドキュメンタリーの場合は、番組の作り方ではなく、そこで示されたことがらに対する感想が中心になりがちですが、批判精神にあふれた優れたリポートもありました。ドキュメンタリーなどのノンフィクションに関しては、何を取り上げ、それをどう描いたか、という制作者の視点を考えるとよいのではないかと思いました。
  • 未曾有の大震災や原発問題に関する特集番組を見ての感想だったこともあり、多くの皆さんが自分のこととして受け止めて自分なりの意見をまとめてくださってよかったと思います。もう一歩進めて、制作者が何を意図してその番組を制作したのかを推察し、自分だったらもっとこういう番組にしたという意見があると面白かったかなと思います。
  • 3月12日に福島原発で水素爆発が起ったことは、将来10年、20年、30年後にどうなるか?モニターである中学1年から高校2年の皆さんの人生とピッタリ合致して、この問題を意識する、しないに関らず背負い続けることになります。皆さんは一方的にテレビの報道を見ているだけでは、何がホントで、何がウソかの判断が下せないと思います。物事は自分の目で見たこと、聞いたことと比べることからすべては始まると思います。『複眼』で見つめることを心がけてください。

「今月のキラ★報告」(宮城・高校2年男子)

「彼らだけここにいて私だけどこかに逃げるのは嫌。同じ空気を吸って同じ季節を感じて生活したい」、船越の漁師は語る。
大震災から5ヶ月が経過し、大震災関連の特集番組が増える一方、通常の報道番組ではほとんど大震災関連の報道をすることがなくなった。とはいえ、いつまでも「東日本大震災」を伝え続ける訳にもいかない。常に新情報を届けなくてはならない報道番組は、時間の経過とともに震災情報を減らしたり、もしくはその番組の中で特集として取り上げたりするようになる。だから「いつの間にか震災情報が減ったなぁ」と私たちに感じさせるテレビは、私たちの震災に対する気持ちの薄れを見事に反映しているものだと言えるだろう。
さて、私が今回視聴した番組は仙台放送の『ともに』である。震災後定期的に放送され、東北の震災関連の情報を主に伝える生放送番組だ。冒頭の文章は、被災した漁師の言葉である。家族を津波で亡くし、漁をするための船や道具なども失ってしまった彼は船越に残り、仲間の漁師とともに漁業の復興に取り組んでいる。そこで私が驚いたのは、手作業で漁具を修復していたことである。もちろん、船がなければ漁をすることができないが、漁具も不可欠なものだ。特に、東北の復興に当たって重要視されるのが「漁業」であるにもかかわらず、国や地方自治体の対応が遅れ、漁師同士が船や道具の貸し借りをしているのが現状である。
番組を通して感じたことは「復興は全然していない」、そんな当たり前ともいえる言葉に尽きる。報道番組は「新情報」、そして「変化」を求めている。震災から数ヶ月たてば、状況の変化が見られないため、人々の「努力」を映し出そうとする。私の視聴した番組『ともに』も、被災者の「努力」や「心情の変化」を伝えている。それは「寄り添う」番組だ。私はとても大切なテーマだと思うが、現状を伝えることも忘れてはならない。例えば、原発作業員の話を聴く場面が多いが、原発の状況を「振り返る」ことも必要なのではないだろうか。東日本大震災を忘れないために…。
番組の最後に、被災地の少年野球チームが兵庫県に招待されたことが紹介されていた。震災後、被災地の生徒が他県や海外に招待されるといったニュースをよく見るが、私にはその趣旨がよく理解できない。「励ます」ということなのだろうか。私はそれよりも「地域との交流」を重視すべきだと考える。それに、平等性に欠けている。被災地見学やボランティア活動をして子どもや若者中心に「経験」をさせ、「将来の幅」を広げることが大切なのではないだろうか。東日本大震災(の経験)を生かすために…。

【委員会の推薦理由】

常に新しい情報を提供し続けなければならない報道番組の宿命を論じ、また時間の経過とともに、被災者の努力や心情の変化というような番組を提供する必要性を鋭く指摘していた。また、被災地の子どもたちを県外や海外に招待するよりも、被災地以外の子どもたちが被災地にやってくることの方が重要であるという意見も、被災地で暮らしているからこそ感じる指摘で、評価に値すると考える。

2000年度 第13号~第15号

援助交際ビデオ関連報道

第13号~第15号 – 2001年1月30日

1999年8月、名古屋の小学校教諭が県青少年保護育成条例違反容疑で逮捕されたが、同じ日にこの教諭が常連客だったビデオ店経営者がわいせつ図画販売容疑で逮捕された。ビデオ店経営者は、名古屋テレビ、テレビ愛知、中京テレビのニュースについて、「自分は教諭の事件と関係ないのに、関わっていたかのような印象の報道をされ名誉を毀損された」として申し立てた。

第15号 – 放送局:中京テレビ 見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
第14号 – 放送局:テレビ愛知 見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
第13号 – 放送局:名古屋テレビ 見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)

第15号 – 放送局:中京テレビ

申立人
愛知県名古屋市の元ビデオ店経営者
被申立人
中京テレビ
対象番組
「NNNニュースプラス1」
「ニューススポット」
「きょうの出来事」
「おめざめワイド」
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

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第15号審理経過

第14号 – 放送局:テレビ愛知

申立人
愛知県名古屋市の元ビデオ店経営者
被申立人
テレビ愛知
対象番組
「ニュースワイド・夕方いちばん(現TXNニュースアイ)」
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

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第13号 – 放送局:名古屋テレビ

申立人
愛知県名古屋市の元ビデオ店経営者
被申立人
名古屋テレビ
対象番組
ローカルニュース2回、ネットニュース1回
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

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第13号~第14号 審理経過

1998年度 第6号~第10号

大学ラグビー部員 暴行容疑事件報道

第6号~第10号 – 1999年3月17日

1998年、大学ラグビー部員らあわせて8人が婦女暴行容疑で逮捕されたが、示談の成立で全員処分保留で釈放になり、その後起訴猶予処分となった。申立人は部員2人とその家族で、「暴行に加わっていないのに犯人として放送され、本人と家族の名誉が著しく損なわれた」などとして、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京を相手に名誉毀損や肖像権侵害を訴えた。

第10号 – 放送局:テレビ東京 見解:問題なし
第9号 – 放送局:テレビ朝日 見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
第8号 – 放送局:フジテレビ 見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
第7号 – 放送局:TBS 見解:問題なし
第6号 – 放送局:日本テレビ 見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)

第10号 – 放送局:テレビ東京

申立人
2年生部員2名と家族
被申立人
テレビ東京
対象番組
「ニュースウォッチ」 1月20日
「ニュースワイド・夕方いちばん」 1月20日
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

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第9号 – 放送局:テレビ朝日

申立人
2年生部員2名と家族
被申立人
テレビ朝日
対象番組
「やじうまワイド」 1月20日、1月21日、1月22日
「スーパーモーニング 」 1月21日
「スーパーJチャンネルニュース」 1月20日、21日
「ワイド!スクランブル」 1月21日
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

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第8号 – 放送局:フジテレビ

申立人
2年生部員2名と家族
被申立人
フジテレビ
対象番組
「めざましテレビ」 1月20日
「おはようナイスデイ」 1月20日、1月21日、1月22日
「ビッグトゥデイ 」 1月21日、1月22日
「ザ・ ヒューマン」 1月21日
「スーパーナイト」 1月25日
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

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第7号 – 放送局:TBS

申立人
2年生部員2名と家族
被申立人
TBS
対象番組
「ニュースの森」 1月20日
「サンデーモーニング」 1月25日
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

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第6号 – 放送局:日本テレビ

申立人
2年生部員2名と家族
被申立人
日本テレビ
対象番組
「ズームイン朝」 1月20日、1月21日、1月22日
「おもいっきりテレビ」 1月20日
「プラスワン」 1月20日、1月22日
「ルックルックこんにちは」 1月21日
「ザ・ワイド」 1月21日、1月22日
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

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第6号~第10号 審理経過

1998年度 第5号

幼稚園報道

委員会決定 第5号 – 1998年10月26日 放送局:NHK

見解:放送倫理上問題あり
1997年12月、NHKの『クローズアップ現代』は「赤ちゃん預かります~保育に乗り出した幼稚園の戦略」と題した放送をした。この番組で取り上げられた幼稚園と理事長らが「取材趣旨の説明と異なり、経営状況の厳しさだけが意図的に強調された」などとして、幼稚園の信用が毀損され、関係者の名誉が侵害されたと申し立てた事案。

1998年10月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第5号

申立人
A幼稚園
B理事長 外53名
被申立人
NHK
対象番組
NHK 「クローズアップ現代」
放送日時
1997年12月9日

申立てに至る経緯

1997年12月9日、NHKの番組「クローズアップ現代」(29分番組)で、「赤ちゃん預かります~保育に乗り出した幼稚園の戦略」と題する放送が行われた。この番組は、少子化と女性の社会進出によって保育園への需要が高まる中で、厳しい経営状況に追い込まれた幼稚園の現状と対策、行政の対応等を伝えるものであった。
この番組の中で、園児の減少で経営が苦しくなった幼稚園の例として京都市山科区にあるA幼稚園が2分間取り上げられた。この放送に対し、A幼稚園側(理事長が園長代行)は「取材趣旨の説明と異なり、園の特色である教育方針が全く紹介されず、経営状況の厳しさだけが意図的に強調された」としてNHKに抗議した。しかし、話し合いに決着がつかず、今年6月、この放送により幼稚園の信用が毀損され、保護者、園児、教職員らの名誉が侵害されたとして、A幼稚園側が本委員会に対して、「権利侵害」の救済を求める申立を行った。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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【委員会決定を受けてのNHKの対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

第63回 放送倫理検証委員会

第63回 – 2012年9月

日本テレビ「食と放射能 飲み水の安全性」報道に関する意見

告知とは別の「占い師」が出演した日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』 …..など

第63回放送倫理検証委員会は9月14日に開催された。
7月31日に通知・公表した日本テレビの「食と放射能 飲み水の安全性」報道事案については、当日のテレビニュースや報道された新聞記事などを見たうえで意見交換を行った。
前回の委員会で審議入りした日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』については、担当委員から意見書原案が提出され、審議の結果大筋で合意を見た。若干の修正を加え、10月の初めに当該局に「意見」を通知し、公表することになった。
「無料サービスの落とし穴」という企画コーナーで、電話セールスのトラブルは局側の演出よるものだった等の不適切な取材・表現があったフジテレビ『めざましテレビ』については討議の結果、この事案に関する委員長談話を公表することになった。
また、事務局から9月10日付けで5周年記念冊子を刊行したことと在札幌局との意見交換会を実施したことが報告された。

議事の詳細

日時
2012年9月14日(金) 午後5時~8時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議案
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、立花委員、服部委員、水島委員

日本テレビ「食と放射能 飲み水の安全性」報道に関する意見

日本テレビの報道番組『news every.』の中で詳しく紹介され、利用者として重要なコメントをした「宅配の水」の女性利用者が、実は一般の利用者ではなく、宅配の水を製造・販売する会社の経営者の親族(会長の三女で社長の妹)で、執行役員の妻であり、大株主でもあったという事案。
7月31日、当該局に対して委員会決定を通知し、続いて記者発表を行った。事務局からそれに関する報告があり、続いて当日のテレビニュースや報道された新聞記事などを見たうえで意見交換が行われた。

告知とは別の「占い師」が出演した日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』

日本テレビが5月4日のゴールデンタイムに2時間放送した『芸能★BANG ザ・ゴールデン』の中で、週刊誌などで話題になっている女性タレントと占い師の同居騒動を取り上げ、新聞の番組欄での告知や番組内のスーパー、ナレーションで女性タレントと同居していた占い師が出演するかのように表示した。しかし、実際に出演したのはこの占い師と一緒に住んでいたことのある別の占い師だったという事案。
担当委員から意見書の原案が示され、この原案をもとに審議を行なった。
審議の結果、委員会は意見書原案を基本的に了解し、10月の初めに当該局へ通知し、記者会見をおこなうことを決めた。

委員長談話公表へ 不適切な取材・表現があったフジテレビの『めざましテレビ』

6月6日放送の『めざましテレビ』は、「ココ調」のコーナー企画で、無料サンプルに応募したところ化粧品会社からのセールス電話が36分間にも及んだと報じた。しかし、電話はディレクターが意図的に引き伸ばし、会話は無断録音だったこと、さらに無料カットサービスのロケでも美容師の声を隠し録音していたこと、実況放送風にみせかけた過剰な演出があったことが判明し、前回の委員会から討議に入っていた。
今回は、フジテレビが事前に提出していた「不適切表現の問題点から学ぶ」という社内向けテキストの内容も参考にしつつ、この事案の扱いについて意見を交わした。
各委員からは、この事案の問題点は、意図的な電話の引き伸ばしをしたのにセールストークが長引いたかのように事実をゆがめて伝えていること、隠し録音、隠し撮りは、例外的にしか認められない手法なのに、重大性も緊急性もないにもかかわらず、隠し撮りが許されると安易に判断しているうえ、必要も無いのに後付け実況をしている点で放送倫理違反があるとの指摘があった。さらに2010年8月に起きた同局の『Mr.サンデー』事案との比較や、昨今のプライバシー意識の向上と表現の自由の関係など多岐にわたる意見が交わされたが、最終的には、迅速な訂正放送と謝罪により隠し録音の放送に抗議した化粧品会社の納得は得られていること、美容師も隠し録音放送を事後承諾していること、後付け実況は過剰な演出だが討議の対象とするほどの重みはないこと、迅速な内部調査と再発防止策の策定と実行により当該局の自主的・自律的な取り組みが十分に行われていることなどを総合的に考慮して審議入りはせず、委員長談話を出して、隠し撮り、隠し録音の基準についての問題点を指摘しつつ、審議の対象としなかった理由を説明することとした。またフジテレビが作成した総括テキストは、他局の人が読めば再発防止の共有財産になるとの評価もあったので、フジテレビの同意を得て、上記テキスト全文をBPOのホームページに掲載することにした。

その他

1.「放送倫理検証委員会2007~2012」発刊

BPOの放送倫理検証委員会は2007年の発足から5周年を迎え、これまでの委員会の決定、提言、委員長談話、それに委員会で議論になった事案をまとめた冊子、『放送倫理検証委員会2007~2012』を発刊した。
この冊子は、5年間に60回開かれた、放送倫理検証委員会が公表した勧告、見解を含む13の委員会決定、1つの提言、それに1つの委員長談話をすべて網羅するとともに、委員会で議論となったおもな事案59件を掲載した。
また、発足以来委員長を務めてきた川端和治委員長に、重松清委員が、放送倫理検証委員会がこの5年間何を考え、どんな思いで活動してきたかについてインタビューを行い、冒頭に掲載した。
『放送倫理検証委員会2007~2012』が放送倫理と番組の向上に役立つことを願い、BPO加盟の全国の放送事業者や関係先に配布した。

2.在札幌のテレビ・ラジオ各局とBPO検証委員会の意見交換会開催

在札幌局との意見交換会が9月10日、札幌市内のホテルで開かれた。一昨年の大阪、昨年の福岡に次いで3回目の開催であるが、ラジオ2局を含む8局から55人が、また委員会側からは、川端委員長、重松委員、服部委員の3名が出席した。
意見交換会は、2つのテーマを設け、第1部を「最近の事例から」また第2部を「委員会は発足以来、何を考え続けてきたか」とした。
第1部では、直近の事例である日本テレビの「宅配の水」の意見書のポイントを川端委員長が説明、1年前の「ペットビジネス」事案を踏まえて対応策を作ったはずなのに、なぜ同じようなミスを繰り返してしまったのか、その要因として、血肉化されなかったガイドライン、そして制作担当がベテランであったが故に「お任せ」になってしまうスタッフの意識があることが指摘された。
続いて、重松委員から、ミスは全国で起きていて、その原因や背景を見ると他局にとっても決して他人事ではないという事例を、ここ数年の討議・報告案件から紹介した。
さらに、服部委員が、こうしたミスが続くと行政や政治が介入する口実を与えることになり、放送局として危機感を持つ必要性を訴えた。
第2部では、委員会が発足5周年を機に刊行した冊子に掲載した「川端委員長へのインタビュー」を基に、会場からの質問を交えながら委員会がこの5年間何を考え続けてきたかを鼎談ふうに語り合った。
意見交換会では、会場からそのつどの質問のほかに、あらかじめ参加者に質問カードを配り、休憩中に回収、その質問をそれぞれのパートで適時取り込んだことから、放送局側と委員会側の意見交換が活発に展開される効果が生まれた。
特に、「ミスが起きるのは東京など大きな組織であるがゆえの意思疎通不足ではないかと思っていたが、実際に全国で起きている事例を聞くと、われわれも身につまされる」といった感想が出された。最後に川端委員長が、「番組制作側にぜひともこれを伝えたいという強い意思があるときにすばらしい番組が生まれる。そうした真摯な挑戦を続けている場合に、委員会が頭から「これは放送倫理違反だ」というような形式的な議論をすることは一切ない」と委員会のスタンスを述べた。
意見交換会終了後に開かれた懇親会では、「会場に来るまでは、きっと眠くなると思っていたが、双方のやり取りに聞き入ってしまい、寝る暇もなかった」と冗談めかした感想や、「自分なりに知っていると思ったことが、表面的にしか理解していなかったことがよく分かった」という声があちこちで聞かれた。
また、開催時間が午後2時から5時という時間帯であったため、制作現場からの参加者は限られていたが、「意見のやり取りを現場の若いスタッフにも聞かせてやりたかった」と残念がる局幹部も多かった。

以上

第14号

日本テレビ『news every.』の「飲み水の安全性」報道に関する意見

2012年7月31日 放送局:日本テレビ

福島第一原発の事故の影響で懸念されている水道水の安全性の問題を特集企画で検証した際、最近「宅配の水」として利用者が急増しているボトルドウォーターについても取り上げた。この中で、利用者として紹介され、子どものためにも宅配の水のほうを選ぶとコメントした女性が、一般の利用客ではなく、宅配水メーカーの経営者の親族で、同社の大株主でもあったことが判明した事案。
委員会は、約1年前に同じ放送局の同じ番組の「ペットビジネス」報道でも、類似の問題が繰り返されたことを重視して比較検討した。その結果、取材・制作スタッフが実績のあるベテランだったため内部チェックが空洞化したこと、1年前の教訓をもとに策定された「企業・ユーザー取材ガイドライン」が現場で血肉化されておらず機能しなかったことなどを指摘した。

2012年7月31日 第14号委員会決定

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目 次

2012年11月9日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

標記事案の委員会決定(2012年7月31日)を受けて、当該局の日本テレビは、局としての対応と取り組み状況をまとめた報告書を、10月30日、当委員会に提出した。
2012年11月9日に開催された委員会で、報告書の内容が検討され了承された。

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目 次

  • 1. 委員会決定の報道
  • 2. 委員会決定内容の周知徹底
  • 3. 番組審議会への報告
  • 4. 委員会決定前の取り組み
  • 5. 委員会決定後の取り組み
  • 6. おわりに

第13号

テレビ東京『ありえへん∞世界』に関する意見

2011年9月27日 放送局:テレビ東京

沖縄県の「南大東島」を取り上げ、サトウキビ農家の収入が1000万円を超え、沖縄本島に別荘を持つような裕福な暮らしをしていると放送したところ、村から抗議を受け、当該局が実態とかけ離れていることを認めて謝罪した事案。委員会は、意図的に事実をゆがめ、視聴者を誤った認識に導く演出が行なわれていたこと、取材対象者への「愛」が欠落していたことなどを指摘した。

2011年9月27日 第13号委員会決定

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目 次

2012年1月13日 【委員会決定を受けてのテレビ東京の対応】

標記事案の委員会決定(2011年9月27日)を受けて、当該局のテレビ東京は、局としての対応と取り組み状況をまとめた報告書を、12月22日、当委員会に提出した。
2012年1月13日に開催された委員会において、テレビ東京の取り組みが検討され了承された。

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目 次

  • 1. 放送倫理検証委員会決定当日の対応について
  • 2. その後の対応について
  • 3. 再発防止策について
  • 4. 終わりに

第12号

情報バラエティー2番組3事案に関する意見

2011年7月6日 放送局:テレビ東京、毎日放送

1.番組で酵素飲料を飲み、ダイエットに成功したと紹介した女性が、その飲料を販売する会社の社長だった事が分かったテレビ東京の『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』(2010年11月8日放送)

2.ホテルを購入しようとしたセレブな女性に密着した取材が、ホテルの宣伝のための作り話ではないかと視聴者から指摘された毎日放送の『イチハチ』(2010年11月17,24日放送)

3.同じ『イチハチ』で、出演した女性がニューヨークに23件もの不動産物権を持っていると紹介し、その後、毎日放送が女性の所有とは証明できず、事実と異なる情報を放送した可能性が極めて高いと言わざるを得ないと公表した事案(2011年1月12日放送)

委員会は、情報や事実の正確さを前提に制作されている以上、その正確性や公正性に対する確認や裏づけ取材は、バラエティーといえどもあやふやであってはならないと指摘した。
そのうえで、若い制作者たちへの手紙という「別冊」で、委員会への思いを表明した。

2011年7月6日 第12号委員会決定

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目 次

別冊「若きTV制作者への手紙」

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2011年10月14日 【委員会決定を受けてのテレビ東京と毎日放送の対応】

標記事案の委員会決定(2011年7月6日)を受けて、当該局のテレビ東京と毎日放送は、局としての対応と取り組み状況をまとめた報告書を、9月7日および10月7日に当委員会に提出した。
10月14日に開催された委員会において、両局の取り組みが検討され了承された。

テレビ東京の対応

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目 次

  • 1. 放送倫理検証委員会決定当日の対応について
  • 2. その後の経緯について
  • 3. 再発防止策について
  • 4. 終わりに

毎日放送の対応

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目 次

  • (1) 当社の対応
  • (2) 制作局の取り組み
  • (3) 「意見書」の指摘と「現場の声」
  • (4)再発防止に向けて
  • 【おわりに】

第11号

BS11『”自”論対論 参議院発』に関する意見

2011年6月30日 放送局:BS11

司会者もゲストも、全ての出演者がひとつの政党所属の議員だけで構成されており、政治的公平性に問題があるのではないかと視聴者から指摘された政治討論番組。当該局は、番組編成の全体で、配慮していると主張したが、委員会は、他の政治関連番組も視聴したうえで、政治的公平性を損なっていることや放送局の自主性が発揮されていないことを指摘した。

2011年6月30日 第11号委員会決定

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目 次

2011年10月14日 【委員会決定を受けてのBS11の対応】

標記事案の委員会決定(2011年6月30日)を受けて、当該局のBS11は、局としての対応と取り組み状況をまとめた報告書を、9月30日、当委員会に提出した。
10月14日に開催された委員会において、BS11の取り組みが検討され了承された

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目 次

  • ① 放送倫理検証委員会の審議に伴う対応、及び通知当日の対応
  • ② 役員会における対応 放送法及び民放連基準の勉強会実施
  • ③ 番組制作現場での対応 放送基準の勉強会実施
  • ④ 組織改編を実施して専任の番組適正検証委員を設置
  • ⑤ 弊社番組審議会における意見拝聴 及び今後のチェック強化
  • ⑥ 最後に…

第10号

日本テレビ 「ペットビジネス最前線」報道に関する意見

2011年5月31日 放送局:日本テレビ

番組の中で紹介されたペットサロンとペット保険の2人の女性客が、実は一般の利用者でなく、ペットビジネスを展開する運営会社の社員だったという事案。担当ディレクターは、そのことを知りながら、一般客として放送していた。委員会は事実を正確に伝えておらず、公正性も損なわれていると指摘した。

2011年5月31日 第10号委員会決定

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目 次

2011年9月9日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

標記事案の委員会決定(2011年5月31日)を受けて、当該局の日本テレビは、局としての対応と取り組み状況をまとめた報告書を、8月29日、当委員会に提出した。
9月9日に開催された委員会において、日本テレビの取り組みが検討され了承された。

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目 次

  • 1.委員会決定の報道
  • 2.委員会決定内容の周知徹底
  • 3.番組審議会への報告
  • 4.再発防止策の策定と実践の経緯
  • 5.BPO委員会決定後の報道局の対応について
  • 6.BPO委員会決定についての報道局 社員・スタッフの受け止め方
  • 7.BPO研修会について

第9号

参議院議員選挙にかかわる4番組についての意見

2010年12月2日 放送局:長野朝日放送、信越放送、TBS、BSジャパン

参議院選挙に関連して、2つのローカルニュース番組と2つの情報バラエティー番組に対して、放送の公平・公正性に疑念が持たれた事案。

(1) 長野朝日放送『abnステーション』(6月22日放送)
(2) 信越放送『SBCニュースワイド』(7月8日放送)
(3) TBS『関口宏の東京フレンドパークII』(6月28日放送)
(4) BSジャパン『絶景に感動! 思わず一句 初夏ぶらり旅』(7月11日放送)

2010年7月の参議院選挙比例代表には12の政党・政治団体から186人が立候補したが、長野県内で放送された(1)と(2)は、長野県に関係がある3つの政党の4人の候補者だけを取り上げ、その他の政党や候補者には言及しなかった。一方、(3)は、公示期間中に立候補者である特定の議員の名をあげ所属政党を当てさせるクイズを出題した。(4)は、タレント候補がリポーターを務めた3年前の旅番組を、投票日の夕方の投票時間中に再放送した。 委員会は、公平・公正な選挙は民主主義の根幹であるとして、選挙にかかわるすべての放送関係者に公平・公正性の徹底を求めた。

2010年12月2日 第09号委員会決定

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目 次

2011年3月31日 【委員会決定を受けての当該4局の対応】

標記事案の委員会決定(2010年12月2日)を受けて、当該4局はそれぞれの対応と取り組み状況をまとめた報告書を、当委員会に提出した。
2011年3月31日に開催された委員会において、4局の取り組みが検討され了承された。

長野朝日放送

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目 次

  • 1. はじめに
  • 2. 放送以降の対応
  • 3. 企画意図と放送までの経緯について
  • 4. 決定内容の周知と社内認識の共有
  • 5. 放送番組審議会での意見
  • 6. 勉強会の開催と問題点の把握
  • 7. 再発防止に向けて
  • 8. おわりに

信越放送

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目 次

  • Ⅰ委員会決定後の対応について
  • Ⅱ社内での報告と周知及び問題の共有化について
  • Ⅲ社独自の検証について
  • Ⅳ再発防止に向けた取り組みについて
  • Ⅴ公平・公正な選挙報道に向けて

TBS

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目 次

  • 1.委員会決定後の対応
  • 2.社内での報告と周知、問題の共有化
  • 3.再発防止に向けた取り組みについて

BSジャパン

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目 次

  • 1. 放送倫理検証委員会決定当日の対応について
  • 2. その後の経緯について
  • 3. 再発防止策について
  • 4.終わりに

第8号

TBS『報道特集NEXT』ブラックノート詐欺事件報道に関する意見

2010年4月2日 放送局:TBS

偽札詐欺事件が放送された際、TBSから番組を受注した制作会社のスタッフが、制作過程で配達された郵便物をポストから抜き取って開封するなどの違法な取材が行われたことが外部からの通報で明らかになり、TBSが番組でそれらを説明しお詫びした事案。委員会は違法行為の取材による放送責任を指摘するとともに、放送局と制作会社の信頼関係が空洞化しているのではないかと述べた。

2010年4月2日 第08号委員会決定

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目 次

2010年7月9日 【委員会決定を受けてのTBSの対応】

標記事案の委員会決定(2010年4月2日)を受けて、当該局であるTBSは、局としての対応と取り組み状況をまとめた報告書を7月1日付で委員会に提出した。
7月9日に開かれた委員会で、TBSの取り組みを検討し、了承した。

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目 次

  • 1.委員会決定後の対応
  • 2.社内での報告と周知、問題の共有化
  • 3.再発防止に向けた取り組みについて
  • 4.おわりに-「『対等なパートナー』に意義ある中身を」について

第7号

最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見

2009年11月17日

9ヶ月にわたりテレビバラエティー番組について議論し、これまでの意見書のフォーマットや文体とは異なり、意見書そのものをバライティー風に表現した。「バラエティー番組がこれまで人々をタブーから解放し、より自由で、風通しのよい社会を作ることに貢献してきた事実を高く評価するがゆえに、一方でバラエティー番組においては放送倫理がもっと実質的に尊重されるような意見を述べつつ、その特性を発揮するよう制作者を励ますことの出来る方法はないものか、と悩み続け」ながら、作成された。この意見書を素材にした番組が作られ、全民放キー局の制作者によるシンポジウムが開かれるなど大きな反響を呼んだ。

2009年11月17日 第07号委員会決定

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目 次

2010年10月 民放連の取り組み

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目 次

  • 1.会長コメントの発表
  • 2.各社への周知と取り組み
  • 3.BPO放送倫理検証委員会委員と放送倫理小委員会委員との意見交換
  • 4.シンポジウム「バラエティー向上委員会~作りたいバラエティー、見たいバラエティー~」の開催
  • 5.機関誌『月刊民放』でバラエティー番組を考える特集
  • 6.民放連・ATP放送倫理セミナー「バラエティー番組と放送倫理」の開催
  • 7.その他

特集「バラエティーなう」

全文pdf資料1(シンポジウム記録)PDF

目 次

  • 1.民放連・放送基準審議会主催「バラエティー向上委員会」から
  • 2. テレビ・バラエティーはどこへ行く?
  • 3. <お笑い>の未来はいつだって明るい!
  • 4. BPO意見書はどううけとめられたか

第1回民放連・ATP放送倫理セミナー「バラエティー番組と放送倫理」の概要

全文pdf資料2(セミナー記録)PDF

目 次

  • 1. 講演「バラエティー番組における倫理とは」
  • 2. パネルディスカッション「送り手のバラエティー、受け手のバラエティー」

第6号

『真相報道 バンキシャ!』裏金虚偽証言放送に関する勧告

2009年7月30日 放送局:日本テレビ

岐阜県が発注した土木工事に絡み裏金作りが行われているという建設会社役員の証言をスクープとして報じたが、証言が虚偽であることが判明し、結果として誤報となった事案。委員会は、十分な裏付け取材をしなかったために、虚偽の告発情報が放送され、結果的に番組が犯罪行為の手段とされたとして、初めての勧告を出し、日本テレビに検証番組の制作などを求めた。

2009年7月30日 第06号委員会決定

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目 次

2009年10月7日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

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目 次

  • 1)検証番組の制作、放送
  • 2)社内検証結果の公表
  • 3)訂正放送のあり方の検討
  • 4)勧告の周知徹底
  • 5)番組審議会への報告
  • 6)再発防止策 実践の現状
  • 7)BPO勧告公表後の報道局の対応について
  • 8)勧告についての報道局 社員・スタッフの受け止め方
  • 9)BPOに関するWeb研修について

第5号

NHK教育テレビ『ETV2001シリーズ戦争をどう裁くか』第2回「問われる戦時性暴力」に関する意見

2009年4月28日 放送局:NHK

戦争と裁判をメインテーマに、戦時下における性暴力を扱った8年前のノンフィクション番組(『ETV2001「シリーズ戦争をどう裁くか 第2回問われる戦時性暴力」』)が制作過程において政治的な圧力により内容が不当に改変されたと関係者による指摘があった事案。委員会は公共放送NHKの自主・自律を危うくし、視聴者に重大な疑念を抱かせる行為だったなどと、指摘し、放送・制作部門と国会対策部門の分離がなされるべきだと述べた。

第4号

光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見

2008年4月15日 放送局:キー5局・NHK

「光市事件」の報道を検証する会から、「光市事件の差し戻し審報道では、あまりにも弁護団へのバッシングがひどく、事実関係についても間違いや歪曲がある。裁判員制度導入を間近に控えて、裁判報道のありかたについて、委員会で検証して欲しい」などと申し入れがあった事案。委員会は「集団的過剰同調」など3点を示して、テレビ報道が「巨大な凡庸」に陥っているのではないかと指摘した。

第3号

テレビ朝日『報道ステーション』マクドナルド元従業員制服証言報道に関する意見

2008年2月4日 放送局:テレビ朝日

「マクドナルド製造日偽装問題」のニュースの中で、店の制服とバッジをつけた女性が「直営店でも商品の調理日改ざんをしていた」との内部告発の証言を放送したが、女性は現職ではなく、番組は、店員の制服を着て店長代理のバッジをつけた元店員が内部告発の証言をするという演出をしたことについて謝罪放送をし、また、証言者が番組関係者であることも明らかにした事案。委員会は、こうした安易な演出は、報道にあたっての慎重さに欠けるものであったなどと指摘した。

第2号

FNS27時間テレビ「ハッピー筋斗雲」に関する意見

2008年1月21日 放送局:フジテレビ

フジテレビは、27時間テレビのコーナー企画「ハッピー筋斗雲」で、素晴らしい活動を行っている人として地震の被災者やいじめ問題で苦しんでいる学校関係者に亡き父の名を冠したりんごを送って励ましている一般の人を紹介。その際、"ドッキリ企画"として、その人にスピリチュアルカウンセラーのカウンセリングを受けさせたところ、のちに、本人から「善意の放送の形をとりながら、結果的に自分や周囲の人たちが傷つけられた」と、抗議が寄せられた。
委員会は、放送基準が慎重な扱いを求める「スピリチュアル・カウンセリング」なるものを、「おもしろく」見せるために、出演者の生活に関わるマイナス情報を十分な裏付けを取らずに放送したことについて、取材・構成・演出上、放送倫理違反があると判断した。

2008年1月21日 第02号委員会決定

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目 次

2008年3月27日 【委員会決定を受けてのフジテレビの対応】

標記事案の委員会決定(1月21日)を受けて、当該局のフジテレビは社内で議論・検討した結果を、「『ハッピー筋斗雲』に関する報告書」にまとめ、3月27日に当委員会に提出した。この報告書は、民放連の「放送倫理・番組向上機構への対応に関する申し合わせ」(2003年6月19日)第2条によるものである。

4月1日に開催された委員会において、この報告書が委員会の意見を踏まえた改善策となっているかどうかが討議された。フジテレビは、バラエティ制作センター所属の全プロデューサーに対する社内アンケートを実施し、これをもとに番組プロデューサー28名を集めて勉強会を開催した。それをうけて編成局、バラエティ制作担当者、コンプライアンス担当者が検討会議を開催して、一般人出演企画における出演者の人権への配慮を自社の「番組制作ハンドブック」の一項目に加え、この改善策に対する外部有識者のコメントも得ていた。委員会では、霊能者に関する考察が不十分であるという指摘はあったものの、委員会の指摘についてバラエティ番組制作の全プロデューサーの意見を聞くなど、制作現場の自覚を促す改善策の取り組みがなされたことについては、委員会として高く評価することとした。

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目 次

  • 1. 弊社の対応経緯
  • 2. 番組プロデューサー・アンケートの実施
  • 3. 番組プロデューサー勉強会の実施
  • 4. 一般人に番組に出演していただく際の留意点について
  • 5. 留意点の社内外の徹底について
  • 6. 外部有識者からいただいたご意見

2005年度 第25号 放送局対応

第25号 産婦人科医院・行政指導報道

【委員会決定を受けてのNHK名古屋放送局の対応】

2005年7月28日に委員会決定を受けたNHK名古屋放送局は、放送と人権等権利に関する委員会〔BRC〕宛に10月18日に「改善策と取組状況」をまとめた文書を提出した。

これは、NHKと日本民間放送

連盟が、BPOの発足にあたり基本合意書において「3委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取り組み状況を報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、1

0月の委員会では、7ページにわたるこの報告文書について意見を交わした。

この中で、同局内で行なわれた職場研修に招かれた渡邊委員からは「60名程の報道部員が集まり、予定の時間を超えても質問するなど非

常に熱心でした」との報告があった。また、委員からは「委員会決定を受けた当該局としては今までで一番丁寧な対応といえる」「申立人に直ちに会うなど取り組み方はきめ細かい」などNHK名古屋放送局が、具体的改善策を講

じ、誠意ある対応をしたことを高く評価する意見が相次いだ。

NHK名古屋放送局の報告は以下の通り

平成17年10月18日
NHK名古屋放送局
NHK名古屋放送局で放送した「産婦人科医院・行政指導報道」のローカルニュースについて、BRCより受けた「勧告」に対するNHK名古屋放送局の対応や取り組みに

ついて報告します。

(1)勧告後のNHKの対応について

平成17年7月28日のBRCからNHK名古屋放送局への勧告を受けて、NHKは同日午後、東京・渋谷区の放送センターにある「ラジオ・テレビ記者会(全国紙など14社加盟)」と「東京放送記者会(地方紙など13社加盟

)」に対して、「勧告で指摘された問題を真摯に受け止め、今後さらに放送倫理の向上に努め、公共放送に対する視聴者の皆様の期待に応えていきたい」というコメントを発表しました。
名古屋放送局では、この決定を受け

て、同日午後6時10分からの愛知・岐阜・三重の東海3県向けのローカル放送「ほっとイブニング」で、BRCの勧告内容をNHKのコメントを加えて放送しました。さらに東京から全国向けに午後9時からの「ニュース9」で同様

の内容を放送しました。ラジオでは、午後7時45分から東海3県向けに、また、午後11時から全国向けに放送しました。

申立人に対しては、同日夜に、愛知県豊明市の自宅に名古屋放送局報道部長と副部長の2人が

直接出向いて、勧告内容を「ほっとイブニング」で放送したことや「ニュース9」でも放送することなどを報告しました。

「勧告」を受けた7月28日の翌日、29日に、名古屋放送局報道部内に報道部長をチームリ

ーダーとして、ニュース取材、テレビ制作、映像制作(編集)、映像取材(カメラマン)、報道番組の各責任者5人のあわせて6人による「改善チーム」を直ちに立ち上げるとともに、報道部会を開いて勧告内容を説明し、勧告を

重く受け止め、放送倫理の向上に一層努めるよう指示しました。
東京の報道局でも、この問題を幹部が出席する編集会議で取り上げた上で、注意を喚起する旨の文書を29日付けで全国の報道の現場に送り、放送倫理の向上

に一層努めるよう指示しました。
さらに勧告後、9月16日に名古屋放送局で開かれた、中部地方在住の11人の学識経験者らからなる第506回中部地方放送番組審議会で、勧告内容、改善計画について報告しました。

(2)「勧告」に対する報道部員の意見集約と問題点の整理

名古屋放送局報道部では、BRCの「勧告」について、報道部員全員から「勧告」をどう受け止めたか、問題点はどこにあったか、などについての意見を求めるためにリポートを提出させました。その際に、「勧告書」のほか、BRC

が行った記者発表の内容や出席した新聞社などの記者の質疑応答をまとめた文書を熟読するように指示しました。
これらのリポートを集約して、「改善チーム」で問題点を整理しました。ひとつは、「報道される側への配慮

が足りなかった」という、ニュースを報道する側の意識の問題があげられました。報道のイロハである「いつ」が欠落した点に重大な問題があると「勧告」で指摘されており、原稿上の事実関係は正しくても、報道される側への配

慮を欠いたニュースであったことを深く認識するべきで、記者、デスク、ほか報道に携わるもの全員が、改めて人権に対する意識を改革する必要があるという結論に達しました。
もうひとつは、当該の原稿が出された際の「

チェック体制」の問題です。この点については、原稿の内容が専門的で、担当デスクに全面的に任せるかたちになっていたこと。また、放送間際の出稿で、編責やTVデスクによる十分なチェックができなかったことなどが上げら

れました。「改善チーム」では、これまでのチェック体制を見直し、より重層なチェック体制を構築する必要があるとの結論に達しました。
以上を踏まえて、名古屋放送局報道部では、再発防止に向けて、ニュース・放送に

携わる者のさらなる意識改革を行うこと、ニュースデスク体制や編集責任者(編責)体制を中心にニュースのチェック機能を一層強化することの2点を重点に、以下のような措置を講じました。

(3)名古屋放送局報道部での具体的改善策

1.「報道される側に配慮した放送」へのさらなる意識改革

  • グループ討議を開き、再発防止と人権への意識を高める
    報道部の記者、カメラマン、映像制作、報道番組の各グループが9月2日から21日にかけてそれぞれグループ討論を行いました。各グループからは、「ニュースの

    出し手としての責任の重さを痛感した」、「人権への配慮が問われるとき、情報を共有化して確認する作業がいっそう必要だ」、「相手への影響をまず考えることが大切だ」などという意見が出されました。

  • 職場研修の実施
    10月6日、名古屋放送局900会議室にBRC委員で千葉弁護士会の渡邊眞次弁護士を招いて、2時間あまりにわたって職場研修を実施しました。研修には報道部を中心に全局から60人が出席し、講演を

    通じて改めて「報道される側に配慮した放送」への意識を高めました。
    報道部では、この研修のほか、随時、人権に関する研修を開いて意識改革に努めることにしています。

2.「ニュースのチェック体制の強化」

  • ニュースデスク体制の見直し
    ニュース原稿を二重、三重にチェックするため、新たに総括デスクを設け、ニュースデスクの役割を明確にし、機能の強化を図りました。
    これまで、名古屋放送局から出稿される原稿

    については、1番デスク、2番デスクに分かれて地域別の責任体制をとっていました。今後は、1番デスクを出稿全体の責任者に位置づけ、2番デスクが1番デスクの補佐役として、原稿の2次チェックをすることとしました。ま

    た新たに創った総括デスクは、3次チェックを行い、その日出された原稿のニュースバリューや、翌日のニュースの予定の選択、TVデスクとの綿密な打ち合わせなどを業務として位置づけました。1番・2番・総括デスクの役割

    分担を明確にした上で、互いの業務に目を配ることで、名古屋放送局から放送されるニュースについてより重層的にチェックできると考えています。

  • 報道部のレイアウト変更
    複数の報道部員から「ニュースデスクとTVデスクとの間が離れすぎていて綿密なコミュニケーションがとれていない」という指摘があり、これを改善するため、報道部フロアのレイアウトを変

    更し、ニュースデスクとTVデスクの距離を近づけました。これによって、出稿を担当するニュースデスクとTV制作を担当するTVデスクとが、より緊密に連絡をとれるようにしました。

以上が、BRCより受けた「勧告」に対して、NHK名古屋放送局が取り組んできた内容です。

以上

2005年度 第26号 放送局対応

第26号 喫茶店廃業報道

【委員会決定を受けての毎日放送の対応】

2005年10月に当該事案について委員会決定を受けた毎日放送は、3か月後の2006年1月16日にBRC宛に、「委員会決定後の当社の取り組みについて」という文書を提出した。
これは、NHKと日本民間放送連

盟が、BPOの発足にあたり基本合意書において「3委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取組状況を報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、06年1

月17日の第108回BRCでこの毎日放送からの報告文書について意見を交わした。
委員からは、「このところ当該局の対応の仕方はよくなっている」「毎日放送も、かなり前向きに対応している」との意見が出ていた。

毎日放送の報告文書は以下の通り

2006年1月16日
放送と人権等権利に関する委員会
委員長 飽戸弘 殿
毎日放送

「喫茶店廃業報道」事案
委員会決定後の当社の取り組みについて

毎日放送では、2005年5月9日にニュース番組・VOICEの特集において、「憤懣本舗/嫌がらせの屋台、無神経な役所」を放送しました。この放送についてBRCでは「喫茶店廃業報道」事案として審理され、10月18日に委員会決定を

だされました。決定を受けた後の当社の対応や取り組みについて、ご報告いたします。

(1)委員会決定後の当社の対応について

◆申立て人に対しての謝罪

  • 10月20日、申立人に謝罪文を郵送

◆委員会決定の主旨の放送

  • 10月18日(火)「イブニング・ニュース」 <17:50~18:16放送 TBS発 全国ネット>内で44秒間、決定の主旨を放送
  • 10月18日(火)「VOICE」<18:16~18:55放送 MBSローカル>内で1分13秒間、決定の主旨を放送
  • 11月5日(土)「MBSマンスリーリポート」<05:30~05:45放送 MBSローカル>内で4分28秒間、決定の主旨を放送

◆委員会決定を受けて、当社のコメントを公表

  • 委員会決定の内容を公表する記者会見の席で、出席した記者に当社のコメントを配布

◆視聴者など社外への告知

  • 当社ホームページ「ちゃやまち広報室」に委員会決定の内容や社としての対応を掲載

◆番組審議会への報告

  • 10月25日開催の第503回番組審議会において、広報室長、報道局長から委員会決定について報告

◆社内への告知

  • 10月19日開催の全社局長会<当社の全常勤取締役、全常勤監査役、全ライン局長出席>において、広報室長から委員会決定へ至る経過と決定内容について報告
  • 当社社報12月号<12月1日発行>に決定内容と対応を掲載

◆社長の訓示

  • 1月4日の当社年賀式および当社社報1月号<1月1日発行>において、VOICEにおける報道がBRCに放送倫理違反と判断がなされたことに関し、社長から全社員に向け訓示

(2)再発防止のための取り組みについて

◆決定内容を報道局員に周知徹底

10月20日に緊急の報道局会を開催し、局員に対し委員会決定の内容を説明しました。指摘を受けた点を重く受け止め、報道の正確性を期するために、取材対象者に報道の意図を明示して、その弁明を聞くという報道の基本原則を

再確認すること、ならびに、いわゆる隠し撮りという取材手法が許されるのは、その目的が公共性・公益性を有するとともに、そうした取材が不可欠の場合に限定されるということをあらためて報道局員全員に周知徹底しました。

また、今後の報道活動において民放連の放送基準、報道指針を遵守することなど、放送倫理のいっそうの向上に努めるよう指示しました。

◆デスクによるチェック体制の強化

報道局内の部長、デスクが協議を重ね、10月31日のデスク会で、再発防止のために次の2点を確認し、チェック体制を強化することにしました。

  • 今回の決定をふまえ、特集に限らずニュース番組の制作にあたっては、十分な取材がなされているか、また取材手法が妥当かなどを、毎夜、開催している取材予定会議の場でデスクが協議し、厳しくチェックすること
  • なかでも今回の決定で指摘を受けた、いわゆる“隠し撮り”取材については、事前にその目的や内容の妥当性を複数のデスクが判断すること、また、取材後の編集や放送にあたっても同様に複数のデスクがチェックし、厳格に

    判断すること

◆研修会の開催

12月16日、毎日放送本社に上智大学・田島泰彦教授を講師に招いて報道研修会を開催しました。

研修会には報道局員ら50余名が出席し、放送に求められる倫理とは何か、特に、いわゆる隠し撮り取材(無断録音・無

断撮影)という取材手法が報道倫理上、どのように位置づけられているかについて、英国BBCの倫理ガイドラインやわが国での過去の事例などをもとに講演をしていただき、報道局員らの認識を高めました。
今後も報道倫理に

関わるさまざまなテーマで適宜、報道研修会を開催し、取材、放送に関わるスタッフの人権や放送倫理に対する意識の向上を図っていきます。

2005年度 第27号 放送局対応

第27号 新ビジネス“うなずき屋”報道

【委員会決定を受けてのテレビ東京の対応】

2006年1月17日に委員会決定を受けたテレビ東京は、放送と人権等権利に関する委員会(BRC)宛に、3月20日「改善策と取り組み」などをまとめた文書を提出した。
これは、NHKと日本民間放送連盟が、BPOの発足にあたり基本合意書において「BPOの三委員会から指摘された放送倫理上の問題については、当該放送局が改善策を含めた取組状況を委員会に報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、4月の委員会でこの報告について意見を交わした。
この中で、テレビ東京が委員会決定で指摘された内容を、関係部局に周知徹底して伝えたこと、報道現場をはじめ、外部プロダクションを含む各セクションで研修会、勉強会を行って放送倫理の確立を改めて認識しあったことなどに対し、委員各位からその取り組みを評価し、この教訓を今後に是非生かして欲しいとの要望が出された。

テレビ東京の報告は以下の通り。

2006年3月20日
放送と人権等権利に関する委員会(BRC)
委員長 飽戸 弘 殿

「新ビジネス“うなずき屋”報道」BRC決定後の改善策の取り組み等について

2006年3月20日
株式会社 テレビ東京
「新ビジネス“うなずき屋”報道」事案について、2006年1月17日に貴委員会から審理結果の通知を受け、テレビ東京は、「決定で指摘された点を真摯に受け止め、今後より一層放送倫理を遵守した報道に努めて参ります。」とのコメントを発表し、ホームページ上にも掲載しました。

その後当社では下記の通り、放送での対応・改善策の取り組み等を実施致しましたのでご報告申し上げます。

I.BRC決定通知後の決定主旨等の放送

  • 1月17日(火)17時~『速ホゥ!』で放送
  • 1月17日(火)22時~『ガイアの夜明け』で放送
  • 1月17日(火)23時~『ワールドビジネスサテライト』で放送
  • 1月22日(日)6時20分~『みんなとてれと』で放送
  • 2月19日(日)6時20分~『みんなとてれと』で、2月開催の放送番組審議会報告において、社内委員会「人権・放送倫理委員会」での模様等を紹介した。

II.決定文配布等社内周知

  • 1月17日(火)決定文社内配布
  • 1月24日(火)役員局長会報告
    社長以下全役員、全局長が出席する会議において、決定内容を報告した。
  • 1月26日(木)考査事例研修会報告
    社内の制作・報道セクションを中心に、「考査事例」を教材にして放送倫理問題を研修する会において決定内容を周知した。
  • 2月9日(木)人権・放送倫理委員会報告
    放送倫理問題を中心に議論し、幅広く社内周知を図るために設置されている委員会。
    制作・報道・スポーツをはじめ管理部門の委員も参加し、決定文を基にした意見交換 を行った。
  • 社内報(2006年2月21日発行の2月号)に決定内容を掲載した。

III.2月13日(月)開催の第305回放送番組審議会で報告

IV.報道局における改善策の取り組み(局員・制作担当者への周知・徹底等)

  • 『ガイアの夜明け』制作スタッフ(テレビ東京社員)に周知・徹底
    1月19日に制作スタッフを招集し、報道局長より委員会決定の内容を説明するとともに、今後の取材および制作活動において、放送倫理の一層の向上に努めるように指示した。
  • 報道局員に周知・徹底
    2月10日に報道局員を招集し、委員会決定の内容を説明するとともに「テレビ東京報道倫理ガイドライン」の遵守を徹底した。また今後の取材および制作活動において、放送倫理の一層の向上に努めるように指示した。約70名の報道局員が出席し、「取材対象との関わり方」等について議論を深めた。
  • 『ガイアの夜明け』外部制作プロダクションに周知・徹底
    2月14日に、番組制作に携わる外部プロダクション20社33名のプロデューサー、ディレクターを招集し、委員会決定の内容を説明するとともに、今後の取材および制作活動において、放送倫理の一層の向上に努めるように指示した。また制作過程において、局のプロデューサーとプロダクションのプロデューサー・ディレクターとのコミュニケーションを緊密にし、再発防止に努めることを確認した。「番組構成上の問題」や「取材対象者の人権への配慮」などが 議論された。
  • 勉強会の開催
    BRCの右崎正博委員(独協大学法科大学院教授)を招き、委員会決定の内容と「放送と人権」についての報道勉強会を3月8日に開催した。当日は、報道局員にとどまらず編成・制作・制作会社など約70名が参加、質疑応答・意見交換が活発に行われた。

以上

2005年度 第28号 放送局対応

第28号 バラエティー番組における人格権侵害の訴え

【委員会決定を受けての関西テレビの対応】

2006年3月28日に委員会決定を受けた関西テレビは、BRC宛に06年6月13日に「決定後の対応と取り組み状況」をまとめた文書を提出した。

これは、NHKと日本民間放送連盟が、BPOの発足にあたり

基本合意書において「3委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取り組み状況を報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、06年6月20日の第113回委

員会では、この関西テレビからの報告文書について意見を交わした。

各委員からは、BRCの委員会決定を受けた放送局に対する最近の総務省の動きを懸念する意見が相次いだ。

関西テレビの報告は以下の通り

2006年6月13日
放送と人権等権利に関する委員会
委員長  竹田 稔 様
関西テレビ放送株式会社

委員会決定後の対応と取組みについて

平成18年3月28日のBRC(放送と人権等権利に関する委員会)の勧告を受け、当社は下記の通りの対応と再発防止の取組みを行いましたので、ご報告します。

(A)勧告後の当社の対応について

1.申立人への謝罪

  • 4月4日、申立人に制作局長と番組プロデューサー連名の謝罪文を郵送

2.視聴者等への告知

  • 3月28日、委員会決定直後に当社ホームページにて、これまでの経緯と委員会決定の内容、今後は一層送倫理遵守に努める方針を掲載
  • 3月28日、委員会決定後から視聴者情報部が窓口となり、視聴者からの電話やメールに対応(3月28日~4月6日:この件に関する電話7件、メール28件で内訳は苦情69%、激励その他31%)
  • 3月28日、委員会決定後に夕方の全国ニュース(40秒)、ローカルニュース(1分20秒)で決定内容を放送
  • 4月1日の当該番組「たかじん胸いっぱい」の中で番組の最後にテロップ画面でアナウンスコメントのお詫びを30秒間放送
  • 4月30日、月1回放送の検証番組「月刊カンテレ批評」の冒頭で5分間の特集を放送。その中で制作局長が出演し、経緯及び今後の方針を説明

3.他のマスコミ各社への対応

  • 3月28日、委員会決定直後のBRC委員長らの記者会見の席で、出席したマスコミ各社に当社のコメントを配布
  • 3月28日、委員会決定後から総務部が窓口となり、マスコミ各社の問合せに対応

4.社内への告知

  • 3月28日、委員会決定直後に緊急管理部長会を開き、総務局長から委員会決定について報告。全社員への周知徹底を図る
  • 4月4日、5日に全社の部長会、局長会でも今回の経緯並びに決定内容が報告される

5.総務省近畿総合通信局への報告

  • 3月28日、当社技術業務部長から委員会決定について報告。4月12日、技術業務部長と総務部長がこれまでの経緯を事情説明

6.番組審議会への報告

  • 4月13日開催の第475回番組審議会において、制作局長、考査部長から委員会決定について報告

(B)再発防止に対する取組み

1.緊急制作局会、プロデューサー会議の開催

  • 3月28日に緊急制作局会、プロデューサー会議を開き委員会決定の内容を説明し、今後は企画・編集段階から見直しを図り、再発防止に努めるよう指示
  • 4月7日、制作局長が当該番組の制作プロダクション幹部に委員会決定の内容とともに再発防止への協力を要請

2.企画・編集のチェック体制の強化

  • 3月29日より、制作部長と副部長が分担して企画書や収録番組の編集テープを取寄せ、番組のチェックをすることを決定

3.各種研修会の開催

  • 4月12日、新入社員の研修会にて考査部長がこれまでの経緯とBRC決定のポイントを解説
  • 5月18日、若手カメラマンと外部プロダクションの編集スタッフを対象に研修会を開催。今回の問題点を取り上げて、人権に配慮した番組作りを心掛けることを確認
  • 6月2日、関西テレビの本社で上智大学の田島泰彦教授を講師に招いて、「放送と人権」をテーマに研修会を開催。外部プロダクションのスタッフや社員80人が参加。田島教授はBRCの設立時の背景や放送倫理と人権について

    講演。講演後、バラエティ番組と人権に関するテーマで活発な議論が交わされた

4.制作マニュアルの作成

  • 番組制作に携わる者が放送倫理を守り、他人の名誉やプライバシーに配慮した番組作りに努める心得を書いた小冊子を作成

以上

2006年度 第29号 放送局対応

若手政治家志望者からの訴え

委員会決定 第29号 – 2006年7月26日 放送局:日本テレビ

若手政治家志望者3人が、日本テレビが2005年11月に放送した報道番組について「我々が作った政党と個人の活動について誤解を与える表現と作為的な編集、演出が行われ、名誉が傷つけられた」と申し立てた事案。

2006年7月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第29号

申立人   小笠原 賢二  中野 壽人  近藤 勇次郎 3氏
被申立人  日本テレビ
「先端研」は、日本テレビの説明によると、ニュース離れが進む若年層をターゲットに、気になる「先端的なテーマ」を取り上げた報道局制作の深夜番組であり、05年4月から12月まで週に1回関東ローカル枠で放送された。

「政治家を志す若者たち」というテーマで放送された本件番組は、主に以下の4つのパートから成り立っている。

•元フリーターから当選した(東京の)中野区議
•自分たちで政党をつくった「日本公進党」の党首ら
•早稲田大学雄弁会の学生たち
•松下政経塾の塾生たち
今回申立てを行ったのは、04年10月に「日本公進党」を立ち上げたいずれも20歳代の党首・小笠原賢二、幹事長・中野壽人、幹事・近藤勇次郎の3氏で、「当該放送は、当方の活動について誤解を与える表現を使い、また作為的な編集や演出が行われた結果、我々の名誉が傷つけられた」としている。
申立人らは、当初05年12月に日本テレビ報道局長宛に公開質問状を送るなどして局側の説明を求めていたが、06年2月に担当プロデューサーと電話で話しあった後、書面による回答を求めていた。
被申立人の日本テレビは、06年4月に報道局担当プロデューサー名で「当該番組は取材で浮かび上がった事実をありのままに伝えたもので、事実を歪曲して編集していない。したがって、取材方法や編集作業において謝罪や訂正すべき点があるとは考えていない」と回答した。
申立人らは、この回答を不満として同年4月9日付けで「申立書」を本委員会に提出した。

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目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

2006年10月13日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

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