放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第248回

第248回 – 2017年6月

都知事関連報道事案の審理、浜名湖切断遺体事件報道事案の審理、沖縄基地反対運動特集事案の審理、STAP細胞報道事案の対応報告、事件報道に対する地方公務員からの申立て事案の対応報告など

都知事関連報道事案の「委員会決定」案を検討のうえ了承し、浜名湖切断遺体事件報道事案の「委員会決定」案を引き続き議論、また沖縄基地反対運動特集事案を審理した。STAP細胞報道事案について、NHKから提出された対応報告を引き続き検討し、事件報道に対する地方公務員からの申立て事案で、テレビ熊本、熊本県民テレビから提出された対応報告を了承した。

議事の詳細

日時
2017年6月20日(火)午後4時~9時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

坂井委員長、奥委員長代行、市川委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
白波瀬委員、曽我部委員、中島委員、二関委員

1.「都知事関連報道に対する申立て」事案の審理

対象となった番組は、フジテレビが2016年5月22日(日)に放送した情報番組『Mr.サンデー』。番組では、舛添要一東京都知事(当時)の政治資金流用疑惑に関連して、舛添氏の政治団体から夫人の雅美氏が代表取締役を務める会社(舛添政治経済研究所)に事務所家賃が支払われていた問題を取り上げ、早朝に取材クルーを舛添氏の自宅を兼ねた事務所前に派遣し、雅美氏が「いくらなんでも失礼です」と発言した模様等を放送した。
申立書によると、未成年の長男と長女は、1メートル位の至近距離からの執拗な撮影行為によって衝撃を受け、これがトラウマになって家を出て登校するたびに恐怖を感じ、また雅美氏はこうした撮影行為に抗議して「いくらなんでも失礼です」と発言したのに、家賃に対する質問に答えたかのように都合よく編集して放送され視聴者を欺くものだったとしている。雅美氏と2人の子供は人権侵害を訴え、番組内での謝罪などをフジテレビに求めている。
これに対してフジテレビは委員会に提出した答弁書において、長男と長女を取材・撮影する意図は全くなく執拗な撮影行為など一切行っておらず、放送した雅美氏の発言は、ディレクターが家賃について質問した以降のやり取りを恣意性を排除するためにノーカットで使用したとしている。さらに雅美氏は政治資金の使い道について説明責任がある当事者で、雅美氏を取材することは公共性・公益性が極めて高いとしている。
前回の委員会後開かれた第2回起草委員会で修正された「委員会決定」文が、今月の委員会に提案され了承された。その結果、7月4日に「委員会決定」を通知・公表することになった。

2.「浜名湖切断遺体事件報道に対する申立て」事案の審理

対象となった番組は、テレビ静岡が2016年7月14日に放送したニュースで、「静岡県浜松市の浜名湖で切断された遺体が見つかった事件で、捜査本部は関係先の捜索を進めて、複数の車を押収し、事件との関連を調べています」等と放送した。この放送に対し、同県在住の男性が「殺人事件に関わったかのように伝えられ名誉や信頼を傷つけられた」と申し立てた。
申立人は、「私の自宅、つまり私と特定できる映像と、断定した『関係者』『関係先』とのテロップを用いて視聴者に残忍な事件の関係者との印象を与えた。実際、この放送による被害が目に見える形で発生しており、名誉毀損は十分に成立する」等と述べている。
これに対しテレビ静岡は、「本件放送は社会に大きな不安を与えてきた重大事件について、客観的な事実に基づいて、捜査の進展をいち早く知らせる目的をもって行ったものであり、申立人の人権の侵害や名誉・信頼の毀損にはあたらないものと考えている」等と述べている。
今月の委員会では、6月7日の第2回起草委員会を経て委員会に提出された「委員会決定」修正案を審理し、次回委員会でさらに検討を重ねることになった。

3.「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」事案の審理

対象となった番組は、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が本年1月2日と9日に放送した情報バラエティ―番組『ニュ―ス女子』。2日の番組では、沖縄県東村高江地区の米軍ヘリパッド建設反対運動を特集し、「軍事ジャ―ナリスト」が現地で取材したVTRを放送するとともに、スタジオで出演者によるト―クを展開、翌週9日の同番組の冒頭、この特集に対するネット上の反響等について出演者が議論した。
この放送に対し、番組内で取り上げられた人権団体「のりこえねっと」の共同代表の辛淑玉氏が申立書を委員会に提出、「本番組はヘリパッド建設に反対する人たちを誹謗中傷するものであり、その前提となる事実が、虚偽のものであることが明らか」とした上で、申立人についてあたかも「テロリストの黒幕」等として基地反対運動に資金を供与しているかのような情報を摘示し、また、申立人が、外国人であることがことさらに強調されるなど人種差別を扇動するものであり、申立人の名誉を毀損する内容であると訴え、TOKYO MXに対し訂正放送と謝罪、第3者機関による検証と報道番組での結果公表等を求めた。
これを受けて同局は、申立てに関する「経緯と見解」書面を委員会に提出した。その中で「本番組は沖縄県東村高江地区のヘリパッド建設反対運動が、過激な活動によって地元の住民の生活に大きな支障を生じさせている現状等、沖縄基地問題においてこれまで他のメディアで紹介されることが少なかった『声』を現地に赴いて取材し、伝えるという意図で企画されたものであると承知している」と放送の趣旨を説明。放送内容は、「申立人が主張する内容を摘示するものでも、申立人の社会的評価を低下させるものでなく、申立人が主張する名誉毀損は成立しないものと考える」と反論した。
前回委員会で審理入りが決定したのを受けて、今回の委員会から実質審理に入った。申立人、被申立人よりその後提出された書面について事務局が報告し、委員から発言があった。

4.「STAP細胞報道に対する申立て」 NHKの対応報告

2017年2月10日に通知・公表された委員会決定第62号に対し、NHKから提出された報告「STAP細胞報道に関する勧告を受けて」(5月9日付)を、前回の委員会に引き続いて検討した。
その結果、同報告に関する委員会の考えを「意見」として取りまとめ、これを付して報告を公表することになった(局の報告と委員会の意見はこちらから)。

5.「事件報道に対する地方公務員からの申立て」(テレビ熊本)事案の対応報告

2017年3月10日に通知・公表された委員会決定第63号に対して、テレビ熊本から6月9日付で提出された「対応と取り組み」報告について事務局より報告があり、委員会としてこれを了承した。

6.「事件報道に対する地方公務員からの申立て」(熊本県民テレビ) 事案の対応報告

2017年3月10日に通知・公表された委員会決定第64号に対して、熊本県民テレビから6月9日付で提出された「対応と取り組み」報告について事務局より報告があり、委員会としてこれを了承した。

7.その他

  • 委員会が7月18日(火)に開催する在京キー局との意見交換会について、事務局が議題、進行等を説明して了承された。当日予定される委員会に先立って開催する。
  • 7月27日(木)に開催される第14回BPO事例研究会について事務局から説明した。当委員会からは、「STAP細胞報道に対する申立て」、「事件報道に対する地方公務員からの申立て」の2事案を取り上げる予定。
  • 次回委員会は7月18日に開かれる。

以上