青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第179回

第179回–2016年3月13日

視聴者意見を中心に意見交換…など

2016年3月13日に第179回青少年委員会を、BPO第1会議室で開催しました。7人の委員全員が出席し、まず、2月16日から2月29日までに寄せられた視聴者意見を中心に意見を交わしました。そのほか、3月の中高生モニター報告、調査研究、今後の予定について話し合いました。
なお、委員会に先立ちテレビ朝日プレゼンテーションルームで26人の中高生モニターを集めて「中高生モニター会議」を開催しました。(詳細はこちら。)後日、報告書を関係各所に配布する予定です。
次回は4月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2016年3月13日(日) 午後4時30分~午後7時10分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、川端裕人委員、菅原ますみ委員、緑川由香委員

視聴者からの意見について

  • 「じゃんけんで勝った人が他の人の分も含めて支払いをする企画で、ルールを無視して特定の人が勝つまでじゃんけんを続けていたが、学校のいじめを象徴している。見ていて不愉快だった」という視聴者意見について、委員からは「まさにルール無視だが、エンターテインメントのうちだと考えられる。"学校のいじめの象徴”という言葉は気になるが、特定の人だけではなく他の人も買わされていたので、これ以上の議論は必要ない」という意見がありました。

  • 「レギュラー出演者になれるかどうかを視聴者からの投票で決めた企画は、いじめのようだ」「深夜帯のアニメではあるが、パロディーと下ネタはやり過ぎだ」などの視聴者意見について議論しましたが、特に問題はないとなりました。

  • 「子ども向けアニメで"ベテラン女性社員”に対する差別的表現があった」「私服のセンスを競う企画で、"農業従事者の服装センス”を揶揄する表現があった。職業差別ではないか」など、差別を指摘する視聴者意見について、委員からは「どの範囲が差別になるのかなかなか難しい問題だ。形式的に言葉だけを問題にするのではなく、前後の文脈で判断する必要がある。ただ、常に言われた側の立場になって考えてみる必要があるだろう」などの意見がありました。

中高生モニター報告について

3月の中高生モニター報告は、「この1年間の感想」というテーマで、「地方在住の人はできれば、地方局制作の番組についても触れてください」と設定して書いてもらい、30人から報告がありました。
12回にわたる報告の中で一番印象に残っているテーマは、9月の「"見たい、作りたい番組”とはどんな内容ですか」という番組企画だったという意見がありました。「一番印象に残っていることは、実際にモニターである私たちが、番組を考えるという課題です。その時のテレビ局の方々からの批評が強烈でした。テレビ局の方たちが番組を作る時にどのようなことを考えてやっているのかが、とてもよく分かったという一方で、テレビを見るのは素人の私たちなので、一つくらい採用して、一つの企画としてやってみるのも面白かったのではと考えてみたりもしました」(東京・高校2年男子)。「毎月出されるテーマの中で一番考えさせられたのが9月のテーマです。私は朝忙しい人でも見られる報道番組を企画しました。客観的に見ても理解しやすく時間の無い人でも見ることができるように内容の濃い番組を構成することに努力しました」(埼玉・中学3年男子)。
12月のテーマ、日本民間放送連盟賞 2015年 特別表彰部門 〔青少年向け番組〕で最優秀となったテレビ山梨制作の『ウッティ発!アンニョンハセヨ!ワタシ桑ノ集落再生人』を視聴した感想を書いたことが一番心に残ったという報告もありました。「正直なところ番組を見る前は田舎在住の人に関するドキュメンタリーなんて面白くなさそうだなという先入観が少しありました。しかし番組を見てみると目標に向かって様々な人と共に一生懸命努力を積み重ねていくご夫婦の姿に心打たれ、すごく感動しました」(埼玉・高校1年男子)。「自分が住んでいる山梨県の放送局が制作した番組だということだったが、この会社の存在はこの時まで知らなかった。とはいえ、非常に見応えのある番組でこれからはもっと自分の住む県の企業や放送局が作った番組に目を向けていこうという気持ちにさせてくれた」(山梨・高校2年男子)。
他に地方局制作の番組に関しても支持する複数の意見が寄せられました。『いっちゃん☆KNB』(北日本放送)…「この番組は、地域のイベントの紹介やグルメリポートなどを含んだニュース番組だ。地域の楽しい催しや面白い話と、大事な情報の伝達と、どちらもいい加減になることなく伝えられていて、見やすく分かりやすい。地域のことをよりよく伝えようとしているのが視聴者に分かる良い番組だと思う」(富山・中学1年男子)。『TEGE2~てゲてゲ~』(南日本放送)…「アナウンサーやコメンテーターがバリバリの方言で番組を進めていることに初めは違和感を覚えたが、それでこそローカルだ!キー局の全国放送には出せない色を持っていて、方言が強みになっている」(鹿児島・中学3年女子)。
1年間の中高生モニターの活動を通じて放送の見方が変わり、ひいては、自分自身の物事を考える視点が広がったという報告も多く寄せられました。「最近では制作者の気持ちも汲み取りながら番組を分析するようになった。また視聴する番組の幅が広がったことで、今まで知り得なかった知識を得たり新たな発見をした」(岩手・高校2年女子)。「今は番組が楽しい、つまらないだけでなく、制作した人たちにはどんな意図や工夫があるのかなど様々な観点から見ることができ、それによりテレビの深さを知った。テレビはとても大きな力を持っており、報道内容や出演者の発言が社会に及ぼす影響は計り知れない。だからこそ、このBPOという組織があり、テレビ局が暴走しないようにする大切な役割を担っているのだと思う」(埼玉・中学2年女子)。「この1年、モニターとしての経験をすることによって自分の好きなテレビについて、ただ面白さの有無だけでなく、深く掘り下げて考えてみる時間を持てて、とても楽しかった。テレビは"日本の社会の鏡”のような面がある。その時代、その瞬間で最もホットな情報媒体の一つであるからだ。縛りに縛られて疲れ果てている今の日本、だからこそ、もっと縛りのないストレスフリーな活気あるテレビが今必要だと思う」(神奈川・高校2年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】今回の報告で目立ったのはラジオ番組、地方発の番組についての言及が多かったこと。ローカル局の旅番組などの人気番組やラジオ番組に関する意見などを面白く読んだ。

  • (岐阜・高校2年男子)名古屋テレビ制作の『名古屋行き最終列車』。30分の中に様々なストーリーが織り込まれたドラマで、知っているところばかりが出て、とても楽しむことができた。1つだけ改善してほしいことがある。深夜0時20分からという放送時間帯だ。リアルタイムで視聴する人のみを対象にしてはいないだろうが、多くの人を対象にするのなら時間帯を見直し、事前に名古屋鉄道の駅や電車内にポスターを掲示するなどできないか。

  • (兵庫・中学1年女子)『よしもと新喜劇』(毎日放送)。東京と大阪のテレビ番組では少しカラーが違う。その中で私が一番好きなのは、この番組だ。親戚が集まった時もお茶の間を囲んでいつも見ている。この劇のセットはとても手がこんでいて、どの角度でもお客さんが見やすく、分かりやすいようないろんな工夫がされている。とにかく面白いので、全国放送にしてほしいと思う。

  • (千葉・中学3年女子)私は最近、ラジオを聞く面白さに目覚め、毎晩聞いている。ラジオでは当然音声のみなので、ごまかすことができない。ラジオ番組で面白く話す人は相当実力があるのだと思う。
  • (岐阜・高校2年男子)インターネット配信サービスや何かをしながら聞くことができるなどといった利点を活かしてテレビよりも"距離が近い”番組を作ることができれば、ラジオを聞く人が大幅に減少することはなくなるのではないか。

●【委員の感想】この1年間のモニターとしての活動から、いろいろなことが学べ、作り手の側から考えるようになった、様々な立場からテレビ番組を見るようになったなど、メディアリテラシーを学習した様子がうかがえる報告が多かった。

  • (千葉・中学3年女子)この1年、ずいぶんとテレビの見方が変わった。最初はその番組が面白いかどうかで評価していたが、最近は番組制作に携わる人のことも考えるようになった。また、ここが面白い、これが気分を悪くさせるなどという指摘に加えて、そこに自分の意見も具体的に加えることができるようになった。1年間の経験で、あらゆる観点から物事を見るということを一番学んだと思う。

  • (新潟・高校2年女子)この1年はBPOの中高生モニターという立場で、制作者と視聴者との間にいる気分で、双方の気持ちを考える1年だった。適当に回したチャンネルでさえも、批評心を忘れずに鑑賞するような1年でもあった。

  • (岩手・高校2年女子)1年間モニターを務めてみて、批判することは簡単だが称賛することは容易でないと感じるようになった。悪いところは目につくし自分に嫌な影響を与えるためなくしてほしいと声をあげるが、良い点は変える必要がないから改めて発信しないことが多い。これは番組に限らず、世の中の多くのことに共通して言えることだと思う。きっと世間の大半の人は「良」と感じていることでも、外に出さなければ、少数の可視化された「悪」が目立ってしまうのだ。

●【委員の感想】1年間モニターを務めてみてメディアリテラシーに対する理解度が上がった、国語の点数が良くなったという報告が5件以上あった。中高生モニター制度に関してもしっかりした意見を述べている。

  • (愛知・高校2男子)この中高生モニター制度は政治や教育などと共に、社会で大きな影響を持つ「報道・メディア」について我々中高生世代の意見を大人がしっかりと取り入れようとする貴重なものだと思う。今後もこの制度をしっかりと維持し、中高生世代が報道やメディアのあり方について深く考え、素直な意見を述べる姿勢をもっと広めるよう工夫してほしい。そして、自分もその取り組みに協力したい。

●【委員の感想】自分の将来の夢を語り、その実現にモニターとしての活動が役に立った、と書いているモニターがいた。1年毎月モニターの報告を読んでいくと、中高生の能力が伸びることが実感できた。是非この報告を教育者、学校の先生方に見てほしいと思う。

  • (長崎・高校1年女子)私がこのモニターに応募したのには一つの大きな理由がある。できるだけたくさんの人に自分の考えやそれを基に書き上げた文章を見て感じてほしいという理由だ。私の将来の夢は、読んでくれたすべての人の心に寄り添い友だちとなる本を作ることであり、このモニターとしての経験が私とその夢との距離を縮めてくれた。

調査研究について

  • 青少年とテレビ調査:"青少年のテレビに対する行動・意識の形成とその関連要因に関する横断的検討”(仮)をテーマにした、調査研究のスケジュール案の報告が菅原委員からありました。また、お茶の水女子大学に協力していただくことも決まりました。

  • 10月30日に立命館守山高校での意見交換会の時に行った、高校1・2年生267名を対象にした「メディアと高校生の考え方に関するアンケート調査」の中間報告が菅原委員から以下のとおりありました。

    • :『芸能人格付けチェック大予選会』を見て倫理的問題を感じている生徒は少なく、面白いと評価する生徒が大部分を占める。また、不快感について、個人的に感じた生徒は非常に少ないが、人によっては不快を感じることもあるだろうとする生徒は半数近くいた。

    • :SNSの利用時間が、平日・休日ともに女子の方が有意に長いことが認められた。

    • :およそ8割の生徒が、家族と一緒にテレビを見ることがあると回答している。また女子の方が親とのテレビの共有度が高いことが示された。

    • :政治・社会問題に関する情報収集行動について、テレビのニュースを見ているのは52.8%でインターネットの40.1%より多かった。

    • :メディアの情報の信頼性については、新聞>テレビ>ラジオ>雑誌>インターネットの順であった。

今後の予定について

  • 6月8日に新潟でNHKを含む在新潟テレビ・ラジオ7局との意見交換会を開催することが決まりました。
  • 9月に広島で意見交換会を開催することが決まりました。
  • 10月に大分で留学生との意見交換会を開催することが決まりました。
  • "青少年へのおすすめ番組”について中高生モニターを使った活用方法が話し合われました。
  • 地方局のメディアリテラシー活動を注目していきたいという意見が出ました。

その他

  • 川端裕人委員が3月末で退任し、4月から中橋雄・武蔵大学社会学部教授が委員に就任することになりました。

【中高生モニター会議 2016年3月13日 テレビ朝日にて】

青少年委員会では、全国の中高生から放送に関する意見を聞く「中高生モニター制度」を行っています。これは、BPOに寄せられる青少年対象の視聴者意見のうち10代からの意見が大変少ないことから、2006年から始めています。2015年度は32人のモニターから、毎月意見を送ってもらいBPO報告などで公表しました。
その活動の一環として、3月13日に中高生モニターと放送局の方と青少年委員会委員がお互いに意見を交わす場として、「中高生モニター会議」をテレビ朝日プレゼンテーションルームで開催しました。今回は、全国から26人の中高生モニターと、7人の委員、テレビ朝日から『サンデー!スクランブル』の関係者などが参加しました。
午前11時から菅原ますみ委員の司会で始まり、まず、7人の委員、中高生モニター、テレビ朝日関係者の順で参加者の自己紹介が行われました。そのあと、生放送中の『サンデー!スクランブル』のスタジオやニューススタジオ、テレビ朝日社内を見学しました。
午後0時30分からは、再びプレゼンテーションルームに戻り、意見交換を行いました。
放送全般についてモニターからは、「今までは視聴者という視点でしかテレビを見ることがなかったが、制作者はどういうことを考えて番組を作っているのか考えるようになった。制作者側と視聴者側との2つの視点からテレビを見ることができるようになった」「番組を中立的に見る、客観的に見るという視点が、放送の公平とか中立を守るために大切だと思った」「私は宮城県に住んでいる。3月11日には他の地域でも5年たった震災について報道されたが、被災地側からすると5分でも10分でも良いので毎日被災地について取り扱ってほしいと思う」などの意見が出ました。委員からは「モニターの皆さんには、視点を変えてみれば、同じ物事でも全然景色が変わったり、見えることが違ってくることをこの1年間で実感してもらえて良かった」「昔はわりとテレビの中で、若い世代の新しい価値観や新しい生き方のようなものが提示されていて、それが良いなと思った。しかし残念ながら時代の流れの中で、今はテレビにそれほどの力がなくなってきた。もう一度、テレビが生き方や価値観を示せるようになればと思う」などの話が出ました。
情報番組についてモニターからは、「朝の番組は、知りたい時事的な問題よりゴシップとか芸能的なネタが多くなってきている」「学校で話すネタがほしいので芸能ネタをよく見ている」「朝の時間帯はバタバタしているのにエンターテインメントがどんどん多くなって、逆に夜は情報が多くなっている。これを逆にした方が良いのではないか」「震災時、僕の住んでいる青森にも津波は来ていたけれど、全国のニュースでは岩手、宮城、福島の話ばかりだ。取材する地域格差みたいなものを感じる」「新聞では"天声人語"や"春秋"というコーナーが1面にあるが、テレビでもそういった企画をやってもらえないだろうか」「被害者の遺族や友だちに話を聞く時に、事件や事故があってすごく辛くて悲しいのにそれを考慮しないでテレビや新聞の方が取材するのを見ていると、なんで相手の気持ちになって考えてあげないのだろうかと思う」などの意見が出ました。テレビ朝日の出席者からは、「震災復興については、夕方のニュースで定期的に取り上げようとしています。伝えようという気持ちは皆さんと一緒です。しかし十分ではないかもしれません。青森県の話はその通りだと思います。どうしても被災地というと宮城、福島、岩手がメインになってしまいます。それ以外の被災地に対する視点が、ともすると抜け落ちていたかもしれません」という話が出ました。
午後1時40分からは、先ほどまで『サンデー!スクランブル』の司会をしていた下平さやかアナウンサー、平石直之アナウンサーと、太田伸プロデューサーが参加しました。下平アナウンサーはアナウンサーの仕事について、「私がお話している時に、テレビの前では皆さんが聞いてくださっているということで、気持ちを共有できるという面白さがあります。一方で不正確なことを言ってはいけないという緊張感もあります」。平石アナウンサーは、「正確に、間違えないように、分かりやすくお伝えすること。そして見ている人の気持ちに、どこまで寄り添えるかを考えています。実は、アナウンサーの仕事で大切なことは時間の管理で、そのことにものすごくエネルギーを割いています」。太田プロデューサーは、「プロデューサーは番組のまとめ役です。『サンデー!スクランブル』は、生放送のニュースワイドショーで、事件の背景を探りながら、色々なものを全部突っ込んで面白い順に出していくテレビの特性によく合った番組です」などの話が出ました。
その後、中高生は4つのグループに分かれ、そこに委員と下平アナウンサー、平石アナウンサーなども参加して、情報番組の企画を考え、次のように発表しました。

  • A班は『ニュースとあるく』です。最初にニュースを放送してから旅番組を始めます。紹介する地域出身のゲストが地域のイベントやその地で頑張っている人を紹介します。テレビが見られない人のために、ラジオでも同時に放送します。
  • B班は、日々のニュースの中から分からない、難しい単語を説明する『ニュースの参考書』を企画しました。放送時間は水曜日と土曜日の22時からです。水曜日は週の真ん中だから、土曜日は明日も休みだから夜更かししても大丈夫だと思いました。
  • C班は地方活性化の力になりたいと、『うちの県にも来てくれ』という番組を考えました。工芸品や食とかイベントや景色を紹介します。毎日リレー方式で日本各地を紹介します。
  • D班は、『人生を豊かにする番組』を考えました。受験には役立たないだろうけど、人生を考えた時に大事になる情報を盛り込みます。例えばホームレスの方のお話を聞いたりして色々な生き方があることを伝えていきたいです。

4時間半に及ぶ会議の後、汐見稔幸委員長は「BPOは放送番組向上のための組織です。なかでも特に青少年委員会は視聴者の皆さんと放送局をもっと太いパイプで繋ごうということに力を注いでいます。それは、良い番組とは実は視聴者が作るものだからです。良い視聴者がいると良い番組ができていくのです。次の世代を担っていく若い人たちがどういうテレビ番組を良い番組だと思っているのか、どういう番組を作ってほしいと願っているのか、その声が放送局に届くことによって、番組は向上していくのだと思います。中高生モニターの皆さん、テレビ朝日の皆さん、今日は本当にありがとうございました」と語り、「中高生モニター会議」を締めくくりました。