青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第176回

第176回–2015年12月22日

テレビ東京『ざっくりハイタッチ』の「委員会の考え」公表について報告…など

12月22日に第176回青少年委員会を、BPO第1会議室で開催しました。7人の委員全員が出席しました。まず、12月9日に公表した『ざっくりハイタッチ』の「委員会の考え」について事務局から事後報告があり、関連して日本民間放送連盟放送基準などについての確認が行われました。次に、11月16日から12月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に意見を交わしました。そのほか、12月の中高生モニター報告、今後の予定について話し合いました。
次回は1月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2015年12月22日(火) 午後4時30分~午後7時20分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、川端裕人委員、菅原ますみ委員、緑川由香委員

テレビ東京『ざっくりハイタッチ』について(報告等)

●12月9日に公表したテレビ東京「『ざっくりハイタッチ』赤ちゃん育児教室に関する"委員会の考え"」について、事務局からテレビ東京の事後対応などの報告と、関連する日本民間放送連盟(以下民放連)放送基準(18)の解説文にある、いわゆる「午後5時~9時」問題について以下のような説明がありました。
1998年12月に、郵政省(現総務省)放送行政局長の私的懇談会として設置された「青少年と放送に関する調査研究会」が7つの提言を行い、5番目に「放送時間帯の配慮」が謳われ「放送事業者自身が自主的に放送時間帯の設定を行うことが適当である」としました。
民放連は1999年1月に放送基準を改正し「(18)放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する」を付け加えました。
同時に郵政省・NHK・民放連共同で「青少年と放送に関する専門家会合」を発足させ協議し、1999年6月に取りまとめを公表しました。その中で「昨今の中学・高校生については、視聴時間帯が大人と大差ない実情にあり、さらにビデオ録画視聴も普及している状況から、時間帯の設定だけでは青少年の保護が十分ではなく、それ以外の時間帯へも放送事業者が、十分に配慮していくことが求められる」「児童・青少年が安心して視聴できる具体的な時間帯として17時~21時を定めることとする」としました。
これを受け1999年6月に民放連放送基準審議会が『「青少年と放送」問題への対応について』を公表し、民放連放送基準の新設条文(18)を順守徹底することと、具体的時間帯の設定として(18)の解説に「テレビでは午後5時~9時に放送する番組について、とりわけ児童の視聴に十分配慮する」を付け加えることにしました。
このように「午後5時~9時」問題は、単にその時間だけ「とりわけ児童の視聴に十分配慮する」のではなく、「青少年と放送に関する専門家会合」の取りまとめにあるように「時間帯の設定だけでは青少年の保護が十分ではなく、それ以外の時間帯へも各放送事業者が、十分配慮していくことが求められ」ています。
なお、NHKでは、「放送ガイドライン2015」 2 "放送の基本的な姿勢"の (4) 品位と節度【性】の項目に「青少年が視聴する時間帯などに十分留意する」とあり、NHK国内番組基準(制定 昭和34年7月21日、改正 平成10年5月26日)第11項 "表現"では「8 放送の内容や表現については、受信者の生活時間との関係を十分に考慮する」となっています。

これまでに青少年委員会は、青少年の視聴時間帯に関して以下のような「見解」などを公表しています。

◇「バラエティー系番組に対する見解」(2000年11月29日)で「最近は生活習慣の変化により11時台でも小中学生がテレビを見ており、まして子どもに人気のあるネプチューンによる番組となると一層の配慮が必要である」

◇『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』に関する委員会の考え(2014年3月10日)「『民放連・放送基準審議会「青少年と放送」問題への対応について』(1999年6月17日)(中略)においては、"17時~21時に放送する番組については、児童および青少年、とりわけ児童の視聴に十分、配慮する"としていますが、その前提として、"放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する"(民放連・放送基準第18条)を順守徹底することが求められています。
これは、各時間帯に応じて段階的に児童および青少年の視聴に十分な配慮が必要であることを意味し、21時を過ぎれば、児童および青少年の視聴に配慮する必要がなくなるわけではないことを十分に認識していただきたいと思います」

◇ "深夜帯番組の性的表現"に関する「委員長コメント」(2015年1月8日)「深夜であるからある程度の大胆な性的表現も許されるという規定は、実はない。民放連・放送基準の第18条には『放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する』とあり、解説に"テレビでは、午後5時~9時に放送する番組について、とりわけ児童の視聴に十分配慮する"とあるが、これは、午後5時~9時以外は大胆な性的表現は許されるということを意味していない。要するに深夜帯の番組での性的表現については、制作者がこれまでの慣行で、それ以外の時間帯よりも基準を緩和してもよいと理解し放送していると思われる。
私自身は、そうした形で、深夜帯の番組は、それ以外の時間帯よりも性的表現の基準を緩めて適用することすべてをダメだと考えているわけではない。(中略)深夜帯の番組における性的表現についての基準が明確な形では存在しないことが背景にある。しかし、だからといってそうした基準を多様な関係者の議論を経ることなく拙速に作成しても、それがわが国のテレビ番組の内容を向上させる方策になるとは考えにくい。(中略)放送の公共的責任についての自覚を持った上で、該当局だけでなく、各局においても、深夜帯番組における性的表現のあり方について速やかに議論を行っていただくようお願いすることにした」

視聴者意見について

  • 子ども向けアニメ番組で「親として子どもに見せたくない不快な表現があった」という視聴者意見について、委員からは、「親の深読みだろう。制作者も十分配慮していると思う」という意見が出ました。
  • 「猟奇的な暴力シーンが多く驚いた」という視聴者意見のドラマについて、委員からは「主人公が縛られ、いたぶられていたが、全体のメッセージ性との関連で暴力を助長しているとは感じられなかった」という意見が出ました。
  • 「BPOホームページなどに出た視聴者からの意見を読んで、それをBPO青少年委員会の考えだと勘違いしている人がいるようだ。言論の自由の立場から意見を表明するのは大切なことだが、青少年委員会がこれまで公表している『見解』や『委員長コメント』『委員会の考え』などをしっかり読んで真意をくみ取ってほしい」という意見が出ました。

中高生モニター報告について

12月の中高生モニターは、「日本民間放送連盟賞 2015年 特別表彰部門 〔青少年向け番組〕入選番組の感想」というテーマで書いてもらい31人から報告がありました。
今回受賞した番組は、テレビ山梨が制作し、2015年5月27日(水)20:00~20:45に放送された『ウッティ発!アンニョンハセヨ!ワタシ桑ノ集落再生人』です。
この番組は、少子高齢化が進む山梨県三郷町山保を舞台にしています。この地域はかつて国内シェア85%を占めた桑の品種「一瀬桑」の発祥の地。縁もゆかりもないこの集落に飛び込んだ韓国人ハン・ソンミンさんと妻の楠三貴さんは、使いみちのなくなった一瀬桑を利用した「桑の葉茶」で集落を活性化させ、若者を増やしたいと努力してきました。この夫婦の奮闘の4年間を追いかけたドキュメンタリーです。
今回は、中学3年生以上のモニターが大変詳しいリポートを書いてくれました。「どこの村でも今問題の少子高齢化と後継者の減少問題を柔らかくかつ真正面から取り上げていた。学べることが多く含まれていて全く飽きなかった」(鹿児島・中学3年女子)。「番組に描かれた地域の問題は首都圏にいる私たちにはなかなか接する機会がありません。是非、より多くの人にこの映像を見ていただきたいと思える素晴らしい内容でした」(神奈川・高校2年女子)。「山梨県の高校生モニターとして責任感を感じながら視聴した。地域密着型山梨発のベンチャー企業は聞いたことがなく目新しさ、新鮮味もあった。テレビ山梨のさらに面白い番組作りを期待している」(山梨・高校2年男子)。
ローカル番組を全国放送してほしいという意見も多数ありました。「このような良き番組が一ローカル番組として終わるのはもったいない。年に一回、地域で放送されたローカル番組の中で面白かったものに投票してもらい、最多得票番組を全国放送するということは可能だろうか」(長崎・高校1年女子)。「地方放送局の制作番組もすぐれたものは全国放送する~放送局は、1つの"流行"や人気となった番組に便乗するだけでなく、多くの人に意図せず容易に大切なメッセージが伝わる番組を大切にするというスタンスを忘れないでほしい」(岐阜・高校2年男子)。
中学生のモニターの中には、番組に登場した中学3年生に自分の生活を投影して報告を書いてくれた人がたくさんいました。「僕は自分と同じ年齢の長田君に注目して番組を見ました。未来をシンプルに語った彼ですが、僕は高校受験を目の前にして将来に対する夢と不安を抱えています。地方に住む青少年のためにももっと国を挙げての根本的な政策や事業での改善が必要ではないでしょうか」(東京・中学3年男子)。「農業に興味を持って手伝っている中学生を、凄くて大変大人だと感じました。都会の中学生だとあのような行動や発言をできる人はめったにいないと思います」(神奈川・中学1年女子)。
他方、批判も寄せられました。「良質で真面目な番組だからこそ、単なる娯楽としてテレビを楽しむ視聴者層を取り込むのはなかなか難しいだろう。シリーズ枠内ではあるが単発ドキュメンタリーは非常に難しい挑戦だと思う」(愛知・高校2年男子)。「日常でバラエティー番組などを見る人にとってはちょっとゆる過ぎる内容では。ハンさんのような人を紹介すべきとは思うが視聴率とのバランスが難しいのではないか」(大阪・高校1年男子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】今回の報告は1つの番組を見た感想というテーマで書いてもらっただけに、中高生モニターの日頃の読書量や物に向き合う姿勢が反映されていたと思う。非常に素晴らしい深い見方をしているモニターもいた。

  • (鹿児島・中学3年女子)ハンさんは日本人ではないが、とても日本人らしい人で、それがテレビを通して伝わってきた。4年という長い期間、ある人だけに焦点を当て続けることができるのは、地方局ならではだと思った。

●【委員の感想】今の中高生が意外にも過疎化している地方と都会のギャップを認識し身近な問題として受け止めていることがよくわかった。番組のメッセージもしっかり伝わっているようだ。

  • (長崎・高校1年女子)休日のお昼過ぎにドラマの再放送があるくらいだから、ローカル番組を全国で放送することは決して不可能なことではないと思う。これにより視聴者がその地域への関心や興味を持ち、実際に訪れたり移住したりすることで、過疎化や高齢化などその地域が抱える問題の解決にも十二分に役に立つはずだ。全国に情報を届けることができるテレビだからこそできる試みだ。テレビが日本全体を活性化する。それができるようになった日本は、きっと明るい。
  • (宮崎・高校1年女子)ハンさんのおかげで、集落が活性化し、これから若者が増えるのではないか。この番組を見て、これから私は"誰かのために"何かをしたいと思った。新しいことが見えてきて、今までやっていたことがさらに楽しく感じるかもしれない。最後にハンさんが言っていた。「この世を動かす力は"希望"である」と。

●【委員の感想】4回も見たモニターがいた。報告内容も大変濃い中身で、今の中高生の中にはしっかりした考えを持っている子どもたちも多いのだと心強く思った。

  • (青森・中学3年男子)まさか普段あまり見ないドキュメンタリー番組を4回も繰り返し見るとは思わなかった。見終わったあと、本当に素晴らしいという感想しか出てこなかった。良い所の1点目は、ハンさんと桑の生産者が腹を割って行った会議の風景を撮影できていたこと。しかもカメラが会議の邪魔になっていなかった。2点目は、運動会の入場シーン。小学生の入場と老人クラブの入場を対比することによって一目で少子高齢化の様子が分かるという構成には、本当に驚いた。僕はこのようなドキュメンタリーがもっと見たい。

●【委員の感想】番組のPRやプロモーションの方法、放送枠まで提案しているモニターもいた。

  • (愛知・高校2年男子)この番組名が、新聞に載ったりテレビで予告放送された時、どれほどの視聴者の心をつかめるだろうかと考えた。例えば、この番組をテレビドラマ化し、人気のタレントを出演させ、その後に"モチーフとなった実話"としてこのドキュメンタリーが放送されるとか、毎週放送される週末夜の報道番組の特集などで扱われるのであれば視聴者ももっと入りやすいのではないか。

●【委員の感想】今回の自由記述欄の中にハッとさせられる意見があった。放送局としても今後意識し検討すべき事柄だと思う。

  • (東京・中学3年男子)高齢者の犯罪報道が最近多い。お年寄りの中には認知症の影響などで、気性が激しくなったり異常な行動をしてしまったりするケースもあるだろう。未成年は実名報道しないのだから、高齢の犯罪者も罪が軽い場合は実名報道しないよう放送局が自主規制するとか、高齢化社会の日本ではもう少しお年寄りの犯罪報道も考えた方がいいのではないか。

今後の予定について

  • 3月13日(日)開催の中高生モニター会議について企画案が事務局から提出され、内容の検討が行われました。担当は菅原委員と決まりました。なお、今回はテレビ朝日の協力を得て行う予定です。
  • 来年度の中高生モニター約30人を1月20日から募集することにしました。

その他

  • 今年度の調査研究について菅原委員から、先日行われた立命館守山高校での意見交換会のアンケートを基に、調査研究の基礎データを今年度中にまとめるとの報告がありました。
  • 12月11日に放送人権委員会が通知・公表した「出家詐欺報道に対する申し立て」について、事務局から説明がありました。
  • 民放連の「青少年に見てもらいたい番組」と、青少年委員会の「青少年へのおすすめ番組」について、事務局から説明がありました。