青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第167回

第167回–2015年2月24日

「子どもが多く視聴する時間帯に説明もなく
いきなり衝撃的映像」との視聴者意見を討論…など

第167回青少年委員会を、2月24日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、2案件について討論しました。その他、2月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、2月13日に開催した山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は3月8日に定例委員会と中高生モニター会議を開催します。

議事の詳細

日時
2015年2月24日(火) 午後4時30分~午後7時10分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「日曜朝の子どもが多く視聴する時間帯に、いわゆる"イスラム国"関連のニュース速報を放送していた。番組内容変更の説明もなくいきなり衝撃的な映像を流していて子どもが怖がっていた。事前アナウンスがあっても良かったのではないか」などの視聴者意見が多数寄せられた案件について討論入りすることを決めました。当該局がどのような対応をとったのか報告を求め、次回引き続き討論することにしました。

  • 「和歌山の小5殺人事件の報道で、同級生が顔出しでインタビューに応じていた。このような事件の時に同級生の顔を出すことはどうなのか。疑問が残ります」という視聴者意見について討論しました。「他にインタビューした大人は顔を隠していたのに、同級生だけが顔を出していた。放送のあった時点ではまだ容疑者が捕まっておらず、このような段階で青少年の顔を出して報道することには慎重であってほしい」という意見があったことを公表し討論を終えることにしました。

  • 委員から、「いわゆる"イスラム国"関連の報道について、各局はかなり抑制的であったと認識している。これまでに青少年委員会は、『「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮」についての提言』(2002年3月15日)、『「児童殺傷事件等の報道」についての要望』(2005年12月19日)、『子どもへの影響を配慮した震災報道についての要望』(2012年3月2日)を公表し、衝撃的な映像を放送するにあたって、放送局の配慮を要請してきたが、今後の参考にしたいので今回の一連の報道について各局はどのような対応をしたのかを教えてほしい」との意見があり、NHKと在京民放5局に報告をお願いすることにしました。

中高生モニター報告について

2月の中高生モニターは、「この1ヶ月程の間に見た番組の感想(バラエティー・クイズ・音楽)」というテーマでした。今回は29人から報告がありました。
クイズ番組が楽しくて勉強になるという報告を寄せてくれたモニターが多くいました。『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日)。「この番組は"義務教育サバイバルクイズ"というもので、私たちのような中学生には本当についさっき学校や塾で習った問題が出てきてすごく勉強になるしおもしろいです」(三重・中学3年女子)。『Qさま!!3時間SP』(テレビ朝日)。「勉強の番組なのに飽きさせないのでとても好感がもてます。この番組なら親も一緒に見られます。バラエティーの一部の番組のように見ていて飽きたり芸能人だけが楽しむ番組とは違い、この番組はほんとうに視聴者も楽しめます」(秋田・中学2年女子)。『してみるテレビ!教訓のススメ』(フジテレビ)。「こんなケースではどうなのか?といった、意外に知らない法律の話など役に立つ情報を交えながら放送していて、とても勉強になるおもしろい番組です」(沖縄・中学2年男子)。
また、地域の情報を詳しく扱った番組が大変いいという報告もありました。『満天☆青空レストラン』(日本テレビ/南海放送)。「地域の料理や物品をうまく紹介していて、こういう企画は、その地域に実際に食べる人が来て観光客が増えたり、地元に農業・漁業従事者を増やすきっかけになると思います」(愛媛・高校2年男子)。『ドォーモ』(九州朝日放送)。「この番組は九州メインで放送されています。私は、特に木曜ドォーモの企画がとても好きです。普段見ている番組とは違い今まで自分の知らない世界が広がるのでいいです」(福岡・高校1年男子)。
人気のバラエティー番組にはやはり熱い支持が寄せられました。「私は『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日)を視聴した。単純明快、くだらなさこそがバラエティーである。そのくだらないことに本気で取り組む様子に自然と笑いがこみ上げる。テレビ番組はもっとエンターテインメント性を重視してもいいのではないか」(東京・高校2年女子)。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ)。「欠かさず見ているテレビです。後半に向かって本当にバカバカしくて笑ってしまった。結局は、あ~笑った笑ったで終わるこの番組はすごいと思う。芸人は遠い存在なのに、この番組ではすごく身近に感じる。司会のダウンタウンが出演者の芸人を笑っているけど、温かいものを感じるから見ていて気分がいいのかなと思った」(東京・中学2年男子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】バラエティー番組に厳しい意見を寄せたモニターがいた。

  • (福岡・中学1年女子)『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ/青森放送)。イモトさんもオーシャンズ金子さんも声がでかくて声で笑いを取ろうとしているように見えて不快でした。ただ馬鹿でかく声を張るのではなく内容を大事にしたほうがいいと思いました。

●【委員の感想】バラエティー番組への強い支持をユニークなリポートで表現した報告もあった。

  • (神奈川・高校2年女子)『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)。久しぶりにテレビを見て笑う、という体験をして心地よい時間となりました。普段、テレビは時間の無駄と思ってゆっくり見ることもないのですが、たまにはこうしていい意味でのゆったりした無駄な時間を過ごすのもいいかもしれないと思いました。
  • (東京・高校2年女子)『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日)。テレビの最大の利点を有効に使うには出演者が縦横無尽に動き回るバラエティー番組が最適で、テレビというメディアが生き残る道もここに集約されるのではないか。映像を通して視聴者にめったにできないことを疑似体験させ、「くだらない」を極めた番組が増えることを期待している。

●【委員の感想】作った言葉でなく普通のしゃべり方で話す出演者に好意を寄せているモニターの報告が印象に残った。

  • (佐賀・中学1年女子)『みんなの疑問ニュースなぜ太郎』(テレビ朝日/九州朝日放送)。
    司会の城島さんは、普通の人の感覚で質問したり話を聞いたりしているので親近感がわきます。説明する人も難しい言葉とか英単語、カタカナのような言葉を使わないので、普通の人や中学生にも分かりやすいです。偉そうな人が難しい言葉で話していると、レベルが違うから見る気がしなくなります。

●【委員の感想】中高生の間では、知識を得られる番組に対する評価が高いようだ。

  • (東京・中学3年男子)『NHKスペシャルNEXT WORLD 寿命はどこまでのびるのか』(NHK)。再生医療や3Dプリンターを使う最新の技術の紹介と近未来ドラマの組み合わせでおもしろく見た。難しい理論を専門家がタレント相手に説明する番組より楽しく知識を吸収できた。

●【委員の感想】テレビの映像やニュース内容に対する素直な感じ方を書いてくれたモニターがいた。

  • (広島・中学2年女子)イスラム国が日本人2人を人質にしたニュースをずっとやっています。身代金の期限は今度の金曜日午後です。今は生きている人が後数日に殺されてしまうかと思うと、とても怖いですしニュースも見たくありません。でもずっとこのニュースをやると思うので見てしまうと思うと本当につらいです。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、担当の萩原委員から3月16日の研究報告会に向けた現状報告がありました。

青少年委員会における用語の統一について

  • 2014年6月の第159回委員会で話し合われ懸案になっていた、青少年委員会で使われる用語の問題について、担当の渡邊委員と事務局から説明があり、今年度中にまとめることを確認し、次回委員会で引き続き検討することにしました。

今後の予定について

  • 3月8日開催の「中高生モニター会議」について、内容の確認が行われました。
  • 来年度の中高生モニター募集について、事務局から応募状況などの報告がありました。

その他

  • 環境省の「エコチル調査」の報告が事務局からありました。
  • 2月5日に加藤副委員長が講師派遣でテレビ埼玉に行き講演した報告がありました。
  • 2月6日に小田桐委員が石川テレビ制作の青少年向け番組『8ッピーLive いしかわキッズ!』の視察に行った報告がありました。(報告の概要は、下記掲載)
  • 2月13日に汐見委員長、加藤副委員長、最相委員が参加して山梨県甲府市で行われた意見交換会の報告がありました。(「意見交換会・勉強会」の概要は、下記掲載)

◆石川テレビ『8ッピーLive いしかわキッズ!』に出演して◆

青少年委員会委員・小田桐誠

民放各局は「青少年に見てもらいたい番組」を公表しているが、その中に子どもたちが出演する同年代(とその保護者)を対象にしたレギュラー番組はほとんどない。そんな中、石川テレビが "子どもの子どもによる子どものための番組"を編成していると聞いた。
青少年委員会は青少年にとっての放送番組の向上を目的とした組織であり、各局に苦言を呈するだけではなく、このような番組の存在や制作ノウハウを各局に知ってもらい、その輪をひろげていくことも重要な使命のひとつである。そこで、早速視察に~打ち合わせの途中からどういうわけか出演することに~、北陸新幹線開通を控えた金沢に出かけた。
『8ッピーLive いしかわキッズ!』は毎週土曜日の午前10時30分から11時15分まで放送されている、石川県在住の小中学生「キッズリポーター」が"石川のいま"を伝える情報番組。出演の中心は"キッズ"だが、番組内容は大人が見ても十分楽しめる構成になっており、決して子どもだけをターゲットにしているものではないと感じた。
私は、番組中のミニコーナー「キニナル?ミニナル!ゼミナール」に生出演。同コーナーでは、週替わりで様々な分野の専門家が出演し、"キッズ"たちと一緒に勉強している。10分ほどの短い時間だが、「テレビのみ・か・た」と題し、テレビの歴史やテレビが役立つのはどのようなときか、どんな番組を作りたいかなどについて、MC2人とともに4人の"キッズ"たちとやりとりした。
出演に先立ち、"キッズ"にテレビに関するアンケートを実施した。「宿題をしながら」「スマホをいじりながら」など、テレビの"見方"はさまざまだが、家族と一緒に見ている子どもたちが意外に多いと実感。テレビに大きな期待をしている子どもたちもまだまだたくさんいる。各局の制作者たちは、そんな子どもたちに力強いテレビの"味方"、ときには厳しい応援団になってもらうための番組作りに邁進してほしい。
最後に同局および番組制作スタッフ、"キッズ"のみなさんの協力に感謝したい。
(小田桐誠)

◆意見交換会(山梨)概要◆

青少年委員会は2月13日の午後3時から6時にわたり、山梨県甲府市の山梨放送(山日YBS本社)で、在山梨放送局担当者との意見交換会を開催しました。
山梨地区の番組は、日本民間放送連盟賞の特別表彰部門「青少年向け番組」に多数入賞するなど、いわゆる「青少年向け番組」に関する取り組みが充実していることから、同地区放送局との意見交換を通じて相互理解を深め、放送界全体の番組向上に役立てるために企画したもので、同地区での意見交換会の開催は初めてとなります。
BPOからは汐見稔幸・青少年委員会委員長、加藤理・同副委員長、最相葉月・同委員の3名、放送局側からはNHK、山梨放送、テレビ山梨、エフエム富士の各BPO連絡責任者、制作・報道担当者など27名が参加し、論議が交わされました。
意見交換会は2部形式で実施し、第1部では、BPOや青少年委員会の役割などについて事務局から説明しました。また、委員が事前に視聴・聴取した、各局の「青少年向け番組」について感想を述べ、意見交換しました。委員からは、「視聴した後にも余韻をかみしめられるような、手間暇かけた内容の番組が多く、すがすがしい気持ちになった」「青少年だけではなく年代を越えて共感できる内容であり、作品に力がある」「新たな発見もあり、豊かな時間を過ごすことができた」などの感想が寄せられました。
第2部では、「地元密着型の番組制作」「青少年向け番組」「メディアリテラシー」のそれぞれのテーマについて、意見交換しました。
「地元密着型の番組制作」については、委員から、「家族のだんらんを大切にしている県民性や青少年を地域で育む意識が高いことなどが伝わってきた」「取材対象者との関わりかたが上手。距離をとりながら魅力的に人物を描いている」などの感想が寄せられました。放送局側からは、「山梨の人が山梨の良いところを知らないのではないかと感じている。東京に近くて大自然があり、NPO法人が調査した『ふるさと暮らし希望ランキング』で1位になるなど、潜在的な財産が多くある。メディアが発信していくことで地域に恩返ししたい」「山梨はケーブルテレビの普及率が高く、キー局の番組を受信できる環境にある視聴者も多い。そこで、キー局の番組との差別化を図るため、地元に密着した良質な番組を作り上げていこうという意識が強い」「NHKも含めてテレビ局が3局しかなく、互いに切磋琢磨している。また、番組コンクールでの受賞なども励みになっており、放送局間はもちろんのこと、同局の社員同士でも『負けたくない』との意識で一生懸命制作している」などの考えが示されました。その一方で、「狭い社会であり、少し番組に出ただけで注目されてしまうので取材が難しい。出演に際しての説得に苦慮している」など、現場ならではの苦労も披露されました。
「青少年向け番組」については、「そもそも青少年向け番組とは何か」との論議がありました。委員からは、「児童文学であれ放送であれ、素晴らしい作品ははじめから青少年向けに作られたものではない。当地区での作品も様々な年代の視聴者が共感できる内容となっている」との発言があり、放送局側からも、「青少年のみに視聴してもらうために制作している訳ではない。様々な年代の視聴者が納得できる作品を目指している」など、基本的な制作スタンスについての考えが示されました。報道や情報番組などにおける具体的な取材・制作手法については、「危険ドラッグの取り上げ方などに際しては、社内でも徹底的に議論するなど、細心の注意を払っている」「ゲームやスマートフォンを過剰に取り上げることで、子どもたちの欲求を惹起してしまうのではないかと考えると、取り扱いが悩ましい」などの発言がありました。また、メディアリテラシーについては、「視聴者によってリテラシーの差が大きく、基準をどこにあわせるかが難しい」などの悩みが寄せられました。
最後に汐見委員長から、「山梨地区における各放送局の番組作りは、足元にすばらしい自然や歴史、文化があることをメディアが広めて行く、ひとつのモデルになり得ると感じた。これからは、視聴者参加型の番組などを通じて、県民の皆さんに『私たちの番組』であるとの意識をもってもらうことが大切だと思う。キー局とは違ったアプローチでこれからも頑張ってほしい。本地区での取り組みを各局に伝えていくことを通じて、『視聴者と放送事業者を結ぶ回路』としての、青少年委員会の役割を広げていきたい」との、まとめの言葉があり、3時間にわたる会合を終了しました。