放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第216回

第216回 – 2015年1月

散骨場計画報道事案の通知・公表の報告
大阪府議事案2件の審理
大喜利・バラエティー番組への申立て事案の審理…など

「散骨場計画報道への申立て」事案の通知・公表について事務局から報告した。「大阪府議からの申立て」事案2件のうち、日本テレビに対する申立ては、前日取下げ書が提出されたため、以後審理しないことを決め、TBSラジオ&コミュニケーションズに対する申立ての審理を継続した。このほか、佐村河内守氏から提出された申立て事案2件を審理した

議事の詳細

日時
2015年1月20日(火)午後3時30分~5時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、
小山委員、曽我部委員、林委員 (田中委員は欠席)

1.「散骨場計画報道への申立て」事案の通知・公表の報告

1月16日に行われた本事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、事務局がまとめた資料をもとに報告した。また、当該局である静岡放送が決定について報じた番組の同録DVDを視聴した。【詳細はこちら

2.「大阪府議からの申立て」(日本テレビ)事案の審理

対象となったのは、日本テレビが2014年8月11日に放送した情報番組『スッキリ!!』で、大阪維新の会(当時)の山本景・大阪府議会議員が無料通話アプリ「LINE(ライン)」で地元中学生らとトラブルになった問題を取り上げた特集企画。この中で、コメンテーターのテリー伊藤氏が「今ずっとVTR見てても、こいつキモイもん」と述べたことについて、山本府議がこの発言は侮辱罪にあたるとして「番組内での謝罪、訂正」を求めて放送人権委員会に申し立てたもの。
今回委員会前日の2015年1月19日に、山本府議から委員会宛てに申立て取下げ書が提出されたため、この日の委員会ではその書面を確認し、この事案については以後、審理しないことを決めた。
委員会は11月の委員会で審理入りを決定し、双方から提出された書面等をもとに審理を続けていた。

3.「大阪府議からの申立て」(TBSラジオ)事案の審理

対象となったのは、TBSラジオ&コミュニケーションズが2014年8月22日に放送した深夜トーク・バラエティー番組『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』。お笑いタレント「おぎやはぎ」によるオープニングトークで、大阪維新の会(当時)の山本景・大阪府議会議員が無料アプリ「LINE(ライン)」で地元中学生らとトラブルになった経緯など一連の事態について語られた。
これに対し、山本府議が番組での「思いついたことはキモイだね。完全に」などの発言は「全人格を否定し侮辱罪にあたる可能性が高い」として申し立てたもの。
この日の委員会では、第1回起草委員会を経てまとめられた「委員会決定」案が提出され、起草担当委員が説明したうえで、意見を交わした。また、ヒアリングに向けて起草委員が作成した論点と質問事項案について検討した。
次回委員会で申立人、被申立人双方にヒアリングを実施する。

4.「大喜利・バラエティー番組への申立て」事案の審理

本件事案は前回12月の委員会で審理入りが決まり、その後被申立人のフジテレビから答弁書が提出された。
審理の対象はフジテレビが2014年5月24日に放送した大喜利形式のバラエティー番組『IPPONグランプリ』で、「幻想音楽家 田村河内さんの隠し事を教えてください」という「お題」を出してお笑い芸人たちが回答する模様を放送した。
申立書で佐村河内守氏は、「一音楽家であったにすぎない申立人を『お笑いのネタ』として一般視聴者を巻き込んで笑い物にするもので、申立人の名誉感情を侵害する侮辱に当たることが明らかである」とし、さらに「現代社会に蔓延する『児童・青少年に対する集団いじめ』を容認・助長するおそれがある点で、非常に重大な放送倫理上の問題点を含んでいる」としている。
これに対し、フジテレビは答弁書で「本件番組は、社会的に非難されるべき行為をした申立人を大喜利の形式で正当に批判したものであり、不当に申立人の名誉感情を侵害するものでなく、いじめを容認・助長するおそれがあるとして児童青少年の人格形成に有害なものではない」と主張している。
今月の委員会では事務局が双方の主張を取りまとめた資料を説明し、議論を交わした。次回委員会では、申立人の「反論書」、被申立人の「再答弁書」の提出を受けて審理を進める予定。

5.「謝罪会見報道に対する申立て」事案の審理

審理の対象は2014年3月9日放送のTBSテレビの情報バラエティー番組『アッコにおまかせ!』。佐村河内守氏が楽曲の代作問題で謝罪した記者会見を取り上げ、会見のVTRと出演者によるスタジオトークを生放送した。
この放送に対し、佐村河内氏が「申立人の聴力に関して事実に反する放送であり、聴覚障害者を装って記者会見に臨んだかのような印象を与えた。申立人の名誉を著しく侵害するとともに同じ程度の聴覚障害を持つ人にも社会生活上深刻な悪影響を与えた」と申し立てた。
TBSテレビは「放送は聴覚障害者に対する誹謗や中傷も生んだ申立人の聴覚障害についての検証と論評で、申立人に聴覚障害がないと断定したものではない。放送に申立書が指摘するような誤りはなく、申立人の名誉を傷つけたものではない」と主張している。
今月の委員会では今後の審理の進め方等について、同じ佐村河内氏が申し立てた上記「大喜利・バラエティー番組への申立て」事案の審理を勘案しながら検討した。

6.その他

  • 1月15日に行った東海テレビ放送への講師派遣について、事務局から報告した。
  • 次回委員会は2月17日に開かれる。

以上