青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第165回

第165回–2014年12月16日

"深夜帯番組の性的表現"に関する「委員長コメント」を公表
…など

第165回青少年委員会を、12月16日に7人の委員全員が出席してBPO第2会議室で開催しました。11月16日から11月30日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、前回から継続の1案件について討論しました。その他、12月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、2015年2月の山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は1月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年12月16日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「若手男性芸人が裸で抱き合ったりわいせつな行為を繰り返していた。深夜番組とはいえ"限度"を超えている」などの視聴者意見があった関東圏の独立局などで深夜に放送している音楽バラエティー番組について、前回の2回分に続き新たに3回分の放送を視聴した上で、前回に引き続き討論しました。委員から "ロックな入浴"のコーナーについて、「画面上で修正は入っていたが、男同士で性器への直接的な行為を行っていた。男女で同じ行為をした場合でも放送に問題はないと考えるのだろうか。男同士ならばおふざけで済むのではないかという制作者の考えは問題だ」「男同士の性的行為を笑いのネタにしている。民放連・放送基準には"性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する"となっているが、今の社会的な流れを理解しないで安易に制作しているのではないか」「別の番組で女性アイドル同士が胸を触り合うといった表現があったが、性的マイノリティーや視聴している青少年への配慮が必要だ」「別の部屋で女性二人がモニターで修正のない男性の裸の映像を見ていて、その女性の反応を見て楽しむというのはハラスメント的要素がある」「男性目線で作られていて、女性が見て嫌悪を感じる表現が多い」などの意見がありました。今回は審議入りしないものの、当該番組や、最近の深夜帯番組における過剰な性的表現に対して、汐見稔幸委員長のコメントを公表することにしました。

2015年1月8日

"深夜帯番組の性的表現"に関する
「委員長コメント」
~深夜の音楽バラエティー番組の討論をふまえて~

放送と青少年に関する委員会 委員長 汐見 稔幸

BPO青少年委員会は、関東圏の独立局などで深夜に放送された音楽バラエティー番組について、2014年11月から12月にかけて、問題とされた回を含め5回分の放送内容を視聴し討論を行った。
この番組は、放送基準に背馳すると思われる内容を含んでおり、特に性的に刺激の強いシーンが目立つものであった。委員からは厳しい批判意見も出て、深夜の放送であれば性的に多少過激な表現であっても許されるだろうという姿勢がみえるという点で意見が一致した。深夜であるからある程度の大胆な性的表現も許されるという規定は、実はない。民放連・放送基準の第18条には「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する」とあり、解説に"テレビでは、午後5時~9時に放送する番組について、とりわけ児童の視聴に十分配慮する"とあるが、これは、午後5時~9時以外は大胆な性的表現は許されるということを意味していない。要するに深夜帯の番組での性的表現については、制作者がこれまでの慣行で、それ以外の時間帯よりも基準を緩和してもよいと理解し放送していると思われる。
私自身は、そうした形で、深夜帯の番組は、それ以外の時間帯よりも性的表現の基準を緩めて適用することすべてをダメだと考えているわけではない。多くの国でそうした基準緩和が行われていることも了解している。しかし、慣行で基準を緩めているだけで積極的な基準がないため、ときに視聴者が嫌悪するような行き過ぎた内容になっていたり、人権侵害や公序良俗にもとる内容になっているのに、そのことに番組制作者が気付かないでいるのではないか、との危惧は持っている。今回の討論でもそのことが議論になった。
こうした批判や疑念が生まれるのは、深夜帯の番組における性的表現についての基準が明確な形では存在しないことが背景にある。しかし、だからといってそうした基準を多様な関係者の議論を経ることなく拙速に作成しても、それがわが国のテレビ番組の内容を向上させる方策になるとは考えにくい。そうした局面で、委員会が当該番組を審議しその内容がBPOの深夜帯番組の性的表現の基準となることには慎重でありたいと思う。
そこで、委員会は、今回は当該番組を個別に審議するのではなく、最近の深夜帯番組の性的表現に対して視聴者からも委員会からも強い批判や懸念があることを受けとめていただくことを前提に、放送の公共的責任についての自覚を持った上で、該当局だけでなく、各局においても、深夜帯番組における性的表現のあり方について速やかに議論を行っていただくようお願いすることにした。それがこうした批判や懸念をより生産的に番組内容の向上に繋げる方策になると考えるからである。

中高生モニター報告について

12月の中高生モニターは、「日本民間放送連盟賞 特別表彰部門(青少年向け番組)で最優秀とされた番組の感想」というテーマでリポートを書いてもらいました。今回は29人から報告がありました。
今回受賞した番組は、福岡放送が制作し、2014年3月10日(月)午前1:45~2:45に放送した『目撃者f 「震災のこと、忘れない~14歳のメッセージ」』です。これは、福岡放送が福岡県田川市立中央中学校の放送部員とともに制作した、東日本大震災をテーマにしたドキュメンタリーです。放送部員たちは、被災地の中学生や仮設住宅で暮らす人たちを取材し、震災や被災地とどう向き合うべきか悩み、取材や放送の難しさに気付いていきます。番組は、放送部員が撮影した映像やインタビューも使って構成されています。
今回は、熱心に長いリポートを書いてくれたモニターがたくさんいました。番組を見て、自分も被災地の復興のために、何かやらなければ、と思ったという報告が数多く寄せられました。「私は被災地に近い同じ東北に住んでいるのに、九州の福岡の人があそこまで頑張って現状を知ろうとしたり、思いを伝えたりしているのに比べて、自分が情けなくなりました。同じ14歳として負けていると思いました」(秋田・中学2年女子)。「この番組の子どもたちは私と同じ中学生なのに、ここまで違うのかと悔しく思いました。3年たった今、私に行動しなければという意志を作ってくれた番組でした」(広島・中学2年女子)。自分たちがいかに恵まれているかを認識させられ、生活を大切にしたいと思うようになった、というモニターもいました。「私はこれを見て一日一日を大切にしたいと思うと同時に、今生きていられることに感謝したい」(静岡・中学1年女子)。「この番組の視聴を機に自分には何ができるんだろう、口先だけではなく行動を伴ってできることは何だろうということを考えています。ああ、今私が生きていることって幸せなんだなと思います」(神奈川・高校2年女子)。番組の具体的な構成内容を褒める意見も寄せられました。「放送部が作った作品に私は感動しました。アニメーションにしてあって、被災者の気持ちが伝わってきて良かったです」(佐賀・中学1年女子)。「中央中学校放送部のビデオが良かった。イラストをつなげて作ったアニメも良かった。自分だけではできないけれど、力を合わせればできることってあるのだなと感じた」(東京・中学2年男子)。
放送時間の問題を指摘する意見も寄せられました。「この番組は深夜に放送していて、正直、誰も見ていないと思います。ゴールデンタイムにこのような震災関連の現実的な番組を放送してはどうでしょうか」(宮城・中学2年男子)。「昔、日本で戦争があったという事実を伝えるのと同じようにこの番組も後世に伝えるべき番組だ。こういう番組は深夜ではなく、土日の夕方に放送すべきだ」(愛媛・高校2年男子)。
"がれき撤去"という言葉のもたらす被災者の心理への影響を、しっかり感じとったモニターもいました。「がれき撤去は、私たちにとってはただ壊れたものを取り壊す作業に過ぎないが、被災地の人にとっては、自分たちの思い出を取り壊しているようなものだと知り、とても胸が痛みました」(愛知・高校2年女子)。「被災者の大切なものを"がれき"と呼び、それを"整理"ではなく、"処理"と名付けたことをはじめとして、震災に関する様々なことに当事者でない私たちは無関心すぎたと反省した」(大阪・中学3年女子)。
番組の内容に疑問を感じるという報告も寄せられました。「なぜ生徒たちが被災地を訪問することになったのかが番組中で具体的に示されず、もやもや感が残った。また、番組の作りにおいて、被災地で取材する少女たちを、放送局が取材する二重構造になっていたので、どちらが撮影した映像なのか曖昧だった。改善が必要だと思う」(宮城・高校1年女子)。「中学生が仮に被災地に行ってビデオを作ろうとしても、その費用はどこから出たのでしょうか。福岡放送が出したのでしょうか。被災地から遠く離れた福岡の中学生が被災地を取材しようと思った動機が詳しく説明されていれば良かったのに、と思いました」(広島・中学2年女子)。「『先生から震災に関するビデオ製作を依頼された』という出発点は外発的動機であり不純に感じた。また、中学生が取材した映像と放送局が取材した映像が、かわるがわる出てくる構成は、視聴者を混乱させ、どちらを見せたいのか、何を見てほしいのか、テーマがはっきりしない。私の理解力の無さに起因するのかもしれないが、伝えたいことを明確に提示してほしいと思った」(東京・高校2年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】番組を制作する側が気付かない見る側の感情がある、ということを指摘した報告が目立った。よかれと思って作っても人を傷つけることがあるということをいつも意識しておく必要があることをモニターたちも感じとったようだ。テレビ番組制作者も常に肝に銘じていてほしい。

  • (滋賀・中学1年女子)仮設住宅で『おもかげを、胸に』(福岡県田川市立中央中学校放送部制作)を上映したところ、一人のおばあさんが抜け出しました。そのおばあさんは、震災で、5人の家族を亡くしてしまっていて、放送部の人たちは、傷つけたんじゃないのか…と泣いてしまいました。私も同じ立場になったら、たぶん泣いたと思います。
  • (佐賀・中学1年女子)泣き出す人や途中席を離れる人がいて、放送で傷つく人の様子が映されていました。その後、生徒みんなで「作品を見せてよかったのかな…」と後悔していました。自分たちの作品が人を傷つけてしまったことに気付けて良かったと思います。

●【委員の感想】震災という一つの事象に関して最初は三人称の認識しかなかったモニターたちが、この番組を見ることによって、二人称の認識から一人称の認識へとだんだんと認識を深め、当事者性を身につけていった。その意味でこの番組は大変価値がある。

  • (東京・中学2年男子)大事な気持ちを思い出させてくれた番組だった。今の自分は日常に精いっぱいで震災の悲劇を忘れていないか。被災地の人にとっては終わってなく、ずっと続いていくことなんだと改めて知った気がする。自分がたった今できることは?大人になったらできることは?いろいろ考えてしまった。

●【委員の感想】同年代が主役なので、感情の移入がしやすかったという報告がいくつか
見られた。

  • (大分・中学3年女子)一人一人の言葉が心にぐっと来て、本当に考えさせられる番組だったと思います。このように、大人ではなく、中学生くらいの年代の人を主役にしているのは、私たちからしてみれば、見方・考え方が同じなので共感しやすく、見やすかったです。

●【委員の感想】テレビ番組に対する不信感があるのか、「作為的ではないか」など番組制作の裏事情を探るような報告があった。

  • (広島・中学2年女子)悪く言えば中学生の取材ビデオが良く出来過ぎており、放送局サイドの作為的な要素「ビデオを見ている老人が途中退席した」り、「中学生がお詫びの手紙を書く」なども怪しいと思います。最初に福岡放送がこの番組を作りたいために中学生サイドに話を持ってきたのではないのか?という疑問が湧いてきます。

●【委員の感想】率直な感想を述べてくれたモニターたちには、共感を覚えたし、一生懸命番組を見てくれたことに対して感動した。

  • (神奈川・高校2年女子)この番組に出会えてよかった。ありふれた言葉ですが、心からそう思いました。私よりも年下の女の子たちが、真剣に悩み、行動して、考えている姿を見て心が、ざわざわしました。焦燥感、もどかしさ、苦しさ、感動、自己嫌悪…色々な感情が渦巻いています。
  • (宮崎・高校2年女子)家に帰ってテレビをつけて私は言葉が出ませんでした。たった一日のたった一瞬のことだったけれど、今でもあの時の気持ち、あの時の映像は鮮明に残っています。私たちのように震災の被害のなかった福岡県の中学生がこんなにも深く震災のことについて調べ、考え、行動するのは本当にすごいことだと思いました。私たちの将来が被災地の方々の力になれるように、今は震災のことを忘れずに、一生懸命生きようと思いました。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、発表の時期や方法についての話し合いがありました。

今後の予定について

  • 2015年2月の山梨での意見交換会の準備状況について事務局から報告がありました。
  • 石川テレビ制作の青少年向け番組『8ッピーLiveいしかわキッズ!』視察に小田桐委員が行くことに関しての報告がありました。

その他

  • 「青少年へのおすすめ番組」から、関西テレビ制作『狩猟雪姫』を加藤副委員長が視聴し、感想を送ったとの報告がありました。