放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会  決定の通知と公表の記者会見

2013年8月2日

関西テレビ『スーパーニュースアンカー』
「インタビュー映像偽装」に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、8月2日午後2時30分から千代田放送会館7階BPO第一会議室で行われた。委員会から川端和冶委員長、小町谷育子委員長代行、水島久光委員長代行、升味佐江子委員の4人が出席し、関西テレビからは常務取締役ら3人が出席した。
まず川端委員長が、問題のインタビュー映像を放送したことと問題発覚後視聴者に伝えない決定をしたことの2点について放送倫理に違反する、と委員会として判断したことを通知した。インタビュー映像の放送については「取材から放送までの期間が相当あったのだから、コミュニケーションがとれた職場であれば、どこかで気づけたのではないか」と述べ、視聴者に伝えない決定については「報道局の幹部が現場の意見を抑える形で逆の判断をしたことは重大な問題ではないか」と指摘した。
これに対して関西テレビ側は「意見書で指摘されたことを真摯に受けとめ、再発防止に全力をあげたい。テレビ報道に対する信頼を損なったことについて視聴者に深くお詫びしたい。視聴者の信頼回復に全力をあげていきたい」と述べた。

この後、午後3時15分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には25社54人が出席し、テレビカメラ6台が入った。
初めに川端委員長が意見書の概要を紹介した。そのなかで川端委員長は「誤りを犯しても、それが気楽に言えるような職場環境があれば、このような映像は放送されなかった。なんでも相談できる環境や制度を、意識して用意することがもっとなされないと、再発防止は難しいのではないか」と指摘した。さらに関西テレビで自主的自律的な是正がなされなかったことが重大な問題だったとして、「現場は許されない映像であるという認識を持っていたが、その声を活かす組織的な対応ができていなかったのではないか。関西テレビは6年前の"あるある問題"の深い反省から、いろいろな改革に取り組んだが、あのときの経験が風化してしまったのではないか」と述べた。
続いて升味委員が「今回は関西テレビの問題だが、他の放送局の番組についてもモザイク映像の向こう側には本人がいるのか、という疑問を生じかねない。テレビは視聴者の信頼によって成り立っていることを十分理解して仕事をしてほしい」と述べた。
また小町谷委員長代行は「訂正・お詫び放送をしなかったことを委員会が放送倫理違反と指摘したのは、今回が初めてのこと。その判断ミスをしたのが幹部なので、どのような再発防止策となるのか見守りたい」と述べた。
さらに水島委員長代行は「放送は組織が力を合わせて作るものだと再認識させられた。怠ってはならないことを誰もが理解することが、組織で制作するテレビの場合重要である」と述べた。
記者との質疑応答では「今までBPOの悩みはメッセージが現場の若い人に届いていないことだとおっしゃっていたが、今回は放送局の幹部にも届いていなかったということなのか」との質問に対して、川端委員長は「今回はお詫びするかどうかの判断をトップが間違ったので、それを放送倫理違反と指摘した。現場では正しい意見が数多く出たのに、それが採用されなかったことに正直驚いた」と答えた。また関西弁で記された「はじめに」の狙いについて質問があり、升味委員が「大学で使われるシラバスのようなもので、意見書全体を通して何を問題にしているかが分かるように表現したかった。多くの人に読んでほしいと考えて工夫した」と答えた。