放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第52回

第52回 – 2011年9月

日本テレビ「ペットビジネス最前線」の対応報告書について

誇張表現が著しく南大東村長から抗議を受けたテレビ東京の情報バラエティー番組『ありえへん∞世界』 ……など

第52回放送倫理検証委員会は9月9日に開催された。
まず、5月31日に通知・公表した日本テレビ「ペットビジネス最前線」報道に関する意見に対して当該局から提出された対応や取り組みについて報告書を検討した。委員会はこれを了承し、ホームページ等で公表することにした。 3回目の審議となったテレビ東京の情報バラエティー番組『ありえへん∞世界』は、担当委員から提出された意見書案について議論し、基本的な合意が得られたので、若干の表現の手直しをした上で当該局に対して通知し、公表することにした。不適切な字幕テロップが放送された東海テレビの『ぴーかんテレビ』については、当該局から提出された検証報告書等をもとに、取り扱いについて議論した。その結果、委員会としては初めての「提言」を公表することにした。

議事の詳細

日時
2011年 9月 9日(金) 午後5時~9時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、是枝委員、立花委員、服部委員、水島委員

日本テレビ「ペットビジネス最前線」の対応報告書について

日本テレビは、「ペットビジネス最前線」報道に関する意見について、どのような対応や取り組みを行ったかを報告書にまとめ、8月29日に委員会に提出した。
委員会としては、日本テレビが、「バンキシャ虚偽証言放送」以降に取り組んできたコンプライアンスの推進策などが組織の隅々まで浸透していなかったと反省し、より踏み込んだ対応策を打ち出したことを評価して、この報告書を了承することにした。(対応報告はこちらに掲載)

誇張表現が著しく南大東村長から抗議を受けたテレビ東京の情報バラエティー番組『ありえへん∞世界』

僻地紹介シリーズの第2弾として「南大東島」を取り上げ、サトウキビ農家の収入が1000万円を超え、沖縄本島に別荘を持つような裕福な暮らしをしていると放送したところ、村から抗議を受け、当該局が実態とかけ離れていることを認めて謝罪した事案。
担当委員から意見書案が提示され、それに基づいて検討を行った結果、基本的な合意が得られたので、若干の表現の手直しをした上で当該局に対して通知し、公表することにした。
(委員会決定第13号はこちらから)

不適切な字幕テロップが放送された東海テレビ『ぴーかんテレビ』について

東海テレビの情報番組『ぴーかんテレビ』で、「怪しいお米」「汚染されたお米」「セシウムさん」と不適切な表示のなされた字幕テロップが23秒間放送されたという事案。
各委員には、事前に東海テレビの検証番組のDVDと検証報告書を配布し、また、メールによる意見交換を行った上で、議論した。
現象としては、単純な誤操作による放送事故ではあるが、不適切な字幕テロップの送出により放送が与えた影響は無視できないうえ、事故の背景にある制作現場の問題は、委員会の意見書がこれまでくり返し指摘してきたことであるから、BPO規約23条に基づく「提言」をとりまとめ、公表することにした。(提言はこちら)

【BPO規約】

  • 第23条
    放送倫理検証委員会は、第4条第1項第2号に定める事業を行うほか、必要に応じて構成員に対し、第3条に定める目的達成のため、放送番組や放送倫理のあり方についての提言を行う。
  • 第3条
    本機構は、放送事業の公共性と社会的影響の重大性に鑑み、言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し、自主的に、独立した第三者の立場から迅速・的確に対応し、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的とする。

【主な委員の意見】

  • 大騒ぎになっていることは核心ではないと思うが、非常に不適切なテロップが23秒間流れたのは事実だから、その原因と結果について委員会は何か言わなければならないのではないか。
  • BPOがなにもしなかった場合、「検証番組を放送したからもういいんだ」ということになり、それでこの営業拡大路線というものが追認されていく感じになる。
  • 何らかの過失で重大な誤った放送がなされた場合にも倫理違反なのかどうかを議論すべきだ。
  • 一つの倫理問題ととる場合、放送倫理という文脈で問えるのか、社会一般的な倫理問題として問うべきか。
  • 経営合理化の問題であって、倫理の問題というよりどうやって番組をちゃんと組み立てていくかの問題だと思う。
  • 事故の背景にある現場のゆとりのなさ、コミュニケーションの不在、研修が効果を上げていないことは、これまで委員会が指摘してきた共通の問題。この際、規約23条の提言が適切ではないか。

以上