青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第146回

第146回-2013年6月

「人間が怪物に食べられるシーンが残酷だ」などの
休日午前帯のアニメについて討論、審議入りせず。

第146回青少年委員会は、6月25日に6人の委員が出席して開催されました。まず、ラジオ局勤務の経験があるメディア・プロデューサー入江たのし氏による、ラジオに関するレクチャーがありました。次いで5月16日から6月15日までに寄せられた視聴者意見の中から、「グロテスクなシーンがある」と指摘のあった休日の午前中に放送されているアニメ番組について討論がおこなわれました。6月に寄せられた中高生モニター報告について、また、調査研究、名古屋と北海道での意見交換会、事例研究会、などについて話し合われました。

議事の詳細

日時
2013年6月25日(火) 午後4時30分~7時30分
場所
「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
 汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員
 (川端委員は所用により欠席)

ラジオについてのレクチャー

ラジオ局勤務を経て、現在も番組制作に携わり、総務省「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」委員としての経験もあるメディア・プロデューサーの入江たのし氏による「ラジオの歴史、現状と課題、将来について」と題した以下のレクチャーおよび質疑応答がありました。
「ラジオはテレビの10分の1程度の人数と安い制作費で作られていて、長時間のワイド番組が主流になっています。聴取者は高齢者が多く、特に若年層に向けた対策が必要です。地方局が配信を受けた番組については、生放送が多い為、各局での内容チェックが難しくなっています。ラジオのデジタル化(V-low)は総務省や各局でも検討されていますがロードマップは決まっていません。しかし、ぬくもりや、時には毒もある懐の深さ及び、1対1で寄り添ってくれる点はラジオの大きな特徴です。ラジオは今が一番暗い時代です。東日本大震災以後、ラジオはテレビとは違うメディアだということを示してきましたが、それがまだ形になっていないようです。将来きっと回復するという期待を持っています」

視聴者意見について

  • 「休日午前中の子どもが見ている時間帯のアニメで、殺人シーンや人間を食べたりするシーンがありグロテスクだ」という意見があったアニメ番組について、委員が視聴した上で討論しました。「奥行きのあるアニメで、生き物とは何だろうと考えさせられた」「よく出来ているが、少女が殺されて足が動くシーンなど、細部の表現に残酷なものがある」などの意見とともに、「放送時間や見たくない人への配慮が必要だ。民放連放送基準審議会が定めた『「青少年と放送」問題への対応について』(1999年6月17日)の中にある、"Ⅲ.1.アニメ番組は、未就学児童を含む児童が多く視聴していることを、とくに意識して制作していただきたい"という記述を、時間帯への配慮も含めて、制作者には改めて思い出していただきたい」という意見が出ましたが、審議入りはしないことになりました。

  • バラエティー番組の下ネタの扱い、深夜アニメ番組における性的表現、性的シーンのあるドラマの番組宣伝スポットの放送時間帯への配慮、などについて話し合われましたが、いずれも現時点で問題にすることとはなりませんでした。

  • 中高生モニター報告

    6月の中高生モニターは、最近見た「報道・情報・ドキュメンタリー番組」で、"良かった"あるいは"面白くなかった"番組をどちらか一つだけ取り上げ、その理由を具体的に深く掘り下げ報告してもらいました。25人から22の番組についての報告があり、ほとんどが"良かった"番組を取り上げていました。はっきりと分けるのは難しいのですが、大きく分けて情報系12番組、ドキュメンタリーを含む報道系9番組、その他1番組となっています。
    報告が一番多かったのは『ZIP!』(日本テレビ)で、4人から「堅苦しくなく、バラエティー番組のような感覚で見ることができる」などの意見が寄せられました。『NHKスペシャル』は、3人から「未解決事件」「巨大津波 その時ひとはどう動いたか」「密着エネルギー争奪戦~日本の逆襲~」の各テーマの放送について報告がありました。次いで『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)には「面白いだけではなく、しっかりとニュースも伝えている」、『プロフェッショナル仕事の流儀』(NHK)には「仕事の内容や素晴らしさを伝えているところが良い」など、それぞれ2人からリポートが届いています。
    放送局では、NHKが7番組、TBSテレビが5番組、日本テレビ、フジテレビがそれぞれ3番組となっています。
    <自由記述欄>では、テレビを見ていて感じる"いじめ"について書いてもらいました。「後輩芸人を"いじめ"たりするのは、見ていて少しも面白くない」という一方で、「お笑い番組では、芸人を"いじって"いても、それぞれ役割があるので"いじめ"とは思わない」などの意見がありました。"いじめ"の実態を放送する事による悪い影響を心配する意見や、実態を知ってもらうために放送する必要があるなど、様々な意見が寄せられています。

    【中高生モニターと委員の主な意見】

    【委員の感想】インパクトを求めているのだろうが、テレビは、実際は複雑な現実を単純化して放送していると感じていた。中高生も、複眼的な視点での放送を求めていて、同じような事を感じているのだなと思った。

    • (東京・中学3年男子)『未来世紀ジパング SP』(テレビ東京)6月10日放送について。
      私が報道情報番組を見ていて、いつも疑問に感じていることは、本当は複雑な問題なのに、それを説明しないで、簡単に単純化して、誰かを悪者にするのはどうしてかということです。悪役(国や企業)側を一方的に責めて、正義(弱者)側の都合の悪い事実を報道しなかったりして、悪い奴のせいで終わりにしていては問題の正しい理解や解決につながらないと思います。その点、池上さんの番組は、善悪で単純化しないで、問題を良い面、悪い面の両方をしっかり説明してくれることや、なぜこのようなことになったのかということを様々な視点から分かりやすく紹介してくれるところが、公平だし、自分で考えさせてくれるので良いと思います。「アラブの春」も、すごく良いことだと報道していたのに、実際はその後、経済や安全がうまく行っていないので、前の方が良かったという国民の声があったのはびっくりしました。逆に怖いイメージのイスラム原理主義が、実は地方で良いこともしていたから支持されることも初めて知りました。今ま"良い""悪い"のイメージしか持っていなかった国に対しても理解が深まっていって、世界の人々が本当の意味でお互いを理解しあえれば世界も平和になるのかなと思います。逆に、報道側が特定の方向性を持って情報に善悪をつけて単純化することは、結果として誰のためにもなっていないと思うのです。

    • (新潟・中学3年男子)私が最近見た番組で良かったと思ったのは、『Mr.サンデー』(フジテレビ/新潟総合テレビ)という情報番組です。この番組は「多角的」な視点で特集が組まれていることと、私たちの世代でも見やすいテーマを取り上げているところが良いと思いました。まずこの番組は、「賛成派と反対派」・「経験者と未経験者」など一定の視点で特集が組まれているのではなく、様々な視点で特集が組まれています。ですので、より立体的に現状や課題が伝わってきます。また今まで平面的にしか考えていなかったものを「こういう立場の人もいるのかぁ」と考えさせられます。また、この番組は私たちに、身近なテーマであったり、他の番組では取り上げていない目を引く話題が取り上げられているので、興味がわいてきます。私たちの世代は、なかなか情報番組を見ないと思います。しかし、このようなオリジナリティある番組なら、チャンネルを合わせると思います。

    ●【委員の感想】日本のマスコミは、大きな事件や出来事をその時だけ取り上げて大騒ぎし、時とともに風化させてしまう傾向があるが、常に風化させないような努力をすることは重要な事だ。

    ●【委員の感想】日本はあまりに社会変化が早くて、歴史認識を丁寧に伝えることが下手な民族になってしまっている。歴史を丁寧に伝えてゆかないと本当の事が分らなくなってしまうし、歴史を知っておくことが教養だと思う。もう少し番組で取り上げ伝えていく事が必要だと思う。

    • (福岡・高校2年男子)僕が面白いと思ったドキュメンタリー番組は NHKが放送している『NHKスペシャル 未解決事件』だ。今までグリコ・森永事件やオウム真理教を取り上げてきた。今月に入り新しく尼崎殺人死体遺棄事件も取り上げた。このシリーズの中で一番興味深かったのはオウム真理教を取り上げた回だ。誤解を恐れずに言えば一番面白かった回でもある。オウム真理教が起こした地下鉄サリン事件は今年で18年目になる。1995年に発生したこの事件は日本国民を震撼させ、強く生々しく記憶に刻まれた。そして一年後、僕は 1996年に生まれた。地下鉄サリン事件が起こったのは生まれる前。丁度、事件を「知らない世代」だ。オウム真理教が起こした事件は小学生の時に知った。インターネットやニュース番組は欠かさずに見ていたがどれも淡々と証言者の話や当時の資料を映すのみだった。しかし、この『未解決事件』は一味違った。所々に再現ドラマを交えていた。そして、その全ての再現ドラマは驚異の迫真性を誇っていた。まるで、事件現場に臨場しているかの様なリアリティーがあった。断片的だった記憶が一筋に繋がっていくような感覚を覚えた。これからも事件を「知らない世代」が増えてゆく。このままではだめだ。事件が風化するとまた同じように事件が繰り返される。歴史を見れば明らかな事実だ。我々は絶対にこの事件を風化させてはならない。過去から学び取らなければならない。この国の未来のために。家族や友人のために。そして、何より自分自身のために。

    • (宮城・中学2年男子)私は、今年3月にNHKで放送された、『NHKスペシャル 巨大津波 その時ひとはどう動いたか』という番組を見て、災害について、改めて考えさせられました。この宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区は、私の家のすぐそばです。当時、私は小学五年生でした。体育の時間、グラウンドでサッカーをしていた時、ものすごい揺れに襲われ、私も同級生たちも立っていられなくなりました。みんな恐怖で泣いていました。幸い、友達のお母さんが迎えに来てくれ、安全な場所に避難させてくれました。津波は、自宅から500m手前で止まり、いつも遊んでいた、閖上(ゆりあげ)地区が壊滅的な状況であると知ったのは、翌日でした。この番組を見て、自分の無知や軽率さを再度反省させられました。災害時、人はどういう罠に陥るのか?番組では、集めた膨大な住民の証言や、津波襲来まで街中を撮影した数百枚の写真、さらに災害心理学の専門家の分析を交えながら、「被災マップ」を徹底的に読み込んでいました。そしてこれまで防災対策からも抜け落ちてきた、災害時に陥りがちな心理面にスポットをあてた、「ソフト面」を織り込んだ新たな防災のあり方を提唱しており、大変参考になりました。正直、もうあの日のことは思い出したくないし、この手の番組ももう見たくないです。でも目を反らしてはいけないと思いました。

    【委員の感想】『ZIP!』が良く見られているようだが、堅すぎず、くだけすぎず、朝、学校に行く前にチェックするのにちょうど良いのだろう。一方で、夜は広く浅くではなく、狭く深い情報を求めているようだ。

    【委員の感想】今の中高生は、くだけたネタを面白く分りやすく、報道よりも情報重視になってきているのかなと思った。柔らかい物ばかり食べていたら、口や胃が鍛えられるのか心配になってきた。

    情報番組と報道番組の境目が曖昧になっているといわれるが、今や情報番組とバラエティー番組の境目が分りづらくなっている。報道が問題を掘り下げて、その結果、社会が変わっていくという醍醐味を感じてほしい。

    • (山形・中学2年女子)なんでもインターネットでチェックできますが、やっぱりテレビは一番気軽に見ることが出来ていいなと思っています。好きなアーティストの新曲や新作の映画、ファッションの流行などは、朝の『ZIP!』(日本テレビ/山形放送)でチェックしています。枡アナウンサーは、爽やかで信頼できる雰囲気で好きです。朝からガチャガチャしていたり、女子アナがキャーキャー騒いでいるのは見たくないので、その点『ZIP!』は堅すぎず、くだけすぎず、ちょうど良いと思います。

    • (神奈川・中学3年女子)私が良かったと感じる番組は、日本テレビの『ZIP!』です。理由は2つあります。1つは、朝の忙しい時間帯にその日の主なニュースを分かりやすく短い時間で知ることができる事です。詳しく知らなくてもいいけれど、ニュースの見出しくらいは知っておきたいと思うので『ZIP!』のニュースは量も内容もちょうどいいと思います。もう1つは「MOKO´Sキッチン」や「5秒英会話」などの普段使えそうな情報が得られる事です。

    • (神奈川・中学3年男子)『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)は、経済、ビジネスのニュースを中心に取り上げる番組です。僕が特に気に入っているのは「トレンドたまご」というコーナーです。ニュースも、経済関係が中心で、一つのニュースについて、詳しく解説しています。報道番組は、いろいろなニュースを紹介する番組もいいですが、その場合「広く浅く」になってしまい、ニュースをほとんど理解できずに終わってしまうことがあります。しかし、こういうテーマを絞って「狭く深く」解説するような番組は、「より深くニュースを理解し実生活に結び付ける」ことができるので、より「生活のためになる」と思います。このような番組がもっと増えることを期待しています。

    • (埼玉・高校1年女子)わたしは6月16日の『新報道2001』(フジテレビ)を見て、雇用の流動化や限定社員の是非について問題になっていることを初めて知りました。最近、新聞を読んでいない私も悪いと思いますが毎日、朝の情報番組を見ているのに関わらず知らないというのは多少、情報番組にも非があるのではないかと思いました。朝の情報番組は「エンタメ情報」に割く時間が少し長いのではないかと思います。自分の意見を持つための考え方を育ててくれる番組があったらいいなと思いました。

    【委員の感想】<自由記述>でいじめについて感想を求めたが、同じ番組を見ても受けとめ方は、千差万別であると思った。報告の中で、いじめられた経験のある人と、そうでない人の温度差を感じた。どの意見も、中高生の思いが伝わってくると感じた。

    • (愛媛・中学1年女子)テレビで先輩芸人が面白がって後輩芸人をいじめたりするのは、見ていて少しも面白くないです。「テレビの演出よ」と言う人もいるけど、いじめている芸人さんには子供さんがいないのでしょうか?

    • (千葉・中学2年男子)お笑い番組を見ていて、一人の芸人をみんなでいじったりする場面がありますが、ぼくはそれがいじめだとは思わないし、一つの番組の中でそれぞれ役割があるのだと思っています。だから、見ている者が番組をまねて、それがいじめにつながるとは思えません。

    • (秋田・中学2年女子)テレビでいじめについて放送することには、良い面と悪い面があるのではないかと思いました。良い面は、いじめの恐ろしさや、辛さを伝えられるということだと思います。悪い面は、テレビを見た子供が真似してしまう恐れがあるということだと思います。テレビというのは人々に喜びや感動を与えたりするものではないのでしょうか。テレビの真似をしたことでいじめが始まるということは、本来のテレビの有り方とは違うと思います。この番組は放送するべきものなのか、考えてから放送してほしいです。

    • (東京・中学3年男子)私は、最近のニュースの中などで安易に「いじめ」という言葉を使うのが良くないと思います。ちょっとしたいたずらならともかく、殴ったり、お金を奪ったり、自殺にまで追い込むようなことはれっきとした犯罪なのに、「いじめ」と表現することで大したことでないように(窃盗を「万引」というように)思わせるのはどういう意味があるのでしょう。逆に、「いじめはいけない」といって学校でも注意されるようになっていますが、ちょっとしたことでも「いじめ」扱いにされて、問題視されることになったら、学校で他人の身体に触れることだって怖くなります。人間関係を学ぶ上での一定の摩擦は必要なことだと思うのですが。「いじめ」と「犯罪」をきちんと分けて報道してほしいです。

    • (島根・高校2年男子)いじめをテレビでとりあげることについて、私は良いと思う。今と昔ではいじめの体質が異なっているので、いじめをなくす社会的な取り組みができる大人が、今、学校ではどんないじめが起きているのかを知ってもらえるからだ。しかし、いじめをうけている本人が、いじめをテーマに扱ったテレビ番組を見てショックを受け、立ち直りがおそくなってしまうということもあると思う。テレビには表現の自由という権利があり、いじめにしても何にしても、伝えるのが使命だというのはよくわかるが、それによって傷つく人もいるということを忘れてほしくない。いじめを扱った番組を作るときには、その残忍さをただ単に表現するだけではなく、いじめを「される側」の立場である人がどのような反応をするのかについても考えて番組を作ってほしい。 

    今年度の青少年委員会活動について

    • 調査・研究についての現状報告がありました。

    • 9月に名古屋で、10月に札幌で行なう意見交換会について、進捗状況が報告され、内容についての検討が行なわれました。

    • 8月の事例研究会への参加が承認されました。

    • BPOホームページにある「青少年へのおすすめ番組」のページには、毎月約50局からの推薦番組を掲載していますが、アクセスを解析したところ、このページへのアクセスがBPO全体の中でも上位にあることがわかった、との報告がありました。