視聴者からのご意見

2011年7月に視聴者から寄せられた意見

2011年7月に視聴者から寄せられた意見

女子ワールドカップサッカーで、「なでしこジャパン」が米国を破り優勝、「感動した」との声が寄せられたが、帰国後のテレビ取材で、選手たちにくだらない質問が多いなどの批判も。夏の長時間特番では、ひとりの芸人に全員がバスケットボールを投げつけるといういじめが酷いという意見も多数。

7月にメール・電話・FXA・郵便でBPOに寄せられた意見は2,967件で、6月と比較して1,433件増加した。 意見のアクセス方法の割合はメール80%、電話18%、FAX1%、手紙ほか1%。性別は男性71%、女性27%、不明2%。年代は30歳代32%、20歳代28%、40歳代18%、10歳代9%、50歳代8%、60歳以上5%。

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。7月の通知数は1,642件[51局]であった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、45件を会員社に送信している。

意見概要

番組全般にわたる意見

7月の視聴者意見は2,967件と前月より倍増した。地上波テレビ放送は24日、岩手、宮城、福島の被災三県を除いてデジタル放送に完全移行し、58年に及ぶアナログ放送は終了した。1日から始められたアナログ放送残日数の表示テロップについて、「字が大きすぎる」と抗議の声が多く寄せられ、「地デジ難民を出すな」などの苦情や意見があった。
東日本大震災をめぐっては、新しく復興担当相に松本龍氏が就任したが、宮城県知事らへの暴言問題で10日もたたずに辞任した。原発問題では、「九州電力の玄海原発やらせメール事件」が発覚し、原子力安全・保安院のあり方をめぐって多くの批判意見があった。稲わらを食べた牛から放射性セシウムが検出された。全国的に食の安全に対する懸念が高まり、多くの意見があった。
女子ワールドカップサッカーで、「なでしこジャパン」が米国を破り優勝した。深夜の中継放送であったが、多くの視聴者から「感動した」との声が寄せられた。帰国後のテレビ取材で、選手たちにくだらない質問が多いなどの批判もあった。
夏の長時間特番では、ひとりの芸人に全員がバスケットボールを投げつけるといういじめが酷いという意見や、芸人たちの卑猥なシーンが見苦しいなどの意見があった。また、バラエティー番組では、せっかく作ったドミノをわざと崩して、悲嘆する顔を笑うドッキリカメラに非難の意見が多かった。
ラジオに関する意見は36件、CMについては35件の意見があった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は178件だった。7月末に放送されたバラエティー特番に対し集中的に意見が寄せられたため、前月より50件ほど増加した。
今月は、低俗・モラルに反するとの意見が58件、次いでいじめに関する意見が39件、性的表現に関する意見が37件と続いた。
低俗・モラルに反するとの意見については、バラエティー番組を中心に、多数の番組への批判意見が散発的に寄せられた。いじめに関する意見については、バラエティー特番の中の1コーナーで、1人のお笑い芸人に対してボールを投げつけるなどの行為が「いじめを助長する恐れがある」などとする批判意見が寄せられた。性的表現に関する意見については、同特番の別のコーナーで、女性が動くハケの上にまたがる場面があり、「性的表現が過激であまりに不適切だ」などの批判意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 福島県から出荷された牛の肉から、国の暫定基準を大きく上回る放射性セシウムが検出された。原因は原発事故発生以来屋外に放置されていた稲わらを、牛の餌として与えていたためだが、屋外の稲わらは、福島県のものだけでなく、宮城県や岩手県の稲わらにもセシウムがあるということだった。そうなるとわらだけでなくて野菜にも当然、セシウムが含まれていると考えられる。放射能汚染の検証結果は、あまり報道されていない。報道機関は単に政府の発表を待っていて、発表のあったものだけを報道しているのではないか。独自の調査、報道をして、国民の不安に応えるべきではないのか。
  • 報道で、「風評被害」という言葉をよく使うが、汚染された牛が確認されたことは事実であって、これにともなって買い控えが増加し生産者が被害を被ったとしても、風評被害にはあたらないのではないか。物事を深く考えない者が、単純に報道の言葉を乱用し「風評被害」という言葉を使う場面が多々見受けられる。
  • 牛の飼い主が悪いように報道されているが、飼い主も福島第一原発の事故がなければ何の問題もなかった。このような事態になった本当の原因は、「福島第一原発の人災事故」である。このことを報道機関はもっと報道すべきだ。今回の牛肉問題の本当の責任者は東京電力であることを前面に報道しなければならない。真実の見えない報道機関は不要だ。
  • 私は24日以降「地デジ難民」になった。今はラジオを聞いているが、60年前の生活を強いられているようだ。テレビ局は「地デジ難民」を放置せず「地デジ難民」の状況を検証すべきではないか。「地デジ」に変わっても、新聞の番組欄を見る限り、あいかわらずくだらない番組ばかりだ。「地デジ」に変えた意義を教えてほしい。
  • 7月1日から、地上アナログ放送全チャンネルで、画面左下に大きく「アナログ放送終了まで○日」と大きく表示されるようになったが、字幕スーパーなどが見えなくなってしまう。映像を大きく遮り、視聴の障害になるほどの告知を入れることは、強引すぎるのではないか。脅迫されているようで、嫌な気分になった。
  • 地デジ終了のカウントダウン数字が画面に出ていて番組の字幕が読めない。我が家には難聴の家族がいるので字幕が読めないと困る。
  • 松本復興担当大臣による、宮城県知事に対する暴言のあとの、マスコミへの「書いたらその社は終わり」との一連の発言に関して、一様に報道が遅い。週明けに報道したところも「おそるおそる」のコメントしかできなかった。そのあとで、野党側からの猛抗議や全体的に「おかしい」との気運になったところで、次々とわかったような「反松本」的なコメントをしていた。仮に業務を差し止められようが、はじめから覚悟を持って、正義と真実を貫かなければ、本来の使命を果たしたとはいえない。後からなら何とでも言える。

【番組全般・その他】

  • 「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝は久しぶりの明るい話題で嬉しい。何度も、もう駄目かなと諦めかけたが、粘り強くくらいついていく選手の背中に、とても勇気づけられた。PK戦の前の選手の笑顔や、試合後にアメリカの選手と互いに讃えあっている姿に感動した。スポーツは素晴らしい、最後まで諦めないことは大切だと改めて思った。
  • 「なでしこジャパン」の選手の素顔に迫るという内容が多いが、「地元の肉屋で豚肉を買う」や「沢庵買った」など、誰でもそれくらいするだろう。練習場で室内の様子を隙間から覗き見するなど、やり過ぎである。過度なストーカー取材でマスコミがプライベートを晒せば、視聴者がそれに群がって観光地化し、選手の生活や練習に支障をきたす。
  • 「なでしこジャパン」のメンバーを並べ、「彼氏はいますか?」と質問し、マルとバツの札で答えさせていた。ひどいセクハラ行為だと感じ、とても不快だった。その後も「彼氏がほしいか」や「メダリストはもてるか」といった話を延々と続けていく低俗さにがっかりした。疲労の中、長い時間そういった内容に付き合わされている彼女たちを気の毒に思った。
  • ドミノ倒しの企画はひどい。人の情熱を茶化して、馬鹿にして笑わせたい意図で作られたのか。それが作られたものであったにしても、やらせだったにしても、もっと質の良いモノが作れないのか。それこそ、これを企画したひとの顔が見てみたい。この企画を見て笑うことが、今の日本人の一般的な感性なのだろうか。
  • バスケ合コンで、一人の芸人に全員がバスケットボールをぶつける場面は、見ていて本当に不快だった。”笑い”って何なのか。これを見て誰が笑うのか。いじめを助長しているとしか見えなかった。
  • 人間としてやってはいけない笑いのとり方(人を傷つける)をしている。やられている本人は芸人だが、笑顔ではなかった。人を傷つけて笑いをとろうとすることは、やめた方がいい。
  • 朝、目を覚ましてテレビをつけた。そこでは、3人の女性が水着のようなものを着て、馬のようなものに乗っていたのだが、まるでポルノ映画のような内容だった。詳細は恥ずかしくていえない。このような内容をテレビで放送することはおかしい。問題だと思う。
  • 最近のクイズ番組は、視聴者が楽しめない。レベルの高いクイズを、難関高校の生徒や高学歴芸能人など知識のある者が、能力を自慢し合っているように演じているだけで、視聴者が入る余地がない。昔は参加者も一緒になって考え楽しんだものだが、今の番組は事前に打ち合わせて答えをいうものばかりで、クイズではなく回答者を「凄い」と見せかけるだけになっている。問題を、たった数文字読み上げただけで回答者がすばやく答えてしまうパターンもあり、見ている側は興ざめだ。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • 新番組のドラマだが、主人公が暴力団に所属しており、各シーンで暴力団関連の用語などが登場する。まるで暴力団を美化しているとしか思えない。この番組を見た青少年が暴力団に加入して犯罪でも起こしたら放送局はどう責任を取るのか。放送局としての姿勢を問う由々しき事態だ。
  • 料理上手な少女が出演するバラエティー番組で、少女が創作料理を作り、料理に合うお酒も紹介していた。未成年にもかかわらずお酒の味についてコメントをしていたが、飲まなくとも舌と鼻だけで味が分かるらしい。番組を見た子どもが真似をするかも知れず、結果として子どもに飲酒への興味をそそらせる内容となっている。極めて問題だ。
  • 子ども番組だが、大人に失礼な言い方を勧める歌や、大人の下品を子どもに笑わせる場面があったり、人気ドラマの替え歌が下品だったり、教育上あまり良い内容ではない。問題があるコーナーはやめてもらいたい。

【いじめに関する意見】

  • 出演者がバスケットをする特番中のコーナーで、特定の芸人に対し他のメンバーがボールをぶつけていた。試合を中断した後も同じ展開を続けていた。特別な番組なのに視聴者に単なるいじめを見せるとは、深夜とはいえ夏休みで多くの子も見ているだろうに何を考えているのか。学校で同じことをする子どもが現れてもおかしくない。毎年楽しくこの番組を見ているだけにとても残念だ。

【性的表現に関する意見】

  • 特番の中で朝5時頃の内容だったが、女性が男性の性器を思わせる車のようなものに乗り、性交を連想させるようにもだえていた。早朝の放送で子どもが見ていないだろうが、このような品位に欠けた内容を地上波で放送するべきではないし、ここまで堕落したのかと愕然とした。
  • 深夜のバラエティー番組でお笑い芸人とそのファンが交際している様子が紹介されたが、その中に猥褻な行為が含まれていた。番組の出演者には未成年の少女もいた。青少年の健全な育成のためにもこのような放送は慎んでもらいたい。

【言葉に関する意見】

  • あるタレントが先輩の出演者や解説者にまでふざけたタメ口を使っていて気分が悪くなった。他の番組でも同様だ。他の出演者は注意をしているのだろうか。子どもがあのような態度を真似したらどうするのか。放送局のモラルも疑わざるを得ない。視聴者への配慮をもっと考えてほしい。
  • クイズ番組で人名を答える筆記問題があったが、筆順がおかしいものが多く、子どもから「なぜ筆順が違うのに正解になるの」と質問され困った。子どもが見ている時間帯のクイズ番組では、筆順の解説も必要ではないか。

【表現・演出に関する意見】

  • 子どもとバラエティー番組を見ていたら、景色がぐるぐると回る映像が流れた。自分と子どもは気分が悪くなり乗り物酔いのようになった。友人にも、程度の違いはあるものの類似の状態になった人がいたようだ。事前に注意を促すわけでもなくいきなり映像が流れたので、今後注意してほしい。

【暴力シーンに関する意見】

  • 特撮ものの番組で、大の男が女性に暴力を振るうシーンがあった。作戦とはいえ、着ぐるみならともかく生身の人間でこのようなシーンを流すのは不愉快だ。子どもが見る時間帯の番組として相応しくない。

【残虐シーンに関する意見】

  • 各局が放送しているアニメには過激なシーンが多い。血を流すなどして死亡しても「時間を戻せば生き返る」など、安易に再生できてしまうものが多い。これでは子どもの死に対する意識が鈍感になってしまうのではないか。

【食べ物に関する意見】

  • 情報番組の料理コーナーで、タレントが自慢するように食わず嫌いを強調していたが、作っている人にも生産者にも食材にも失礼だ。大の大人が食わず嫌いを自慢するようでは、「食わず嫌いが大人」と思う子どもが出る。子どもに悪影響だ。

【非科学的な事柄に関する意見】

  • 動物の気持ちを言葉にすることができるとする女性が、飼い主に動物の気持ちを伝えるというコーナーだが、問題ではないか。動物の気持ちはコミュニケーションをとっていれば確かにわかるが、それをわざわざ心をえぐるような言葉に変換して演出することはスピリチュアルそのものだ。このような番組は子どもに見せられない。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 深夜アニメへの苦情が視聴者意見として掲載されているが、ほとんどが的外れな内容やこじつけに近い苦情である。単にアニメ番組が嫌いだから苦情を送っているとしか思えない。本当に青少年のことを考えて意見を送っているのか疑問である。BPOはアニメ番組に対する苦情をもっと慎重に扱うべきだ。
  • 「深夜アニメは子どもに見せなければいい」というナンセンスな意見があるが、録画機の性能が向上しており誰でも簡単に録画できる環境だ。現状では規制はないことも考慮すべきだ。

【CMに関する意見】

  • お酒のCMで、イルカショーのイルカの中から男性が出てくるところを見て子どもが泣いてしまった。大変ショックを受けたようだった。イルカが大好きな子どもの夢を壊すようなCMは放送しないでいただきたい。