青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第145回

第145回–2013年5月

北海道・暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビュー
NHKとキー局に取材時の留意事項など確認し、討論。

第145回青少年委員会は、5月28日に7人の全委員が出席して開催されました。北海道の暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビューについて、NHKと在京キー局に取材時の留意事項などを確認し、討論しました。また、4月16日から5月15日までに寄せられた視聴者意見の中から、バラエティー番組で一ヶ月に渡って水を使った嫌がらせを続けた"ドッキリ企画"について、いじめのシーンが過激なドラマについて、ホラー映画のコマーシャルについて、それぞれ討論が行われました。5月に寄せられた中高生モニター報告について話し合われました。その他、調査研究、名古屋での意見交換会、北海道での意見交換会、ラジオに関する勉強会について話し合われました。

議事の詳細

日時
2013年5月28日(火) 午後4時30分~7時30分
場所
「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 前回の委員会で、北海道の暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビューについて、取材時の少女への配慮について確認をしたいとの意見があり、NHKと在京キー局に取材時の留意事項や、取材マニュアルについて尋ね、その回答を基に討論が行われました。この件に関しては、討論の感想を掲載することで、審議入りしないことになりました。委員会の感想は以下の通りです。
    各社には子どもに対する取材マニュアルが確立されていて、今回の少女に関しても、配慮がなされた上で取材していると受け止めました。しかし、充分な配慮がなされたとしても、子どもの場合どういう影響が今後現れてくるのか分からないところがあります。今後現れてくるかもしれないPTSDに対してどれだけの想像力を持って取材がなされたのかという点で依然問いが残りました。また、時間差取材によるメディアスクラム的な影響について、どう考えた上での取材だったのか、さらに、二番目、三番目に取材した後発局は、新しいことをやらなければという意識が働いた可能性はなかったのか、など、今後のことを考えたとき、検討しなければならない課題が残されているというのが委員会の感想です。
    今回のような、事件・事故に遭遇した当事者の心理に関しては、学術上も議論のわかれるところであり、またデリケートな問題をはらんでいるため、今後も深い考察と議論を続けてほしいと思います。
    青少年委員会では、今後、表現の自由を大事にし、担保しながら、そのことが子どもたちの人権を守ることや、健全な育成を阻むことにならないようにするため、メディアの取材による子どもへの影響について、さらに研究していく事が必要であると考えています。

  • バラエティー番組とドラマのいじめに関して討論しました。
    バラエティー番組で一ヶ月に渡って水を使った嫌がらせを続けた"ドッキリ企画"については、「他のドッキリは乾いた企画で笑いに毒があり面白いのだが、一ヶ月に渡るドッキリは粘着質でいじめに繋がってしまう」「見る側と作る側の距離が離れてしまっている。作り手が考える笑いと、視聴者とのギャップを感じる」「ドッキリの仕掛け人がADで、タレントが怒ることが出来る立場であることから、いじめという陰湿さは感じない」などの意見が出ました。
    また、いじめのシーンが過激との視聴者意見が多かったドラマについては、「テーマを考えると、ドラマの中では無くてはならないシーンだろう。やりすぎとは思わない」「作品として志は高いと思うが、あのいじめのシーンを見て心を痛める人がいるなら配慮が必要だろう」「いじめがこれだけ社会問題化している時に、いじめのシーンを放送するのなら、事前テロップを表示するなどの工夫が必要なのかもしれない」などの意見が出ました。
    上記のバラエティー番組とドラマに関しては、今後も継続的に注意していくこととし、いずれも審議入りしないことになりました。また、いじめと番組について番組制作者と青少年委員が、お互いに考える糸口とするための話し合いの機会を持つことを検討することになりました。

  • ホラー映画のコマーシャルについて「子どもが起きてテレビを見ている時間にも頻繁に、しかも突然流れるので、避けることができない。子どもが怖がっている」などの視聴者意見があり、二つのパターンを視聴した上で討論が行われました。「テレビでは暴力や性に関しての規制は幾つかあるが、ホラーに関しては、民放連の『放送基準』に "視聴者に不快な感情を与える表現は避ける"とある程度だ。放送局側が対応しやすいように議論を喚起してほしい」「映画はお金を払って"意思を持って"見るが、テレビはタダで"日常生活の中"で見るということを考えているのだろうか。メディアの違いを放送局が押さえておかなければならない」「震災で被害を受けた人が見たらどう感じるだろうか。配慮が必要だ」などの意見が出ました。コマーシャルに関しては、複雑な問題はあるものの今後も他の機関とも連携しながら検討を重ねることで、今回の件に関しては審議入りしないことになりました。

中高生モニターについて

5月の中高生モニターは、最近見た「ドラマ・アニメ番組」で、良かった番組や、面白くなかった番組の感想を報告してもらい、27人から報告が届きました。
ドラマは9番組、アニメは8番組の、合わせて17番組について意見が寄せられました。一番意見が多かったのは『ガリレオ』(フジテレビ)で、8人から「部活も塾も無い月曜日のドラマがどれほど楽しみか」「推理ものにも関わらず笑って見られるので大好きです」「毎回どのような"科学"で謎を解いていくのかわくわくしながら見ています」などの好意的な報告が届いています。次に多かったのは、いずれも学校でのいじめを取り上げた『家族ゲーム』(フジテレビ)、『35歳の高校生』(日本テレビ)に対するそれぞれ3人からの報告でした。『家族ゲーム』には「見ていていやになるほどの過激ないじめのシーンをどうやって決めたのか」詳しく知りたい、「中学生の話なので共感したり、ドキドキしながら見ている」など、また『35歳の高校生』には「いじめの描写が過激だ」「いじめをしてはいけないというメッセージがしっかり視聴者に伝わってくる」など賛否両論の意見がありました。
アニメは『名探偵コナン』(読売テレビ)に「最後に必ず驚く結末が待っている」など3人から、『ワンピース』(フジテレビ)に「主人公の生き方に共感できる」など2人から、報告がありました。
全体には好感を持ったという意見が多く、面白くなかった、問題があるという意見は少数でした。

自由記述欄は、最近気になったラジオ番組について自由に書いてもらい、16の番組について意見が寄せられました。FM局の番組に多くの意見が寄せられ、FM東京の『SCHOOL OF LOCK!』には「学生達の心のよりどころ」など3人から意見がありました。民放AM局の番組は2本で、ラジオは聴かないという意見は4人からありました。

【中高生モニターリポートの主な意見と委員の感想】

●【委員の感想】『ガリレオ』(フジテレビ)『名探偵コナン』(読売テレビ)など良く練られたミステリーが中高生に支持されているようです。また、今の中高生の「理科離れ」から日本の将来を憂いている意見に興味を持ちました。

  • (東京・中学2年女子)私が気に入っている番組は『ガリレオ』です。この番組の好きなところは二つあります。一つ目は、不思議な殺人事件の犯人を予想することです。まだ当てられてないのですが、そういうわくわく感が私はとても好きです。二つ目は、誰でも見やすいよう、あまり血が出ないようになっているので、血が苦手な人も、安心して見られるところです。私も、あまりにも怖い殺人事件を題材とした話は好きではなかったので、安心してみることができます。たくさんの人に楽しんでもらえるように…という気遣いがこの番組を素敵なものにしているのだと思います。

  • (千葉・中学2年男子)『名探偵コナン』の好きな点は、最後に必ず驚く結末が待っている点です。毎回にように犯人が誰なのか予測しながら見ていますが、なかなか犯人を当てる事ができません。意外な人物が犯人であることが多いので最後に「そんな手があったのか」とコナン君の推理に感心しています。それにストーリーの設定が面白いと思います。博士の発明する探偵グッズも実際にあったら、世の中の役に立つだろうと思います。毎回色々な事件を解決していく、こんなに色々な事件を思いつく作者は、どうやって、ストーリーを考えているのか不思議だし、すごいと思います。

  • (福岡・高校2年男子)今年見たドラマの中で一番面白いと思ったのは『ガリレオ』だ。学校では物理を勉強しているが、知っている理論や法則が出てきたら嬉しくなる。日本に限った話でもないが「理科離れ」が進んでいる。この事により次世代の科学者や技術者が育たなくなる可能性がある。その結果、日本の産業が危うくなるのは目に見えている。僕は今の子供たちに理科の楽しさを教えてあげることが大切だと思う。その入り口として『ガリレオ』はとてもいい材料だと思う。これからも、『ガリレオ』のように理科や数学を取り上げた面白い番組を制作していただきたいと思っている。

●【委員の感想】「月曜日のドラマがどれほど楽しみか・・」という勉強、部活にいそしむ高校生の意見は心に刺さりました。陽だまりのような"ひとコマ"をテレビが与えていると思うと幸せな気分になりました。

  • (岐阜・高校1年男子)『ガリレオ』(フジテレビ)を家族みんなで見ています。まず、福山さん演じる物理学者の湯川さんが事件を解決するときに、数式を黒板に書いていくところがいいです。これが、見ていてスカッとします。高校生になって1ヶ月。もう少し、楽しい高校生活かと思っていましたが、毎日の予習、復習、そして、部活、日曜日は、塾の生活です。この部活も塾もない月曜日のドラマがどれほど楽しみか・・それが、数式をとくかのように事件を解決していく。これがたまりません。こんなふうに、ぼくも、数学の問題が解けたらいいな・・と思っています。もやもや感がなく、見終わった後には、何か心地いいものがあり、ストレス発散ができます。

【委員の感想】『35歳の高校生』(日本テレビ)『家族ゲーム』(フジテレビ)など学校での"いじめ"を取り上げている番組に対する意見が目立ちました。中高生の生活に近いところの出来事に興味を持っているのでしょうか。しかし、きつい"いじめ"のシーンについて、同じものを見ていても正反対の意見がある事に注目したいと思いました。

  • (岐阜・中学1年女子)私が面白いと思うドラマは、『35歳の高校生』(日本テレビ)です。どういうところが面白いのかと言うと、いじめをしてはいけないというメッセージがしっかりと視聴者に伝わってくるからです。私には、具体的にどういうものがいじめというのかなど、分からないことが沢山ありました。しかし、『35歳の高校生』では、いじめというのはどういうものなのかをわかりやすく伝えてくれています。このドラマを見て、少しでも世の中のいじめが減ったらいいなと思います。

  • (秋田・中学2年女子)私が見た番組は『35歳の高校生』です。この番組はストーリー的には面白いのですが、いじめの描写が過激だと思います。いじめの恐ろしさを教えると同時に、いじめを知らない子供にいじめを教えているようにも見えてしまいます。それに、高校が舞台なのでこのようなことがあると思うと、高校に進学するのが怖くなってしまいます。放送する曜日や時間帯は小学生も見る可能性が高いので、もう少し時間帯を遅くするなどの工夫が必要だと思いました。

  • (神奈川・中学1年女子)『家族ゲーム』(フジテレビ)は、父や母が小さかった頃にやっていたドラマだと聞きました。しかしなぜ今、こんなに残酷なドラマを放送しなくてはいけないのでしょうか。自分なりに考えて導き出せた答えは、いじめが多発しているいま、私たちの世代に、いじめられている子の辛さを伝えたかったのではないか、ということです。このドラマを放送しようと決めた方の考えもぜひ聞いてみたいです。しかし私たちに伝えたいことがあったとしても、あまりにも過激ないじめで、見ていて嫌だなと思うときが多々あります。ドラマに出てくるいじめは、どうやって決めたのでしょうか。アンケートなどをとり、ありのままを映像化したのでしょうか。それともこんないじめがあるのではないか、という大人の推測でしょうか。もし本当の子どもの声であるならば、その子を傷つけないやり方でどうやって聞き出したのでしょうか。聞きたいことがたくさんあります。『家族ゲーム』が出来上がるまでのことを詳しく知りたいです。

【委員の感想】『宇宙戦艦ヤマト2199』(毎日放送)や『ひみつのアッコちゃん』(東京メトロポリタンテレビジョン)を親子で楽しんでいる報告を読んで、アニメ世代が親になって子どもと一緒に見ているのだなと、嬉しく楽しく思いました。

  • (東京・中学3年男子)今回、私が選んだのは『宇宙戦艦ヤマト2199』です。まだ、始まったばかりですが、なんだか懐かしい感じがします。というのも、この番組はリメイクで、最初のものは父が子供の時に好きだったということで、私が幼い頃、よくドライブの時に父が主題歌を流していたのを聞いていたからです。『宇宙戦艦ヤマト2199』は、よく父と一緒に見ているので、頼まなくても旧作の解説付きです(笑)。旧作と比べると画面が綺麗で、動きも滑らかになった、細部にこだわりがある、美人も増えた(笑)と父は誉めています。私が好きなのはやはりメカのかっこ良さで、実物を基にしたリアルさに良さがあると思います。今後のストーリー展開がどうなるのか、とても楽しみです。

  • (埼玉・高校1年女子)私が最近見たアニメは『ひみつのアッコちゃん』です。このアニメは小学生の女の子がコンパクトを用いて、いろいろなものや人に変身するという物語で、以前、実写化され綾瀬はるかさんが主演をつとめていました。そのため、わたしは以前からこのアニメを見てみたいと思っていました。私が気に入った点は絵がかわいいところです。また、母が幼いころ放送されていたのを見ていた世代なので親子で楽しめました。

委員の感想】自由記述欄で、気になったラジオ番組について報告してもらいましたが『SCHOOL OF LOCK!』(FM東京)は、中高生にとっての心のよりどころとして共感できる作りになっているようです。果たして今のテレビ番組に、中高生か共感できるような番組はあるのでしょうか疑問に思えてきました。

  • (愛知・中学3年女子)私が好きなラジオ番組は、『SCOOL OF LOCK!』という番組です。この番組のなかには、今悩みを抱えている学生に電話をかけて、パーソナリティやラジオを聴いている人達と一緒に解決するコーナーがあります。そのコーナーを聴いていると、「私と同じ悩みを抱えている人がいるのだな」と感じることがあり、私は1人ではないのだなと、すごく勇気づけられます。学生が気軽に相談できるこのような番組はほとんどないので、学生たちの心のよりどころとして、これからも続いてほしい番組です。

  • (島根・高校2年男子)『SCHOOL OF LOCK!』という番組は、中高生のニーズにマッチしている番組だと思う。人気のアーティストが日替わりで出演したり、毎日日替わりで様々な企画を実施したりするなど、聴取者の心をつかむ企画がたくさんあり、毎日聴いていても飽きることがない。これからも聴き続けていこうと思う。

今年度の青少年委員会活動について

  • 調査研究についての現状報告がありました。

  • 9月に名古屋で行なう意見交換会について、進捗状況が報告され、内容についての話し合いが行なわれました。

  • 10月に北海道で意見交換会を行なうことが承認されました。

  • 次回の委員会で、専門家を招いてラジオについてのレクチャーを行なうことが承認されました。

その他

  • 今年1月22日に大阪で開催した意見交換会の報告書がまとまったので、会員各社に配布しました。