放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第193回

第193回 – 2013年1月

国家試験事案の審理
イレッサ報道事案の審理…など

「国家試験の元試験委員からの申立て」事案について、「委員会決定」案をもとに審理した。「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案の審理を行い、「委員会決定」修正案について検討した。「大津いじめ事件報道への申立て」事案の実質審理を開始した。

議事の詳細

日時
2013年1月15日(火) 午後4時~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員、山田委員

「国家試験の元試験委員からの申立て」事案の審理

本事案はTBSテレビが2012年2月25日に放送した『報道特集』の企画「国家資格の試験めぐり不平等が?疑念招いた1冊の書籍」』で、国家資格である社会福祉士の試験委員会副委員長を務めた大学教授が、過去問題の解説集を出版するなど、国家試験の公平・公正性に疑念を招く行為があったと放送され、名誉と信用を毀損されたと申し立てたもの。
この日の委員会では、本年1月8日の起草委員会を経て提出された「委員会決定」案をもとに審理し、番組内容が、申立人が公人として批判を受忍すべき限度を超えて申立人への個人攻撃に及ぶなどしていたかどうか、また放送倫理上の問題についても申立人が試験問題を漏洩したとの印象を与える内容だったかどうか等、事実の正確性や客観性、公平性・公正性等の観点から突っ込んだやり取りが交わされた。
議論の結果、2月初めに起草委員が集まって第2回起草委員会を開き、決定文の修正案を作成して次回委員会に諮ることとなった。

「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案の審理

本事案は、フジテレビ『ニュースJAPAN』が2011年10月5日と6日の2回にわたり肺がん治療薬イレッサに関する問題を取り上げた企画「イレッサの真実」に対し、長期取材を受けて番組にも登場した男性から、イレッサの危険性を過小評価し有効性を過剰に強調する偏頗な内容で、客観性や正確性、公正さに欠けた報道により人権を侵害されたと申立てがあったもの。
この日の委員会では、1月8日に開かれた第2回起草委員会を経て提出された「委員会決定」修正案について検討した。番組内容について公平性・公正性の観点からの判断や、取材過程の問題をどのように考えるか等について活発に議論を交わし、決定文の表現や内容、構成、結論の方向性について詰めた。
この結果、起草委員が修正案をさらに手直しし、次回委員会に第3次案として諮ることとなった。

「大津いじめ事件報道への申立て」事案の審理

本事案は、フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』において、大津市でいじめを受けて自殺した中学生の両親が起した民事訴訟の口頭弁論を前に、原告側準備書面の内容を報道した際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理の施されていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画像がインターネット上に流出したとして、少年と母親が放送によるプライバシーの侵害を訴え申し立てたもの。
昨年12月4日の委員会で審理入りが決った後、被申立人から「申立書」に対する「答弁書」が、申立人から「答弁書」に対する「反論書」が提出され、今回から実質的な審理に入った。
この日の委員会では、これまでに提出された文書及び資料をもとに事務局が双方の主張を整理して説明した。事務局の説明を受けて若干のやり取りを交わしたが、本格的な議論は、被申立人からの「再答弁書」の提出を受けて、次回以降に行うこととなった。

その他

  1. 2月20日に盛岡市で開かれる東北地区BPO加盟放送事業者との意見交換会について、事務局より実施概要を説明し了承された。

  2. 次回委員会は2月19日(火)に開かれることとなった。

以上