放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第1回

第1回 – 2007年5月

「委員会運営と定例委員会決定」

報告事項の検討 …など

「委員会運営と定例委員会決定」

委員会運営では、事務局から運営規則、調査のスキームなどについて説明し、委員会の「審議」「審理」の区別と、それぞれの取り上げる番組の範囲についても議論した。「審理」対象は「虚偽の疑いのある番組が放送されたことにより、視聴者に著しい誤解を与えた疑いがあると委員会が判断した番組」に限定されていることを確認。一方審理対象としないものについても、「係争中のもの」「政治的公正・公平」「宗教」「歴史観」「放送されていないもの」などについて検討した。また、取り扱う番組の放送時期については、原則は委員会発足後放送された番組とするが、放送人権委員会(人権委員会)が放送後1年以内としていることから、同じ基準に合わせる方がよいとの考えが出された。こうした議論は、今後も続けて、ある程度まとまった段階で委員会の内規とする予定。

委員会の内容をどこまでどのように公開するか、議事録を作るか作らないかについても話し合った。委員会での審議内容や、決定の過程を見てもらうためにも、プライバシーの問題を除いて、なるべく公表すべきだとの意見もあった。そして、議事録にもいろいろなレベルがあるので、今後議論して行くこととし、とりあえず、議事録の要約を作成して委員に配付し、合意を得てからHP等で公表するなどしてはどうかとの意見で一致した。

定例委員会の開催日時を調整し、毎月、第二金曜日の午後5時からとすることを決めた。

報告事項の検討

放送上問題になった案件、視聴者からの要請など4件について、当該放送局からの報告を中心に事務局が報告し検討した。

  • 国会答弁を編集して「全く逆の答弁」という表現で放送した番組について、政党が抗議し、局側がその後、当該番組内で訂正とお詫びをおこなった件。
  • 鮎漁解禁のニュースで、同じ日に観光PR用CMの為に撮った養殖鮎を取り付けた再現映像を、知らないまま報道で使ってしまい、後日、番組内でお詫びをした件。
  • 視聴者から特定宗教の教義は邪義であると手紙で訴えてきた件。

以上について、委員会は審理入りする案件ではないことを決めた。ただし、訂正の仕方について、どうあるべきか審議の場で議論したいテーマだとの意見が出た。

TBS『みのもんたの朝ズバッ!』不二家報道について

この件は、不二家の社外委員会の元委員長2人が、私人の立場で放送倫理検証委員会に「調査、審理を申し立てた」と、記者会見して発表し、報道されたため、公知の事実となった。しかし、委員会は、申し立ては受けないことになっており、双方の紛争を解決するための機関でもないため、あくまで「虚偽の疑いのある放送によって、視聴者に著しい誤解を与えた疑い」があったかどうかを審理する必要の有無について、双方の資料と放送ビデオを基に検討した。委員の主な発言は以下の通り。

  • 「この問題について、既に不二家は、TBSの謝罪を受け入れている。そういう状況があるのに、あえてなお視聴者に誤解を与えているとして取り上げる必要があるのか」
  • 「テレビを通して放送したものが虚偽かどうか、あるいはテレビを通して謝罪をしたかどうか、あくまでもテレビの画面上に出たもので判断すべきで、これは解決済みだ」
  • 「一連の放送を見ると、あまりにも全体としてひどすぎる」
  • 「事実関係の伝え方が甘いとか、司会者の論拠が乏しい高圧的な決めつけは、問題としてあるが、一般的に今のテレビにはこういう問題があるという中の一事例として議論するならともかく、本件を真正面から取り上げることはどうか」
  • 「紛争が解決しているかどうかと、虚偽の内容があるかどうかは別の問題だ」
  • 「放送でのお詫びや訂正は何をどう謝っているのか視聴者は理解出来ない。この委員会はお詫びしているから審理しなくていいのだとすると、視聴者に説明責任が果たせるのか疑問を感じる」
  • 「非常に慎重に、相当きちっとした、社会に分かり易い結論を出して、審理に入るか入らないかを決めるべきで、短時間の議論では無理ではないか」
  • 「どっちにしても、相当明快な理由付けをしなければならない」
  • 「いろいろ疑問点があるので、プレ(事前)審理のようなものをした方がよい」

審理入りするかどうかについてもう一度議論したいという意見が多く、臨時の委員会を開くか検討したが、この問題は緊急性はそれほどないこと、次回定例が2週先の6月8日であることから、それまでに、TBSに対して疑問点をいくつか追加質問して回答をもらい、委員に回覧して、次回委員会で審理入りするかどうかの結論を出すことにした。

記者会見

審議終了後、放送倫理検証委員会のスタートにあたり、委員全員が記者会見し、抱負や放送法改定反対についてそれぞれの考えを述べた。この中で川端委員長は「表現の自由が民主社会を守る上で一番重要だ。もちろん表現の自由といっても、特に放送の場合は電波という公共の資源を使うということで、放送する側が自ら律していかなければならない事柄があると思う。それを国家権力、行政の側が放送法や電波法の規定を手段として介入してくるということは決して好ましいことではないので、われわれのような委員会が自ら律していただくためのお手伝いをしたい」と述べた。

以上