青少年委員会

青少年委員会

2005年12月19日

「児童殺傷事件等の報道」についての要望

2005年12月19日
放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会

青少年委員会では、頻発する児童殺傷事件等の報道に関わる視聴者からの意見を受けて審議をすすめた結果、2005年12月19日に、これらの事件報道について放送関係者に更なる検討、配慮を求める要望を行いました。
青少年委員会は、2002年3月にも「『衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮』についての提言」を出していますが、今回の要望は、昨今の子どもが関わる事件報道について、BPOに「犯行手口等を詳細に報道しすぎる」「被害者の同級生等へのインタビューは配慮を欠くのではないか」「被害者の文集等の放送は如何なものか」といった視聴者からの意見が寄せられていることを踏まえ、各委員の日頃の番組視聴も基にして審議した結果、上述の意見に関連する事項を主な要望点としています。
また、今回の要望は、特定の番組を指すものではなく、放送界全体への要望となっています。

昨今、頻発する児童殺傷事件等の報道について、BPOに視聴者から厳しい意見が寄せられている。これを受けて、放送と青少年に関する委員会(以下、青少年委員会)は審議をすすめた結果、一部ではいまだ憂慮すべき点が見受けられることから、放送界のさらなる検討、配慮が望ましいとの見解に達した。
青少年委員会は、既に「『衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮』についての提言」(2002年3月15日)を出しているが、再度、以下のとおり要望を行うこととした。
まず、前回提言にある要望事項を、再確認のために次に引用する。

  • 衝撃的な事件・事故の報道では子どもたちへの影響が大きいことを配慮し、刺激的な映像の使用に関しては、いたずらに不安をあおらないよう慎重に取り扱うべきである。特に子どもが関係する事件では特別の配慮が求められる。
  • 子どもは言葉の理解が不十分なため、映像から大きなインパクトを受け易い特性がある点に留意し、特に「繰り返し効果」のもたらす影響については慎重な検討と配慮が求められる。
  • ニュース番組内、あるいは子ども向け番組で、日常的に、子どもにも分かるニュース解説が放送されることが望ましい。
  • 衝撃的な事件・事故の報道に際しては子どものことを配慮した特別な番組作りも研究、検討に値しよう。また、影響を受けた子どもの心のケアに関して保護者を支援する番組を即座に組めるよう、日頃から専門家チームと連携を図ることが望ましい。

上記提言は、事件・事故報道と視聴者たる子どもとの関係に関する問題把握に基づき、放送関係者に論議と今後の対策を要望したものであった。これらを踏まえて、放送界でも相応の検討や対応がなされてきているが、テレビの報道が、視聴者たる子どもの心性に直接訴え得るメディアであることに留意し、事件報道に関する更なる配慮を望んで止まない。

前回提言に加え、児童殺傷事件等の報道に関して、現委員会が特に検討を求めたい事項を以下に掲げる。

    (1) 「殺傷方法等の詳細な報道」に関して
    凶器・殺傷方法・遺体の損傷状況等を詳細に報道することは、模倣を誘発したり、視聴者たる子どもを脅えさせるおそれがあるなど、子どもへの好ましくない影響が懸念されるので、十分な配慮が必要である。

    (2)「被害児童の家族・友人に対する取材」に関して
    家族や友人等への執拗な取材、特に児童へのインタビューは、悲惨な事件によって打ちひしがれた心をさらに傷つけることにもなりかねず、また、親しい者の死を悼む子どもの心的領域に踏み込む行為でもあるので、慎重を期すよう要望したい。なお、被疑者家族への取材にも一層の配慮が望ましい。

  • (3)「被害児童および未成年被疑者の文章等の放送」に関して
    プライバシーおよび家族の心情への配慮という観点から、これらの放送には、より慎重な扱いが必要と思われる。

以上