放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第30回

第30回 – 2009年10月

バラエティー番組の問題点について

虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『真相報道バンキシャ!』 …など

第30回放送倫理検証委員会は10月9日に開催され、バラエティー番組の問題点に関して3回目の審議を行った。担当委員から事前に提出された決定文案に対して、いろいろな角度からの意見が出された。また、他の委員から代案が提出されたので、あわせて議論したが最終的合意に至らず、継続して審議することにした。
日本テレビから『バンキシャ』についての報告書(民放連との申し合わせにより、具体的な改善策を含めた取り組み状況の報告が求められている)が提出されたので検討した結果、委員会はこれを了承し、公表することにした。

議事の詳細

日時
2009年10月 9日(金)午後5時~8時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、上滝委員長代行、小町谷委員長代行、石井委員、里中委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

バラエティー番組の問題点について

バラエティー番組全体に見られる放送倫理上の問題点について、前回までの議論を踏まえた決定文案の改訂版と、今回、他の委員から新たに提出された代案について議論した。両案を合体させればよいだろうという意見も出されたが、構成や論調が大きく異なるので、執筆した2人の委員が話し合って、ひとつの案としてまとまった段階で、あらためて審議することにした。そのために、本事案について2度目の臨時委員会の開催を決定した。

<主な委員の意見>

  • バラエティー番組は本来、「番組の質の向上」「放送法」「倫理規定」等とは対極に位置し、アナーキーな指向アンテナをもとに動く無頼なものだと思う。だからこそ視聴者の共感とカタルシスを得ている。「無頼」こそがテレビバラエティーが精神として踏まえている「自由」と同義語だ。
  • バラエティーの無頼さやつまらなさだけを強調すべきではない。つまらないかもしれないが、健全なバラエティーが視聴者から支持されている。
  • 「バラエティーがつまらない」と言っているのは委員会ではなく視聴者だ。しかも、個別の番組についてだけではなく、多方面から数多くそのようにいわれている。これは視聴者を置き去りにしているということであり、そのこと自体が制作者の倫理問題ではないか。
  • 難しい表現の意見書だと制作現場の人たちからは、俺たちには関係ないと敬遠されるか、場合によってはいじめられていると誤解されてしまうのではないか。私たちの目的は、元気でよいバラエティー番組を作ってほしいということだ。
  • 視聴者は視聴者個人の倫理観を根拠に、この番組はけしからんと言っている。特にバラエティーについては、いらだつ視聴者が多く存在するようになってきている。そういった現象とバラエティー番組の変容とが結び付かないと「意見」を出す意味がない。
  • 番組を向上させるにはほめるしかない。これがイカンあれがイカンでは、番組は向上しない。
  • 委員会決定が「見解」「勧告」の場合はともかく、「意見」である場合には、必ずしも一本化した決定を出す必要はないと思う。まず総論を示して、それに加えて何人かが署名つきの意見を並べる方法もある。
  • あらゆる基準を超越するのがバラエティー。この精神が大切だ。
  • バラエティーだからといって放送基準のらち外にあるのではなく、当然、その範囲内にある。放送基準を無視したり違反することが良いことだと思っている制作者が放送業界に存在していることが問題だ。
  • 視聴者は相当のボリュームでバラエティー番組に文句を言い続けている。だからといって、それらの文句を受け入れ、しゃくし定規に番組基準に合致した番組作りをすると、バラエティーはつまらなくなり絶滅してしまう。どう折り合いをつけるかの問題だ。
  • 今回は委員会の「意見」を公表するだけではなく、制作者と意見交換をするシンポジウムなどをセットに考えるべきだ。シンポジウムを開くならば参加するのは偉い人ではなく、現場感覚を大切にしたカジュアルで開かれた議論にすべきだ。

10月中に臨時の委員会を開催し、決定文を作成したうえで通知・公表を急ぐことにした。

虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『真相報道バンキシャ!』

日本テレビは、一連の『バンキシャ!』誤報問題に関する報告書をまとめ、10月7日に委員会に提出した。各委員には事前にこの報告書を配付し、読んでもらったうえで意見を求めた。委員会としては、日本テレビが信頼回復に努力することを期待し、この報告書を了承することにした。なお、この報告書はただちにBPOのホームページで公開することにした。

以上