放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第18回

第18回 – 2008年10月

継続事案の検討

新しい事案の検討 …など

第18回放送倫理検証委員会は10月10日に開催され、報道番組内における大食い企画と公取委から排除命令が出されたテレショップ番組について、各当該局からの回答を検討した結果、委員会として了承した。次に関係者から内容が不当に改変されたと指摘があったノンフィクション番組の事案が継続討議されたが、結論は次回以降に持ち越された。動物保護団体および宗教団体から抗議があった2つの事案については、討議の結果取り上げないこととした。事務局からは、2冊のブックレットの刊行についての説明があった。

議事の詳細

日時
2008(平成20)年10月10日(金)午後5時~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、上滝委員長代行、小町谷委員長代行、石井委員、市川委員、里中委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

継続事案の検討

  • 報道番組内での大食い企画

    前回の委員会決定として、当該局に対してこの企画は報道番組として放送したのかの確認あるいは制作費に関する問題など4項目の質問書を出した。
    これに対して当該局から、報道番組であるとした上で、今後報道番組での大食い企画を自粛すること、また、取材先のレストランに対しては取材経費を支払っている旨の回答があった。討議の結果、回答書に述べられた当該局の対応を了承した。
    委員の主な意見は次の通り。

    大食い企画自体、道徳に反するし食糧問題もあるのだからやめるべきだ。報道番組で扱わないだけでよいのか。

    報道番組で扱わなければよい。しかし、これに限らず、報道番組としてふさわしくないカテゴリーの企画が見受けられる。

    食糧問題が問われているときにこういう企画をやるのはセンスが悪い。テレビはばかばかしいことをやってもよいところもあるが、ワイドニュース内で枠企画をどのように位置付けているのか。

    当該局は「報道番組の原点に立ち返りたい」をきちんと示して欲しい。

  • 公取委から排除命令が出たテレショップ番組

    テレビ局系列の通販会社に対して公取委が景品表示法違反(優良誤認)に基づく排除命令を出した。当委員会は、このテレショップ番組を放送した局に対して、排除命令を受けたあと公示や処置がどのように行われたかを問い合わせた。その結果、適切な対応が行われたと理解できる回答が得られたので、当委員会として了承した。

  • 戦時性暴力を扱った番組について

    戦争と裁判をメインテーマに、戦時下における性暴力を扱った7年前のノンフィクション番組で、その制作過程において内容が不当に改変されたと関係者が主張している事案。番組を視聴し関係資料等を読んだ上で、取上げるか否かを再度討議した。議論は多方面に及んだが、論点の整理を行った上で継続して検討することになった。

  • 内容が虚偽ではないかと抗議があった科学番組

    チベット高原でナキウサギが異常発生して草原の砂漠化が進み、その結果、日本に異常気象をもたらしたと説明した番組に対して「非科学的あるいは虚偽ではないか」と抗議があった。映像を視聴した上で討議したが、学術論争はともかく当該局は中国の研究者の監修の下に番組を制作しており、虚偽であるとの抗議は当たらないと判断し取り上げないこととした。

新しい事案の検討

・隠し撮り映像によるニュース報道について

宗教団体から、隠し撮りされた映像がニュース番組で放送されたことは放送倫理違反であると抗議があった。映像を視聴し討議した結果、この事案では、住居侵入の疑いや信教の自由を阻害しかねない点を考慮したとしても、当該宗教団体を取材する目的に公共性・公益性が認められ、挑発的な取材とも思えずなおかつ他に取材方法が見出し難かったと考えられる。また、放送に際してはモザイクをかけて肖像権や人格権にも配慮されている。正当な取材および放送の範囲内であると判断し、取り上げないこととした。

その他

・ブックレットの刊行について

放送倫理検証委員会ブックレット第1号として「光市事件と裁判報道」が9月下旬に刊行され、続いて第2号の「事件報道と開かれた司法」は10月中旬に刊行されることになった。

以上