放送人権委員会

放送人権委員会

1999年12月22日

1999年12月22日
放送と人権等権利に関する委員会(BRC)委員長談話

「桶川女子大生殺害事件」取材についての要望

今年10月26日に発生した「桶川女子大生殺害事件」に関して、被害者の母親及び親族から、本日、テレビ局の執拗な取材に自粛を求める電話がBRCに寄せられた。母親及び家族からの訴えは以下の通りである。

「家の前に大勢の取材陣が群がり、家族の姿が映し出され外出も出来ない状況で、生活に支障をきたしている。殺害された娘の写真が度々放送され、家族の写真は映さないでほしいと頼んでも聞き入れてくれない。わが家の写せるところは全てさらけ出し、家族には小学生や大学受験を控えた子供もいるのに、話を聞かせてほしいと執拗に迫る。近所にも迷惑をかけ、このままではここに住んでいられなくなってしまう。被害者であるにもかかわらず、何でこれほどいじめられなくてはならないのか。被害者に自殺でもしろというに等しい」

BRCは、事件報道の際に度々指摘されることではあるが、今回も犯罪被害者の立場に十分な配慮をせず、被害者家族に二次的な報道被害が及んでいる事態が生じていることを憂慮せざるをえない。事件の真相を解明するための取材が必要であることはいうまでもないが、今後の取材に当たっては、上記の家族の声を真摯に受け止め、被害者及び家族のプライバシーを侵害することのないよう節度をもって当たることを強く要望する。

BRCとしては、本件の報道に対し、今後とも重大な関心を持っていることを明らかにしたい。

以上