放送人権委員会

放送人権委員会

2004年度 解決事案

「盲導犬の世話を巡り、名誉を傷つけられた」との苦情

沖縄県のペット美容室経営者(男性)から、「ラジオ番組で、取材にも来ずに、自分がリタイアした盲導犬の世話をしていることについて、『それを“目玉”にして商売している』といった趣旨で紹介・放送された。犬の世話はあくまで純粋ボランティアでやっているのであり、出演者のこの発言は、自分の名誉・信用を傷つけるものであった。出演者から真意を聞きたい」との苦情があった。
この苦情を当該放送局に連絡したところ、「番組では、この経営者の活動を美談として放送したもので、経営者を誹謗・中傷する内容ではない。放送の責任はすべて放送局にあり、出演者は出せない」との報告があったが、放送人権委員会担当調査役から「誠意を持って話し合いを続けてほしい」旨を要請。
その後、再度、双方による話し合いが行われ、同経営者から「当該局幹部と出演者本人が家に来て弁解した。納得できない部分もあるが、出演者本人が来てくれたこともあり、これで矛を収めようと思う。ご面倒をおかけした」と放送人権委員会担当調査役に連絡してきたため、当該局にも確認し、斡旋解決事案とした。

(2004.10.2放送、04.10.19解決)

「被虐待児ドキュメントで子どもを無断撮影」との母親からの苦情

2004年8月に山形県の女性から、「ドキュメンタリーの番組宣伝を見て、児童施設に預けている4歳の長男が被虐待児の一人として撮影されたことを知った。あわてて当該放送局に放送をやめるように求めたが、映像処理を少し施されて結局、放送されてしまった」との苦情があった。
当該局は、「学園長に企画意図を理解してもらった上で撮影許可を得た。当該児童は2カットしか映っていないが、苦情に応えてモザイクを大きくした。放送後は何も言ってきていない」としていたが、女性はその後も、放送人権委員会事務局に対し「納得できない」と不満を訴えてきていた。
放送人権委員会担当調査役から再度、当該局に問い合わせたところ、9月に入って、当該局幹部が申立人と直接面談し、改めて企画意図を説明して了解を求めた。これに対し女性は「学園長の許可だけで、親の許可なく撮影したことは問題だ」と重ねて主張したが、新たに具体的なことは何も求めなかったという。
当該局から「この話し合いの段階で一件落着したものと考えられる」との報告がある一方、その後数か月間、抗議がないことから、12月21日開催の放送人権委員会に諮った結果、委員会としても落着したと判断することにした。

(2004.08.16放送)

「ヘリコプター・オーナーから“名誉毀損”」との苦情

2004年10月に大阪府の男性から、「ヘリコプターのオーナーとして取材要請に応じたが、虚偽の内容を放送され、名誉・信用を毀損された」との苦情があった。
当該放送局は、番組を紹介するホームページの中で、内容を訂正する措置をとったが、男性は納得しなかった。
放送人権委員会事務局から双方に話し合いを要請したところ、再度の話し合いが行われ、その中で局側が、内容を修正した番組を男性の出身地などで放送することを提案し、男性もこれを了承、解決した。

(2004.10.2放送、04.10.19解決)

「強引な取材でキスを強要された」との苦情

2004年12月に愛知県の女性から、「駐車していたところ、2人組のお笑いタレントの一人が無断で乗り込んできて、無理やりキスしょうとした。しかも、この一部始終をテレビカメラに撮影された。局側に抗議したら、放送しないと答えたが、問題の本質がわかっていない。こんな取材・撮影は絶対許せない。」との苦情があった。
放送人権委員会事務局から双方に話し合いを要請した結果、再度の話し合いが行われ、局側から「取材の行き過ぎ」を認め、謝罪するとともに、問題となったコーナー企画を即時打ち切る事などを提示した。女性側も「局が誠実に対応してくれたので了解した。放送人権委員会に感謝する」ということで、解決した。

(2005.1.6解決)