放送人権委員会

放送人権委員会

2006年 11月

関西地区各社との意見交換会(開催地:大阪)

11月28日、放送人権委員会委員と近畿地区会員各社のBPO連絡責任者等との意見交換会が大阪で開かれた。今回の意見交換会は地方開催としては7回目で、東京での開催を含めると11回目となる。
「意見交換会」には、近畿地区のテレビ、ラジオ局12局からBPOの連絡責任者、あるいは報道・制作現場の責任者等、これまでの意見交換会では最も多い40名が参加した。一方放送人権委員会側からは、竹田稔委員長、堀野紀、五代利矢子両委員長代行、右崎正博委員、中沢けい委員、三宅弘委員の6名と事務局から6名が出席し、最近の制作現場が抱える放送倫理上の問題点や課題等について意見を交わした。
冒頭、竹田委員長から、10年間近くにわたってこれまで果たしてきた放送人権委員会の役割と今後の課題について基調報告があった。この中で竹田委員長は、「見解」、「勧告」を受けた後の当該局の対応について「これまでの対応は、満足出来るものであったが、一方で何度も審理対象になっている局があることも事実である。今後一層どのように改善策をとったら良いか、各局で考えて実行していって欲しい」と述べた。また放送人権委員会事務局からは、最近の苦情傾向として「メディアスクラム状況に対する抗議」や「モザイクがかけられていたが地域社会ではすぐに特定された」「隠しカメラで無断撮影された」等の苦情が増えているとの報告があった。
この後、意見交換に移り、まず委員会決定を受けた当該局から、その後の対応等について報告があった。その中で局側の担当者は「隠しカメラ、マイクの運用面について現実の問題としてどのように考えていったら良いか、頭を悩ましている」と実情を述べた。これに対し委員からは「隠しカメラ、マイクは原則として使用すべきではない。場合によって公共性、公益性との比較衡量上例外的に認められるというものではないか」との説明があった。
最後に放送局側から、放送人権委員会の審理と裁判との関係について、「これまで放送人権委員会で審理した後、裁判になる事例がある。止むを得ないと思うが、なにか腑に落ちない。歯止め的なものはないのか」との質問があった。これについて竹田委員長は、「裁判制度と放送人権委員会の制度自体が存在基盤を異にするものであり、運営規則第5条の『裁判で係争中の事案は取り扱わない』との規定が、今のところ放送人権委員会として出来る限度だ。放送局側の言わんとすることは重々わかるが、放送人権委員会の存在意義を理解して頂き、協力をお願いしたい」と述べ、大阪での意見交換会を終えた。